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第一章 世界樹で野良猫生活
異世界生活、始めます
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朝、目が覚める。
寝ぼけたまま周りを見渡す。
澪と雫はいない。
澪と雫が日本に帰って一週間が経った。
寂しくて、まだ涙がでる日がある。
薫子さんもいない。
地球への転移で神気を使い切るらしく、回復するまでしばらく念話もできないと事前に言われた。
まだ薫子さんと念話もできていない。
はぁ……。
何もやる気が起きない。
この一週間何も食べてないし、今寝転がってる場所から動いてもいない。
ただ酸素を吸って二酸化炭素を吐いてるだけのモノだ。
百段たちは俺を心配してくれて、世界樹に残ってくれている。
バハムルも毎日やってきては元気づけようとしてくれている。
気のない返事しか返さないのに、嫌な顔せず毎日やってくる。
いい子だなって思う。
そして俺はダメダメだ……。
今まで考える余裕もなかったけど、澪と雫は元気にやってるだろうか。
価値観とか、こっちに来てかなり変わったって言ってたから、日本に戻って苦労してるかもしれない。
でもあの二人なら、どんな困難にも負けないだろうな。
はぁ……。
昔テレビで○○ロスで世間は悲しみに溢れていますとか言ってたのを聞いて、なんでテレビっていつも大げさなんだって思ってた。
でも今の俺ならわかる。
ロスつらいわぁ……。
あぁ、どうでもいいこと考えてしまった。
疲れた。
……。
って。
「あか――ん!!」
いやいやいや、だめだろ俺!
何やってんだよ!
虫ケラ以下の存在に成り果ててたわ。
戦わなきゃ現実と!
寂しいリアルを乗り越えろ!
俺は誓ったはずだ!
ステキな飼い猫生活を送ってみせると!
やれる、俺ならやれる!
そう、俺なら!
「アイ キャン フラアアアアアアイ!」
「いや、ジズーは飛べないのだろ?」
「うお、びっくりした!」
いつの間にいたんだろう。
「びっくりしたのはボクのほうだぞ。
いきなり叫びだして、変になったのかと思ったぞ!」
「あぁ、うん、そうだね。
ごめん」
「元気が出たのならいいのだ。
昨日までのジズーは見ててほんとに心配だったぞ」
「心配かけてごめんね。
でも大丈夫、完全復活だ!」
「それはよかったぞ!
とりあえずジズーは何か食べたほうがいいんじゃないか?
何も食べてないんじゃないのか?」
「あぁ、たしかに。
言われたらなんかお腹空いてきたかも」
「狩りでもするか?
ボク手伝うぞ?」
「いや、一週間何も食べてなかったからね。
いきなり肉なんて食べたら胃がびっくりしちゃう。
とりあえず適当に果物かなー」
「なるほど、それじゃあ採りにいこう!」
「あ、ちょっと待ってね。
百段たちにも謝ってくるよ。
心配かけちゃったし」
「わかった、じゃあ待ってるぞ」
「ありがとう、ちょっと待っててね」
百段たちはいつもの少し離れた所にいた。
俺は百段たちの元へ行き、頭を下げた。
「百段、桜、椿、心配かけてごめん。
それから、俺を見捨てないで近くにいてくれてありがとう」
「ヒヒーン。(気にするな、俺が好きでこの場に残っただけだ)」
「ヒヒーン。(お気持ちはわかりますわ、私も澪お姉さまに会えなくて寂しいですから)」
「ヒヒーン。(私も雫お姉さまのことを考えますと胸が苦しくなりますわ)」
「……、ありがとね。
これからはどうするの?
一緒にいてくれるの?」
「ヒヒーン。(ああ、お前の行く末を見守ろうと思っている)」
「そっか、それじゃこれからもよろしくね!」
「「「「ヒヒーン!」」」
百段たちとは一生の付き合いになりそうだ。
これ以上情けない姿を晒して幻滅させないようにがんばろう。
というわけで、まずは腹ごしらえということでバハムルと森を散策開始。
百段たちもついてきている。
俺を見守るためにあの場所から動いてなかったようなので、草しか食べてなかったらしい。
あるのかどうかわからないけど、果物を見つけて献上しなければ!
「この森は果物ってあるの?」
「たくさんあるぞ?
ボクは食べないから気にしてないけど、よく見かけると思うぞ!」
「ほー、そうなんだ。
じゃあまずは世界樹の周りから適当に見て回るか」
龍の巣は大陸中央にあり、周囲を山で囲まれ、森は険しく、とても狂暴な最強クラスのモンスターが無数に生息する絶望の地。
そんな風に言われてるらしいけど、目の前の光景をみるとそんな風には思えない。
「なんか木の実とか果物とかすっごいなってるね。
めっちゃ自然の恵み豊かじゃん、絶望の地なんて言えないよ」
「強いモンスターがうじゃうじゃいるからな!
普通はここじゃ生きていけないぞ?」
「でも俺、世界樹のところでずーっとゴロゴロしてたけど、一度もモンスター見てないよ?
なんでなの?」
「世界樹はとても大事だからって、昔父ちゃんが世界樹の周りを荒らすヤツを種族関係なくぶっとばしていったんだってさ。
そしたら世界樹に近づくヤツはいなくなったって言ってたぞ!
でも、全くいないってわけじゃないから、ボクたちドラゴンと天使族が守ってるんだ!」
「なるほどねー、バハムートさんこえー。
んん?天使族?ガイアには天使もいるの?」
「いるぞ!滅多に見かけないけどな!」
「俺さ、この先どうするかまだ決めてないけど、行く所もないし暫くは世界樹の傍で暮らそうって思ってたんだけど……、ダメなのかな?」
「ジズーは世界樹に悪さなんてしないし、管理者様の眷属なんだ。
いいに決まってるぞ!」
「そっか、あーよかったぁ」
「でも天使族はそんなこと知らないから、ジズーを悪者と勘違いして攻撃してくるかもな!」
「えぇぇー、それは困るなぁ。
バハムートさんから天使族に言ってもらうことってできないかな?」
「ボクはそういうのはわかんないけど、父ちゃんには言っとくぞ!
でも一応気をつけてくれよな!」
「わかった、気をつけるよ」
まぁ、悪いことさえしなければ問題ないだろう。
だって天使だもんな。
すごく思い込みが激しくて融通がきかないっていう不安なイメージがあるけど、大丈夫だよな……。
「ま、難しいことはさておき、まずはご飯を食べよう。
せっかくの自然の恵みだから大事にしたいし、とりあえずいろんな種類の果物を少しずつ採っていくけど、百段たちはそれでいい?」
「ヒヒーン。(もちろんだ。様々な果実を食べれるのは俺たちも嬉しい)」
「よし、それじゃ俺が木に登って実をもいで落とすから、百段たちは下で麻袋を広げて受け止めてね」
「ヒヒーン。(任せろ)」
しばらく百段たちと協力して果物を採ってまわった。
十分な量を採ったので、世界樹に戻って食べることにした。
「それじゃ、いただきまーっす」
まずは桃のような果物から……、うん美味しい。
「この森の果物も美味しいなー」
百段たちはすでにガツガツいっている。
よほど果物に飢えていたのか。
立ち直るのに時間がかかって申し訳ない。
「木になる果実なんて美味しくないって思ってたけど、美味しいのか?」
「ん?食ったことないの?」
「ないぞ。
ボクたちは肉を食べる種族だからなー」
「俺もそうだし人間なんかもそうだけど、果物も美味しく感じるよ?
食べたことがないなら試しに食べてみなよ、ほれ」
そう言ってバハムルに桃をカットして渡した。
「むむむ、ジズーが言うなら食べてみるぞ……、えいっ!」
ぱくっ、もぐもぐ……。
すぐに吐き出さないから絶対にムリとかではなさそうだ。
「なあジズー?」
「どうだった?美味しいだろー?」
「うまいなコレ!
それに甘い!
こんなもの初めてだぞ!」
そう言って残りの桃もばくばく食べ始めた。
「あー、ちょっとストップ。
甘いのが気に入ったなら、それをもっと甘くしようか」
「え、そんなことできるのか?
甘くしてほしいのだ!」
「甘みのある果物は、冷やすことで甘さが強くなるんだよ。
でも冷やし過ぎもよくないから少しだけ……、こんなもんでいいかな」
氷魔法で少し冷やした桃をバハムルに渡した。
ちなみに俺も魔法は基本的なものはひと通り使えるようになっている。
あの旅で少しずつ澪と雫に教わっていたからね。
ぱくっ、もぐもぐ……。
「すごいな、ちょっとだけど甘くなってるぞ!
それにひんやりしてて美味しいな!」
「だろー?冷やし過ぎなければ大丈夫だから、今度やってみな?」
「うん、やってみる!
そうだ、今日父ちゃんと母ちゃんにも食べさせてあげたいぞ!
ジズー、果物を少しわけてくれないか?」
「もちろんいいよ、持っていきなー。
馬車に麻袋がまだあるから、それに入れていけばいいよ。
父ちゃんと母ちゃん、喜ぶといいな!」
「うん!
ありがとうジズー!」
夜、世界樹の根本で横になる。
久しぶりにいい気分で眠れそうだ。
寂しさは消えないけど、楽しい事もこれからたくさんあるだろう。
俺はこの世界を楽しもう!
今日が俺の異世界生活のスタートだ!
寝ぼけたまま周りを見渡す。
澪と雫はいない。
澪と雫が日本に帰って一週間が経った。
寂しくて、まだ涙がでる日がある。
薫子さんもいない。
地球への転移で神気を使い切るらしく、回復するまでしばらく念話もできないと事前に言われた。
まだ薫子さんと念話もできていない。
はぁ……。
何もやる気が起きない。
この一週間何も食べてないし、今寝転がってる場所から動いてもいない。
ただ酸素を吸って二酸化炭素を吐いてるだけのモノだ。
百段たちは俺を心配してくれて、世界樹に残ってくれている。
バハムルも毎日やってきては元気づけようとしてくれている。
気のない返事しか返さないのに、嫌な顔せず毎日やってくる。
いい子だなって思う。
そして俺はダメダメだ……。
今まで考える余裕もなかったけど、澪と雫は元気にやってるだろうか。
価値観とか、こっちに来てかなり変わったって言ってたから、日本に戻って苦労してるかもしれない。
でもあの二人なら、どんな困難にも負けないだろうな。
はぁ……。
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でも今の俺ならわかる。
ロスつらいわぁ……。
あぁ、どうでもいいこと考えてしまった。
疲れた。
……。
って。
「あか――ん!!」
いやいやいや、だめだろ俺!
何やってんだよ!
虫ケラ以下の存在に成り果ててたわ。
戦わなきゃ現実と!
寂しいリアルを乗り越えろ!
俺は誓ったはずだ!
ステキな飼い猫生活を送ってみせると!
やれる、俺ならやれる!
そう、俺なら!
「アイ キャン フラアアアアアアイ!」
「いや、ジズーは飛べないのだろ?」
「うお、びっくりした!」
いつの間にいたんだろう。
「びっくりしたのはボクのほうだぞ。
いきなり叫びだして、変になったのかと思ったぞ!」
「あぁ、うん、そうだね。
ごめん」
「元気が出たのならいいのだ。
昨日までのジズーは見ててほんとに心配だったぞ」
「心配かけてごめんね。
でも大丈夫、完全復活だ!」
「それはよかったぞ!
とりあえずジズーは何か食べたほうがいいんじゃないか?
何も食べてないんじゃないのか?」
「あぁ、たしかに。
言われたらなんかお腹空いてきたかも」
「狩りでもするか?
ボク手伝うぞ?」
「いや、一週間何も食べてなかったからね。
いきなり肉なんて食べたら胃がびっくりしちゃう。
とりあえず適当に果物かなー」
「なるほど、それじゃあ採りにいこう!」
「あ、ちょっと待ってね。
百段たちにも謝ってくるよ。
心配かけちゃったし」
「わかった、じゃあ待ってるぞ」
「ありがとう、ちょっと待っててね」
百段たちはいつもの少し離れた所にいた。
俺は百段たちの元へ行き、頭を下げた。
「百段、桜、椿、心配かけてごめん。
それから、俺を見捨てないで近くにいてくれてありがとう」
「ヒヒーン。(気にするな、俺が好きでこの場に残っただけだ)」
「ヒヒーン。(お気持ちはわかりますわ、私も澪お姉さまに会えなくて寂しいですから)」
「ヒヒーン。(私も雫お姉さまのことを考えますと胸が苦しくなりますわ)」
「……、ありがとね。
これからはどうするの?
一緒にいてくれるの?」
「ヒヒーン。(ああ、お前の行く末を見守ろうと思っている)」
「そっか、それじゃこれからもよろしくね!」
「「「「ヒヒーン!」」」
百段たちとは一生の付き合いになりそうだ。
これ以上情けない姿を晒して幻滅させないようにがんばろう。
というわけで、まずは腹ごしらえということでバハムルと森を散策開始。
百段たちもついてきている。
俺を見守るためにあの場所から動いてなかったようなので、草しか食べてなかったらしい。
あるのかどうかわからないけど、果物を見つけて献上しなければ!
「この森は果物ってあるの?」
「たくさんあるぞ?
ボクは食べないから気にしてないけど、よく見かけると思うぞ!」
「ほー、そうなんだ。
じゃあまずは世界樹の周りから適当に見て回るか」
龍の巣は大陸中央にあり、周囲を山で囲まれ、森は険しく、とても狂暴な最強クラスのモンスターが無数に生息する絶望の地。
そんな風に言われてるらしいけど、目の前の光景をみるとそんな風には思えない。
「なんか木の実とか果物とかすっごいなってるね。
めっちゃ自然の恵み豊かじゃん、絶望の地なんて言えないよ」
「強いモンスターがうじゃうじゃいるからな!
普通はここじゃ生きていけないぞ?」
「でも俺、世界樹のところでずーっとゴロゴロしてたけど、一度もモンスター見てないよ?
なんでなの?」
「世界樹はとても大事だからって、昔父ちゃんが世界樹の周りを荒らすヤツを種族関係なくぶっとばしていったんだってさ。
そしたら世界樹に近づくヤツはいなくなったって言ってたぞ!
でも、全くいないってわけじゃないから、ボクたちドラゴンと天使族が守ってるんだ!」
「なるほどねー、バハムートさんこえー。
んん?天使族?ガイアには天使もいるの?」
「いるぞ!滅多に見かけないけどな!」
「俺さ、この先どうするかまだ決めてないけど、行く所もないし暫くは世界樹の傍で暮らそうって思ってたんだけど……、ダメなのかな?」
「ジズーは世界樹に悪さなんてしないし、管理者様の眷属なんだ。
いいに決まってるぞ!」
「そっか、あーよかったぁ」
「でも天使族はそんなこと知らないから、ジズーを悪者と勘違いして攻撃してくるかもな!」
「えぇぇー、それは困るなぁ。
バハムートさんから天使族に言ってもらうことってできないかな?」
「ボクはそういうのはわかんないけど、父ちゃんには言っとくぞ!
でも一応気をつけてくれよな!」
「わかった、気をつけるよ」
まぁ、悪いことさえしなければ問題ないだろう。
だって天使だもんな。
すごく思い込みが激しくて融通がきかないっていう不安なイメージがあるけど、大丈夫だよな……。
「ま、難しいことはさておき、まずはご飯を食べよう。
せっかくの自然の恵みだから大事にしたいし、とりあえずいろんな種類の果物を少しずつ採っていくけど、百段たちはそれでいい?」
「ヒヒーン。(もちろんだ。様々な果実を食べれるのは俺たちも嬉しい)」
「よし、それじゃ俺が木に登って実をもいで落とすから、百段たちは下で麻袋を広げて受け止めてね」
「ヒヒーン。(任せろ)」
しばらく百段たちと協力して果物を採ってまわった。
十分な量を採ったので、世界樹に戻って食べることにした。
「それじゃ、いただきまーっす」
まずは桃のような果物から……、うん美味しい。
「この森の果物も美味しいなー」
百段たちはすでにガツガツいっている。
よほど果物に飢えていたのか。
立ち直るのに時間がかかって申し訳ない。
「木になる果実なんて美味しくないって思ってたけど、美味しいのか?」
「ん?食ったことないの?」
「ないぞ。
ボクたちは肉を食べる種族だからなー」
「俺もそうだし人間なんかもそうだけど、果物も美味しく感じるよ?
食べたことがないなら試しに食べてみなよ、ほれ」
そう言ってバハムルに桃をカットして渡した。
「むむむ、ジズーが言うなら食べてみるぞ……、えいっ!」
ぱくっ、もぐもぐ……。
すぐに吐き出さないから絶対にムリとかではなさそうだ。
「なあジズー?」
「どうだった?美味しいだろー?」
「うまいなコレ!
それに甘い!
こんなもの初めてだぞ!」
そう言って残りの桃もばくばく食べ始めた。
「あー、ちょっとストップ。
甘いのが気に入ったなら、それをもっと甘くしようか」
「え、そんなことできるのか?
甘くしてほしいのだ!」
「甘みのある果物は、冷やすことで甘さが強くなるんだよ。
でも冷やし過ぎもよくないから少しだけ……、こんなもんでいいかな」
氷魔法で少し冷やした桃をバハムルに渡した。
ちなみに俺も魔法は基本的なものはひと通り使えるようになっている。
あの旅で少しずつ澪と雫に教わっていたからね。
ぱくっ、もぐもぐ……。
「すごいな、ちょっとだけど甘くなってるぞ!
それにひんやりしてて美味しいな!」
「だろー?冷やし過ぎなければ大丈夫だから、今度やってみな?」
「うん、やってみる!
そうだ、今日父ちゃんと母ちゃんにも食べさせてあげたいぞ!
ジズー、果物を少しわけてくれないか?」
「もちろんいいよ、持っていきなー。
馬車に麻袋がまだあるから、それに入れていけばいいよ。
父ちゃんと母ちゃん、喜ぶといいな!」
「うん!
ありがとうジズー!」
夜、世界樹の根本で横になる。
久しぶりにいい気分で眠れそうだ。
寂しさは消えないけど、楽しい事もこれからたくさんあるだろう。
俺はこの世界を楽しもう!
今日が俺の異世界生活のスタートだ!
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