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第3章・アイドルの恋愛事情
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***
-バダク王国・食堂-
バロンに抱き上げられたまま、食堂に連れてこられたフルール。
食堂には香ばしい匂いが漂い、フルールの食欲を刺激する。
フルールとバロン、弟王のネックがテーブルつくと同時に、沢山の料理が次々と並べられていく。
「好きな料理を、好きな量だけ取る」という、謂わば「バイキング形式」の食べ方に、フルールは感動した。
ベルヴァでは毎食、コース料理のように1品ずつ、順番通りに提供される。どの料理も絶品で、文句などないのだが、生憎フルールは「嫁ぐ前」も「前世」も、一般家庭で育った庶子だ。
好きな物を好きなだけ食べたい、そういう気分の時もフルールにはあるのだった。
「さぁ!好きなものを食べるといい!」
バロンの言葉を合図に、戸惑いつつもフルールは料理を口に運んでいった。
すると
「そなた、名は何と言う?貴族の子息か?」
「何故、突然あの場所に現れたのだ…?」
美味しそうに料理を頬張るフルールの為に、次々とお皿に料理を盛っていくバロン。
そんなバロンの問いに、フルールは答えようとするも
「え~と…‥名前は、フルールです!フルール・レイ…っ……」
「「??」」
フルールは慌てて口を閉じた。
「……(ベルヴァの名は、他国で出さない方がいいよね…)」
「……(…あれ?僕とティムって、離縁したんだよね?じゃあ、僕の名前って…?)」
ぐるぐるする頭の中を何とか整理し、不思議そうに首を傾げるバロンに、フルールは曖昧な笑みを浮かべた。
「あ…コロネット!僕の名はフルール・コロネットです!」
「り、燐国の…小さな田舎町生まれの平民です!」
「(「元」だけど……)」
「最近、転移魔法を覚えまして…」
「それが嬉しくて調子にのってしまって…気付いたら、あの場所に…」
「(間違ってはいない…)」
フルールは「事実」に「ほんの少しの嘘」を付け加え説明するも、正面に座るネックは怪訝な表情を浮かべていた。
一方、バロンは
「フルールと言うのか!愛らしいそなたにぴったりの名だ!」
「それにもう、転移魔法が使えるのか!小さいのに凄いではないか!」
「ニハハハハハ」と、変わらない態度で接してくた事に、フルールは胸を撫で下ろしたのだった。
例え、正面から刺々しい視線を、向けられていたとしても…。
***
カチャッ…
「うむ!」
食後の紅茶を飲み終えたバロンは、スッと立ち上がり、従者達に何やら指示を出しはじめた。
フルールは「気の抜けない夕食」がやっと終わったと、安堵するも
「フルールよ!」
「もう今宵は遅い、泊まって行くとよい!」
「…えっ!?い、いや、結構で…「では、私がお部屋までお送り致します」…!!?」
バロンの気遣いで、王宮に一泊することになってしまい戸惑う。
更に、部屋までの案内人として名乗りをあげたのは、弟王のネックだった。ネックは食事中ずっと、怪訝な表情でフルールの事を見ていた。
それに気付かない程、フルールは鈍感ではない。
困惑しつつも、フルールは悩んだ。
気持ち的には、今すぐにでも王宮から出て行きたいが、行く宛もなく、外は真っ暗。
暗闇の砂漠を歩くのは、いくら妖精のプリュームが側にいる聖歌人でも、無謀かも知れない…。
「……(朝になってから、王宮を出た方が安全だよね…)」
フルールは覚悟を決め、鋭い視線を向けてくるネックの背中を追いかけたのだった。
***
-王宮の一室-
ガチャッ
「こちらをお使いください」
案内された部屋は、テイストは同じアラビアン風だが、フルールが目覚めた部屋よりも更に大きく、豪華な作りの部屋だった。
「こ…こんな豪華な部屋……僕には勿体ないです」
「いえ、兄上が「この部屋」を、と言っていたので…」
「兄上がそう言うのなら、それがいいのでしょう」
豪華な部屋とネックの態度に恐縮するフルールだったが、ネックが「兄」の名を出した途端、雰囲気が少し和らぎ、フルールはホッと息を付いた。
「……仲が良いのですね……」
「兄弟ですので、普通では?」
「…まぁ、そうなんですけど……」
「……私が「側室」の子供だからですか?」
「……っ…」
ネックの図星の言葉に、フルールは再び息を飲んだ。
静かに振り返ったネックの瞳は冷たく、軽蔑した眼差しをフルールに向けるのだった…。
***
-バダク王国・食堂-
バロンに抱き上げられたまま、食堂に連れてこられたフルール。
食堂には香ばしい匂いが漂い、フルールの食欲を刺激する。
フルールとバロン、弟王のネックがテーブルつくと同時に、沢山の料理が次々と並べられていく。
「好きな料理を、好きな量だけ取る」という、謂わば「バイキング形式」の食べ方に、フルールは感動した。
ベルヴァでは毎食、コース料理のように1品ずつ、順番通りに提供される。どの料理も絶品で、文句などないのだが、生憎フルールは「嫁ぐ前」も「前世」も、一般家庭で育った庶子だ。
好きな物を好きなだけ食べたい、そういう気分の時もフルールにはあるのだった。
「さぁ!好きなものを食べるといい!」
バロンの言葉を合図に、戸惑いつつもフルールは料理を口に運んでいった。
すると
「そなた、名は何と言う?貴族の子息か?」
「何故、突然あの場所に現れたのだ…?」
美味しそうに料理を頬張るフルールの為に、次々とお皿に料理を盛っていくバロン。
そんなバロンの問いに、フルールは答えようとするも
「え~と…‥名前は、フルールです!フルール・レイ…っ……」
「「??」」
フルールは慌てて口を閉じた。
「……(ベルヴァの名は、他国で出さない方がいいよね…)」
「……(…あれ?僕とティムって、離縁したんだよね?じゃあ、僕の名前って…?)」
ぐるぐるする頭の中を何とか整理し、不思議そうに首を傾げるバロンに、フルールは曖昧な笑みを浮かべた。
「あ…コロネット!僕の名はフルール・コロネットです!」
「り、燐国の…小さな田舎町生まれの平民です!」
「(「元」だけど……)」
「最近、転移魔法を覚えまして…」
「それが嬉しくて調子にのってしまって…気付いたら、あの場所に…」
「(間違ってはいない…)」
フルールは「事実」に「ほんの少しの嘘」を付け加え説明するも、正面に座るネックは怪訝な表情を浮かべていた。
一方、バロンは
「フルールと言うのか!愛らしいそなたにぴったりの名だ!」
「それにもう、転移魔法が使えるのか!小さいのに凄いではないか!」
「ニハハハハハ」と、変わらない態度で接してくた事に、フルールは胸を撫で下ろしたのだった。
例え、正面から刺々しい視線を、向けられていたとしても…。
***
カチャッ…
「うむ!」
食後の紅茶を飲み終えたバロンは、スッと立ち上がり、従者達に何やら指示を出しはじめた。
フルールは「気の抜けない夕食」がやっと終わったと、安堵するも
「フルールよ!」
「もう今宵は遅い、泊まって行くとよい!」
「…えっ!?い、いや、結構で…「では、私がお部屋までお送り致します」…!!?」
バロンの気遣いで、王宮に一泊することになってしまい戸惑う。
更に、部屋までの案内人として名乗りをあげたのは、弟王のネックだった。ネックは食事中ずっと、怪訝な表情でフルールの事を見ていた。
それに気付かない程、フルールは鈍感ではない。
困惑しつつも、フルールは悩んだ。
気持ち的には、今すぐにでも王宮から出て行きたいが、行く宛もなく、外は真っ暗。
暗闇の砂漠を歩くのは、いくら妖精のプリュームが側にいる聖歌人でも、無謀かも知れない…。
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フルールは覚悟を決め、鋭い視線を向けてくるネックの背中を追いかけたのだった。
***
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「……私が「側室」の子供だからですか?」
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