異世界球児は二刀流 〜魔法は捕るもの投げるもの〜

特殊能力獲得

「それじゃあ行くよ！？記念すべき第1投目！『ルーレットスタート』ォォォ！！！」

ミラクルさんのテンションが高い
見ていて微笑ましいのだが、立場的にどうなんだろうか…なんて思っているうちに球が青いマスに収まる

「一つ目は…特殊能力スキルだね！『ケガしにくさ○』だって！体力面の不安もあるし無難な立ち上がりかな？」

これは助かる、ミラクルさんの言うように丈夫な身体というのは非常に強みだ
俺の運もなかなか捨てたもんじゃ無いのではなかろうか

「どんどん行くよ！2投目！『ルーレットスタート』！！」

またクルクルと回り出す球とルーレット盤、俺的にはたまに見える金色の枠に入って欲しいところだけど…

回転が緩くなり球も勢いがなくなってきた
球の向かう先の枠の色は金色だ

お？え？きちゃう！？金枠イケんの！？

興奮を隠しきれない俺は固唾を飲んで見守る、そして

…球は金枠の隣の青枠に吸い込まれた

「ぶはははは！ゆーくん惜しかったねー？さてさて、二つ目は…」

ケラケラ笑いながら球の入った枠を確認したミラクルさんが表情そのままにピキッ！と固まった

「…ミラクルさん？どうしたんですか？？というか嫌な予感がプンプンするんですけど、まさかマイナス要素混じってたりしたんですか！？」

間違いなく良くない事態が起こった事を察して、恐る恐る起きた事を予想して聞いてみると

「い、いや？このルーレットにマイナスは混じってないし、ちゃんとした特殊能力スキルだよ？」

しどろもどろになりながらミラクルさんは言葉を続ける

「二つ目の特殊能力スキルは…『盗塁◎』だよ！やったね！！さっきは○だったのに今度は◎だよ！さっすがゆーくんスゴイナー」

いらねーーーーー！！！！

なんだよこれ折角の救済措置なのに死にスキル貰うなんて嫌がらせとしか思えない。
◎な所がまた腹たつわー

様々な思いが入り交ぜられた感情の闇鍋状態のなかミラクルさんに目を向けると、ふいっと目を逸らされた
ふざけんなこの野郎石ぶつけるぞ

「そんな目で見ないでよ！！！しょうがないじゃない！？ゆーくんはイレギュラーなんだから！と言うかホント何しにきたの！？野球なの？馬鹿だよ！！」

逆ギレされた

いや、言い分もわかるしもう出たものは仕方ないので次に行ってもらおう

「次行きましょう」

「アッ、ハイ…」

従順なミラクルさんは大型犬的な可愛さがあるなぁ

「わんわん！さぁ！泣いても笑ってもこれでラストだよ！！『ルーレットスタート』！」

最後の1投は力を込めたのか球が長らく回っていたのだが、時間をかけた割にあっけなく青枠に入った。
わんわんは可愛かったので無視した

あんだけ大層にやって普通枠かい！

「三つ目も特殊能力スキルだね！そして…おぉ！？これはいい感じかも！『クロスファイヤー』だって！攻撃魔法かな？終わってみれば身体を強くする防御系スキルと攻撃系でバランスいいんじゃない？？…ってヒィッッ！」

俺は特殊能力スキルの名前を聞いた瞬間、真っ白になって項垂れた。
火の出ないクロスファイヤーで燃え尽きるとは皮肉が効きすぎではなかろうか