異世界で猫に転生した俺は、理想の飼い猫生活を目指す

にゃんこ先生

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第二章 野望のはじまり

役割分担

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 サッカーを普及する方法については、これからアキナさんとよく相談して考えていくことにした。
 次にやらないといけないこと。
 それはサッカーボールを量産できるようにすること。
 サッカーを普及させるには、ボールがないと話にならない。
 今回は、ケモッセオの子供とボール遊びをするだけの予定だったので、ボールは澪たちが地球から持ってきた十二個を持ってきた。
 でも、ガイアにサッカーを普及させるなら、ボールをどの街でも買えないとだめだ。
 しかも安く。
 前に一度、サッカーボールを作ろうと思ったけど、ゴムがないので作れなかった。
 風魔法で空気の球を作り、それに革を貼り付けていくような感じで作ったけど、当然だけどあまり跳ねなかった。
 やはりボールにはゴムが必要だ。
 龍の巣でゴムの木を探してみたけど、見つけられなかった。
 森を全部くまなく探したわけではないから絶対とは言えないけど、龍の巣にゴムの木はないのかもしれない。
 ガイアでゴムの木はどこにあるのかアキナさんに聞いた所、ガイアにゴムはないという。
 ただ、エルフが伸びる素材を使っていると聞いたことがあるらしい。
 まだゴムが普及していないだけで、エルフの国ではゴムはあるのかもしれない。
 もしそうなら、エルフの協力が絶対に必要だ。
 なので、俺たちはエルフの国に行くことにした。
「エルフやエルフの国のこと、誰か詳しい人いる?」
「すいません、竜族は他種族と交流がないのでわかんないっす」
「父ちゃんが、あやつらは頭が固いって言ってたのを聞いたことがあるぞ!」
「頭が固い……か」
「エルフの国のことはわかんないけど、エルフについてはバハムルの言う通りだし。
 一言で言うと、堅物。
 天使族みたいなもんだし」
「やっぱりそうなんだ。
 そのへんはイメージ通りか」
「冒険者ギルドとか酒場に行けばエルフの人いるんじゃない?
 エルフに直接教えてもらおうよ」
「そうだね、そうしよっか」
 最初に冒険者ギルドに行ってみたが、エルフはいなかった。
 なので酒場に行った。
 酒場に入ってエルフを探すと、お酒を片手にサラダを貪り食うエルフの男を見つけた。
「いたね、なんかめっちゃサラダ食ってるけど」
「うん、なんだか話しかけるのが躊躇われるね」
「んなの関係ないし。
 あっしが聞いてくるわ。
 そこで話聞いとくし」
 そう言ってフランはエルフの隣の椅子に座って話しかけた。
「あんさー、ちょっと聞きたいことあんだけど、いいし?」
「……、なんですかあたなは――天使っ!?」
 フランの羽を見てびびるエルフ。
「あー、そんな身構えんなし。
 ちょい店員さーん。
 この人にこの店で一番高い酒を出すし」
「はーい、かしこまりましたー」
 そこは別に普通のお酒でいいだろフラン。
 なんで一番高いお酒なんだ?
 見栄か?
「奢るし。
 だからちょい教えて欲しいことあるし」
「いいんですか?
 わかりました、なんですか?」
 最初は警戒心バリバリだったエルフだけど、なんだかんだでフランは美人だし、格好はエロいし、良いお酒も奢ってもらったしってことで、素直に質問に答えてくれるエルフ。
 視線が頻繁に胸元や太ももあたりにいってるけど、まぁフランはそのへんわかってるんだろうなぁ。
 いちいち大げさに頻繁に足とか組み直してるし。
 天使的にそういうのはアリなのか?
 まぁ、フランだからなんでもアリなんだろうけど。
 そうこうしてるうちに、聞きたいことを聞いたフランは席を立つ。
「あんがとね、とりまエルフの国の王都のエルフィニアだっけ?
 そこに行ってみるし」
「ええ、こちらも良いお酒をありがとうございます」
 話を終えてフランが戻ってきた。
「最大限にその格好を活かしてきたねーフラン」
 澪がニヤニヤしながらからかう。
「エルフにも通じるあっしの色気やばし」
「あのエルフは普段のフランを知らないっすからね!」
「うっさいし!」
「ぐはっ!」
 フランのリバーブローがクリスに突き刺さる。
「さすがにリバーはきついっす……」
 エルフから聞けたのは、エルフの国でゴムは作られているということと、ゴムの木はエルフの国にしかないということと、エルフの国はゴムを国外に持ち出すのを禁じているということ。
 サッカーボールにゴムを使って、そのボールをガイア中で安く買えるようするにはエルフの協力が必要だけど、協力を得るのはかなり厳しそうだ。
「どうしようか。
 ひとまずエルフの国にいってみる?」
「みんなで行かなくてもいいっしょ。
 てかあっし一人で十分だし」
「マジでサッカーに関することには積極的になるなぁ。
 普段のフランってほんとなんなんだろね」
「うっさいし。
 他にもやらないといけないことはあるっしょ?
 効率考えると役割分担してそれぞれ動くべきだし」
「いやまぁ、まったくもってその通りなんだけど」
「つーわけで、ボールの他に必要な物って何があるし?」
「身体強化の魔法とか攻撃魔法とか、そういうのはナシにしたいから魔法を打ち消すようなものがほしいかな。
 できれば小さくて、ビブスとかユニフォームに簡単につけることができるような感じがいいんだけど」
「魔法について一番進んでるのは魔族っしょ。
 いろんな研究が盛んだって聞くし。
 それは魔族に協力してもらうのがいいし」
「魔族かー……。
 人間の国の王は魔族を滅ぼすとか言ってたけど、結局どうなってるんだろう」
「あれって英雄がいるのが前提だったよね~?
 さすがに戦争始めたりはしてないんじゃないかな~。
「普通ならそう思うんだけど、あの王だからねー……。
 どんな無茶言い出しても不思議じゃない気がするよ……」
 澪と雫がげんなりした感じで言う。
 俺は王様には会ったことないけど、話を聞く限りじゃろくでもない王様っぽいもんなぁ。
「今どういう状況になってるのか知りたいから私は魔族の国に行きたいな」
「そうだね~。
 私も魔族の国に行くよ~」
「でも、魔族の国に人間が行くと危ないんじゃない?」
「そうだね、だからドラゴンの皆さんに護衛をお願いしていいかな?」
「もちろんっす!」
「澪さんと雫さんは何があっても守り抜くっす!」
「「ステーキのためにっ!」」
「ぶれないねあんたたちも……」
 うちでは食事は澪と雫が料理してくれていて、特にドラゴンの四人は二人に魅了されている。
 クリスとレオにとっては、澪と雫を失うことは最大級の絶望なわけで。
 たぶん、文字通り命をかけて二人を守ってくれるだろう。
「クリスとレオの二人がいれば十分ですね。
 では私はフランさんと一緒にエルフの国に行くことにしますね」
「ん?あっしは別に一人で大丈夫よ?
 ロナはバハムルについてないとやばいんじゃね?」
「バハムル様はジズー様と一緒にいらっしゃるのではありませんか?」
「うん!
 ボクはジズーといるぞ!」
「ならば私は必要ないでしょう。
 ジズー様の傍はおそらく世界で一番安全です。
 ならば私はフランさんのサポートを致します」
「ん、じゃあこっちを手伝ってもらうし。
 ジズーもそれでおけ?」
「あ、うん。
 全然構わないよ。
 バハムルのことは任せといて」
「はい、お任せ致します」
「ジズーは薫子とバハムルくんと一緒に大会開催の方を任せたいんだけどいい?」
「うん、わかった。
 がんばるよ」
「ボクたちがいるから大丈夫なのだ!」
「だよねーバハムルくん!
 私たちもがんばろうねー!」
「ケモッセオは森から近いから俺たちはちゃんと毎日家に帰れるから、畑の世話とかは任せといてね。
 あと、澪たちもフランたちも、もしかしたら森から遠くの街に行く必要があるかもしれないし、帰ってこれない日もあるかもしれないから、全員分の通信魔法具を買おうよ」
「あ、そうだね。
 この街にもたぶん売ってるよね」
「ボクたちの分も買ってくれるのか!?」
「うん、いい機会だからみんなの分も買っちゃおう!」
「やったー!
 ボク、ずっとほしいなーって思ってたのだ!」
「そっか、じゃあ買いに行こうか!」
「うん!」
 商人ギルドで通信の魔法具を売ってる店を教えてもらって、すぐに買いに行った。
 店に着いて、すぐ店員さんに聞くと、商品を持ってきてくれた。
 そして、今まで知らなかったのだが、俺たちが持ってる魔法具は、どうやら近距離用だったみたいだ。
 値段は金貨九十枚。
 俺たちが買った値段より少し高いが、こんな龍の巣に近い最南端の街でこの値段なら十分安いのかもしれない。
 とはいえ、近距離用だと魔族の国に行く澪たちやエルフの国に行くフランたちと通話ができない。
 なので、一番範囲の広い超遠距離用を買うことにした。
 超遠距離用ならガイアのどこにいても通話できるみたいだ。
 ただし、お値段は一つ金貨千枚だった。
 正直かなりびっくりしたけど、みんなに何かあったりしたらすぐに知らせて欲しいので全員分買った。
 九人分で金貨九千枚、日本円にして九千万か……。
 大きな買い物すぎてなんだか手が震えた。
「おおぉぉぉぉ……。
 これが金貨千枚の通信魔法具……。
 一千万円のスマホみたいなものだよね、こわっ!」
 澪もびびってるようだ。
「これでいつでも連絡がとれるから、何かあったら絶対にみんなに知らせてね?」
「「「「はーい」」」」
「それじゃ、ひとまず家に帰ろうか。
 で、明日から無理のない程度にサッカーの普及関連のことをやっていこう」
「じゃあ今夜は景気づけにキマイラの肉を出しちゃお~!
 いいよね澪ちゃん?」
「おっけー、じゃあ今夜はキマイラステーキといきますかー!」
「「澪様と雫様、神!」」
「じゃあ早く帰るのだ!」
 俺たちはバハムルやクリスたちに急かされながら家に帰るのだった。
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