【完結】売れっ子アイドル、転生したら嫌われ子豚だった！～アイドル魂で子豚人生満喫中です～

第3章・アイドルの恋愛事情

song.37

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-王宮の一室-

「ご存じなんでしょう？バダクの王室事情を…」

「……え～と……っ…」

「…「私のこと」も、ご存じだったようですし…ね」

冷たい眼差しでジリジリと詰め寄ってくるネックに、フルールは1歩…又1歩…と、ゆっくり後退りをする。

「まぁ…父上の色事に関する話は、国内では有名ですが…」

そう、バロンとネックの父・アモル前国王は「色恋事が派手な国王」とし、国内でも他国でも有名だった。

バダク王国では「一夫一妻制」が当たり前の王国。

結婚するまで「貞操」を守り、結婚後も「番以外」と「関係を持つ」行いを、決して許さない。

その考えは王族・貴族にもしっかりと受け継がれており、歴代のバダク国王は皆「正室」のみを娶って来た。

しかし

アモル前国王は「側室」も娶ったのだ。それも、娶った時には既に、側妃のお腹にはアモル国王の「子」が宿っていた。

これには、貴族や民から猛批判を浴びる事となった。

それに加え、ほぼ同じタイミングで「王妃」の「双子の妊娠」も発覚し、国中が大騒ぎになったのは、まだ記憶に新しい出来事だ。

唯一救いだったのは、既に王妃との間には犀サイの血を引くバロンがおり、そのバロンが優秀であった為、次期国王となる事が「決定」していたことだ。

王位継承権争いは避けられたが、猛批判を浴びる事となった側妃と、生まれて来た第2王子・ネックは、王宮内で隠されるように暮らしてきた。

その為、麒麟キリン獣人であるネックの「姿」を知る者は、限られていた。

しかし

王妃教育の一環で、ネックについても教えられていたフルールは、すぐにネックが「側室の子供」であると気付き、何も「疑問」に思う事がなかった。

姿が出回っていない麒麟キリン獣人のネックが、何故バロンを「兄」と呼ぶのか。

バロンには15歳になった、犀サイ獣人の「双子の兄妹」がいると言うのに。

トンッ…と、壁際まで追い込まれたフルールは、顔を青くしながら長身のネックを見上げた。

「たかが燐国。。の小さな田舎町の出で…私のことを知る程、他国の王室事情に詳しいとは…」

「…………」

ドンッ！！！

「！！！」

フルールの後ろにある壁に、勢いよく手を叩き付けたネック。

フルールはビクッ！と、体を跳ねさせるも

「……(……壁ドン…)」

「前世」で一時、胸キュン仕草として流行った「壁ドン」の状態に

「…(…リアル。。。にされたのは初めてだ…)」と、前世を思い出し、違う意味でフルールはドキドキしたのであった。


「平民のわりに、テーブルマナーも完璧でしたし…」
「そんなに魔力が少ないのに、何故「転移魔法」が使えるのですか？」

「…………」

「答えは簡単です」

フルールは唇をキュッと結び、何とかこの状況を回避する方法を探るも

「お会いできて光栄ですよ」

「ベルヴァ王妃……いや」

「聖歌人ヒム」

「……っ……」

全て手遅れなのであった。

ネックはフルールと目線を合わせ、至近距離でニタリ…と、笑って見せる。

「……あまり、兄を甘く見ない方がいい」
「兄がただの「親切心」で、この部屋を貴方に宛がうとでも？」

「兄は、貴方を「王宮の外」に出すつもりはありません、例え」

「…「ベルヴァ」と「マーレ」から、貴方の「身柄を引き渡す」よう「要請」があったとしても…」


「……え？」

フルールはネックの言葉に耳を疑う。

「……べ、ベルヴァからも、要請があったの？」

「なんで……？」

フルールただただ、動揺するのだった…。

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