【完結】売れっ子アイドル、転生したら嫌われ子豚だった!~アイドル魂で子豚人生満喫中です~

赤井たまご

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最終章・アイドルの幸せ

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***

-バダク王国・王宮-

「世界の聖歌人ヒム」と「一国の王」のラブシーンに皆が注目し、王宮内は静まり返る。

ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…

フルールの頬に触れるウルティムスの手が熱く、フルールは激しく胸を高鳴らせる。

「…っ…ティ…ティム…///」

「……ルル…」

「……ぅぅ……///」

フルールは、真剣な瞳で見つめてくるウルティムスを直視出来ず、視線をさ迷わせた。

「…(う、嘘…キ、キス!?今、ティムとキスするの!?僕のファーストキス…)」
「…(あわわわわっ…ティムが近い!!ぼ、僕は……ど、ど、ど…どうしたら…)」

「…っ……っ~………////」

フルールは「前世」でも「撮影以外」では「キス」をしたことがない。
正真正銘のファーストキス体験に、ドキマキしていると……

「ゴホンッ!」

「「!!!!」」

突然「誰か」の咳払いが辺りに響き、流れる甘い雰囲気を打ち壊した。

「お二人とも…」
「イチャつくのは、お部屋に戻ってからにして下さい」

「…~~っ~~…//////」

咳払いの主であるウィズダムは顔色一つ変えず、淡々と二人に指摘する。

カァァァァァッ……

我に返ったフルールは赤かった顔を更に赤くし

「あ"ぁ"っ…ウィズ、邪魔すんじゃ…「ご、ご、ごめんなさいぃぃぃ!//////」……」

慌ててウルティムスから距離を取る。

「……ちっ」

ウルティムスは空いたフルールとの距離に、機嫌が急降下していくのだった。

***

その後

ウルティムス達を歓迎するバロンが、夜会を開催させた。

ダンスを楽しむ者もいれば、酒や軽食を楽しむ者もおり、王宮内は大いに盛り上がる。

そんな中

ウルティムスはバロンと酒を酌み交わしながら、未来の国のあり方について熱く討論していた。

その姿はとても楽しそうで、フルールは喜びを感じるのだった。

安心したフルールはウルティムスから離れ、妖精のプリュームに贈るスイーツを選び始める。

すると

「フルール様」

「!!」

突然ネックに声を掛けられ、振り返る。

「ベルヴァ王とは同じお部屋でよろしいですよね…?」

「…へっ!?///」

ネックの爆弾発言に、フルールは驚きで声が裏返ってしまった。

「…??…ベルヴァ王が一緒でいいと…」

「ティムが!?……な、なら…それでいいけど…////」

あまりにも初々しいフルールの姿に、ネックはふと「何か」を思いつき

ポソッ…

「…大丈夫ですよ」

「??」

「…「最初」は「痛い」ですけど…ベルヴァ王に全て任せておけば、だんだん「気持ちよく」なりますから…」

「夜」のアドバイスを、耳打ちするのだった。

「…なっ!///」
「ち…違うよ…!!//////」

フルールは驚きのあまり、大きな声をあげてしまい

「……ルル?どうした?」

酒で頬がほんのり赤くなったウルティムスに、心配されてしまう。

「…ご、ごめん、大丈夫!何もないから…!///」

フルールは首を横に降りながら、ネックに詰め寄る。

「もう!!ネック…////」

フルールはネックに対し怒りを露にするも、その顔は真っ赤で、目元も潤んでおり、全く迫力がなかった。

「…?経験がないのでしょう?…力を抜くのがポイントですよ!」

「…っ…///そ、そうだけど…そーじゃなくて!///」

「??」

きょとん…と、するネックに、フルールは自分の心境について正直に語った。

「……僕とティムは、まだ…そういうのは…///」

「…?…したくないのですか?」

「そんなことない!したい!…でも……」

フルールは寧ろ「前世」から、性経験に「興味津々」である。

前世の記憶があるフルールにとって「キス」も、人前で「裸」になることも、ある程度は「慣れた」行動の1つだった。

しかし

「……「好き」って思えば思う程…「胸」がキュウ…ってなる…ドキドキして…」

「さっきのキスも……簡単には出来ない…前はこんなんじゃなかったのに…」

「…………」

「僕……どうしちゃったんだろう…」

ウルティムスの前ではそう思えず、変わった自分にフルールは困惑していた。

「それは…ベルヴァ王のことが「特別」ってことですよ」

「……っ!」

ネックの言葉がストン…と、フルールの心にハマる。

「好きな人に触れるのは、怖いです…ですが…」
「もっと触れたい、そう思う瞬間が必ずあります…」

「…………」

「ベルヴァ王を信じて…自分に正直でいて下さい」

優しくフルールの頭を一撫でし、ネックは去って行った。

「…………」

その場に残されたフルールの表情は、晴れ晴れとしていたのだった。

***

「ネック…」

「兄上…ベルヴァ王は?」

バロンに声を掛けられネックは振り返るも、一緒に酒を楽しんでいたウルティムスの姿が見えず、首を傾げた。

「うむ、様子が気になる、と…フルールを連れて部屋に戻った」

「…そうでしたか、お熱いことで…」

クスクスと、子供のように笑うネックを抱き寄せ、バロンは問いかける。

「…フルールと何を話していたんだ?ベルヴァ王が怪しんでいたぞ…」

「…へぇー…以外と束縛が激しいんですね…」

ネックは驚きつつも、然程興味がなく

「対した事ではありませんよ、ただ懐かしくて…」

「私達にも「そういう時期」があったな…と」

「??」

絡まるバロンの逞しい腕に頬擦りした。

番達の情熱的な夜は、これから始まるのであった…。

***
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