今日から、契約家族はじめます

浅名ゆうな

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2巻

2-2

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 色々言い合いながらも、みんなで仲良くテーブルを囲む。
 おせちだけでなくたいの塩焼きや、テリーヌなどのオードブルも並んでいる。華やかに彩られたテーブルに、柊が目を輝かせた。

「スゲー! 全部ひなこが作ったのか!?」
「テリーヌはさすがに買ったやつだよ? 生ハムも残念ながら作れないし」
「生ハムまで作ろうとしてたら、さすがに止めるわ」
「でも本気でやりかねないのが、ひなこさんなんだよね……」

 遠い目になる楓と雪人に首を傾げる。

「二人共、なにを心配してるんですか。生ハムは塩漬けや塩抜きの大変さもさることながら、温度と湿度を徹底的に管理しなければいけないんですよ? 日本では本場の気候と乾燥を再現するのはなかなか難しいと言われてますし、本格的なものは私には作れません。おうちで簡単に再現するレシピもあるらしいですけどね」
「しっかりチェックしてるじゃねぇか……」

 キッパリ否定したにもかかわらず、三嶋家全員がひなこから目をらした。なぜだ。

「あんたは将来、食関係の仕事に就いてそうだよな」
「よく分かったね。実は、栄養士とか興味あるんだ」
「いやマジで誰にでも分かるから」

 これにも全員がうなずいていて、ひなこはやはり釈然しゃくぜんとしない気持ちになった。
 雪人がお猪口ちょこに日本酒を注ぎながら、長男へと視線を向ける。

「楓は、もう進路は決まったの?」

 痛いところを突かれたとばかり、楓が苦々しい表情になる。
 ひなこ達も来年度には受験生だ。

「あー……。まだ決めてないけど、一応進学しようとは思ってる」

 詰まりながらも正直に返答する楓に、雪人は優しく目を細めた。

「ゆっくり考えなさい。焦って決めることじゃないからね」
「分かってるよ」

 父親が頭を乱暴に撫でれば、息子は顔をしかめて拒否する。
 楓と譲葉と茜は雪人の前妻の連れ子で、血の繋がりはない。それでも、彼らの気安さは家族の距離感だ。
 にぎやかに食事をしていると、雪人が思い出したように手を叩いた。

「そうだ、お年玉を忘れていたよ」

 食事中にごめんねと謝りながら、ポチ袋をそれぞれに渡していく。早い時間だがお酒を飲み始めていたので、忘れてしまわないように、とのことだ。
 ポチ袋がひなこにも手渡された時、さすがに狼狽うろたえた。

「い、いただけません! クリスマスにもプレゼントをもらったのに……」

 当日のメニューに気を取られていたため、ひなこがクリスマスプレゼントに用意したものといえば手作りのジンジャーブレッド。しかも家族全員平等に。
 ただでさえ罪悪感が半端じゃないのに、お年玉なんてとても受け取れない。

「でも、一人だけ渡さないのもどうかと思うんだよね。どうしても嫌ならボーナスだと思ってくれていいから。ボーナスとしては、かなり少額になってしまうけれど」

 柊や茜に聞こえないように小声でささやかれ、ポチ袋を押し付けられる。あまり長々と押し問答を続けていたら、彼らに不審に思われるかもしれない。
 結局手元に残ったポチ袋を見つめ、ひなこは誓った。
 ――よし。こつこつ貯めてたお金で、雪人さんにプレゼントを買おう。ちゃんとした大人のブランドの、高いやつ。
 彼自身から支払われているお給料でというのが微妙なところだが、一応真面目に働いて貯めたお金だ。それ以外の適した金銭は持ち合わせていない。
 密かに決意する隣で、柊がテーブルの上のごちそうにどんどん手を伸ばしている。それを見て、ひなこは違和感を覚えた。

「あれ? もしかして柊君、身長伸びた?」

 今までは広いテーブルの端まで手が届かず、ひなこがおかずをよそってあげることが多々あった。けれど今の柊は、すんなりはしを伸ばしている。
 彼は食器を置くと、得意げな顔でひなこを見上げた。

「分かるか!? このペースなら次に測る時には、百三十センチ超えてると思うぞ! 身体測定楽しみなんだ!」

 柊くらいの年齢の平均身長は知らないが、かなり大きい方じゃないだろうか。聞けばクラスで三番目に背が高いという。

「すごいねぇ。柊君は早生まれだから、なおさらすごいよ」
「早く大きくなりたいからな! ひなこを追い抜くのがオレの目標だ!」

 ひなこは百五十センチとやや小柄なので、この調子だと三、四年もすれば確実に追い抜かれるだろう。

「それだと、すぐに目標を達成しちゃうんじゃない? どうせなら雪人さんを目標にすればいいのに」

 一般的にも高身長の雪人の方が目標に相応ふさわしいだろうと思ったのだが、柊はあっさりと首を横に振った。

「いいの。ひなこがいいんだ」
「そうなの?」
「ハハ。ひなこはまだ分からなくていいよ。でも――その時は覚悟しろよ?」
「うん?」

 不敵に微笑む柊の目がやけに挑戦的で、ひなこは首を傾げた。周りを見ると、なぜか雪人と楓が苦い顔をしている。譲葉は目に見えて呆れていた。
 茜だけがぼんやりとうつむいていて、ひなこはそれがひどく気にかかった。


初詣はつもうで行こうよ☆』

 優香からそんなメッセージが届いたのは、もう正午に差しかかろうという頃。
 早い時間からずっと飲み食いしていた三嶋家の面々は、未だにのんびりとテーブルを囲んでいた。
 携帯ゲーム機で遊んだりテレビを見たり、していることは様々だが、時折思い出したようにおせちに手を付けている。
 そんな中、ひなこはすぐにメッセージに気付いた。『行きたい!』と返信をする。
 ちなみにこの通知、御園学院の友人である外崎とのさきあおいも同時に受け取っている。
 三人で作るSNSのグループトークに、メッセージが入っていたからだ。このグループは優香によって『チーム・ミスコン』と命名されている。
 とにかく、葵からも『OK』の返事が来た。
 近所で一番大きな神社に行くことが決まり、使った食器を片付けていると、再びスマートフォンから電子音が響いた。

『でも女三人だとナンパうざそう』
『ひなこ、番犬代わりに三嶋楓も招集してよ』

 葵はれっきとした男だが、女三人という言い方はある意味正しい。
 彼は普段女の子の格好をすることが多く、それが正真正銘の女であるひなこより数段美しく仕上がっているのだ。見目麗しい優香と葵がそろえば、ナンパとてされるだろう。
 しかし、対策として優香が選んだ方法には困惑した。
 文化祭以来、勝手に気まずさを感じていた楓と、ようやく普通に話せるようになってきたところだ。二人きりでないとはいえ、いきなり一緒にお出かけとはなかなか難易度が高い。
 かといって声をかける男友達のあてはなく、ひなこは腹をくくるしかなかった。

「楓君。このあと、予定ある?」

 正面に座る楓と目が合って勇気がしぼんだけれど、気を取り直す。

「優香と葵君と、初詣はつもうでに行こうって話になってるんだけど、楓君もどうかなって」
「行く」

 予定があるなら、むしろなくても。
 気が進まないなら断って構わないと続けようとしたのだが、彼は即座に答えた。ひなこの方が戸惑うほど迷いのない返答だ。

「本当に? 嬉しいけど、きっとすごく混んでるよ?」
「だからこそだろ。女三人みたいなもんだし、一人くらい男がいた方がいいだろ」

 どうやら彼も、親友と似たような心配をしているらしい。
 人混みが嫌いなはずなのにと、思わず小さく笑みをこぼす。優香達のためでもあるので、ありがたく厚意に甘えることにした。
 すぐに支度をして、雪人達に見送られながら家を出る。
 空は薄曇りで白々とし、冷たい風が吹き過ぎる。吐く息が白く揺らめき、溶けるようにしてき消されていく。
 ひなこはマフラーに顔を埋めながら、ずっと疑問に思っていたことを口にした。

「ねぇ楓君。茜君、ちょっと元気がなかったと思わない?」

 茜は表情が乏しいため分かりづらい部分もあるが、感情がないわけではない。
 いつもは家族が全員そろっている時など、読書をやめて会話を楽しんでいる。そんな彼が会話に加わらなかった先ほどの一幕に、違和感があった。

「あぁ。確かにらしくなかったよな。ちょっと前から悩んでるみたいで、最近はずっとあの調子なんだよ」

 楓があっさりうなずくことに驚きはない。
 年長組はおそらく全員気付いているだろうと、あの時の雰囲気で分かった。

「まぁ、茜自身がなにか言い出さない限り、放っておくつもりだ。あんまり過保護にしても本人のためにならないしな」
「そうだったんだ……。よかった、分かっていて見守ってたんだね。私が口出しする必要なかったな」
「いや。あいつも心配してもらって、嬉しいと思うぞ。……ありがとな」

 話している内に待ち合わせ場所のコンビニに着いた。
 中がなにやらざわめいているので、優香達のどちらかが既に到着しているのかもしれない。美少女との付き合いが長いひなこにとっては、慣れ親しんだざわめきだ。
 店内を見回すとやはり優香がいる。そしてその隣には、驚きの姿があった。

「葵君?」

 緩いパーマのかかったアッシュブラウンの髪に、黒のジャケットと細身のパンツ。葵は、男の格好をしていたのだ。
 優香がこちらに気付いて手を振ったため、ひなこも我に返って歩み寄る。

「ひなこー、ついでに三嶋楓、アケオメ。びっくりしたでしょ? 私も驚いた」
「あけましておめでとう、優香、葵君。驚いたよー、葵君のその格好、久しぶりで新鮮だね。学校ではずっとスカートの制服だったから」

 男の格好をしている彼を見たのは、文化祭のたった一度きりだ。
 葵は新年になっても全く変わらない平坦な口調で答えた。

「あけましておめでとう。校内では女子のつきまといが鬱陶うっとうしいから、女の格好をしている方が楽なんだ。栗原が女三人では大変だと言っていたから、今日は男の格好にすべきと判断した」
「そっか、優香のためにありがとう」
「そうだな。栗原と、お前のためだ」

 楓と葵の存在感が凄まじすぎるため、なかなか近寄りがたいだろう。優香をナンパの魔手から守れるのなら、ひなこも一安心だ。
 コンビニを出て歩き出す。
 ひなこは優香と並んで歩き、後方を楓と葵が行く。彼らは特に親しいわけではないが、男同士という気安さもあって、それなりに会話は弾んでいるようだった。

「悪かったわね。お正月はさすがにバイトもお休みだろうし、三嶋楓と連絡取るの大変だったんじゃない?」
「あ、えっと、大丈夫。ちょうど、おせちを届ける約束になってたから」

 三嶋家に住んでいることを知らない彼女が申し訳なさそうに表情を曇らせたため、ひなこはしどろもどろになりながら言い訳をした。契約結婚のことを話していないので微妙に嘘をつかなくてはならない。
 いつまでも優香に隠しごとをしているのが、最近は心苦しくなっていた。一つの嘘をついたために、嘘をいくつも上塗りしなければならないことに胸が痛む。

「まぁ結局、三嶋楓を招集する必要はなかったみたいだけど。外崎があんな気遣いを見せるなんて意外だったわよね」
「でも優香、葵君のこと結構好きだよね。他の男子と違って本音で話してるし」

 それはSNSのIDを交換したことからも、こうして初詣はつもうでに誘っていることからも分かる。けれど彼女は緩く首を振った。

「嫌いじゃないのは楽だからよ。私が話しかけても、変な期待をしないから」
「それは『本音で話せる』とは違うの?」
「別に私は、他の男子の前でも本音を隠してないでしょ? まぁ、外崎と同じ天然組のあんたには分かりづらいかもね」

 馬鹿にされている気がしたが、ひなこは口をとがらせるだけで反論しなかった。
 優香が誰の前でも取り繕わないのは事実だし、そうなるとやっぱり意味が分からないためだ。なにを返しても天然という発言を肯定することになりかねない。
 ひなこは話題を変える意味も込めて、先ほどから気になっていることを口にした。

「ところで優香、私達もしかして、やたら人目を引いてる?」

 優香はあっさり首肯する。

「そりゃこうなるでしょ。私と外崎と三嶋楓がそろってるし」
「だよね……面子めんつを聞いてこの可能性に思い至らなかった自分に驚くよ」

 美形が集まっているため、ありとあらゆる人の視線を集める団体となっている。
 三嶋家での名古屋旅行が思い出されて、ひなこは遠い目になった。
 突き刺さる視線に正面から立ち向かう勇気はない。消極的打開策として、背後の二人とやや距離を取る。
 しばらくして、日当たりの悪い通りに差しかかった。
 ひなこと優香は息を呑む。クリスマスに積もった雪が歩道に残り、すっかり凍っていたのだ。

「昨日またうっすら降ったから、見た目にはただ雪が積もってるだけみたいだね」
「上に雪が積もってる方が、より滑りやすいのよね。転べと言わんばかりで、もはや罠にしか思えないんだけど」

 優香はサイドゴアブーツ、ひなこはムートンブーツを履いていて、互いに靴底の滑り止めはない。優香にいたっては五センチのヒールまであるため、完全に転ぶフラグが立っていた。
 歩幅は自然と小刻みになり、足の裏に思いきり力が入る。
 集中のためしばらく無言だった二人だが、雪が降り始めたことに気付いた。

「あ、雪だ」
「このくらいなら傘を買うほどでもないかな」

 少しずつ降る量が増えてきて、風にさらわれながら白く輝いている。
 灰色の空を見上げると、雪片せっぺんが頬に落ちた。渦を巻くように地上に舞い降りる白い粒を眺めていると吸い込まれそうだ。
 ついクリスマスに降った雪と重ねていたら、雪人に抱き締められた感触や匂いまでよみがえってしまう。
 ――なにを思い出して……これじゃあ私の方が変態みたい……!
 ひなこは動揺から、足元が完全におろそかになっていた。

「ひゃっ……」

 かかとがつるりと滑り、全身が浮遊感に包まれる。
 派手な転倒の予感に思わず目をつむるも、恐れていた衝撃はやって来ない。後ろから支える力強い腕があったからだ。

「気を付けろよ」
「こうなるだろうと思っていたぞ」
「……楓君、葵君」

 激しく鼓動する心臓を押さえながら振り返る。背中に触れる二つの手に、彼らが助けてくれたのだと分かった。
 二人とはわりと離れていたのに、いつの間に、と思う。そもそも意図的に距離を取っていながら助けられるのは、なんとも不甲斐ない気分だった。

「あ、ありがとう」

 色々と恥ずかしくなりながらもお礼を言うと、隣で優香がニヤニヤと笑った。

「すごーい。やるじゃん。ずっと見てないと咄嗟とっさにその動きは無理じゃなーい?」
「そんなこと、ねーだろ」

 優香の言葉に、楓が慌てて視線をらす。

「いやいや。これが私だったら、絶対転んでたわー。誰も助けてくれなかったわー」

 なにやら大げさに嘆いてみせる優香に、葵が真顔で首をひねった。

「栗原でも助けるぞ? 当然だろう?」

 当たり前のように返され、彼女は珍しくひるむ。
 楓と毒舌合戦をしている時には見られない、照れくさそうな表情だ。

「くぅ、本当にやりづらいな天然。……でもありがと」

 その後は男性陣に心配だからと張り付かれ、情けないやら周囲の視線が痛いやらでひなこは自然と無口になった。隣で優香もばつが悪そうだった。
 目的の神社は地元で一番有名なだけあり、想像通り参拝客でにぎわっていた。
 満員電車ほどではないが、真っ直ぐ歩けない程度には混んでいる。ひなこ達が賽銭さいせん箱にたどり着くまでゆうに三十分はかかった。
 並んで頭を下げ、賽銭さいせんを入れる。
 手を合わせ心の中で、来年度の受験に向け全力を尽くすと神様に宣言した。
 願いごとではなく、あくまで目標だ。志望校合格は自らの力で叶えるべきなのであえて祈願はしない。

「さぁ、恒例行事のおみくじでもやりますか」
「恒例行事かよ」
「どうせあんた達みんな、学業成就なんて祈ってないんでしょ? 運勢くらい見ときたいじゃない」

 言い出した優香が率先してくじを引いたので、流れで全員が引いていく。
 大吉を引き当てたのは葵だった。

「『万難排する努力おこたらなければ吉』。それが簡単にできるなら運もいいだろうな」
「おみくじって、案外大吉でも辛口だったりするよね」

 いい結果でも油断してはならないという、警告なのだろう。顔をしかめて皮肉る葵に、ひなこは苦笑を返した。
 優香が彼の引いたくじを、面白そうに覗き込む。

「恋愛運は……『会うにつれ想いは深まり 全ては幸せな将来がある』か。うーん、意味深な結果ね」
「恋愛など僕に最も縁遠いものだ」
「って言えちゃうところが天然なのよねー。で、ひなこはどうだった?」

 ひなこは自分のくじを優香に向けた。

「私は吉。『何事も今は変化にとむとき どのように身を処するか目標をもう一度心の中で強く確認すること』だって」

 来年度は三年生になる。周囲も気合いを入れ直し勉強一色になるだろうことから、このくじの結果は妥当と言えた。

「恋愛運は?」
「『良縁に恵まれる』って」
「ほほー」
「あと『お見合いは成功する』って」
「そこはスルーで」

 肩をすくめた優香は、続いて楓を見た。

「あんたは?」
「俺も吉だ。『万事細やかに気を付け 一度思い定めたらわき目もふらず一心に成すこと』だと」
「そりゃまた意味深ねぇ。ちなみに恋愛運は?」
「……『努力すべし』」

 優香の笑みが生温いものに変わった。
 気付いているだろうに、楓はかたくなに彼女を見ようとしない。その横顔はどこか不機嫌そうだ。

「そういうあんたはどうなんだよ?」
「私? 末吉」
「一番悪いじゃねーか!」
「でも三嶋楓よりマシなこと書かれてるもん。『惜しみなく人をいつくしみ世のために尽くせば いよいよ他所が嵐でも自分のところに何事もなく幸多し』。ね? わりといい感じの内容でしょ」
「栗原にいつくしみ、か」
「他所が嵐でも自分は幸せってとこが、らしいっつーか」
「そもそも他所の嵐の原因、優香っぽいよね」

 三人でぽそぽそ言い合う声は、はっきり本人に届いていた。

「あんたら、やけに含みのある言い方じゃない? 人のことなんだと思ってんのよ」

 ギロリと睨まれ、ひなこ達は正直に答える。

「変わり者」
「悪魔」
「タスマニアデビルとか、そんな感じかな」
「外崎に変わり者なんて、絶対言われたくない! てゆーかひなこ、どうして私がタスマニアデビルなのよ!?」

 タスマニアデビルとは、タスマニア島に生息している固有種だ。
 見た目の可愛さに反し狂暴な肉食系で、そんなところもどこか親友に似ている気がする。なのでつい贔屓ひいきで見てしまうのだろう。

「変かもしれないけど、タスマニアデビルが私の一番好きな動物なんだ」
「そ、そうなの? 好きなら……まぁいいわ」


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