鬼と猫又のお話

ももちよろづ

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桜愛でる花の山にて①

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~ 摂津国 神崎・遊里 ~



明石「お花見、どすか?」



伊吹「ああ、雛祭りん時の、花咲山でさ。 お前も来いよ。」



明石「鬼さん達の集まりやろ? うち、行ってええのん?」



伊吹「茨木の妹達も、お前に会いたいとさ。」



明石「まぁっ。 ほな、お邪魔しますえ。」




~ 摂津国・茨木の実家 ~



グツ、グツ……


タン、タン、タン……



呉葉「ふん、ふふ~ん♪」



トトト……



紅葉「クン、クン……わぁ、良い匂~い!」



呉葉「あら、姉者。」



紅葉「ねぇねぇ、呉葉、何、作ってるの~?」



呉葉「明日の、お花見に持ってく、お弁当の仕込みを、ね。」



紅葉「一口、味見したげる!」



呉葉「こらっ、姉者! 駄目です! 明日の分が、無くなります!」



紅葉「ちぇ~。 あれ? ご飯の上に、海苔?」



呉葉「乙女の、秘密です」



紅葉「はい、はぁ~い。」



呉葉「うふ……兄者の顔、作っちゃった///

明日は、喜んでくれるかな……?」




~ 大江山・虎熊の家 ~



虎熊「楽しみだなぁ、楽しみだなぁ、楽しみだな~ぁ!

明日の花見は、星熊姐さんに、良い所、見せるんだ~ぁ」



ジュウ……



虎熊「おわっ! 吹き溢れてる!」




~ 京・一条堀川 安倍氏の屋敷 ~



晴明「……良いか、頼光。 今度は、失敗するなよ?」



頼光「わ、我が輩とて、それは分かっておる!」



晴明「よぉーし、言うたな? じゃあ、戦法を復唱してみろ。」



頼光「え、えぇと……

明日、花咲山で……

……

…………

………………

……………………あっ、あれっ? どうするのだったか?」



晴明「…………。」

(駄目だ、この侍……早く何とかしないと……。)



ピョコン⤴



怒「晴明様ぁ、矢っ張り、頼光一人じゃ、無理ですよぉー!」



ピョコン⤴



笑「あはははっ、弱そうですしねっ♪」



ピョコン⤴



泣「二人共、本当の事だけど、そこ迄はっきり言ったら、可哀想よ」



頼光「ファッ!?

かっ、紙が! ヒトカタが、喋ったァ!」



晴明「怒、笑、泣。 私の、式神達だ。

身の回りの世話を、させている。」



三枚「「「晴明様ぁ~っ!」」」



頼光「そ、そうか……び、びっくりしたわい……」

(しかし、全員、女子とは……

好色な、晴明殿らしいなぁ……)



晴明「……(イラッ) 頼光。 顔に、凶相が出ておるな。

水難火難女難に加え、五臓六腑に障りも見えるぞ。

お主、この儘行くと、来月辺りに……」



頼光「ひぃっ、そ、それ以上、言うな!

み、源 頼光、いざ、尋常に、鬼退治に、行って参る!」
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