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第一章 世界樹で野良猫生活
バハムルと遊ぼう
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異世界生活をスタートさせたわけだけど、目標は飼い猫生活だ。
野良ではない。
ちゃんとした文化的な生活を送りたい。
でも今は飼い主がいない。
これはしょうがない、今後に期待だ。
次に足りないものは何か。
まずは衣食住。
まずは「衣」だけど、これはモンスターだから必要なし。
着たい服があるなら着てもいいと思うけど、今はそんな服はない。
次に「食」は、世界樹の周りに豊富な果物がある。
果物エリアをさらに外に出るとモンスターがたくさんいるので肉も問題ない。
川もあるので魚だって採れる。
問題は「住」だ。
絶望の地とも呼ばれるこの場所に家なんてあるわけもなく。
今は馬車の中で寝ている。
雨露をしのぐだけなら馬車で十分ではある。
キャンピングカーで寝泊まりしてるようなものだ。
だけど……、うーん。
馬車はあくまで人とか物を運ぶためのものだしなぁ。
物置として使うならわかるけど。
やっぱ家だな、理想は高く持たないと。
まずは家をどうするか考えないと。
猫の家……、うーん。
飼い猫の家って要するに飼い主の家だよな?
飼い主の家ってことは人が暮らせる家ってことになる。
別に一軒家である必要はないよな。
まずはプレハブみたいなのを用意できれば十分じゃないかな。
見方によってはワンルームタイプの部屋と思えなくもない。
でも……、作るのか?
俺が?
いや、作れるのか……?
うーん、こればっかりはやってみないとわかんないな。
土地とかどうなってんだろう。
龍の巣は度の国にも属してないとは聞いたけど、ドラゴンはいるし天使もいるらしいし。
家を建てるにしても誰かの許可とか必要なのかな。
そもそも世界樹の傍に家を建てるのとか許されるのかな。
うーん、これもわからん。
一度バハムートさんに相談したいな。
どこに住んでいるのか聞いておけばよかった。
バハムルが来たら頼んで連れて行ってもらおう。
「おーい、シズー!」
お昼前ぐらいにバハムルがやってきた。
「やあ、バハムル」
「昨日の夜にな、父ちゃんと母ちゃんに果物を食べさせたんだ!
二人とも食べたことなかったから驚いてたぞ!
特に母ちゃんが喜んでた、甘くて美味しいって!」
「おー!そっかそっか。
喜んでもらえてよかったなー!」
「うん!
あとな、冷やすと甘くなるのも驚いてた!
長いこと生きてるけど、そういうことを考えたことすらなかったってさ!」
「え、そうなの?」
人の姿になれるとはいえ、ドラゴンの食事はけっこう原始的なのかな。
うーむ、これは使えるかもな。
「なあバハムル。
ちょっとバハムートさんに相談したいことがあるんだけど、家に連れて行ってもらえないかな?」
「もちろんいいぞ!
でも今はいなくて、日が落ちる頃まで戻ってこないぞ?」
「じゃあその時間にあわせてお邪魔させてもらおうかな。
手ぶらじゃなんだし、何かお土産持っていきたいけど……、何がいいかな」
「父ちゃんは食べることが大好きだから、美味しい肉を持っていけば喜ぶぞ!」
「肉かー。
それならあとで狩りに行くか」
「狩りに行くならボクも一緒に行っていいか?」
「いいよ、一緒に美味しい肉を獲ろうな」
「うん!がんばる!」
「まぁ、その前にご飯にするか。
バハムルはもう食べた?」
「まだ食べてないぞ!
起きてすぐここに来たからな!
ご飯はジズーと食べようと思ってたのだ!」
「そっか、じゃあ一緒に食うか!
今朝魚を獲ってきてるんだけど、それでいい?」
「焼き魚か?」
「うん、シンプルだけど美味しいからねー」
「あれは美味しかった!
大歓迎だ!」
どうやら澪と雫に焼き魚を食べさせてもらって気に入ったみたいだ。
焚き火を用意して串刺しにした魚を焼く。
魚が焼けるまでの間、バハムルは異世界についていろいろ聞いてきた。
好奇心旺盛なバハムルにとって、「異世界」っていうワードは食いつかずにはいられないんだろう。
子供のバハムルが気にいるかはわからないけど、異世界の遊びとして将棋を教えてみようかな。
「バハムル、俺の国で数百年前からある遊びを教えるよ。
一緒にやってみる?」
「異世界の遊び!?
やってみるぞ!」
「よし、じゃあちょっと待ってね」
馬車から将棋を持ってきた。
「まず、いくつか決まりがあってね」
バハムルが人間でいうと何歳ぐらいの子供なのかわからないから、どう教えればいいかちょっと悩んだ。
悩んだけど、結局わからないからひとつずつルールを教えてみた。
教えると意外とあっさりルールを覚えた。
あとは実際にやってみて、ちゃんと理解してるかみてみればいいか。
「それじゃ、実際にやってみよっか」
「わかった!
負けないぞ!」
三十分後――。
「うぐぐぐ!
ま、負けたのだ……」
がっくりとうなだれるバハムル。
あっぶねええええ!
いやいや、バハムル超すげーし!
そりゃ最初はちゃんと理解してもらうように手加減してたけど、慣れてきてからのバハムルは強かった!
俺、最後の方は普通にマジだったし。
ドラゴンが頭がいいのかバハムルが頭がいいのか……。
まぁ、どっちなのかはわからないけど、バハムルがすごいことには変わらない。
「いや、バハムルはすごいなー。
最初は慣れてもらうために手加減してたんだけど、最後の方は俺本気だったよ。
バハムルは初めてなのにすごいなー」
「褒められるのは嬉しいけど負けたのは悔しいのだ。
だけど、この遊びは面白いな!」
おー、バハムルは頭使う系の遊びを楽しめるタイプか、よかったよかった。
「こういう頭を使う遊びも面白いよね。
いろんなことをたくさん考える遊びだから頭が良くなるんだ」
「おお、そうなのか、それはいいな!
よし、もう一回やるのだ!」
それから二回やった。
二回目は最初から本気でやって勝ち、三回目はかなりギリギリで勝った。
三回目はバハムルに勝たせようかなと思ったけど、そういった気配を感じたのかどうかはわかんないけど、わざと負けたりはしないでと言われたのでがんばった。
「ぐぬぬぬ!
勝てないのだ……。
どうして負けてしまうのだ……」
「俺は何年も前からこの遊びを知ってるからね。
今回は経験の差で勝てたって感じかなー」
「うーむ、経験か」
「俺もこの遊びの専門家じゃないからわかんないけどさ。
なんで負けたのか、どうやったら勝てるのかいろいろ考えて、考えたことを実際に試してみて、また考えて。
そういうのを繰り返していけば強くなると思うし、その結果頭もよくなっていくと思うよ」
「そっか、なるほど!」
「体を動かす遊びと違って場所も取らないし、時間さえあればいつでもできるからね。
暇な時なんかに遊んだりするといいさ」
「わかった!そうするのだ!
……あっ、でもこれは異世界の遊びなんだよな?
この板と駒はガイアにはないんじゃないか?」
「あー……、そういえばそうだった。
じゃあこれをあげ――いや、これはとりあえずで作ったやつだから……。
ちゃんとしたやつを作ってあげるよ。
今日は時間がもうあんまりないから明日以降でもいい?」
「もちろんだ!嬉しいぞ!
ありがとうジズー!」
「とりあえず今日はそろそろ狩りに行こうか。
狩りが終わる頃にちょうどいい時間になってるんじゃないかな」
「わかった!
狩りならボク得意だぞ!
がんばるぞ!」
「おーい百段!
これから狩りにいってそのままバハムートさんに会いに行ってくるよ。
遅くなるかもしれないけど心配しなくて大丈夫だからね。
もし何かあったら連絡するよ」
「ヒヒーン。(わかった)」
「よっし、それじゃ行くか!」
俺とバハムルは気合を入れて狩りへ向かった。
がんばって美味しい肉を獲るぞ!
野良ではない。
ちゃんとした文化的な生活を送りたい。
でも今は飼い主がいない。
これはしょうがない、今後に期待だ。
次に足りないものは何か。
まずは衣食住。
まずは「衣」だけど、これはモンスターだから必要なし。
着たい服があるなら着てもいいと思うけど、今はそんな服はない。
次に「食」は、世界樹の周りに豊富な果物がある。
果物エリアをさらに外に出るとモンスターがたくさんいるので肉も問題ない。
川もあるので魚だって採れる。
問題は「住」だ。
絶望の地とも呼ばれるこの場所に家なんてあるわけもなく。
今は馬車の中で寝ている。
雨露をしのぐだけなら馬車で十分ではある。
キャンピングカーで寝泊まりしてるようなものだ。
だけど……、うーん。
馬車はあくまで人とか物を運ぶためのものだしなぁ。
物置として使うならわかるけど。
やっぱ家だな、理想は高く持たないと。
まずは家をどうするか考えないと。
猫の家……、うーん。
飼い猫の家って要するに飼い主の家だよな?
飼い主の家ってことは人が暮らせる家ってことになる。
別に一軒家である必要はないよな。
まずはプレハブみたいなのを用意できれば十分じゃないかな。
見方によってはワンルームタイプの部屋と思えなくもない。
でも……、作るのか?
俺が?
いや、作れるのか……?
うーん、こればっかりはやってみないとわかんないな。
土地とかどうなってんだろう。
龍の巣は度の国にも属してないとは聞いたけど、ドラゴンはいるし天使もいるらしいし。
家を建てるにしても誰かの許可とか必要なのかな。
そもそも世界樹の傍に家を建てるのとか許されるのかな。
うーん、これもわからん。
一度バハムートさんに相談したいな。
どこに住んでいるのか聞いておけばよかった。
バハムルが来たら頼んで連れて行ってもらおう。
「おーい、シズー!」
お昼前ぐらいにバハムルがやってきた。
「やあ、バハムル」
「昨日の夜にな、父ちゃんと母ちゃんに果物を食べさせたんだ!
二人とも食べたことなかったから驚いてたぞ!
特に母ちゃんが喜んでた、甘くて美味しいって!」
「おー!そっかそっか。
喜んでもらえてよかったなー!」
「うん!
あとな、冷やすと甘くなるのも驚いてた!
長いこと生きてるけど、そういうことを考えたことすらなかったってさ!」
「え、そうなの?」
人の姿になれるとはいえ、ドラゴンの食事はけっこう原始的なのかな。
うーむ、これは使えるかもな。
「なあバハムル。
ちょっとバハムートさんに相談したいことがあるんだけど、家に連れて行ってもらえないかな?」
「もちろんいいぞ!
でも今はいなくて、日が落ちる頃まで戻ってこないぞ?」
「じゃあその時間にあわせてお邪魔させてもらおうかな。
手ぶらじゃなんだし、何かお土産持っていきたいけど……、何がいいかな」
「父ちゃんは食べることが大好きだから、美味しい肉を持っていけば喜ぶぞ!」
「肉かー。
それならあとで狩りに行くか」
「狩りに行くならボクも一緒に行っていいか?」
「いいよ、一緒に美味しい肉を獲ろうな」
「うん!がんばる!」
「まぁ、その前にご飯にするか。
バハムルはもう食べた?」
「まだ食べてないぞ!
起きてすぐここに来たからな!
ご飯はジズーと食べようと思ってたのだ!」
「そっか、じゃあ一緒に食うか!
今朝魚を獲ってきてるんだけど、それでいい?」
「焼き魚か?」
「うん、シンプルだけど美味しいからねー」
「あれは美味しかった!
大歓迎だ!」
どうやら澪と雫に焼き魚を食べさせてもらって気に入ったみたいだ。
焚き火を用意して串刺しにした魚を焼く。
魚が焼けるまでの間、バハムルは異世界についていろいろ聞いてきた。
好奇心旺盛なバハムルにとって、「異世界」っていうワードは食いつかずにはいられないんだろう。
子供のバハムルが気にいるかはわからないけど、異世界の遊びとして将棋を教えてみようかな。
「バハムル、俺の国で数百年前からある遊びを教えるよ。
一緒にやってみる?」
「異世界の遊び!?
やってみるぞ!」
「よし、じゃあちょっと待ってね」
馬車から将棋を持ってきた。
「まず、いくつか決まりがあってね」
バハムルが人間でいうと何歳ぐらいの子供なのかわからないから、どう教えればいいかちょっと悩んだ。
悩んだけど、結局わからないからひとつずつルールを教えてみた。
教えると意外とあっさりルールを覚えた。
あとは実際にやってみて、ちゃんと理解してるかみてみればいいか。
「それじゃ、実際にやってみよっか」
「わかった!
負けないぞ!」
三十分後――。
「うぐぐぐ!
ま、負けたのだ……」
がっくりとうなだれるバハムル。
あっぶねええええ!
いやいや、バハムル超すげーし!
そりゃ最初はちゃんと理解してもらうように手加減してたけど、慣れてきてからのバハムルは強かった!
俺、最後の方は普通にマジだったし。
ドラゴンが頭がいいのかバハムルが頭がいいのか……。
まぁ、どっちなのかはわからないけど、バハムルがすごいことには変わらない。
「いや、バハムルはすごいなー。
最初は慣れてもらうために手加減してたんだけど、最後の方は俺本気だったよ。
バハムルは初めてなのにすごいなー」
「褒められるのは嬉しいけど負けたのは悔しいのだ。
だけど、この遊びは面白いな!」
おー、バハムルは頭使う系の遊びを楽しめるタイプか、よかったよかった。
「こういう頭を使う遊びも面白いよね。
いろんなことをたくさん考える遊びだから頭が良くなるんだ」
「おお、そうなのか、それはいいな!
よし、もう一回やるのだ!」
それから二回やった。
二回目は最初から本気でやって勝ち、三回目はかなりギリギリで勝った。
三回目はバハムルに勝たせようかなと思ったけど、そういった気配を感じたのかどうかはわかんないけど、わざと負けたりはしないでと言われたのでがんばった。
「ぐぬぬぬ!
勝てないのだ……。
どうして負けてしまうのだ……」
「俺は何年も前からこの遊びを知ってるからね。
今回は経験の差で勝てたって感じかなー」
「うーむ、経験か」
「俺もこの遊びの専門家じゃないからわかんないけどさ。
なんで負けたのか、どうやったら勝てるのかいろいろ考えて、考えたことを実際に試してみて、また考えて。
そういうのを繰り返していけば強くなると思うし、その結果頭もよくなっていくと思うよ」
「そっか、なるほど!」
「体を動かす遊びと違って場所も取らないし、時間さえあればいつでもできるからね。
暇な時なんかに遊んだりするといいさ」
「わかった!そうするのだ!
……あっ、でもこれは異世界の遊びなんだよな?
この板と駒はガイアにはないんじゃないか?」
「あー……、そういえばそうだった。
じゃあこれをあげ――いや、これはとりあえずで作ったやつだから……。
ちゃんとしたやつを作ってあげるよ。
今日は時間がもうあんまりないから明日以降でもいい?」
「もちろんだ!嬉しいぞ!
ありがとうジズー!」
「とりあえず今日はそろそろ狩りに行こうか。
狩りが終わる頃にちょうどいい時間になってるんじゃないかな」
「わかった!
狩りならボク得意だぞ!
がんばるぞ!」
「おーい百段!
これから狩りにいってそのままバハムートさんに会いに行ってくるよ。
遅くなるかもしれないけど心配しなくて大丈夫だからね。
もし何かあったら連絡するよ」
「ヒヒーン。(わかった)」
「よっし、それじゃ行くか!」
俺とバハムルは気合を入れて狩りへ向かった。
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