貴方との婚約は破棄されたのだから、ちょっかいかけてくるのやめてもらっても良いでしょうか？

第六話

セナとレジスが隣り合って座り、その対面にエリヴィラとダヴィドが座る。
隣に座っていると、セナとレジスは本当にお似合いのカップルでエリヴィラには眩しく見えた。
四人で食事しながら雑談をしていると、

「エリヴィラちゃんとダヴィトって結構お似合いだよね」

レジスがいきなりこのようなことを言い出したのだ。エリヴィラは咳き込みそうになったが、ダヴィドは「あはは」と笑い飛ばした。

「何言ってるんだよ、レジス。エリヴィラが咳き込んだだろ」

ダヴィドはそう言いながら、エリヴィラに水を渡した。エリヴィラはその水を飲んで深く呼吸する。

「冗談を言うのはやめてくださいよ」

エリヴィラはレジスを非難した。彼女はまだレジスとそれほど親しくないので敬語で話す。親しい間柄であれば敬語無しで話すのだが、親しくない相手にタメ口で話すのは躊躇われた。

「冗談じゃないよ。本当にお似合いだと思ったんだ。それに、ダヴィドはエリヴィラちゃんを親しげに呼んでいたよね。いつの間に仲良くなったのか知らないけど、相性も良さそうじゃないか」
「ああ。この前、一緒に帰った時にね。呼び捨てで良いよ～って話をしたんだ」

そうダヴィドが言うと、レジスは「そうなのか」と納得したようだ。
他愛のない話をして食事を終え、エリヴィラとセナは二人と別れてクラスへ戻ることにした。
廊下を歩いていると、セナがニコニコとしながら声をかけてくる。

「エリヴィラ、私もダヴィドさんとあなたはお似合いだと思うな」
「お似合いって言われても……。私はダヴィドと出会ったばかりだし……」
「そうよね……。でも、エリヴィラはフィクトルさんとの婚約を破棄したでしょ？だから、良い人と結婚してほしいなと思ったの。ダヴィドさんは良い人そうじゃない？」
「そうね」

エリヴィラは良い友人を持ったなと微笑んだ。