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水龍の唐揚げ①
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火花をバチバチと散らすルーナとエルドキアを尻目に、アマリアさんは音のでない笛を鳴らした。
それは、俺たちが大円森林ヴァステラで運竜を呼び寄せたそれに酷似していた。
「そういえば……タツヤ殿。あなた方のパーティーに高所を恐れる方はいらっしゃいますか?」
「高所……? いや、ウチは多分大丈夫ですけど」
「なら、良かったです」
そんなアマリアさんの手に握られていたのは4つの笛。
全てがリコーダーのを細くしたような形状だが、それぞれ大きさが違う。
アマリアさんが先ほど吹いたそれは、大きさとしては3番目のものだ。
4番目の大きさの笛は、俺が持っている運龍召喚用のものとほとんど変わらない。
俺の目線を感じ取ったアマリアさんは、言う。
「タツヤ殿も同じものを持ってらっしゃいますね。一番大きな笛は、闘龍《とうりゅう》バトルドレイク、二つ目は《豪水龍》レヴィアタン、三つ目は《飛龍》リンドヴルム、四つ目が《運龍》ワイバーン。その形状からすると……龍人族から直接渡された運龍召喚笛でしょうか」
「な、なんだかたくさんあるんですね……。俺の方は、北方都市のルクシアで、料理店を営む龍人族の主人から頂いたものです。これを使って、自由に自分の持っている運龍を使役していいって言われたので……ちょっと、旅路に困ったときには使わせて貰っています」
俺がそう言うと、アマリアさんは驚いたように目を見開いた。
「――と、なるとあなたがたが紅鳥と悪の実を調理して摩訶不思議な調理方法で料理を振る舞ったと言われる《妙な二人組》だったんですか……!?」
「そ、そんな噂あったんですか、俺たち……」
っていうか、なんだそれ。《妙な二人組》って言われてもなぁ……。
でも、そう言われるのも仕方の無いことかもしれない。なんせキッチン用具なんてこの世界じゃ誰も見たことはなかっただろうからな。
俺が思考を巡らせていると、アマリアさんは目を輝かせて俺の両手をぎゅっと握った。
「それはそれは……っ! 私たちとあなた方がここで出会えたのも、時空龍のお導きかもしれません……!」
……まぁ、俺がこの世界にいること自体、時空龍によるものらしいけど。
と、心の中で苦笑いしつつ、俺はアマリアさんの瞳を見た。その碧眼は強い決意を持って、俺に呟いた。
「私たちの王があなた方に会いたがっています。もし、よろしければエイルズウェルトのグランツ王宮へ来て頂けませんか?」
「……はぁ」
よく分からないうちに事態が大きくなっている気がする。
すると、つい先ほどまでルーナと口喧嘩を交わしていたエルドキアが、アマリアさんの提案を受けて「なぬ!?」と驚愕の声を出して俺とルーナを交互に見た。
「この二人を王宮へ入れるというのか!?」
「えぇ。あなたの兄君であるグレイス王もそれをお望みです。お話、聞かれなかったんですか?」
「兄様の話は難しいことが多くてよく分からぬ故、そんなに聞いておらぬ」
「……そうですか」
頭を抱えるアマリアさんと、それを無視してウェイブの隣にすとんと座るエルドキア。
何かこっちはこっちで色々問題抱えてそうだな……。
「ルーナいいのか?」
俺が淡泊に問うと、当たり前だとでも言わんばかりにルーナもこくりと頷いた。
王宮か……。となると、エルドキアは本当にお嬢様なんだなぁ。
そんなくだらないことを考えるうちに、河原から遙か遠方。
キッチン用具の入った荷車ごとルーナが運んだ直後に見えてきたのは、こちらに向かって猛スピードで飛んでくる三頭の巨大な龍だ。
「飛龍《リンドヴルム》が到着しました。早速、エイルズウェルトに向かいましょうか」
アマリアさんは、にこりと笑みを浮かべた。
それは、俺たちが大円森林ヴァステラで運竜を呼び寄せたそれに酷似していた。
「そういえば……タツヤ殿。あなた方のパーティーに高所を恐れる方はいらっしゃいますか?」
「高所……? いや、ウチは多分大丈夫ですけど」
「なら、良かったです」
そんなアマリアさんの手に握られていたのは4つの笛。
全てがリコーダーのを細くしたような形状だが、それぞれ大きさが違う。
アマリアさんが先ほど吹いたそれは、大きさとしては3番目のものだ。
4番目の大きさの笛は、俺が持っている運龍召喚用のものとほとんど変わらない。
俺の目線を感じ取ったアマリアさんは、言う。
「タツヤ殿も同じものを持ってらっしゃいますね。一番大きな笛は、闘龍《とうりゅう》バトルドレイク、二つ目は《豪水龍》レヴィアタン、三つ目は《飛龍》リンドヴルム、四つ目が《運龍》ワイバーン。その形状からすると……龍人族から直接渡された運龍召喚笛でしょうか」
「な、なんだかたくさんあるんですね……。俺の方は、北方都市のルクシアで、料理店を営む龍人族の主人から頂いたものです。これを使って、自由に自分の持っている運龍を使役していいって言われたので……ちょっと、旅路に困ったときには使わせて貰っています」
俺がそう言うと、アマリアさんは驚いたように目を見開いた。
「――と、なるとあなたがたが紅鳥と悪の実を調理して摩訶不思議な調理方法で料理を振る舞ったと言われる《妙な二人組》だったんですか……!?」
「そ、そんな噂あったんですか、俺たち……」
っていうか、なんだそれ。《妙な二人組》って言われてもなぁ……。
でも、そう言われるのも仕方の無いことかもしれない。なんせキッチン用具なんてこの世界じゃ誰も見たことはなかっただろうからな。
俺が思考を巡らせていると、アマリアさんは目を輝かせて俺の両手をぎゅっと握った。
「それはそれは……っ! 私たちとあなた方がここで出会えたのも、時空龍のお導きかもしれません……!」
……まぁ、俺がこの世界にいること自体、時空龍によるものらしいけど。
と、心の中で苦笑いしつつ、俺はアマリアさんの瞳を見た。その碧眼は強い決意を持って、俺に呟いた。
「私たちの王があなた方に会いたがっています。もし、よろしければエイルズウェルトのグランツ王宮へ来て頂けませんか?」
「……はぁ」
よく分からないうちに事態が大きくなっている気がする。
すると、つい先ほどまでルーナと口喧嘩を交わしていたエルドキアが、アマリアさんの提案を受けて「なぬ!?」と驚愕の声を出して俺とルーナを交互に見た。
「この二人を王宮へ入れるというのか!?」
「えぇ。あなたの兄君であるグレイス王もそれをお望みです。お話、聞かれなかったんですか?」
「兄様の話は難しいことが多くてよく分からぬ故、そんなに聞いておらぬ」
「……そうですか」
頭を抱えるアマリアさんと、それを無視してウェイブの隣にすとんと座るエルドキア。
何かこっちはこっちで色々問題抱えてそうだな……。
「ルーナいいのか?」
俺が淡泊に問うと、当たり前だとでも言わんばかりにルーナもこくりと頷いた。
王宮か……。となると、エルドキアは本当にお嬢様なんだなぁ。
そんなくだらないことを考えるうちに、河原から遙か遠方。
キッチン用具の入った荷車ごとルーナが運んだ直後に見えてきたのは、こちらに向かって猛スピードで飛んでくる三頭の巨大な龍だ。
「飛龍《リンドヴルム》が到着しました。早速、エイルズウェルトに向かいましょうか」
アマリアさんは、にこりと笑みを浮かべた。
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