異世界球児は二刀流 〜魔法は捕るもの投げるもの〜

ミラクルスマイル

アナウンスは相変わらず淡々としたものだ

『処理を開始、申告者“ミラクルさん”様へ変更内容の報告』

「君は本当に面白いね、大事な所はちゃっかり抑えるタイプのようだ最近は浮かれてあっさり同意しちゃう子が多くてね、まぁその時は僕がしっかりと言い含めるんだけど」

ミラクルさんのスマイルが怖い

『“ミラクルさん”様より指定情報交換申請が届きました。受理しますか？』

「受理する」

『以下の内容に同意しない限り情報の公開は行えません。同意しますか？』

また情報が流れてきたので確認する
思わず口角が上がる

「性格しゅみが悪いですよ？」

「ちぇー引っかからなかったか、いい趣味せいかくしてるね」

ミラクルさんはそう言いながらも笑っている笑ってごまかせると思うなよ？あら、お目目とっても綺麗なにこれ

今のやりとりで何があったかと言うと
最初に見た同意内容と次に見た同意内容に僅かながら違いがあったのだ、そして何より決定的なものは

・条件を満たせば相互同意を撤回できる

と言うもの
これが前者には有り、後者には無かった

嘆息しながら俺は次の言葉を紡ぐ

「今回の指定情報公開については同意しない、指定公開申請は指定内容と公開範囲を確認…受理する」

同意をしなかった場合、その前の受理確認状態に戻るようだ
指定内容と公開範囲については見た感じ大丈夫そうだったので再受理した

「そこまで怪しまれると流石に傷つくんだけど？ミr…おじさんは哀しくなると色々出るよ？」

なにそれ怖い、そして既に出てきてるよね
やっぱりある程度読まれてたんかい！

「祖父が昔痛い目に合ったようで『こういった類いのものは基本交わすな、やむを得ぬ場合は最悪を想定しつつ穴を探せ』と幼い頃から叩き込まれまして」

実際に幼少期に極貧生活も体験しているのだ
身に染みている分対策にも余念がないのは必至というものだ

「あーじゃあ最後のも望み薄かな？というか僕の方が穴がないか気になってきたよ！いいね！ドキドキするね！」

ミラクルおじさんは子供のように笑ってそう言い、俺は俺で

「最後と言うか最初ですよね？」

と言うとミラクルおじさんは肩を竦めたのでそう言う事なのだろう、ならば

「情報公開申請の受理を保留し、前回の情報公開には同意する、保留した情報公開申請の受理を棄却」

無理矢理ではあるがこれで

・条件を満たせば相互同意を撤回できる

を残しつつ指定情報のみ公開出来るはずだ

見逃されてる感が半端ないけどミラクルさん笑ってるから大丈夫だろう、大丈夫だよね？
…ミラクルさんはまだニコニコ笑ってる

ねぇあの人実は仏教の人だったりしない？