異世界で猫に転生した俺は、理想の飼い猫生活を目指す

にゃんこ先生

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第三章 黒猫杯

あーちゃん豹変

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 あーちゃんがうちに来た翌日の朝、目が覚めたら俺の部屋であーちゃんが寝ていた。
 一瞬「え、なんで?」と思ったが、すぐに昨日のことを思い出した。
 昨日、夕飯を食べてお風呂に入った後、あーちゃんがウトウトしだした。
 ちなみにあーちゃんはお風呂は初めてだから、俺があーちゃんをお風呂に入れた。
 澪か雫があーちゃんをお風呂に入れてくれればと思ったが、丁重にお断りされた。
 あーちゃんは良い子だとは思うけど、「魔神」という点でまだ警戒を解いていないらしい。
 お風呂に一緒に入ってる時に何かあっても、対処できる気がしないということで、女神チートを授かってる俺に押し付けられた。
 言ってることはわかったけど、一応俺、中身は人間の男なんだけどなぁ……。
 あーちゃんは精神年齢はちょっと低い感じだけど、見た目は二十歳くらいだ。
 さすがにダメだろって言いたいけど、今回はしょうがないかな。
 約得だとか思ったりなんてしていない。
 いや、マジで。
 少し話が逸れたが、お風呂に入った後あーちゃんがウトウトしだしたので、一階の空き部屋をあーちゃんの部屋にしようと思って連れて行こうとしたら澪に止められた。
 今一階にある部屋を使ってるのはパレオとアレッサンドラとアルフレートとミッシェルの四人。
 お風呂のときと同じ理由で、さすがに一階にあーちゃんはまずいだろうということで、俺の部屋で寝てもらうことになった。
 というより、しばらくは俺があーちゃん担当ということになった。
 まぁ、連れてきたのは俺だから、ちゃんと責任はとろう。
 そういう訳で、あーちゃんは俺の部屋で寝てるわけだけど、どうしよう……。
 いつもなら朝ご飯の前に百段たちと朝の散歩をしてるんだけど、あーちゃん置いて散歩行くとまずいよな……。
 あーちゃん起こして一緒に行くか。
 でも……、気持ちよさそうに寝てるから起こしづらいなぁ、どうしよう。
 うーん……。
 起こしづらいけどしょうがない、起こそう!
 あーちゃんに近づいて声をかけようとしたその時、あーちゃんの目がカッと開いて、横になったまま俺をギロリと睨んだ。
「なんだテメー」
「……えっ!?」
「なんだぁ?
 こんなちっこいのがダンジョンを踏破したってのか?
 って、ここダンジョンじゃねえじゃねえか、どうなってんだ?」
「……」
「おい、オレを拉致ったのはテメーか?
 いい度胸だな」
「ど……」
「ど?」
「どうしたのあーちゃん!
 頭でも打ったの!?
 悪い物でも食べた?
 いや、食べた物は同じだ!
 どうしよう、あーちゃんが壊れた!」
「あーちゃんだぁ?
 あー、テメーあいつの知り合いかよ……」
「あいつって……。
 自分のことをあいつって何言ってるの?
 やばい、脳の病気とかかな……、こういうのってどういう魔法で治せるんだろう……」
「ゴチャゴチャうるせーんだよ、静かにしろ!
 寝起きでだりーんだよ」
 あーちゃんは大きなあくびををしてお尻をボリボリを掻く。
「あーちゃん……、そんな言葉遣いダメだよ!?
 昨日のあーちゃんに戻ってー!」
「だから……、うるせーって……言ってんだろ!!」
 あーちゃんが叫んだ瞬間あーちゃんが消えた。
 と、同時に目の前に現れて、右ストレートが飛んできた。
 避けようとしたが、後ろは壁だったので咄嗟に受け止めた。
「肉球ガード!」
 ぷにぃっ!
「なにぃ!?」
 受け止められるとは思わなかったのか、驚愕の表情を浮かべる。
「なんなんだテメー……。
 魔力を微塵も感じられない雑魚中の雑魚かと思いきや……」
「雑魚中の雑魚だと思ったのにあんなパンチをしたの!?
 怖いわ!
 ほんとに雑魚中の雑魚だったら今頃トマトピューレになってるわ!」
 そこは「フッ、殺す価値もない」てな感じで余裕見せて見逃すとこじゃね!?
 危うく殺人事件の現場になるとこだったっつーの。
 てか、さすがにもう現実逃避はしてらんないな。
「とりあえず、あんたは誰なの?
 瓜二つの別人?
 それとも記憶喪失?
 それとも二重人格?」
「全部ちげーわ。
 そんだけ言って当たりナシとかアホじゃねーの?」
 カッチーン!
 なんか煽ってきやがった!
「そりゃあ、お前みたいな知名度ゼロのやつのことなんてわかるわけないじゃん。
 あ、もしかして世界中に自分のこと知れ渡ってるとでも思ってた?」
「ああ!?
 そりゃオレに言ってんのか、ああん!?
 オレにこんなナメた口きくヤツは久しぶりだぜ……。
 望み通り、トマトピューレとやらにしてやるぜ!」
「トマトピューレのこと知りもしないくせにトマトピューレって言葉使ってんじゃねーよ!
 トマトピューレに謝れよ!」
 バターン!
 いきなり部屋のドアが開いて澪が入ってきた。
「ジズー!
 怒鳴り声が聞こえたけど何かあったの!?」
「ちっ……。
 テメー仲間がいやがったのか!
 まぁいい、まとめて――」
「どうしたの~?」
「ちょい、うっさいし……」
「「どうかしたんすか?」」
「いかがなさいましたか?」
 雫とドラゴンズとフランもやってきた。
「ドラゴンと天使がいやがるのか……。
 それにその人間二人……、魔女と聖女じゃねーか。
 テメーなにもんなんだよ。
 随分とお仲間が豪勢じゃねーか」
 ここにきてようやく警戒し始めるあーちゃん(仮)。
 ここでさらに薫子さん登場で相手の戦意を挫きたいけど、今はバハムルと一緒に畑にいるかな?
 まぁ、薫子さんとバハムルに危険が及ばないのは良いことか。
 あとは、一階のメンバーに危険が及ばないようにするだけだけど……、どうしよう。
 と、その時。
 くぅ~。
 頭をフル回転させていたら、なにやら可愛らしい音が聞こえてきた。
「くっ、腹が減ったぜ……!
 このままじゃ力がでねえ!」
 お前はどこぞの戦闘民族か。
 でも、そういうことなら今がチャンス!
「しょうがねぇ……。
 ここは一旦退いてやる!
 腹一杯になったらトマトピューレにしてやるぜ!
 あばよ!」
 そう言うとあーちゃん(仮)はフッと姿が消えた。
 転移か……。
 てか、トマトピューレって言葉が気に入ったんだろうか?
 よくわからん。
「よくわかんないんだけど。
 結局なんだったの?
 あーちゃんの様子が変だったけど」
「あ、えっとあれは――」
 俺はみんなにさっきまでのやり取りを話した。
「なるほどねー。
 別人なのか別人格なのかその他なのかはわかんないけど、あーちゃんではなさそうだね」
「念の為警戒してたけど、やっぱりあったね~、魔神的トラブル。
 でも、これを解決しないとあーちゃんとはちゃんと友達になれないし、なんとかしないと~」
「そうだね。
 ダンジョンがどうこう言ってたし、ダンジョンが住処っていう感じなのかな。
 もう一回ちゃんと話をしたいし、ダンジョンに行ってくるよ」
「私たちも行くよ?」
「え、かなり好戦的だから、まずは一戦!的な流れになるかもしれないよ?」
「その時はその時だね。
 てかジズーだけだと心配だからね。
 さっき、あの子と同じレベルの言い合いしてたように見えたし」
「いや、あれはつい……。
 俺も寝起きで変なテンションになっちゃっただけっていうか……」
「まぁいいじゃ~ん。
 どっちにしても好戦的になった魔神を放置はできないし~。
 私たちを見て「魔女と聖女」って言ったのも気になるしね。
 あ、そうだちょっと待っててね~!
 さすがにのんびりご飯食べてる時間はないから、おにぎりを何個か作ってくる~!」
「え、ご飯なんかより、早くあーちゃん(仮)追いかけないと……」
「腹が減っては戦はできぬ!でしょ?
 魔神だってお腹が減って、無茶をしないで一旦退いたでしょ?
 ご飯は大事ってこと!
 じゃあ私もぱぱっと作ってくるから待ってて!
 あ、寝袋とか出しといてね!」」
「はい……」
「しっかしまぁ、
 結局魔神と関わることになってるし。
 結局そういう運命だったってことだし。
 とりあえず澪と雫の言う通り、最低限の準備はして行くべきっしょ」
 まぁ確かに……。
 ダンジョンもどれだけ深いのかとか全然わからないし、空腹のまま潜るのはアホの子でしかないな。
 ちょい焦ってたなぁ、反省。
 数十分後、食料や寝袋等、ダンジョン探索に必要そうなものを持って俺たちはダンジョンへ向かった。
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