異世界で猫に転生した俺は、理想の飼い猫生活を目指す

にゃんこ先生

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第二章 野望のはじまり

穏やかな日々

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 朝、目が覚める。
 思いっきり背伸びをする。
 うーん、よく寝た。
 部屋の窓から外を見ると、薫子さんとバハムルがすでに畑にいた。
 二人は毎日朝早くから畑にいる。
 野菜を育てるのが楽しくて仕方がないみたいだ。
 畑から芽が出た時は感動で泣いていた。
 薫子さんとバハムルは、基本的に俺たちの中で一番朝が早い。
 その次はだいたい俺が目が覚める。
 その次はクリスとレオとロナのドラゴンスリートップ。
 クリスとレオは朝は弱いイメージだったけど、そこはさすがは執事見習い。
 きっちり教育されてたようだ。
 で、澪がその後に起きる。
 そして雫とフランの二人。
 この二人がとても面倒で、どっちもすごく朝が弱い。
 普通に起こしてもまず起きない。
 逃亡の旅の間は、澪が雫の背中に氷を入れて起こしていた。
 毎日朝から魔法を使うのが面倒だと、澪がブーブー言っていた。
 フランはそれでも起きない。
 何をしても起きない。
 だけど、食べ物の匂いで起きてくる。
 だから朝食の時間まではフランは放置するということに決まった。
 一番堅苦しくてキッチリしてるはずの天使がこれだからなぁ。
 仲間といると息が詰まりそうになるから一人でいることが多かったと言っていたけど、それも納得だ。

 雫が起きたら、ご飯の前に百段たちと散歩をする。
 散歩のメンバーは俺と澪と雫と百段たちだ。
 澪と雫は桜と椿とスキンシップをとりながら散歩をする。
 俺は百段と話しながら散歩をする。
 散歩ついでに百段たちのご飯の果物を採って、家に帰る。
 家に帰ったら澪と雫が朝ご飯を作る。
 今朝はご飯と焼き魚のようだ。
 澪と雫がお米を大量に持ち込んでくれたのでご飯が食べられるけど、当然いつかはなくなる。
 出来るだけ早く米作りをしたいものだ。
 ちなみに、澪と雫が作るご飯は、当然俺が作るよりも美味しい。
 みんなに大好評だ。
 クリスとレオとフランは、最初の方は泣きながら食べていた。
 ロナは二人から料理を教わっている。
 料理を覚えて竜族の生活に取り入れる、ロナがここに来た理由の一つだ。
 元々優秀なメイドさんだし、すぐに料理上手になるんじゃないかな。
 朝食をとった後は、みんなで今日やることを確認し合った後、用事がなけれみんな畑に出る。
 といっても、とくにやることなんてなく、適当に過ごす。
 澪と雫は観察日記的なものをつけている。
 ロナはその手伝いだ。
 フランは何もせず、ぼーっと日向ぼっこ。
 薫子さんとバハムルは臨戦態勢で、害虫や鳥がいつ来てもいいように備えてる。
 うん……、この二人はちょっとそろそろ止めないとだ……。
 俺はそんな二人と話したり、澪たちに混ざって話し込んだり、フランと一緒にぼーっとしたり、日によって気まぐれに過ごしている。

 人間の国では食事は朝と夜の二回が普通だけど、俺たちは昼食もとっている。
 日本人だからね、そういう風に生きてきたからしょうがない。
 とはいえ、昼は軽めの食事だ。
 サラダと果物とか、そういう感じの昼食がほとんどだ。
 昼食をとったら、薫子さんは一旦神界に戻る。
 ガイアに問題がないかチェックするためらしい。
 下界にいてもだいたいは把握できるらしいけど、細かい部分は上じゃないとわからないみたいだ。
 バハムルは午後からは人化の魔法の練習をする。
 練習と言っても、ひたすらイメージし続けるだけみたいだけど。
 竜族は、明確なイメージさえできれば、魔力で魔法として具現化させることができるみたいだ。
 澪によると、これはとてもすごいことらしい。
 澪と雫はイメージはできても具現化できることとできないことがある。
 これが所謂適正というものらしい。
 人間の場合は人によって適正があって、適正のないものについてはどんなに努力してもイメージを明確にしても無駄とのこと。
 澪は雫みたいに回復の魔法とか使えないし、雫は澪みたいにいろんな攻撃魔法を使えない。
 これは、人間だけじゃなく、竜族以外の種族全部に当てはまる。
 天使もそうらしい。
 ちなみに俺は、どうやら竜族と同じみたいだ。
 今の所、イメージした魔法が使えなかったことは一度もなかったりする。
 これは薫子さんパワーなんだろう。
 それなら俺は、魔法で飛べるんじゃないかと思ってやってみたけど、飛んでる自分がいまいちイメージできなくて、まだ飛べていない。
 バハムルが人化の魔法で苦戦してるのはこういうことなんだなって理解できた。
 ちなみにクリスとレオは護衛のように、常に薫子さんとバハムルの傍にいる。
 薫子さんが上に行ってる時は、俺とバハムルの傍にいる。
 そしてフランはその辺で寝ている。
 おい駄天使、お前俺の監視じゃないんかい。

 日が落ち始める頃、薫子さんは戻ってくる。
 会社から帰ってくるお父さんみたいだ。
 家主だし。
 夕食は基本肉とサラダだ。
 竜族の方々が一番テンションが上がる時である。
 死ぬまでずっと毎食ステーキでいいとか言ってたっけ。
 まぁ、ここにいる限り、澪と雫がそんな健康に良くなさそうなことは許さないだろうけど。
 肉を貪り食った後はそのままみんなでおしゃべり。
 しばらく話した後は各自適当に過ごす。
 俺とバハムルはたいてい将棋勝負をしている。
 今やバハムルは俺の良きライバルとなっていて、通算成績もほぼ五分だったりする。
 これで子供なんだもんな、恐るべしバハムル。
 たまに薫子さんとフランが参加することもある。
 薫子さんはわからないでもないけど、フランが将棋に興味を示したのは正直驚いた。
 俺の勝手なイメージだけど、フランは面倒くさがり系脳筋だと思っていた。
 でも思い返してみると、堅物系天使の上司を説得してたし、けっこう頭脳派なとこもあるのかも。
 ちなみにフランは隠れ負けず嫌いなようで、負けるといじける。
 そんなフランをバハムルは容赦なく負かす。
 そしていじけるフランを俺が必死に慰める。
 これがすっごく面倒くさい。
 フランには早く強くなってもらいたいものだ。
 そしてバハムルにも、空気を読むということを知ってほしいなぁと思った。
 お風呂もこの時間から順番に入っていく。
 特に順番を決めているわけじゃないけど、女性陣が先に入って、女性陣が全員入り終わったのを確認してから男性陣が入る。
 俺はいつもバハムルと入っている。

 こんな感じで一日を過ごして眠りにつく。
 正直、ガイアで転生した時は、澪たちを日本に戻した後はどうなるのかなって不安だった。
 それが、こんな穏やかな暮らしができるなんて、猫生はわからないものだ。
 俺は今、とても幸せだなぁ。
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