今日から、契約家族はじめます

浅名ゆうな

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2巻

2-1

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   クリスマスディナーとプロローグ


 オニオングラタンスープに、サラダチキンとパプリカのグリル。生ハムとレタスのペペロンチーノは、食感を残すためレタスにさっと火を通すことを心がけた。
 そしてなんと言っても、メインは大きなローストビーフ。

「おぉ! テレビで見るやつみたいだ!」
「今日は特別に一センチの厚切りにしちゃうよ。クリスマスだし、奮発していいお肉にしたんだ。おいしくできてればすごく柔らかいはず」
「絶対おいしいって、断面めっちゃ綺麗だもん!」

 興奮ぎみのひいらぎは、瞳をキラキラさせて喜んでいる。
 早く食べさせてあげたいけれど、もう少しだけ我慢だ。

「……すごい。冷凍庫に、綺麗なシャーベットができてる」
「カシスとミントリキュールで作ったんだよ」
「赤紫とミントグリーン、クリスマスカラーだね」

 あかね譲葉ゆずりはも楽しそうだし、面倒がっていたかえでも結局リビングでくつろいでいる。
 けれど、今日だけは仕事を早く終わらせると、子ども達とクリスマスを過ごすと宣言した彼がまだ帰ってきていない。
 ローストビーフにかける飴色あめいろ玉ねぎとしょうゆのソースを心持ちゆっくり作っていると、せわしなくドアを開ける音が聞こえてきた。

「ただいまっ! ごめんね、遅くなった!」

 少し髪を乱して駆け込んできた夫――雪人ゆきひとに、ひなこは満面の笑みを浮かべた。

「おかえりなさい、雪人さん、メリークリスマス」


 にぎやかな夕食が終わると、静寂がやって来る。
 ずっと楽しみにしていたクリスマスが終わってしまう。あと片付けをしながら、ひなこは少し寂しい気持ちになっていた。
 き出し窓の向こうに雪人の後ろ姿を見つけたのは、食器を全て洗い終えて部屋に戻ろうという時だった。庭にあるアウトドアチェアに座り、星空を眺めている。
 引き戸を開けて近付くと、彼はゆったりと振り返った。

「あれ、ひなこさん。寒くない?」
「それを言うなら雪人さんの方です」

 念のために持ってきた膝かけを差し出しながら、ひなこは隣の椅子に腰を下ろす。

「寝ちゃったら凍死するかもって、心配で声をかけに来ました」
「酔いざましをしていたんだよ。久しぶりにワインを飲んだからね」

 雪人はしたたかに酔っているのか、ひどく無防備な笑みを浮かべた。

「こんなににぎやかなクリスマスは、初めてかもしれない。ひなこさん、今日は本当にありがとう。あんなにたくさん手の込んだ料理を作ってくれて、なにか素晴らしい贈りものをしたい気分だよ」
「プレゼントはもう結構です」

 食事を終えたところで、ひなこは既にプレゼントをもらっていた。
 純白の総レースワンピースは、以前に彼が贈るとうそぶいていたものだ。
 あれは一方的な宣言であって決して約束ではないのだが、遠慮しようにも事情を知らない柊や茜の手前断りきれなかった。楓と譲葉は、ものすごく冷たい眼差しを父親に送っていたが。

「お仕事、早上がりなんて無理したんじゃないですか? 子ども達のためとはいえ、倒れたら元も子もないですよ」

 師走しわすということもあり、最近の雪人は特に忙しそうだ。
 正直、『やっぱり帰れない』というメールがいつ届くかとひやひやしていた。

「問題ないよ。部下と一緒にきっちり片付けてきたから」

 彼は清々すがすがしい笑顔を見せる。

「ひなこさんがクリスマスのために腕をふるってくれると聞けば、早く帰りたくもなるよ。それにどれほど忙しくたって顔に出さないのは、上に立つ者の資質の一つかもね。こんなのは年中行事みたいなものだよ」

 雪人が家で仕事の話をするのは珍しかった。それに、饒舌じょうぜつだ。
 約束を守れず残業になったとしたって、元気でいてくれるならそれだけでいい。雪人の場合、疲れを見せずいつも穏やかに微笑んでいるから心配になるのだ。

「……どうかした?」

 体調を気遣う視線が物言いたげに見えたらしい。雪人が不思議そうに首を傾げる。
 ひなこは、眉尻を下げて目を伏せた。

「でも、家にいる時くらい、もっとくつろいでいてほしいです。部下の方々の前でないなら、少しくらい弱いところを見せたっていいんじゃないですか?」

 唇をとがらせて見上げると、彼の笑みがなぜか慈愛深いものに変わった。

「――今僕は、滅茶苦茶に抱き締めたい衝動を鋼の理性で抑え込んでいます」
「と、突然なんの説明ですか!?」

 機械のように無機質に説かれた内容は、恐ろしく不穏だ。
 慌てて距離を取れば、雪人は疲れたようにため息をついた。

「あなたは時々、天然で小悪魔だよね。打算がないから始末に負えない」
「そんなこと言うの雪人さんくらいですよ……」

 三嶋みしま家の面々に比べたら、ひなこは素朴すぎる。
 各クラスに一人はいそうなほど平凡な人間は、小悪魔になどなれない。
 雪人はグラスの水を一気にあおると、いつものように笑った。

「あぁ、どうせならクリスマスデートがしたかったな。フォーマルドレスを二人で選んで、素敵なフレンチの店を貸し切ってディナー。締めはやっぱり夜景かな」
「なに夢みたいなことを言ってるんですか。私は見た目が子どもっぽいから、そんな大人のデートにはついていけません」

 どうせならと言いつつ、そのフォーマルドレスやら靴やら小物やらも、クリスマスプレゼントだとされるのだろう。目に見えるようだ。

「大丈夫だよ、大人っぽくメイクとヘアアレンジをしてもらえば。もちろん全て僕がプロデュース。栗原くりはらさんには負けられないからね」
「誰と張り合ってるんですか」

 文化祭で親友の優香ゆうかと話した時も気の合う様子だったが、もしかしたら似た者同士なのかもしれない。

「それに張り合ったところで、デートなんてしませんよ」
「冷たいなぁ。僕達が結婚して初めてのクリスマスなのに」
「契約、が頭に付きますよね」

 ひなこと雪人は、本来は他人だ。
 母が死に、途方に暮れていた時、手を差し伸べてくれたのが彼だった。
 柊の卵アレルギーやひなこの進学問題、様々な事情から契約結婚をしたのは夏の終わり頃のこと。

「連れ子が四人もいるなんて、聞いてませんでしたけどね。今なら分かります。雪人さん、わざと黙ってましたよね?」
「やだな、サプライズだよ」
「そういうサプライズは心臓に悪いからやめてください」

 散々驚かされたり、甘い言葉でからかわれたりもするけれど、あの時の選択を後悔したことはなかった。
 やんちゃなのにどこか繊細な末っ子の柊、物静かで家族をよく見ている次男の茜。欠点なしに見えて意外と弱い部分もある長女の譲葉、ふざけていてもいざという時は頼りになる長男の楓。そして、そんな彼らの成長を穏やかに見守っている雪人。
 それぞれ個性的だけれど、どこまでも温かい家族。
 三嶋家の一員になれて本当によかったと、ひなこは思っている。
 あれからまだほんの数ヶ月しか経っていないのだと思うと、なにやら感慨深いものがあった。母がいなくなってからも、まだ数ヶ月。

「そういえばひなこさんは、あの食事会より以前から楓のことを知っていたの?」

 楓は、ひなこの通う御園学院みそのがくいんの、同じ二年生だ。その中でもかなり注目を集める存在なので、ひなこが知らないはずはなかった。

「もちろん。学院一の有名人ですから」
「えぇと、そういうことじゃなくて。個人的に知り合う機会とか、なかったかな?」
「それは全く。隣のクラスと言っても接点はほぼないんです。ほら、楓君も食事会の時、私が着てる制服で初めて同じ御園の生徒だと気付いたくらいですから」
「そう……」

 思案げな雪人に気付かず、ひなこはとりとめのない話を続ける。

「楓君と言えば、最近変わりましたよね。早く帰って来るようになったし」

 以前はもっと軽薄に振る舞って見せていたけれど、この頃やけに難しい顔をするようになった。彼の周囲を取り巻いていた女生徒達にも、謝罪の上今後は付き合いをやめると誠実に話して回っているらしい。
 ひなこに対してもむやみに触れなくなったし、からかうような発言もなくなった。心をき乱されないことに安堵するべきなのだろうが、なぜか不安が増している。
 最近ふと気が付くと、楓にじっと見つめられている時があった。いつもの軽い雰囲気はなく、ただ静かに、真剣に。
 その瞳に宿るなにかが、ひなこを不安にさせているのかもしれない。

「まぁ楓君の場合、元から優しかったですもんね」

 無理やり自身を納得させていると、雪人が涼やかな目を細めた。

「……そう、いい子なんだよ。親の再婚話を、内心はどうあれ肯定的に受け入れてくれた。他人事ひとごとのような態度も、大人になりきれない彼の精一杯の祝福だったんだ」
「雪人さん?」

 独り言だろうか、彼は端整な横顔を向けたままだ。暗闇にぼんやりと浮かぶ笑みに苦いものが混じる。
 ふと、雪人が振り向いた。 
 瞳の奥に知らない感情の片鱗へんりんを見た気がして、胸がかすかにざわめく。
 次の瞬間、突然動いた雪人の腕に、ひなこは包み込まれていた。

「――もし僕がひなこさんと同い年だったら、こんなに迷わなかったのかな。なにも考えないでいいなら……」

 耳元で響く低音の優しい声が、わずかに髪を揺らす。息づかいや広くて温かい胸に否応いやおうもなく動揺してしまう。

「ちょ、雪人さん、酔いすぎですよ!」
「うーん、幸せ……」
「ひぃっ、変質者!」

 肩を強ばらせると、彼はクスクスと笑いながら体を離した。
 それでも体温が伝わるほど距離は近く、雪人の瞳にひなこが映っていることまで手に取るように分かる。
 なのに彼が浮かべているのは、内心を悟らせない完璧な笑み。まるで、しっかりと線引きをして遠ざけるような。
 胸がすうっと冷たくなった。

「ごめんね。ちょっと病気が出ちゃった。ひなこさんが側にいないと死んでしまう、恐ろしい病なんだ」

 なぜ笑っているのに、悲しそうなのか。
 おどけて見せる雪人に聞くことなどできなかった。
 彼が笑顔の裏でなにを思っているのか、知ろうとするなんておこがましい。そう自分に言い訳をしながら目をらす。

「……そんな病気があるわけないし、絶対からかってますよね?」

 雪人の軽口に乗ってみせれば、彼はさらに畳みかけた。

「本当だよ。その代わり、ずっと側にいなきゃ駄目なんだ。あと手も繋いでないと」
「もう、雪人さん!」

 ひなこが怒ると、雪人は声を上げて笑った。

「体が冷え切ってしまう前に、行こうか」

 張り付けたようないつも通りの笑みで、彼は立ち上がる。
 このまま別れてはいけない。
 そんな予感がせり上がって来るけれど、引き留める言葉が思い浮かばない。
 焦りから彷徨さまよわせていた視線に、ふと白いものがちらついた。いつの間にか雪が降り始めていたのだ。

「うわぁ……」

 闇を包み込むように、雪片せっぺんが空を踊っている。
 見慣れた街並みを非日常へと塗り変えていく、幻想的な光景。
 ひなこは先ほどまでの焦燥を束の間忘れた。

「予報通り、ですね。大きい寒波が来るってニュースでやってました。この辺でも、五センチくらい積もるって。明日は雪を見ながら温かい鍋を食べましょうか」

 空を見上げながらはしゃいでいると、隣で激しく噴き出す音がした。

「……どこに笑う要素がありました?」

 半眼になって見つめる先で、雪人がお腹を抱えて笑いをこらえている。というか、こらえきれていないから涙までにじんでいる。

「だって……せっかくのホワイトクリスマスなのに、あなたときたらロマンチックとはほど遠いことを言うから……」
「私にロマンを求めないでください」

 親友には、ほぼ食のことしか考えていないと揶揄やゆされるのだ。幻の食材や珍味以外をロマンと結び付けることなどできない。
 うらめしげに睨みながらも、内心ではホッとしていた。
 どこか張り詰めていた空気が和らぎ、雪人も嬉しそうに雪を眺めている。

「僕が生まれた日も、春なのにひどく雪が降ったらしいよ」
「それで『雪人』、ですか」
「珍しいからって母が面白がってね」
「面白いお母さんですね」

 彼の両親とは、まだ一度も会ったことがない。
 詳細は明かさず、ただ知り合いの娘をハウスキーパーとして雇ったとだけ伝えたらしいが、そんな嘘が通じるのも夫婦そろって海外に住んでいるからだ。

「確か、タイに住んでるんですよね?」
「うん。気候とか人柄が合うみたいで。タイのコンドミニアムを買って、さっさと隠居してしまったんだよ」
「コンドミニアムなんて、テレビ以外で初めて聞きました……」

 違う世界の話を聞かされている気分になるのは、これで何度目だろうか。
 別次元すぎると遠い目にならずにいられない。
 雪人が、いたずらっぽい笑顔でひなこを覗き込む。一番大好きな、あどけない笑みだ。

「いつか、僕らの方から会いに行く? もちろんひなこさんは僕のお嫁さんとして」
「雪人さん!」

 とがめながらも一緒になって笑ってしまう。
 楽しい気分を取り戻し、聖なる夜は更けていった。



   第一話 成長とおせち料理


 一月一日。元日。
 三嶋家の面々は、正座で朝を迎えていた。

「明けましておめでとうございます」
「明けましておめでとう。今年もよろしくお願いします」

 一家の主である雪人に深々と頭を下げると、彼も言葉を返す。この家では毎年行われているらしいが、新鮮だ。
 有賀あるが家の年始めはダラダラとしたもので、ひなこと母は年越しで夜更かしをするため、一月一日は遅く起き出していた。
 一年の始まりは家によってこうも違うのだと実感する。改まったやり取りに身が引き締まる思いだ。
 挨拶を終えると、兄弟達は各々のやりたいことのために散会していった。柊と楓はソファに座り正月番組を見始めていて、茜は通常運転で読書を再開している。譲葉は欠伸あくびをしながら目を閉じているので、おそらく二度寝をするつもりだろう。
 雪人は自由な我が子らに苦笑をこぼしつつ、ひなこに向き直った。

「ごめんね、付き合わせてしまって」
「いいえ。とても大切なことだと思います」
「だけど、おせちを作っている途中だったでしょう?」

 彼はやや眉尻を下げ、朝早くから作業をしていたひなこに気遣いを見せた。

「大丈夫ですよ。昨日までに具材はほとんど作り終わっていて、あとはお重に詰めていくだけですから」

 雪人は噛み締めるように破顔はがんした。

「手作りおせちなんて初めてだから、実はすごく楽しみなんだ」
「う。そんなに期待されると……。最近よく見る何万もするような豪華おせちとは、比べものになりませんよ?」
「ひなこさんの手作りの方が、売りものよりずっと価値があるよ」

 ニコニコと嬉しそうに雪人が笑うため、喜んでもらおうと気合いも入る。恥ずかしい台詞せりふは意識したら負けだ。

「では、早速頑張ってきますね」

 キッチンに戻ると、ひなこはおせち作りを再開した。
 鮮やかな黄色の栗きんとん、紅白なます、昆布巻き、お煮しめ。田作りなどの定番から、ローストビーフなど流行のおせちにならった具材も入っている。昔ながらのおせちだと渋すぎて子ども受けがよくないと思い、試行錯誤した結果だ。
 彩りやバランスを考えつつ、丁寧に。ようやく全てをお重に詰め終わり、完成したおせちを眺めて達成感に浸る。すると、横から何者かが手を伸ばした。

「あっ」

 素早く昆布巻きをかすめ取ったのは雪人だった。彼がつまみ食いなんて珍しい。

「雪人さん、お行儀悪いですよ」
「ごめん。楽しみすぎて、どうしても我慢ができなかった」
「もう。……それで、どうですか? おいしいかちょっと心配なんです」

 味見をしてもらったのだと思い直すことにして、感想をたずねる。口をもぐもぐ動かしていた雪人が、意外そうに目を見開いた。

「――おいしい。おせちの昆布巻きって味が濃すぎて少し苦手だったけど、こんなにおいしいんだね」
「元々保存がくように、おせちの具材って味を濃いめにしてあるんですよね。でもお家で作って食べる分には、好みの味付けでいいかなって」
「うん。僕もこの方が好きだな」

 二人でほのぼの笑い合っていると、ひなこはハッと我に返った。
 キッチンで旦那様に味見をしてもらう。これは、雪人が喜びそうな格好のネタだ。
 嬉々ききとしてからかう彼の姿が瞬時に想像できてしまい距離を取ろうと試みるも、肩をつかんではばまれた。目の前には雪人の、非常にいい笑顔。

「今、なにを考えていたの?」
「え、べ、別に」
「じゃあどうして逃げるのかな?」

 ウッと答えに詰まったところで、雪人の顔がさらに近付く。かなりの至近距離に、頬がじわじわと熱くなる。

「あ、赤くなった。可愛い」
「なっ、まじまじ観察しないでください、雪人さん!」
「ひなこさんがなにを考えていたのか当てようか? 妻の手料理を味見なんて、熱々の新婚夫婦そのもののシチュエーション――あ、もっと赤くなったね。可愛い」

 吐息が頬をくすぐるから赤くなってしまうのだ、とは言えない。言ったところで、さらにからかわれるのは目に見えていた。
 なのでひなこは勇気を振り絞り、決然と雪人を見つめ返す。

「私だって学習するんです! 雪人さんが考えそうなことくらい、もう分かります! からかわれないために――」
「うんうん、以心伝心だね。こうして夫婦の仲は深まっていくんだね」
「雪人さん!」

 クリスマス以来、彼にどんな心境の変化があったのか、以前にも増して甘くなった気がするのは勘違いではないと思う。ことあるごとに可愛いやら新婚やらとからかわれ、ひなこは赤くなったり青くなったり大忙しだ。
 困り果てていると突然腕を引かれ、背中が誰かにぶつかった。
 目を白黒させながら見上げると、厳しい顔をした楓がいた。

「やめろよ、困ってるだろ」
「困ってる顔がまたいいんじゃないか」
「確かに。って、そーじゃなくて」

 あっさり父親の話術にはまってしまった楓の頭を、譲葉がぺしりと叩いた。

「新年早々馬鹿やってないの。ひなちゃんごめんね、困ったセクハラ男共が」
「いってーな」
「文句なんて言えるのかな? ミイラ取りがミイラになるところだったくせに」

 それ以上反論しない楓は、どうやら自覚があるらしい。


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