【完結】【R18】女騎士はクールな団長のお役に立ちたい!

misa

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本編

団長にならいいんです 1★

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 フリードリッヒの執務室から寝室への扉の前に立つ。緊張に強張る体を解そうと深呼吸を一つ。

(よし!)

 鼓舞するように心中で宣言する。間を置かずに、ドアをノックをして返事を待つ。

「マティアスか」

 静かに返事があった。

(フリードリッヒさま……)

 声だけで泣きそうになった。疲れ切った声にアマーリエの感情がかき乱された。

「アマーリエです。差し入れを持ってきたんです」
「……そうか」

 間をおいて静かに返事があった。ドアの近くまで歩み寄ったのだろう「アマーリエ」と呼ぶ声は先程よりもずっと近い。

「ドア越しで済まない」
「いえ、いいんです。話は聞きましたから」
「執務机に置いておいてくれ。一日気を張っていたのだから、疲れただろう。もう休みなさい」

 どこまでもアマーリエを気遣っての言葉に、アマーリエは勢いよくドアを開けた。ドアから三歩の距離で立っていたフリードリッヒが驚きに目を見開いたのを見ながら、滑るように入り込んだ。素早くドアを閉め、後ろ手に鍵をかける。
 逃がさないためには退路を断つ。
 基本的な戦術だ。

「団長、私を抱いてください」

 単刀直入に用件のみを言った。

「そういうわけにはいかない。貴族の未婚の女性として自分を大事にしなさい」

 冷静な言葉だったが、絞り出すようにしてアマーリエを諭す。

「団長!」

 強めに名を呼ぶと、フリードリッヒは初めて見せる動揺した顔をした。

「わかっています。全部わかって、それでも団長を助けたいんです」

 フリードリッヒの目をまっすぐ見て迷いなく言い募る。

「私はヴェッケンベルグの女です。覚悟を決めてきました。大丈夫です」

 言い切ったアマーリエにフリードリッヒは反応を見せない。熱を抑えるように息をつく音が聞こえてくるのみだ。

(私みたいな大女じゃ駄目なのかしら。する気持ちにならないのかしら)

「……私ではご不満ですか」
「っ……」

 息を飲むような小さな声を漏らす。怯むように肩を揺らしたフリードリッヒの弱い仕草が切なくて、アマーリエはそっと近づいて身を寄せた。ジャケットの胸元をつかんで囁く。

「団長になら……いいんです」
「済まない」

 心のそこからの謝意なのだと感じた。アマーリエの囁きが合図だったように甘い吐息を漏らして、フリードリッヒの手がアマーリエの大腿に触れた。ズボンの上からすっと撫で上げ、アマーリエの体を確かめるように腰へと手のひらを移動させていく。
 フリードリッヒの大きな手がアマーリエはすごく羨ましくて素敵だと思っていた。アマーリエよりも掌も大きく、指も関節一つ分は長い手が羨ましくて、何でも掴めそうだと思っていた。
 その手がアマーリエの体を撫で上げていることに、アマーリエは自身が今抱いている感情を正確に測ることができずにいた。

「っ……団長……」

 撫で上げられ、撫で下ろされ、フリードリッヒの大きな手がアマーリエの体を撫でるごと、ひくりと体が慄く。
 アマーリエが顔を上げると、フリードリッヒは怖いほど真剣にアマーリエを見つめていた。いや、真剣というのは少し違う。冷静な青紫の眼差しを熱くして、アマーリエを見つめていた。これまでにないほど熱を帯びた視線に、名状しがたい痺れが背中を駆け巡るのをアマーリエは感じた。
 はっとアマーリエは、これは異性を欲するときの眼差しだと直感した。
 怖い、と本能が囁いた。

(っいけない)

 ひるんでいてはいけない。フリードリッヒに身を任せたらいい。エリーゼも言っていたではないか。

(お役に立ちたいもん。……好きだもん)

 感情が胸の中で渦巻いて、泣きそうな気持ちになる。

(大好きです、フリードリッヒさま)

 アマーリエの頬に片手で触れながら身を近づけてくる。触れた手はざらりとしているのに優しく触れていて、感情がせりあがってくるのを抑えきれない。優しく唇が重ねられると、ふつりと堰を切ったように涙が一筋零れ落ちた。
 唇が離れると少し寂しいと思ってしまう。頬に熱を覚えながら上目に見上げてしまった。頬は燃えるように熱いというのに、胸のうちにある熱は優しく熾っていた。

(もっと、団長の温もりを感じたい)

 はしたない気持ちが胸の内に広がる。フリードリッヒの与える感触を感じていたくて、アマーリエは眼を閉じる。眼を閉じると再び優しいキスが下りてくる。一層フリードリッヒの口付けの感触や掌の感触、温もりが感じられて胸をきゅっと疼かせた。優しく胸を締めるのは甘い疼きだ。
 甘い余韻を覚えながらアマーリエは頭の片隅でぼんやりと思うが、フリードリッヒの唇の感触に心が奪われていく。
 フリードリッヒは何度もアマーリエに口付けながらアマーリエの体に触れていく。感触を確かめるように腰から上へ撫であげられ、胸元を撫でるように探るように荒々しく触れていく。アマーリエはフリードリッヒの行為を妨げてはいけない一心で身を捩りたくなるのを耐えた。
 フリードリッヒは唇をアマーリエの頬に移し、首筋から耳朶にかけて滑らせる。

「……っふ……っ、ん……」

 丹念に往復されて身悶えしながら、体を強張らせて耐えていた。

「体の力をぬきなさい」
「は、はい……団長」

 唇を上げたフリードリッヒに端的に命じられ、アマーリエは体の力を抜くよう息をついた。

「んっ……」

 力を抜いたものの、フリードリッヒが再び触れ始めると先程から背筋や腰のあたりに沸き起こってくる淡い感触にアマーリエは身を捩りたくなってしまう。堪らず縋るようにジャケットを握りしめると、フリードリッヒが淡く笑みを漏らした気配がした。

「アマーリエ、ベッドに」
「……はい」

 熱く掠れた声で促されるままベッドへ向かう。ベッドへ上がると口づけられる。舌を絡めて、丹念に口づけを交わしながらアマーリエのジャケットのボタンを器用にはずしていく。ボタンを外し終えると、肩から落とすようにするりと脱がされる。

「……っふぁ……」

 口づけが長くなると息が続かなくて、唇が離れた時に肩で息をしなくてはならなくなる。

「口付けの時、苦しい?」
「……すみません」

 詫びると耳元で笑んだような気配があった。

「ひゃっ……」

 顔をあげるより早くフリードリッヒは耳朶を舐めあげる。予想外の行動に小さな悲鳴を上げてしまう。
「鼻で息をしなさい。いいね」
「は……っひ……」

 食むように唇が耳輪に触れた瞬間、背筋に軽く震えが走る。

(やだ……変な声出ちゃった……耳、くすぐったいような気持ちいいような、変な感じ)

 アマーリエが声を堪えているとフリードリッヒはアマーリエの様子に気付いたのか、耳元で息をつく。艶めいた吐息が何ともいえない快楽を生み出し、身を震わせる。

「は……っふ……」

 耳輪から耳朶へと舌を這わせ戯れのように吸い上げると、湿ったリップ音にアマーリエの息も熱くなってくる。耳を舌で愛撫しながら熱く息をつかれると時折下腹部が熱く疼く。違和感を覚えながらもどう振る舞っていいのかわからずに座ったままシーツを握りしめていた。
 するりと肩からシャツが落とされて肩が外気に晒されて脱がされていたことに気付いた。どうやら耳を愛撫しながら脱がせていたようだ。

「っ……」

 無声音を漏らした。フリードリッヒの怜悧な視線に己の肌が晒されたことに、一瞬恐れのような戸惑いを覚えた。すぐに羞恥に熱く火照らせる。
 胸元にレースがついた丈の短いシュミーズをつけて胸下から腰までの短いコルセットを締めているため、デコルテの部分が晒されている。
 動いて胸が苦しくないよう、また胸が揺れないように、シュミーズの内側の胸当てと胸下のコルセットで支えるようにしているのが女性騎士特有の下着だった。
 一般のコルセットと違って前の紐で締めるようにできている。アマーリエは鼓動を逸らせて、フリードリッヒがコルセットの結び目を解く手を見つめていた。
 コルセットが外されると、コルセットの下は丈の短いシュミーズが現れる。シュミーズには前開きになるようにボタンがつけられている。胸当てはレースが施されていて、胸の下はボタンもなく布が僅かに重ねられただけ。つまり胸のボタンさえ外せば胸が丸見えになる。さっと着替えができるようにこの形になっていた。胴部分は飾り気はないが、胸元のレースは個人の好みで何パターンもつくって持っておくのが女性騎士たちの数少ない普段のお洒落だった。

(もっと可愛い下着に着替えておけばよかった)

 こんなことになるとは思ってもみなかったので、何も考えずに一番手前にしまってあったシュミーズをつけていた。
 熱い眼差しでアマーリエを見下ろしていたが、フリードリッヒは食いつくようにアマーリエに口づけ、勢いのままベッドへと押し倒す。

「ん……んぅ……んっ」

 貪るように舌を絡められ、アマーリエは行き場のないむずむずとした感覚に身悶えていた。
 今度はゆっくりと舌を絡められる。じっくりと味わうように絡めながら、フリードリッヒも上着とシャツを脱ぐ。
 フリードリッヒはアマーリエの首筋から鎖骨を食むように口付けた。ちゅっと吸い上げる感触はくすぐったい様な感触で、自然と漏れる吐息が熱く湿った。
 胸をシュミーズ越しに揉まれる。探るように何度も撫でるように触れられた。
 ボタンを外して合わせを開かれると、今度こそ乳房がフリードリッヒの視線に晒された。沸き起こる羞恥にアマーリエはフリードリッヒを見上げていられなくて、目をきつく閉じて顔を背けた。
 乳房が膨らみ始めて以降、アンナか先輩お姉さまと風呂に入った時くらいしか他人の前に晒したことはなかった。異性――しかも好きな相手の視線に晒されて、アマーリエは身の置き場がないような羞恥に苛まれた。
 フリードリッヒの手がアマーリエの乳房を下側から持ち上げるように触れ、優しく揉みしだく。

「……ぁ……」

 鎖骨や乳房の間に唇を這わせ、時折肌を吸い上げるように口付ける。

「……ぁっ、ぁん……」

 胸の頂の淡く染まった先を指で擦られ、アマーリエは甘やいだ声をあげて身を捩った。自分の声とは思えない甘やかな声にアマーリエは戸惑いを覚えたが、浸る合間もなくフリードリッヒは両方の頂を指で擦ったり、親指と人差し指で挟んで転がしたりつまんだりと自在に感触を楽しむようにいじっていく。

「ぁっ……ぁ、だん、ちょっ……ぁっ……」

 弄られるうちに先だけが硬くしこっていっているのを、弄られるフリードリッヒの指の与える感触で知る。

「はっ……ぁっ、っめんなさ……変な声っ出して……」

 どうにも触れられた部分から走るように何かが背筋へと抜けて、身がぴくりと反応する。声を殺しきれない。

(やだ。こんな……はしたない声……)

 フリードリッヒは顔を背けたアマーリエの頬に軽く口付けを落とす。

「謝らなくていい。声を殺さず体の力を抜いたほうがアマーリエも楽だから、そうしなさい」

 慰めるような声に目を開けると、フリードリッヒは口づける。

「君の……感じている声が聴きたい」

 耳元で熱い吐息混じりに囁かれて、アマーリエは背筋をくすぐる淡い感触に吐息をついた。淡々と静かな喋り方は変わらないのに、心なしかいつもより低めの声が熱を帯びて甘やかに聞こえる。囁かれてアマーリエは、頭に靄のかかったようにぼんやりと聞き入ってしまった。

「ぁっ……はぁっ、ぁっ……んっ……」

 乳房の先の薄く色づいた頂を口に含まれ、アマーリエは堪らず嬌声をあげて身を捩った。肌を軽く吸われる感触はくすぐったいような心地よさだというのに、舌を這わされ先を吸われると、耐え切れない快楽に声どころか体の反応すら自制できない。
 声を出しても良いと言われたものの、自分の声とは思えない甘い声音に、アマーリエは戸惑いと恥じらいを隠せないでいた。


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