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第1章・アイドルへの道
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***
-城下町-
フルールは、ビクトリアとその部下数名を引き連れ、城下町に来ていた。
美味しそうな匂いが鼻を擽り、手の込んだ小間物に触れては、フルールはキラキラと目を輝かせた。
なにより、城下町に住む民は皆、常に笑顔で優しくて、フルールは心がほっこりするのだった。
***
あの後
暫くの間、四人でティータイムを楽しんでいたら、突然「狼の遠吠え」が聞こえてきた。
フルールは何故か、その遠吠えに「怒り」が含まれている様な気がした。
すると「はぁー…、仕方ないですね…」と、ウィズダムはため息をつきながら重い腰を上げる。どうやらこの遠吠えは「ウルティムス」のもので、ウィズダムを呼んでいた。
「では、王妃様。また夕食時に…」
チュッ…と、優しくフルールの手にキスをし、ウィズダムは静かに食堂から出て行ったのだった。
その数分後、レオンにもお迎えがやって来た。
「帰らないぃぃぃぃぃぃ!!!」
「嫌ですぅぅぅ!!王妃様ぁぁぁぁ!!」
子供のように駄々をこねるレオンを、レオンの部下が数人係で運んでいった。
「…あれでも魔法省大臣だもんね…」
「まぁ、忙しいよね」と、遠くから聞こえるレオンの悲痛な叫びを、フルールは華麗にスルーするのだった。
ついさっきまで騒々しかった食堂が、いきなり沈静し、フルールは少しソワソワしてしまう。
すると、ビクトリアに
「王妃様、今日何かご予定はございますか?」
と問われ、フルールは人差し指を頬に当てながら、顔を横に傾け「うーん…」と、悩んだ。
その姿に「……(あざとっ!でも可愛い!///)」と、ビクトリアをはじめ、従者達はその場で悶えた。
本来なら、フルールにも「王妃としての業務」があるはずだが、ウルティムスから一切の業務に関わることを禁止されている。
そこで
「僕、行きたいところがある!」
「(僕が歌えるステージを探しにいこう!)」
フルールは夢を叶えるべく、城下町へ下見に行くことにしたのだった。
***
フルールはフード付きのポンチョを深く被り、城下町を散策していた。
フルールとウルティムスの結婚式は、静かなものだった。必要最低限の関係者のみ参列し、民へのお披露目すらなかった。
その上、結婚式はフルールが人化する前。王宮内ですら、人化したフルールの姿を知るものは限られていた。
民は尚更「王妃は豚獣人」という噂でしか、王妃のことを知らなかった。
フルールはそれを知っていた為「変装する必要はない」と、そのまま外出しようしたが、ビクトリアをはじめ、従者達に必死に止められ、渋々ポンチョを被ることに…。
「…(フード邪魔だな…。前が見にくいよ…)」
「…(お出掛け姿の僕、めちゃくちゃ可愛いのに…)」
フルールは、不服そうに口を尖らせた。
王宮でのフルールは、シンプルで動きやすい格好を好み、宝石を身に付ける事は殆んどしなかった。
しかし、今のフルールは
首元に大きなリボンが付いた、黒のバルーンスリーブのブラウス。その中心にはトパーズ色のブローチ。白のショートパンツに、黒の編み編みブーツ。
髪は、左右に編み込みがされており、所々小さな花の髪飾りが付けられていた。メイの力作である。
その姿は、まさに「絶世の美少年」
フルールの魅力が、最大限に引き出されたその姿に、同伴するはずの騎士達が「尊い…」と、空を仰ぎ気絶していった。
いくら民がフルールを知らないとは言え、この姿では大騒ぎになってしまう。
ビクトリアは、民のためにも、部下のためにも、なにより自分のためにも、必死にフルールにポンチョを着させたのであった。
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-城下町-
フルールは、ビクトリアとその部下数名を引き連れ、城下町に来ていた。
美味しそうな匂いが鼻を擽り、手の込んだ小間物に触れては、フルールはキラキラと目を輝かせた。
なにより、城下町に住む民は皆、常に笑顔で優しくて、フルールは心がほっこりするのだった。
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あの後
暫くの間、四人でティータイムを楽しんでいたら、突然「狼の遠吠え」が聞こえてきた。
フルールは何故か、その遠吠えに「怒り」が含まれている様な気がした。
すると「はぁー…、仕方ないですね…」と、ウィズダムはため息をつきながら重い腰を上げる。どうやらこの遠吠えは「ウルティムス」のもので、ウィズダムを呼んでいた。
「では、王妃様。また夕食時に…」
チュッ…と、優しくフルールの手にキスをし、ウィズダムは静かに食堂から出て行ったのだった。
その数分後、レオンにもお迎えがやって来た。
「帰らないぃぃぃぃぃぃ!!!」
「嫌ですぅぅぅ!!王妃様ぁぁぁぁ!!」
子供のように駄々をこねるレオンを、レオンの部下が数人係で運んでいった。
「…あれでも魔法省大臣だもんね…」
「まぁ、忙しいよね」と、遠くから聞こえるレオンの悲痛な叫びを、フルールは華麗にスルーするのだった。
ついさっきまで騒々しかった食堂が、いきなり沈静し、フルールは少しソワソワしてしまう。
すると、ビクトリアに
「王妃様、今日何かご予定はございますか?」
と問われ、フルールは人差し指を頬に当てながら、顔を横に傾け「うーん…」と、悩んだ。
その姿に「……(あざとっ!でも可愛い!///)」と、ビクトリアをはじめ、従者達はその場で悶えた。
本来なら、フルールにも「王妃としての業務」があるはずだが、ウルティムスから一切の業務に関わることを禁止されている。
そこで
「僕、行きたいところがある!」
「(僕が歌えるステージを探しにいこう!)」
フルールは夢を叶えるべく、城下町へ下見に行くことにしたのだった。
***
フルールはフード付きのポンチョを深く被り、城下町を散策していた。
フルールとウルティムスの結婚式は、静かなものだった。必要最低限の関係者のみ参列し、民へのお披露目すらなかった。
その上、結婚式はフルールが人化する前。王宮内ですら、人化したフルールの姿を知るものは限られていた。
民は尚更「王妃は豚獣人」という噂でしか、王妃のことを知らなかった。
フルールはそれを知っていた為「変装する必要はない」と、そのまま外出しようしたが、ビクトリアをはじめ、従者達に必死に止められ、渋々ポンチョを被ることに…。
「…(フード邪魔だな…。前が見にくいよ…)」
「…(お出掛け姿の僕、めちゃくちゃ可愛いのに…)」
フルールは、不服そうに口を尖らせた。
王宮でのフルールは、シンプルで動きやすい格好を好み、宝石を身に付ける事は殆んどしなかった。
しかし、今のフルールは
首元に大きなリボンが付いた、黒のバルーンスリーブのブラウス。その中心にはトパーズ色のブローチ。白のショートパンツに、黒の編み編みブーツ。
髪は、左右に編み込みがされており、所々小さな花の髪飾りが付けられていた。メイの力作である。
その姿は、まさに「絶世の美少年」
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いくら民がフルールを知らないとは言え、この姿では大騒ぎになってしまう。
ビクトリアは、民のためにも、部下のためにも、なにより自分のためにも、必死にフルールにポンチョを着させたのであった。
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