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第3章・アイドルの恋愛事情
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***
-マーレ王国-
静粛した空間に爆風が漂い、辺りが白い煙に包まれる。
ウィズダムとビクトリアをはじめ、ベルヴァの従者達は顔を青くし、ウルティムスの安否を心配した。
少しずつ白い煙が晴れていき、現れた「2つの影」に周囲は安堵する。
守るように、ウルティムスの前に立つレオン。
ウルティムス目掛けて放たれた攻撃は、レオンの「防衛魔法」により鎮圧された。
レオンの動きを察していたウルティムスは、微動だにせず、傷一つ負うことはなかったのだった。
ウルティムスの無傷な姿に、ソヌスは憤りをあらわにする。
「……っ…レオン…貴様…」
「父を裏切るのか!!??」
怒りの矛先は息子のレオンに向かい、ソヌスの怒鳴り声が辺りに轟く。
「…父上……聖歌人の言う通りです」
「もう過去に囚われるのは止めてください」
「父上は「呪い」から解放されるべきです!!」
いつも涼しげな表情を浮かべるレオンが、悲しい気に顔を歪ませ、ソヌスに訴えかけるも
「我は「呪われて」などいない!呪われているのは「ベルヴァ王」ではないか!」
「あれだけの事をしたのだ!マーレは「被害者」だ!!」
「さっさと、ベルヴァ王を殺せ!!」
レオンの「思い」は、ソヌスに届かないのであった。
「…レオン…「例の物」を…」
「……はい…」
そんなソヌスの様子に呆れたウルティムスは、レオンに指示を出す。
レオンはウルティムスの指示に従い、自身の「影」から「ある物」を取り出した。
「…私には…「助けたい獣人」がいます」
「…私が魔法省大臣になったのも、ベルヴァ王に協力してるのも…」
「すべては、その為です」
レオンの手には「メモリーアイ」
「記憶する石」が握られていたのだった。
***
異様な雰囲気が部屋の中に充満する。
レオンは「メモリーアイ」を掌で転がしながら、自分の過去について語った。
「私は魔法省大臣の地位を利用しながら、1000年前の「歴史」について、ずっと調べていました」
「ある日、当時のマーレ国王であった「エイビス」様が、当時の聖歌人である「エレジー」様に、メモリーアイをプレゼントした、と記された書物を私は読みました」
「!!!」
衝撃の事実にソヌスをはじめ、マーレの従者達は絶句する。
「何故、あんな「何の価値もない石」を…」
ソヌスは怪訝な表情を浮かべるも
「メモリーアイは「持ち主の思い出」を「保存」出来る石だ」
「今でこそ、文明機器の発達で価値は薄れているが、1000年前は「非常に価値」のある「高価な石」だった」
「当時の番への贈り物には、適していたのだろう」
ウルティムスの発言に、レオンは頷いてみせた。
「ベルヴァ王の言う通りです」
「そこで私は、エレジー様の「思い出」を「保存したメモリーアイ」を探し続け、ついに見つけました」
「今更、何故そんな物を!?」
「……っ…」
グッ…と、レオンは唇を噛み締め、ソヌスに鋭い視線を向ける。
「……母上を………イーリス・スカッリアを「自由」にする為ですよ!」
「!!!」
ソヌスは思ってもみなかった者の名前を出され、驚きで目を見張る。
「父上は卑怯だ!母上をあんな「塔の上」に閉じ込めて…自由を奪って…「僕」まで孕ませたくせに…!」
「…「番」にはしないなんて、残酷だ!!!」
レオンが指さす方向には、確かに「白」を基調とした「塔」が建っていた。
普段の冷静なレオンは身を潜め、子供のように激しい感情を露にする。
「…母上は今でも、父上を信じて…あの塔で待ってるんですよ…」
「…一緒に生きて行く気がないなら…もう母上を解放してください…!」
レオンは父であるソヌスに、その激情をぶつけた。
「…っ……それは…」
「出来ないよな…「運命の番」を手放すなんて…」
「!!!」
言葉に詰まるソヌスに、ウルティムスは語りかける。
「それこそ、自由にして「他の男のもの」になるなんて、もっと耐えられねぇーよな」
「…っ……」
ソヌスは拳を固く握りしめた。その拳は「何か」に耐えるように小刻みに震えていた。
そんな中、ウルティムスは語り続ける。
「…この1000年の間、マーレの王族は聖歌人の誕生を待ち続け、ずっと「王妃」の座を空席にしてきた」
「…………れ…」
「例え「愛する番」が現れても、番を選ぶことは許されなかった」
「……まれ……」
「それはもう…「呪い」以外の何者でもねぇーだろ…?」
「黙れ!!!!」
「知ったような口を聞くな!全部、ベルヴァが悪いのであろう!ベルヴァ王があんな事しなければ…あんな「歴史」さえなければ…我は……」
「我は、ずっと「イー」と一緒にいられたのだ!」
ダンッ!ダンッ!!と、ソヌスは机を叩きつけながら、引き裂くような悲痛な声で叫んだ。
痛々しい父の姿に、母への「愛」を感じたレオン。
「……違うんです、父上…真実は…」
「もう、終わらせましょう…」
レオンは、全てを終わらせる「決意」をした。
手にしていた「メモリーアイ」に、魔法で「強い光」を当てる。
すると
石は「一直線の輝き」を見せ、天井に「思い出」が映し出された。
そこには、1000年前の「真実」が映っていたのだった…。
***
第3章-完-
-マーレ王国-
静粛した空間に爆風が漂い、辺りが白い煙に包まれる。
ウィズダムとビクトリアをはじめ、ベルヴァの従者達は顔を青くし、ウルティムスの安否を心配した。
少しずつ白い煙が晴れていき、現れた「2つの影」に周囲は安堵する。
守るように、ウルティムスの前に立つレオン。
ウルティムス目掛けて放たれた攻撃は、レオンの「防衛魔法」により鎮圧された。
レオンの動きを察していたウルティムスは、微動だにせず、傷一つ負うことはなかったのだった。
ウルティムスの無傷な姿に、ソヌスは憤りをあらわにする。
「……っ…レオン…貴様…」
「父を裏切るのか!!??」
怒りの矛先は息子のレオンに向かい、ソヌスの怒鳴り声が辺りに轟く。
「…父上……聖歌人の言う通りです」
「もう過去に囚われるのは止めてください」
「父上は「呪い」から解放されるべきです!!」
いつも涼しげな表情を浮かべるレオンが、悲しい気に顔を歪ませ、ソヌスに訴えかけるも
「我は「呪われて」などいない!呪われているのは「ベルヴァ王」ではないか!」
「あれだけの事をしたのだ!マーレは「被害者」だ!!」
「さっさと、ベルヴァ王を殺せ!!」
レオンの「思い」は、ソヌスに届かないのであった。
「…レオン…「例の物」を…」
「……はい…」
そんなソヌスの様子に呆れたウルティムスは、レオンに指示を出す。
レオンはウルティムスの指示に従い、自身の「影」から「ある物」を取り出した。
「…私には…「助けたい獣人」がいます」
「…私が魔法省大臣になったのも、ベルヴァ王に協力してるのも…」
「すべては、その為です」
レオンの手には「メモリーアイ」
「記憶する石」が握られていたのだった。
***
異様な雰囲気が部屋の中に充満する。
レオンは「メモリーアイ」を掌で転がしながら、自分の過去について語った。
「私は魔法省大臣の地位を利用しながら、1000年前の「歴史」について、ずっと調べていました」
「ある日、当時のマーレ国王であった「エイビス」様が、当時の聖歌人である「エレジー」様に、メモリーアイをプレゼントした、と記された書物を私は読みました」
「!!!」
衝撃の事実にソヌスをはじめ、マーレの従者達は絶句する。
「何故、あんな「何の価値もない石」を…」
ソヌスは怪訝な表情を浮かべるも
「メモリーアイは「持ち主の思い出」を「保存」出来る石だ」
「今でこそ、文明機器の発達で価値は薄れているが、1000年前は「非常に価値」のある「高価な石」だった」
「当時の番への贈り物には、適していたのだろう」
ウルティムスの発言に、レオンは頷いてみせた。
「ベルヴァ王の言う通りです」
「そこで私は、エレジー様の「思い出」を「保存したメモリーアイ」を探し続け、ついに見つけました」
「今更、何故そんな物を!?」
「……っ…」
グッ…と、レオンは唇を噛み締め、ソヌスに鋭い視線を向ける。
「……母上を………イーリス・スカッリアを「自由」にする為ですよ!」
「!!!」
ソヌスは思ってもみなかった者の名前を出され、驚きで目を見張る。
「父上は卑怯だ!母上をあんな「塔の上」に閉じ込めて…自由を奪って…「僕」まで孕ませたくせに…!」
「…「番」にはしないなんて、残酷だ!!!」
レオンが指さす方向には、確かに「白」を基調とした「塔」が建っていた。
普段の冷静なレオンは身を潜め、子供のように激しい感情を露にする。
「…母上は今でも、父上を信じて…あの塔で待ってるんですよ…」
「…一緒に生きて行く気がないなら…もう母上を解放してください…!」
レオンは父であるソヌスに、その激情をぶつけた。
「…っ……それは…」
「出来ないよな…「運命の番」を手放すなんて…」
「!!!」
言葉に詰まるソヌスに、ウルティムスは語りかける。
「それこそ、自由にして「他の男のもの」になるなんて、もっと耐えられねぇーよな」
「…っ……」
ソヌスは拳を固く握りしめた。その拳は「何か」に耐えるように小刻みに震えていた。
そんな中、ウルティムスは語り続ける。
「…この1000年の間、マーレの王族は聖歌人の誕生を待ち続け、ずっと「王妃」の座を空席にしてきた」
「…………れ…」
「例え「愛する番」が現れても、番を選ぶことは許されなかった」
「……まれ……」
「それはもう…「呪い」以外の何者でもねぇーだろ…?」
「黙れ!!!!」
「知ったような口を聞くな!全部、ベルヴァが悪いのであろう!ベルヴァ王があんな事しなければ…あんな「歴史」さえなければ…我は……」
「我は、ずっと「イー」と一緒にいられたのだ!」
ダンッ!ダンッ!!と、ソヌスは机を叩きつけながら、引き裂くような悲痛な声で叫んだ。
痛々しい父の姿に、母への「愛」を感じたレオン。
「……違うんです、父上…真実は…」
「もう、終わらせましょう…」
レオンは、全てを終わらせる「決意」をした。
手にしていた「メモリーアイ」に、魔法で「強い光」を当てる。
すると
石は「一直線の輝き」を見せ、天井に「思い出」が映し出された。
そこには、1000年前の「真実」が映っていたのだった…。
***
第3章-完-
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