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初めての魔法は――。
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一目散に逃げていった白角兎の中で、ぼくとフェウは上手いことに獲物をそれぞれ確保することが出来ていた。だが。
「ぼくもフェウも、草むらから飛び出るまでは一切気配は遮断していたはず……だよね?」
だけども、ふと嫌な予感がした。
白角兎が逃げ出したのは、ぼくたちが《気配遮断》して草むらから出て行くほんの少し前。
ぼくたちはたまたま逃げ遅れた兎を二匹捕まえられたけども、本来だったら逃げ遅れなんていないはずだ。
「――万能魔法・タイプ《索敵》」
耳を澄まして、半径五百メートルほどにある魔力反応の検知を試みる。だが、反応は何も返ってこない。
ズキリと頭が痛みだした。そういえば、こんなに連続して魔力を使ったのも珍しい。
魔力切れのことも考えると、白角兎はこれ以上深追いせずに大人しく帰った方が安全かもしれない。
「フェウ、急いでここを出よう」
「がるるるるるる……!」
「……フェウ?」
二人の獲物を小脇に担いで、帰途につこうとする。
だが、フェウの様子がどうもおかしい。
森のずっと奥を見据えて小さく喉を鳴らしている。牙を剥き出しにして、全身の毛を逆立てているフェウは、明らかに何かに怯えてる様子だ。
一応、保険を掛けておいてもいいかもしれないな。
「《気配遮――」
そう、口を開き掛けたその時だった。
「ァオオオオオオオオオオオンッッッ!!!!」
突如天空から鳴り響いたのは地鳴りするような遠吠えだった。
カッと、ぼくたちの上に輝いていた太陽が一つの影を作り出す。
銀色に光る魔法の波状攻撃が見えた。
狙いは――。
「――フェウッ!!」
波状攻撃を避けるようにして転がり、フェウを抱きかかえる。
にょきりと抵抗するように小さな爪を出したフェウだったけど、ぼくより上に見える魔物の影を見るや否やすっと抵抗をやめてくれた。
フェウも、絶対に敵う相手ではないということを悟ってくれたみたいだ。
幼いながらに危機管理もしっかりしてる。いっぱいいっぱい褒めてあげたいけど、生憎ぼくにもそんな余裕はないんだよね!
ザンッッッ!!!
上空から飛来した魔法攻撃は、鋭利な刃物のようにぼく達の周りの草々を一気に刈り取った。
突風と衝撃により、綺麗に生えていた癒し草がバラバラになって飛び上がる。
「ガルッ」
ダンッ、と。
よっぽど重い身体で地面に着地したのかそれはぐっと、多量な筋肉に包まれたその身体でぼく達に照準を合わせた。
一瞬でぼく達の上空にまで飛び上がる跳躍力に加え、鋭利な爪を用いての魔法攻撃。ドデカい図体からでは考えられないほどの俊敏な動きは、歴戦の冒険者たちを幾人も再起不能にさせている。
こんなもの、鑑定しなくても分かる。
「ガルルルルルルルルルッ!!」
――C級魔物、筋肉狼。
その凶暴性と筋肉量故の消費カロリーが高いせいで、何でもかんでも食べ散らかしていく害獣中の害獣だ!
筋肉狼《マッスルウルフ》はすぐさま地面を蹴って、ぼく達の方へと突貫してくる。
ぼく達の事情なんて、一つも考えてくれないよね!
「欲しいのがこれなら、持って行けよッ!!」
名残惜しいけど、命には変えられないからね!
泣く泣く麻痺魔法の掛かった白角兎を進路と逆方向にぶん投げた。
「……ヴァァッ」
筋肉狼がそっちに少しだけ気をそらした瞬間、ぼくは魔法力を脚に滾らせた。
「飛ばすよ、フェウ! 肉体強化魔法・《速脚っ!」
「がぅっ」
職業運び屋の標準装備魔法だ。彼らみたいに馬並みの速さで走ることは出来なくても、筋肉狼が気を取られている間に逃げ切ることくらいは……!
ぼくは全速力で戦線離脱を試みる。
考えてみても、この森には今まで筋肉狼なんて種族はいなかった。
あの時点で、フェウがスライムと戦っている時に消化されていた筋肉狼の存在があった時に、疑問を持つべきだったんだ。
今までどこからかガルラット森林の生態系は親フェンリルさんの存在によって保たれていたということだ。
親フェンリルさんがいなくなって、この森で覇権を取ろうっていう隙間の支配者もどきがやってきやすくなるのも当然、か。
そんなことを考えつつ、どんどん脚を速めていると。
「……がうっ! がうっ!」
フェウがぼくの後ろを見て大きく喉を鳴らした。
「嘘、白角兎に見向きもしないで――!?」
ぼくが放った白角兎には、傷一つついていなかった。
筋肉狼は真っ直ぐにぼくたちを狙っている。
追いつかれ……!?
流石に予想もしていなかった事態に、頭が真っ白になる。
筋肉狼の四爪が、ぼくの背後に刺し掛かろうと――。
「ぱうっ」
その声の出所は、フェウからだった。
ズババババババババッッッ!!!
フェウの口から波状に発せられた熱光線のようなものは、一直線に筋肉狼へと向かっていった。
「ガァァァァァァァァァァッッッ!!??」
ぼく達に飛びかかろうとしていた筋肉狼の体表に大きな穴が空く。
貫くような大穴が空けば、ジリジリと焼け焦げるような音と共に筋肉狼の身体はどんどんと白骨化され、骨すらも霧散していく惨状がぼくの目の前に広がっていった。
「……ガルルルルルル」
それは、明らかにぼくの予想の範疇を大きく超えた、フェウが初めて魔法を出した瞬間だった。
「ぼくもフェウも、草むらから飛び出るまでは一切気配は遮断していたはず……だよね?」
だけども、ふと嫌な予感がした。
白角兎が逃げ出したのは、ぼくたちが《気配遮断》して草むらから出て行くほんの少し前。
ぼくたちはたまたま逃げ遅れた兎を二匹捕まえられたけども、本来だったら逃げ遅れなんていないはずだ。
「――万能魔法・タイプ《索敵》」
耳を澄まして、半径五百メートルほどにある魔力反応の検知を試みる。だが、反応は何も返ってこない。
ズキリと頭が痛みだした。そういえば、こんなに連続して魔力を使ったのも珍しい。
魔力切れのことも考えると、白角兎はこれ以上深追いせずに大人しく帰った方が安全かもしれない。
「フェウ、急いでここを出よう」
「がるるるるるる……!」
「……フェウ?」
二人の獲物を小脇に担いで、帰途につこうとする。
だが、フェウの様子がどうもおかしい。
森のずっと奥を見据えて小さく喉を鳴らしている。牙を剥き出しにして、全身の毛を逆立てているフェウは、明らかに何かに怯えてる様子だ。
一応、保険を掛けておいてもいいかもしれないな。
「《気配遮――」
そう、口を開き掛けたその時だった。
「ァオオオオオオオオオオオンッッッ!!!!」
突如天空から鳴り響いたのは地鳴りするような遠吠えだった。
カッと、ぼくたちの上に輝いていた太陽が一つの影を作り出す。
銀色に光る魔法の波状攻撃が見えた。
狙いは――。
「――フェウッ!!」
波状攻撃を避けるようにして転がり、フェウを抱きかかえる。
にょきりと抵抗するように小さな爪を出したフェウだったけど、ぼくより上に見える魔物の影を見るや否やすっと抵抗をやめてくれた。
フェウも、絶対に敵う相手ではないということを悟ってくれたみたいだ。
幼いながらに危機管理もしっかりしてる。いっぱいいっぱい褒めてあげたいけど、生憎ぼくにもそんな余裕はないんだよね!
ザンッッッ!!!
上空から飛来した魔法攻撃は、鋭利な刃物のようにぼく達の周りの草々を一気に刈り取った。
突風と衝撃により、綺麗に生えていた癒し草がバラバラになって飛び上がる。
「ガルッ」
ダンッ、と。
よっぽど重い身体で地面に着地したのかそれはぐっと、多量な筋肉に包まれたその身体でぼく達に照準を合わせた。
一瞬でぼく達の上空にまで飛び上がる跳躍力に加え、鋭利な爪を用いての魔法攻撃。ドデカい図体からでは考えられないほどの俊敏な動きは、歴戦の冒険者たちを幾人も再起不能にさせている。
こんなもの、鑑定しなくても分かる。
「ガルルルルルルルルルッ!!」
――C級魔物、筋肉狼。
その凶暴性と筋肉量故の消費カロリーが高いせいで、何でもかんでも食べ散らかしていく害獣中の害獣だ!
筋肉狼《マッスルウルフ》はすぐさま地面を蹴って、ぼく達の方へと突貫してくる。
ぼく達の事情なんて、一つも考えてくれないよね!
「欲しいのがこれなら、持って行けよッ!!」
名残惜しいけど、命には変えられないからね!
泣く泣く麻痺魔法の掛かった白角兎を進路と逆方向にぶん投げた。
「……ヴァァッ」
筋肉狼がそっちに少しだけ気をそらした瞬間、ぼくは魔法力を脚に滾らせた。
「飛ばすよ、フェウ! 肉体強化魔法・《速脚っ!」
「がぅっ」
職業運び屋の標準装備魔法だ。彼らみたいに馬並みの速さで走ることは出来なくても、筋肉狼が気を取られている間に逃げ切ることくらいは……!
ぼくは全速力で戦線離脱を試みる。
考えてみても、この森には今まで筋肉狼なんて種族はいなかった。
あの時点で、フェウがスライムと戦っている時に消化されていた筋肉狼の存在があった時に、疑問を持つべきだったんだ。
今までどこからかガルラット森林の生態系は親フェンリルさんの存在によって保たれていたということだ。
親フェンリルさんがいなくなって、この森で覇権を取ろうっていう隙間の支配者もどきがやってきやすくなるのも当然、か。
そんなことを考えつつ、どんどん脚を速めていると。
「……がうっ! がうっ!」
フェウがぼくの後ろを見て大きく喉を鳴らした。
「嘘、白角兎に見向きもしないで――!?」
ぼくが放った白角兎には、傷一つついていなかった。
筋肉狼は真っ直ぐにぼくたちを狙っている。
追いつかれ……!?
流石に予想もしていなかった事態に、頭が真っ白になる。
筋肉狼の四爪が、ぼくの背後に刺し掛かろうと――。
「ぱうっ」
その声の出所は、フェウからだった。
ズババババババババッッッ!!!
フェウの口から波状に発せられた熱光線のようなものは、一直線に筋肉狼へと向かっていった。
「ガァァァァァァァァァァッッッ!!??」
ぼく達に飛びかかろうとしていた筋肉狼の体表に大きな穴が空く。
貫くような大穴が空けば、ジリジリと焼け焦げるような音と共に筋肉狼の身体はどんどんと白骨化され、骨すらも霧散していく惨状がぼくの目の前に広がっていった。
「……ガルルルルルル」
それは、明らかにぼくの予想の範疇を大きく超えた、フェウが初めて魔法を出した瞬間だった。
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