34 / 77
第3章・アイドルの恋愛事情
song.32
しおりを挟む
***
-マーレ王国-
ブクッ…ブクブクッ……
ひっそりとした室内は、異様な空気に包まれていた。
そんな中、色とりどりの可愛らしい小魚達は、軽やかにフルールの前を泳いで行く。
しかし
「………………」
「「「!!!??」」」
フルールの「顔」を見た瞬間、小魚達は驚き硬直する。
そこには、異様な雰囲気を漂わせ「般若のような顔」をしたフルールが、ブツブツと不気味に小言を呟いていた。
異様な空気の正体は、フルール自身なのであった。
***
レオンが去った後、あたりには静寂が満ちていた。深い静寂はフルールの意識をぼんやりとさせる。
レオンの魔法で「体内時間が停止」しているフルールは「睡眠欲」も「食欲」も沸いてこず、時間感覚が全くなかった。
泣くこと以外にやることがないフルールは、寄り添ってくれる小魚達が心の支えだった。
そんな中、フルールは小魚達とは違う「強い視線」を感じ、辺りを見渡す。
すると
金魚鉢の外側に「何か」が、張り付いていることに気付いた。
その「何か」を視界に映した瞬間、霧が晴れていくように気分がスッキリとし、フルールは冷静になっていく。
冷静になったフルールは「本来の自分」を思い出し、それと同時に、沸々と「激しい怒り」が胸の内に沸き上がる。
「…ごぽぽぽぽっ(何で僕が、こんな場所に閉じ込められないといけない訳?僕って被害者だよね?)」
「…ごぽぽっ…ごぽぽぽぽっ(可愛い僕を独り占めしたい気持ちは分かるけど、会いにも来ないって何?)」
「…ごぽぽぽぽっ(レオンは裏切り者だし、僕のお願い聞いてくれないし!)」
「…ごぽぽぽぽっごぽぽぽぽっ(あっ!裏切り者はティムもか、あの浮気者!!ヤリ○ん!!!)」
「…ごぽぽぽぽっ(夫婦として歩み寄るって、約束したのに!!!)」
「…ごぽぽぽぽっ(ウィズダム達も止めてよ…!)」
ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ…
フルールは自分が納得するまで、ひたすら独り言を呟き続けたのだった。
***
「…ごぽぽっ…(ふぅー………)」
「…ごぽっ…!(よっと!)」
鬱憤を吐き出し終えたフルールは静かに立ち上がり、ゆっくりと金魚鉢に張り付いている「もの」に近付いて行く。
「…ごぽぽっ…(見当たらなくて、心配したよ…)」
「…ごぽっ…(プリューム)」
小さな手足を大の字に広げ、顔が潰れる程、金魚鉢にベッタリと張り付いていたのは
妖精の「プリューム」だった。
「…ごぽぽっ…(怪我はない?よく此処がわかったね!)」
『大丈夫!でも、疲れた…』
プリュームはニコニコしながら、小さな手で「OKマーク」を作った。
プリュームは「あの」水上竜巻でフルールと引き離されてしまい、その後は、フルールの微かな「魔力」を追って、マーレ王国までやって来たのだった。
「…ごぽぽっ…(ふふっ、不思議…プリュームを見たら、すぐ元気になったよ)」
『私は「妖精」だから「癒し」系なの』
「…ごぽぽっ…(ふふっ、そうだったね!……プリューム)」
「…ごぽぽぽっ…(僕と「駆け落ち」してくれる?)」
二人はじぃ…と、見つめ合う。
『私は「ずっと」聖歌人と一緒!』
「…………ごぽぽっ…(ありがとう)」
望んでいた「答え」を貰えたフルールは涙ぐみ、心からの感謝をプリュームに伝えた。
フルールは、ずっと心細かった。
誰だって「ひとりぼっち」は寂しい。
だが、プリュームが側に来てくれた事で、フルールは「勇気」が持てたのだった。
声が出せないフルールは「心の聲」で、唄を歌う。
キラキラした七色の光が、二人を優しく包み込んだ。
広くなった金魚鉢に、小魚達は寂しさを感じるのだった。
***
-???-
「んふっ、ついに動きましたね」
『ーーーーーー…』
「「あなた」の言う通り、妖精も「思い通り」に動いてくれましたよ」
『ーーーーーー……』
「んふっ、ただ向かった先が「あの国」とは…全てが「思い通り」とはいきませんね、流石です」
『ーーーーー!!』
「大丈夫ですよ、少々会話が出来ないだけで…マーレ国王よりかは「扱いやすい男」です」
『ーーーーー!!!』
「ご安心を、影はいつでも王妃様と共に…」
『ーーーーーーー』
「んふっ、承知いたしました」
「我が「国王」に「忠誠」を…」
***
-マーレ王国-
ブクッ…ブクブクッ……
ひっそりとした室内は、異様な空気に包まれていた。
そんな中、色とりどりの可愛らしい小魚達は、軽やかにフルールの前を泳いで行く。
しかし
「………………」
「「「!!!??」」」
フルールの「顔」を見た瞬間、小魚達は驚き硬直する。
そこには、異様な雰囲気を漂わせ「般若のような顔」をしたフルールが、ブツブツと不気味に小言を呟いていた。
異様な空気の正体は、フルール自身なのであった。
***
レオンが去った後、あたりには静寂が満ちていた。深い静寂はフルールの意識をぼんやりとさせる。
レオンの魔法で「体内時間が停止」しているフルールは「睡眠欲」も「食欲」も沸いてこず、時間感覚が全くなかった。
泣くこと以外にやることがないフルールは、寄り添ってくれる小魚達が心の支えだった。
そんな中、フルールは小魚達とは違う「強い視線」を感じ、辺りを見渡す。
すると
金魚鉢の外側に「何か」が、張り付いていることに気付いた。
その「何か」を視界に映した瞬間、霧が晴れていくように気分がスッキリとし、フルールは冷静になっていく。
冷静になったフルールは「本来の自分」を思い出し、それと同時に、沸々と「激しい怒り」が胸の内に沸き上がる。
「…ごぽぽぽぽっ(何で僕が、こんな場所に閉じ込められないといけない訳?僕って被害者だよね?)」
「…ごぽぽっ…ごぽぽぽぽっ(可愛い僕を独り占めしたい気持ちは分かるけど、会いにも来ないって何?)」
「…ごぽぽぽぽっ(レオンは裏切り者だし、僕のお願い聞いてくれないし!)」
「…ごぽぽぽぽっごぽぽぽぽっ(あっ!裏切り者はティムもか、あの浮気者!!ヤリ○ん!!!)」
「…ごぽぽぽぽっ(夫婦として歩み寄るって、約束したのに!!!)」
「…ごぽぽぽぽっ(ウィズダム達も止めてよ…!)」
ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ…
フルールは自分が納得するまで、ひたすら独り言を呟き続けたのだった。
***
「…ごぽぽっ…(ふぅー………)」
「…ごぽっ…!(よっと!)」
鬱憤を吐き出し終えたフルールは静かに立ち上がり、ゆっくりと金魚鉢に張り付いている「もの」に近付いて行く。
「…ごぽぽっ…(見当たらなくて、心配したよ…)」
「…ごぽっ…(プリューム)」
小さな手足を大の字に広げ、顔が潰れる程、金魚鉢にベッタリと張り付いていたのは
妖精の「プリューム」だった。
「…ごぽぽっ…(怪我はない?よく此処がわかったね!)」
『大丈夫!でも、疲れた…』
プリュームはニコニコしながら、小さな手で「OKマーク」を作った。
プリュームは「あの」水上竜巻でフルールと引き離されてしまい、その後は、フルールの微かな「魔力」を追って、マーレ王国までやって来たのだった。
「…ごぽぽっ…(ふふっ、不思議…プリュームを見たら、すぐ元気になったよ)」
『私は「妖精」だから「癒し」系なの』
「…ごぽぽっ…(ふふっ、そうだったね!……プリューム)」
「…ごぽぽぽっ…(僕と「駆け落ち」してくれる?)」
二人はじぃ…と、見つめ合う。
『私は「ずっと」聖歌人と一緒!』
「…………ごぽぽっ…(ありがとう)」
望んでいた「答え」を貰えたフルールは涙ぐみ、心からの感謝をプリュームに伝えた。
フルールは、ずっと心細かった。
誰だって「ひとりぼっち」は寂しい。
だが、プリュームが側に来てくれた事で、フルールは「勇気」が持てたのだった。
声が出せないフルールは「心の聲」で、唄を歌う。
キラキラした七色の光が、二人を優しく包み込んだ。
広くなった金魚鉢に、小魚達は寂しさを感じるのだった。
***
-???-
「んふっ、ついに動きましたね」
『ーーーーーー…』
「「あなた」の言う通り、妖精も「思い通り」に動いてくれましたよ」
『ーーーーーー……』
「んふっ、ただ向かった先が「あの国」とは…全てが「思い通り」とはいきませんね、流石です」
『ーーーーー!!』
「大丈夫ですよ、少々会話が出来ないだけで…マーレ国王よりかは「扱いやすい男」です」
『ーーーーー!!!』
「ご安心を、影はいつでも王妃様と共に…」
『ーーーーーーー』
「んふっ、承知いたしました」
「我が「国王」に「忠誠」を…」
***
35
あなたにおすすめの小説
巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
11月にアンダルシュノベルズ様から出版されます!
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中
悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで
二三@悪役神官発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
* ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)
インスタ @yuruyu0
Youtube @BL小説動画 です!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!
ヴィル×ノィユのお話です。
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました!
時々おまけのお話を更新するかもです。
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結、恋愛ルート、トマといっしょに里帰り編、完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる