【完結】売れっ子アイドル、転生したら嫌われ子豚だった!~アイドル魂で子豚人生満喫中です~

赤井たまご

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第1章・アイドルへの道

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「ビ…ビクトリア騎士団長…?」

ウィズダムが紹介したい人とは、図書館でレオン変態からフルールを助けてくれた

王立騎士団団長、ビクトリア・グラディウスだった。

相変わらずいい身体をしており、色気が駄々もれ。ビクトリアの近くにいる侍女が、顔を紅潮させながら微かに震えている。

フルール自身も「モテるんだろうな…」と、思わず見惚れてしまう。

「おや?…既にお知り合いでしたか?」

「え!?あ、うん…まぁ…」

ウィズダムの問いにフルールは曖昧に答え、顔をひきつらせた。

「…(レオン変態から、助けてくれて感謝してるけど…あの時の事は、あまり思い出したくないんだよね…いろいろと…)」


「んふっ。そんな悲しい事を言わないでください」
「私にとって、王妃様との出会いは宝物ですよ」

「ぷぎぃいいいいいいい!!!!!」

フルールが物思いにふけていると、突然、低く色気のある声がフルールの耳をくすぐった。

驚きのあまり、フルールは豚語で悲鳴をあげてしまう。

顔を見なくとも誰なのか分かってしまったフルールは、バッと勢いよく後ろを振り返り、キィッ!と、相手を睨んだ。

「だから!「僕の影」を入り口にしないで!ちゃんと扉から入って来て!」
「次もやったら「お仕置き」するよ」

「レオン!」

声の正体はレオンであり、再びフルールの影からヌルッと、現れたのだった。

「んふふふっ…んふっ。王妃様からのお仕置き…」
「想像するだけで……興奮してしまいます!!」

「是非、その白くて細いお足で踏みつけてくださいませ!私の肉ぼ…「騎士団長、今すぐこの変態を摘まみ出しなさい」「承知いたしました」…」

ビクトリアは、ギラギラした目で鼻息荒くするレオンの首根っこを掴み、ポイッと、軽々と外に放り投げた。

しかし
数分もせず、フルールの影から再び現れたレオン。

フルールは再度悲鳴をあげるも、ウィズダムとビクトリアはこうなると分かっていたのか、眉一つ動かなかった。

「分かってたなら、言ってよ!!」

二人は何一つ悪くないのだが、いろいろ通り越したフルールは、何故か二人にあたるのだった…。

***

「ゴホン…、改めまして」
「私の業務中は、このビクトリアが王妃様と行動を共にします」

「よろしくお願い致します、王妃様」

「うん、よろしくね。ビクトリア」

「トリィーとお呼びください、王妃様」

「…うん、わかった」

「(何で皆、愛称で呼ばせたがるんだろう?)」と、フルールが疑問に思っていると

「たかが騎士のくせに、愛称で呼んで貰おうだなんて…さては…」
「王妃様の可憐な声を、夜な夜なのおかずに…もがッ!」

然も同然のようにフルールの隣に座り、紅茶を啜っていたレオン。

終始、変態発言を続けるレオンの口の中に、フルールはフィナンシェを押し込んでやった。

「もぐもぐ…ゴクンッ…王妃様!」
「私には愛称がないので…王妃様が決めて、呼んでください!」

変態レオンくんは何処へやら、レオンはキラキラと瞳を輝かせ、少年の様なあどけない顔でフルールにお願いをする。

「えぇー…うーん…じゃあ、レオ!」

「はい!!」

特に深く考えず、ただ言いやすいと適当に付けた愛称だったが、レオンがあまりにも嬉しそうだった為、フルールは少し後悔した。


「……(「あの」魔法省大臣を、ここまで手懐けるとは…本当に面白い方だ)」

「……(王妃様…本当に絶世の美少年だな…。同じ獣人とは思えねぇな)」

フルールとレオンのやり取りを、テーブル越しから見つめるウィズダムとビクトリア。

ウィズダムは更にフルールに興味を持ち、ビクトリアは久しぶりに胸の高鳴りを感じたのだった…。

***
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