異世界で猫に転生した俺は、理想の飼い猫生活を目指す

にゃんこ先生

文字の大きさ
12 / 76
プロローグ

今夜は豪勢に

しおりを挟む
 百段、桜、椿が旅のお供に加わった。
 予定より一頭多い。
 ぱっと見人間二人の旅に馬三頭は不自然で目立つかと思ったけど、百段には荷物を乗せることで不自然さはなくなったと思う。
 裕福な旅人くらいに思われるかな。
 まぁ、王国の庶民の生活水準はわからないからなんとも言えないけど。
 それにしても、桜と椿が百段の彼女?嫁?だと聞かされた時は驚いたなぁ。
 どことなく百段が自慢気な顔がちょっとイラっとした。
 リア充め……、爆発しろ!
 実際は城での生活がひどすぎて、リア充とはとても言えないみたいだったけど。
 でも単純に両手に花はうらやましい。
 百段に「お前も女が二人いるではないか」と言われ、慌てて否定したがすっごい意識してしまった。
 でもすぐに冷静になったけどね……。
 俺は猫なんだ、どう見てもせいぜいペットにしか見えない。
 はぁ……。
 別にいいんだけどね?
 俺の夢は悠々飼い猫ライフなわけだし?
 俺に必要なのは彼女じゃなくてステキな飼い主さ!

 とまぁ、そんなわけで今は街道を疾走中。
 追っ手に関しては薫子さんが教えてくれるから急に現れることはない。
 でも盗賊とかモンスターだとかに急に襲われたりすることも考えられるわけで。
 常に余力がある状態を保つようにするために、百段たちには軽めに走ってもらっている。
 もちろん、疲れる前に言ってもらって休憩をとるつもりなんだけど……。
「はえぇー、超はえぇー!
 これほんとに軽くなの?
 大丈夫?
 無理してない?」
「ヒヒーン。(この程度、なんともない。この速さならば一日中駆けても疲労はたいしてない)」
「マジかぁー……」
 競馬の最終の直線の全力疾走。
 それぐらいのスピード出てるんじゃないか?
 ガイアの馬すごいな。
 それともこの三頭がすごいだけなのかな。
「すごいね~!
 六十キロくらい出てるのかな~。
 車に乗ってるような速さだよ~」
「でもこれ、乗ってるだけでも大変だね。
 慣れるまではふとももとか筋肉痛すごそう。
 あ、足太くなっちゃったらどうしよう!」
 女の子らしい悲鳴が聞こえてくる。
 車と違って当然揺れる。
 しかもこの速さ。
 百段たちが平気でも澪と雫がダウンしちゃうな。
「急ぐ旅ではあるけど、無理しすぎても意味がない。
 急ぐ時とか緊急時以外は普通に歩いてもらおうか。
 百段たちなら歩く速さも人間の徒歩より全然速いだろうし。
 今のままだと、世界樹に着く頃には二人のふとももはムキムキになっちゃうかもだしね」
「「ムキムキだけは嫌あぁぁ!」」
「てなわけで百段たち。
 緊急時以外は歩きでお願いできるかな?」
「ヒヒーン。(わかった。国に追われているのに呑気なものだ)」
 そう言いながらも速度を緩めて歩きだした。
 うん、このくらいの揺れなら大丈夫そうだな。
「まぁ先は長いからね。
 心にある程度の余裕を持ってないとさ」
「ヒヒーン。(まぁ、ジズーが良いのならば良い)」



 道中、俺たちは基本的なことをいくつか決めた。
 朝は夜が明けたら起きて朝食をとり、身支度などをすませたら出発。
 昼は十二時頃には昼食をとる。
 日が落ちる二時間くらい前には森の中で寝る場所を確保して、日が落ちるまでに食料を調達する。
 食料の調達は果物を採ったり、川とかがあれば魚を捕ったり、肉が食べれるモンスターを狩ったりかな。
 ガイアには電気がないから当然夜は暗い。
 明るい時間というのは地味に大事だから、日中は進むことを優先する。
 かといって、夜暗い中で果物採取や狩りで森の中を動くのは危ないから日没前に食料の調達をする。
 とりあえず、こういう生活をしばらく続けてみることにする。
 問題があればその都度考えようって事になった。
 ちなみに、森で寝るのは危険ではあるけど、街道沿いで野営して人目につくのは避けたいから森の中で寝ることを選んだ。

 というわけで、太陽は今ほぼ真上にある。
 お昼ぐらいかな。
 今手持ちに食料はパンだけだから、今食べる分だけでも調達しなきゃだ。
「ちょうどお昼っぽいし、ご飯にしようよ。
 朝ちょっとしか食べてないしさ」
「そうだね~、さんせ~い!
 お肉は時間かかるから無理だけど、魚とか食べたいな~。
 川がすぐ見つかるといいんだけど」
「魚いいねー!
 とりあえず川を探して、なかなか見つからないようだったら果物で我慢かな?」
「おっけー、そうしよっか」

 結果、近くに川はなく、果物で腹を満たした。
 ちなみに百段たちは草食で、柔らかく栄養のある草を好んで食べるらしい。
 でも、好物は甘い物だそうだ。
 それならと、りんごっぽい果物やバナナっぽい果物を百段たちの分も採ってきた。
 めっちゃうまそうに食べてたよ。
 まさかのスイーツ男子だった。
 ちなみにこの森、りんごっぽい樹とバナナっぽい樹が普通に生えてた。
 どっちも普通に実がなってるし、地球じゃありえないよね?
 りんごとバナナが同じ場所にあるなんて。
 異世界不思議だなぁ。



 街道を進むこと三時間ちょっと。
 澪が言うには日没はだいたい十九時ぐらいらしいので、ちょっと早いけど寝るスペースを確保して、食料調達の時間を多めにとろう。
 俺は体が小さいから少量で満腹になるけど、澪と雫はそうはいかないしね。
 それにずっと果物だとテンション上がらないよね。
 肉か魚を獲ってテンション上げてもらおう。
「そろそろ森に入って夜に備えない?
 さすがに一日中果物だと元気でないし、今夜は肉を食べよう!」
「「さんせ~い!」」
 というわけで、川を見つけたのでそこで火をおこし水を沸かす。
 そして、役割分担をした。
 まずは俺が肉担当。
 食べれそうなモンスターを狩る。
 澪は魚担当。
 肉が確保できなかった場合の保険として魚を確保してもらう。
 どうやって魚を捕るのかと思ったけど、川に雷魔法を打つらしい。
 なるほど、お約束ですね。
 雫は果物担当。
 一人でも大丈夫かなと思ったけど、バリアもあるし、何かあったらすぐ逃げるから大丈夫とのこと。
 まぁ、英雄である聖女の能力を持ってるんだもんね、よほどのことがなければ大丈夫かな。
 というわけで行動開始。
 ちなみに百段たちは川辺でお留守番。
 澪がいるから大丈夫だろうとは思う。

 よし、やるぞ!
 気合を入れて森の奥へ向かって走り出した――瞬間、後ろからバチッ!と大きな音がした。
 雷魔法かな?
 今夜は魚の心配はなさそうだ。
 俺もお肉をゲットするぞ!
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

身寄りのない少女を引き取ったら有能すぎて困る(困らない)

長根 志遥
ファンタジー
命令を受けて自らを暗殺に来た、身寄りのない不思議な少女エミリスを引き取ることにした伯爵家四男のアティアス。 彼女は彼と旅に出るため魔法の練習を始めると、才能を一気に開花させる。 他人と違う容姿と、底なしの胃袋、そして絶大な魔力。メイドだった彼女は家事も万能。 超有能物件に見えて、実は時々へっぽこな彼女は、様々な事件に巻き込まれつつも彼の役に立とうと奮闘する。 そして、伯爵家領地を巡る争いの果てに、彼女は自分が何者なのかを知る――。 ◆ 「……って、そんなに堅苦しく書いても誰も読んでくれませんよ? アティアス様ー」 「あらすじってそういうもんだろ?」 「ダメです! ここはもっとシンプルに書かないと本編を読んでくれません!」 「じゃあ、エミーならどんな感じで書くんだ?」 「……そうですねぇ。これはアティアス様が私とイチャイチャしながら、事件を強引に力で解決していくってお話ですよ、みなさん」 「ストレートすぎだろ、それ……」 「分かりやすくていいじゃないですかー。不幸な生い立ちの私が幸せになるところを、是非是非読んでみてくださいね(はーと)」 ◆HOTランキング最高2位、お気に入り1400↑ ありがとうございます!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

冒険者パーティから追放された俺、万物創生スキルをもらい、楽園でスローライフを送る

六志麻あさ
ファンタジー
とある出来事をきっかけに仲間から戦力外通告を突きつけられ、パーティを追放された冒険者カイル。 だが、以前に善行を施した神様から『万物創生』のスキルをもらい、人生が一変する。 それは、便利な家具から大規模な土木工事、果てはモンスター退治用のチート武器までなんでも作ることができるスキルだった。 世界から見捨てられた『呪われた村』にたどり着いたカイルは、スキルを使って、美味しい料理や便利な道具、インフラ整備からモンスター撃退などを次々とこなす。 快適な楽園となっていく村で、カイルのスローライフが幕を開ける──。 ●表紙画像は、ツギクル様のイラストプレゼント企画で阿倍野ちゃこ先生が描いてくださったヒロインのノエルです。大きな画像は1章4「呪われた村1」の末尾に載せてあります。(c)Tugikuru Corp. ※転載等はご遠慮ください。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...