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短編台本 雑談「意味わからんけどお前がそういうんならそうなんだろうよ」
しおりを挟むA:なあお前さ、生まれ変わりって信じる?
B:は?どうしたいきなり。
A:いいから。信じる?
B:ええ?う~ん、信じてはないかな。
A:あ~そうかぁ。そうかあ…
B:なんで落ち込んでんだよ。
A:信じてもらえないかぁと思って。
B:なにその言い方は。
A:いや実は俺…してて。
B:生まれ変わりを?
A:そう。
B:話変わってきたな。
A:でも信じてもらえないなら話してもしょうがないかと思って。
B:いやそういうことなら信じるよ。
A:ほんとに?
B:他でもないお前がそういうんならそうなんだろうよ。
A:ちょっとこそばゆいけどありがとう。
B:いいってことよ。で、生まれ変わりってどんな感じなの?前世の記憶あるとか?
A:うんある。前々々世の記憶もある。
B:すごいなあ。全部覚えてんの?
A:正確には前々々々々……世くらいまで全部覚えてる。
B:めちゃくちゃ生まれかわってんじゃん。
A:うん。元号で言うと延暦(えんりゃく)くらいから。
B:聞いたことないやつ出てきた。余計わからん。
A:やっぱ信じがたいよなぁ。こんな話。
B:これはちょっとスケールがデカすぎてわけわからん。まぁいいや。で、その生まれ変わりでなんかあったってコト?
A:ああうん。実は、その…生まれ変わる前に、未来を誓い合った人がいてさ。
B:え、生まれ変わる前に。
A:そう、生まれ変わっても一緒になりましょう的な。で、今回も無事出会えたんだんだけどさ。
B:何それ、ロマンチックじゃん。
A:いやそうでもないよ。
B:…そうなの?
A:最初はそうだったけど、回数重ねると慣れてきちゃうからさ。
B:人間の慣れってすごいな…数十憶分の1も行けるもんなんだ。
A:うん…で、今世で巡り合ったのがつい一か月前なんだよ。
B:結構最近だ。
A:今回かなり早い方でさ、出会ったはいいけどお互いおじいちゃんおばあちゃんとかけっこうあるし。
B:うーん、いいことじゃん?
A:それはまあ割とうれしいんだけど、こっからが問題でさ。
B:ほうほう。
A:今一緒に住んでんだけど。
B:ふんふん。
A:その…ごはんの食べ方がめっちゃ汚くて。
B:…え?
A:食べ方めっちゃ汚くて。
B:え、それだけ?
A:それだけって。綺麗好きなの知ってるでしょ?めっちゃ地雷でさ…
B:いや、えぇ。
A:なに。
B:え、だって千年とか二千年越しのすげー大恋愛じゃん、それをさぁ…食べ方って。
A:何年だって譲れないとこは譲れないよ。ていうか言い方がおおげさ。
B:おおげさったって、お前話の入り方からしてだいぶおおげさだったじゃん。
A:そうか?
B:そうだよ。
A:ま、お前がそういうんならそうか。
B:こう、ほら…もっと超常的な。魂の距離が離れて~とかこう、そういうのじゃないの。
A:魂の距離?なにそれ。
B:いやわかかんないけどね?生まれ変わりのイメージっていうかさ。
A:実際そんな大したことないんだって。
B:じゃあ何、生まれ変わりの話云々は置いておいて、お前が相談したいのは恋人の食事マナーが悪くて悩んでるって?
A:まあそうなるな。
B:あんまり生まれ変わりの話関係なくない?
A:いや関係ある。
B:こっから?
A:そう、こっから。お前にお願いしたくて。
B:お願い?何を。
A:預けたいんだよ。
B:預けッ…!?恋人を????
A:うん、そういうの得意だろ?
B:ちょっと待てよ、どういうことだよ。
A:動物好きだったろ。
B:人間は例外だよ!
A:いや犬。
B:あ?
A:俺の思い人、いま犬。
B:犬う?
A:うん。
B:…え、じゃあ食べ方が汚いってのは
A:エサの食い方が超下手
B:じゃあ、速めに出会えたっていうのは。
A:魂が一緒だったら種族とか関係なくね?
B:おおうここで求めてた転生者しぐさが出てきたよ。こういうタイミングでは求めてねえよ。
A:とはいえ犬の世話とかわからんから詳しいやつに頼みたくて。
B:はあ…でもいいのか?その、仮にも思い人を他人に預けて。
A:ああ、そこは大丈夫。お前の魂は…きれいだからな。
B:……………お前がそういうんならそうなんだろうよ。
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