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第二章 野望のはじまり
いきなり問題発生
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翌日、朝食をとった後、俺たちはサッカーボールを持って、外で遊んでいる子供たちを探した。
が、街中を探しても遊んでいる子供が見当たらない。
というより、公園や空き地のような、子供が遊べるような場所すらなかった。
俺は嫌な予感がした。
「ごめん、ちょっと適当に店を数件覗いてみてもいい?」
「だね、見てみよう」
俺たちは店を数件見て回った。
ついでに露店もチェックした。
もうほぼ確定だけど、念の為街の外に出て農作業中の農家を見てみた。
うん、間違いなさそうだ。
「よく考えれば気づくことだったと思うけど、どうも俺たちはまだ現代日本の考え方をしちゃうね」
「そうだね、このくらいの文明レベルだと、子供も立派な労働力として扱われるよね」
「お店でも農地でも子供が手伝ってたね~」
「ガイアワールドカッププロジェクト、いきなりピンチだ。
どうしよう……」
「「「「……」」」」
みんな黙り込む。
「まぁ、あっしらが考えてもまたいろいろ見落とすっしょ。
ここにいるのは、最近世界樹で暮らすようになったガイアの管理者。
元異世界の人間で、世界樹で暮らすガイアの管理者の眷属。
異世界から召喚されて人間の英雄の能力を持たされて、人間の国から逃げて世界樹で暮らす人間二人。
最近世界樹で暮らすようになった、龍の巣に居を構える竜王の子供と家臣三人。
世界樹の監視として常駐するようになった天使族。
みーんなガイアの常識の外の存在っしょ。
ガイアの普通の暮らしとか常識とか、そもそもわかるわけないし」
「「「「……」」」」
さらに黙り込む俺たち。
「っつーわけで、あっしらだけで考えないで、実際に街で暮らす人に協力してもらうし。
ジズー、おっけー?」
「あ、うん。
もちろんオッケーだよ。
さすがフラン、サッカーのこととなるとガチだね」
「当然だし。
絶対普及させるし。
っつーわけで、あのギルドマスター二人に協力してもらうし」
「ギルドマスターなんだから忙しいんじゃないの?
こんな思いっきり俺たちの自己満足なことに協力してもらうのは悪い気がするんだけど」
「聞くだけ聞けばいいんだし。
忙しくてムリならそう言うっしょ。
そん時は違う人探せばいいし」
「まぁ、そうなんだけど……」
「聞くだけ聞いてみようか、ジズー。
忙しくてムリそうなら誰か別の人紹介してもらうとかでも十分助かるしさ」
「うーん、じゃあそうしようか」
というわけで、俺たちは商人ギルドへ向かった。
「かくかくしかじかというわけなんです」
「なるほど、まるまるうまうまというわけなんですね」
俺たちの相談を快く受けてくれたアキナさんに話を聞いてもらった。
「子供が働かないのが当たり前とは……、ジズー様のいた世界はとても裕福な世界なのですね」
「もちろんそうではない地域もありました。
比較的貧しい地域では、失礼ですがガイアと同じように子供は親を手伝うのが普通でしたし」
「なるほど……。
そういった地域でもサッカーは当然のように知られていて、貧しさから抜け出すためにサッカーをすることも珍しくはないと……。
これはつまり、サッカーでお金が稼げる仕組みがあるということですか?」
「はい、トップレベルの選手は驚くほどの大金を稼いでました。
Sランク冒険者の稼ぎがすごいのと同じような感じですかね」
「なるほど……。
ではガイアでもサッカーでお金が稼げる、一攫千金レベルの夢がある、といったような、仕事を手伝わせるよりもサッカーをさせる価値があればいいのではないでしょうか。
その仕組をガイアでも確立するためには時間もお金もかかると思いますが……」
「時間はこつこつがんばるとして、問題はお金よね。
大会の賞金を出すならまだしも、サッカー選手の給料全部を私たちが払うなんて絶対ムリだし」
澪の言う通り、俺たちがお金を全て用意するのは非現実的すぎる。
「クラブチームの収入ってどういうのがあるんだっけ?」
「入場料に試合ボーナスと勝利ボーナス。
あとはガイアではムリだけど放映権。
それからスポンサー契約料とかグッズの売上とか興行収入とか?
思いつくのはそのくらいかな」
「うーん、うまくやればガイアでも選手に給料を出せるくらいまではいけるか……?」
「ヨーロッパとかだとギャンブルの対象になってるよね~。
貴族とか王族を対象にするといいかも?」
「なるほど、運営資金をそういうところから集めるのはありだね」
「おっしゃる通り、王族貴族からお金を集めるのはできると思います。
娯楽に飢えてらっしゃいますからね。
サッカーの人気が高まれば、自分のチームを持ったり、チームに投資したりする王族貴族も出てくるでしょう。
そのためには、まずはサッカーというものを誰でも知っているレベルにする必要があります」
「まずは知名度優先ってことですか。
それは可能でしょうか?」
「まずは賞金が出る大会を開き、サッカーというものを宣伝すると同時に、お金になるという認識を持ってもらうのはどうでしょうか?
最初の大会は、サッカーというものは知らないけど、賞金が出るから参加するという人だけが参加するので、ちゃんとした大会にはならないでしょう。
しかし、大会を定期的に開催すると宣言しておけば、次回賞金を手に入れるためにサッカーの練習をして大会に臨む人たちも出てくるはずです。
そして、そういう人たちが賞金を手に入れたら、後に続く人たちもたくさん出てくるでしょう。
ちゃんとしたサッカーの大会といえるほどになれば、王族貴族に宣伝して興味を持ってもらい、賭けをしてもらいましょう。
それを、まずはこの街の規模で始めるのがよろしいかと思います」
「な、なるほど……」
「コロさんはどう思われますか?」
「俺か?
俺は難しいことはわかんねーが、いいんじゃねーか?
ただまぁ、大人と子供は分けるべきだとは思うがな。
子供にもサッカーをさせたいなら子供だけで金を稼げねーと意味がねえ。
子供だけの大会があれば、親もサッカーをやらせやすいんじゃねーかな。
あとはまぁ、最初はなるべく冒険者が参加しやすいようにしたほうがいいだろうな」
「子供のみの大会は確かに必要ですね。
冒険者が参加しやすいようにというのはなぜですか?」
「冒険者の間でサッカーが広まれば、ここにいる冒険者は各国から集まってるから、各自国に戻った時にサッカーの大会のことなんかを土産話として話すこともあるだろう。
冒険者が自然と、サッカーを世界中に広めてくれることになるかもしれん」
「おおー、なるほど!」
「ただ、定期的に賞金がある大会を開くとなると、相当なお金が必要となります。
現実的ではないですね」
アキナさんはそう言うが、俺はいい案だと思った。
「お金はなんとかします!
どうしようもなくなればデリ肉を売るという手もありますし!」
「デリ肉とはなんでしょうか?」
「あ、すいません。
デリシャスミートのことです。
過去にデリシャスミートを巡って戦争が起こったこともあると聞いたので、結構なお金になりますよね?」
「ででで、デリシャスミートですか!?」
「はい、龍の巣でちらほらと見かけるので、ありかなーと思ったのですが」
「しかも龍の巣産!?」
「おいおいジズー、マジなのか?
マジで龍の巣産のデリシャスミートを用意できんのか?」
「え、ええ。
できると思いますけど……」
「マジかこいつ……。
龍の巣産のデリシャスミートなんて買い取れるやつなんてたぶんいねーぞ?
値段なんて付けられん。
それほどの価値があるものだ」
「ええーっ!
そんなになんですか……」
「なるほど……、どうやら黒猫商会様はお金の心配は必要ないようですね。
でしたら、私に協力できることがあればいつでもおっしゃってください。
サッカーの普及、私もお手伝い致します」
「じゃあ俺は、大会が開かれたら参加して盛り上げてやるぞ。
賞金はしっかり頂くがな!」
「ありがとうございます!
今日のお話を参考にして、また少し考えてみます」
サッカーを普及させるのは、思っていたよりも難しそうだ。
クリアしないといけない問題が次から次へと出てくるだろう。
でも、まずはこの街から始めてみよう。
まず最初の目標は、サッカー大会の開催だ!
が、街中を探しても遊んでいる子供が見当たらない。
というより、公園や空き地のような、子供が遊べるような場所すらなかった。
俺は嫌な予感がした。
「ごめん、ちょっと適当に店を数件覗いてみてもいい?」
「だね、見てみよう」
俺たちは店を数件見て回った。
ついでに露店もチェックした。
もうほぼ確定だけど、念の為街の外に出て農作業中の農家を見てみた。
うん、間違いなさそうだ。
「よく考えれば気づくことだったと思うけど、どうも俺たちはまだ現代日本の考え方をしちゃうね」
「そうだね、このくらいの文明レベルだと、子供も立派な労働力として扱われるよね」
「お店でも農地でも子供が手伝ってたね~」
「ガイアワールドカッププロジェクト、いきなりピンチだ。
どうしよう……」
「「「「……」」」」
みんな黙り込む。
「まぁ、あっしらが考えてもまたいろいろ見落とすっしょ。
ここにいるのは、最近世界樹で暮らすようになったガイアの管理者。
元異世界の人間で、世界樹で暮らすガイアの管理者の眷属。
異世界から召喚されて人間の英雄の能力を持たされて、人間の国から逃げて世界樹で暮らす人間二人。
最近世界樹で暮らすようになった、龍の巣に居を構える竜王の子供と家臣三人。
世界樹の監視として常駐するようになった天使族。
みーんなガイアの常識の外の存在っしょ。
ガイアの普通の暮らしとか常識とか、そもそもわかるわけないし」
「「「「……」」」」
さらに黙り込む俺たち。
「っつーわけで、あっしらだけで考えないで、実際に街で暮らす人に協力してもらうし。
ジズー、おっけー?」
「あ、うん。
もちろんオッケーだよ。
さすがフラン、サッカーのこととなるとガチだね」
「当然だし。
絶対普及させるし。
っつーわけで、あのギルドマスター二人に協力してもらうし」
「ギルドマスターなんだから忙しいんじゃないの?
こんな思いっきり俺たちの自己満足なことに協力してもらうのは悪い気がするんだけど」
「聞くだけ聞けばいいんだし。
忙しくてムリならそう言うっしょ。
そん時は違う人探せばいいし」
「まぁ、そうなんだけど……」
「聞くだけ聞いてみようか、ジズー。
忙しくてムリそうなら誰か別の人紹介してもらうとかでも十分助かるしさ」
「うーん、じゃあそうしようか」
というわけで、俺たちは商人ギルドへ向かった。
「かくかくしかじかというわけなんです」
「なるほど、まるまるうまうまというわけなんですね」
俺たちの相談を快く受けてくれたアキナさんに話を聞いてもらった。
「子供が働かないのが当たり前とは……、ジズー様のいた世界はとても裕福な世界なのですね」
「もちろんそうではない地域もありました。
比較的貧しい地域では、失礼ですがガイアと同じように子供は親を手伝うのが普通でしたし」
「なるほど……。
そういった地域でもサッカーは当然のように知られていて、貧しさから抜け出すためにサッカーをすることも珍しくはないと……。
これはつまり、サッカーでお金が稼げる仕組みがあるということですか?」
「はい、トップレベルの選手は驚くほどの大金を稼いでました。
Sランク冒険者の稼ぎがすごいのと同じような感じですかね」
「なるほど……。
ではガイアでもサッカーでお金が稼げる、一攫千金レベルの夢がある、といったような、仕事を手伝わせるよりもサッカーをさせる価値があればいいのではないでしょうか。
その仕組をガイアでも確立するためには時間もお金もかかると思いますが……」
「時間はこつこつがんばるとして、問題はお金よね。
大会の賞金を出すならまだしも、サッカー選手の給料全部を私たちが払うなんて絶対ムリだし」
澪の言う通り、俺たちがお金を全て用意するのは非現実的すぎる。
「クラブチームの収入ってどういうのがあるんだっけ?」
「入場料に試合ボーナスと勝利ボーナス。
あとはガイアではムリだけど放映権。
それからスポンサー契約料とかグッズの売上とか興行収入とか?
思いつくのはそのくらいかな」
「うーん、うまくやればガイアでも選手に給料を出せるくらいまではいけるか……?」
「ヨーロッパとかだとギャンブルの対象になってるよね~。
貴族とか王族を対象にするといいかも?」
「なるほど、運営資金をそういうところから集めるのはありだね」
「おっしゃる通り、王族貴族からお金を集めるのはできると思います。
娯楽に飢えてらっしゃいますからね。
サッカーの人気が高まれば、自分のチームを持ったり、チームに投資したりする王族貴族も出てくるでしょう。
そのためには、まずはサッカーというものを誰でも知っているレベルにする必要があります」
「まずは知名度優先ってことですか。
それは可能でしょうか?」
「まずは賞金が出る大会を開き、サッカーというものを宣伝すると同時に、お金になるという認識を持ってもらうのはどうでしょうか?
最初の大会は、サッカーというものは知らないけど、賞金が出るから参加するという人だけが参加するので、ちゃんとした大会にはならないでしょう。
しかし、大会を定期的に開催すると宣言しておけば、次回賞金を手に入れるためにサッカーの練習をして大会に臨む人たちも出てくるはずです。
そして、そういう人たちが賞金を手に入れたら、後に続く人たちもたくさん出てくるでしょう。
ちゃんとしたサッカーの大会といえるほどになれば、王族貴族に宣伝して興味を持ってもらい、賭けをしてもらいましょう。
それを、まずはこの街の規模で始めるのがよろしいかと思います」
「な、なるほど……」
「コロさんはどう思われますか?」
「俺か?
俺は難しいことはわかんねーが、いいんじゃねーか?
ただまぁ、大人と子供は分けるべきだとは思うがな。
子供にもサッカーをさせたいなら子供だけで金を稼げねーと意味がねえ。
子供だけの大会があれば、親もサッカーをやらせやすいんじゃねーかな。
あとはまぁ、最初はなるべく冒険者が参加しやすいようにしたほうがいいだろうな」
「子供のみの大会は確かに必要ですね。
冒険者が参加しやすいようにというのはなぜですか?」
「冒険者の間でサッカーが広まれば、ここにいる冒険者は各国から集まってるから、各自国に戻った時にサッカーの大会のことなんかを土産話として話すこともあるだろう。
冒険者が自然と、サッカーを世界中に広めてくれることになるかもしれん」
「おおー、なるほど!」
「ただ、定期的に賞金がある大会を開くとなると、相当なお金が必要となります。
現実的ではないですね」
アキナさんはそう言うが、俺はいい案だと思った。
「お金はなんとかします!
どうしようもなくなればデリ肉を売るという手もありますし!」
「デリ肉とはなんでしょうか?」
「あ、すいません。
デリシャスミートのことです。
過去にデリシャスミートを巡って戦争が起こったこともあると聞いたので、結構なお金になりますよね?」
「ででで、デリシャスミートですか!?」
「はい、龍の巣でちらほらと見かけるので、ありかなーと思ったのですが」
「しかも龍の巣産!?」
「おいおいジズー、マジなのか?
マジで龍の巣産のデリシャスミートを用意できんのか?」
「え、ええ。
できると思いますけど……」
「マジかこいつ……。
龍の巣産のデリシャスミートなんて買い取れるやつなんてたぶんいねーぞ?
値段なんて付けられん。
それほどの価値があるものだ」
「ええーっ!
そんなになんですか……」
「なるほど……、どうやら黒猫商会様はお金の心配は必要ないようですね。
でしたら、私に協力できることがあればいつでもおっしゃってください。
サッカーの普及、私もお手伝い致します」
「じゃあ俺は、大会が開かれたら参加して盛り上げてやるぞ。
賞金はしっかり頂くがな!」
「ありがとうございます!
今日のお話を参考にして、また少し考えてみます」
サッカーを普及させるのは、思っていたよりも難しそうだ。
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