【完結】【百合論争】こんなの百合って認めない!

千鶴田ルト

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第三話(2/3)

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 わたしと悠乃さんがイベント会場でキスするところを盗撮されて、その上ユリッターにアップロードされている――。
 心臓が不吉に脈打つ。のぼせかけた頭から、冷たく血の気が引いていく。わたしは周辺の反応やブルームを追ってみた。

『詳細情報求む。誰か見たやついないの?』
『何これ、ディープフェイク?』
『これ私も見た、ガチだよ』
『本人の許可取ってるのか?』
『え、口論からのキスって何??? 尊すぎない???』
『100万回いいねしたい』
『この二人は付き合ってるの? いや付き合ってなくてもおいしいけど』
『百合イベントでまさかのリアル百合、これは推せる』
『は???? なんで私はこの場にいなかったの?』

 さらに、拡散は広がって海外の百合ファンにまで届いてしまっているらしい……。

『This is Japanese yuri culture(これがジャパニーズユリカルチャーだ)』
『Wait, is homosexuality allowed in Japan? (待って、日本で同性愛は許されてるんだっけ?)』
『I don’t understand Japanese, but my soul understood the love.(俺は日本語は分からないけど、魂で”愛”を理解できたよ)』

 わたしは呆然と、様々な反応をただただ見ていることしかできなかった。そのとき、電話の着信が入った。麻衣からだった。
「ちょっと、ユリッター見てる!? これどういうこと?」
「いや……わたしもまだ状況が……」
「二人のアカウント特定されてるよ。鍵かけといたほうが良いかも。悠乃さんのアカウント見た?」
「あ、そうだ。ブロックしてるんだった……」
 悠乃さんのアカウントのブロックを解除すると、彼女が動画投稿元に返信したブルームが表示された。

『あなたの行為は肖像権の侵害です。私の映った動画を無断で撮影・公開することは許されません。今すぐに削除してください。従わない場合は、法的手段に訴えることも検討します。』

 悠乃さんの強い抗議のブルーム。そして、全体に向けた注意喚起のブルームを複数回投稿していた。
 わたしも、あのアカウントに対して抗議したほうがいいんだろうか。でも、きっとわたしには悠乃さんのように上手くできない。怖くなってきたので自分は鍵アカウントにした。例の投稿をしたアカウントはとりあえずユリッター公式に通報したが、適切に処置してくれるのか、それがいつになるのかは分からない。

 ユリッターが気になって何も手につかず、しばらく見ていたら百合アカウント以外にもかなり浸透してきたようで、否定的な反応が増えてきた。
『オタク女子って注目されるためになりふり構わないところあるよな』
『百合オタとして恥ずべき存在』
『リアルと創作の区別はつけようね(^_^;)』
『炎上商法だろ。通報した。』
『イベントでイチャつくやつ邪魔なんだよ 消えて欲しい』

 目の奥が熱くなってくる。どうしてここまで言われないといけないのか。見たくない。見ないほうが良いのは分かってる。でも、わたしの指はスクロールするのを止められなかった。

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