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わたしと後輩男子
酒はのんでものまれるな5
「んぅ、ふっ、……んん……っ」
口付けの合間に漏れる自分の声は酷く甘ったるいもので、全部が久しぶりで、しかもその相手が普段関わりの薄い、なんなら自分には見合わないほど人気者の人物で、この先があるかどうかもわからないという曖昧さに酔いしれてしまう。
薄暗い背徳感。
今だけは自分がなんだか愛されているような、求められて必要とされているような、そんな錯覚に刹那はよろよろと壁に背を預けた。
はっと荒い息の中、見詰め合う。熱を持った身体は、そんな短いやり取りでさえ、じとりとしたいやらしい熱が込み上げる。
「先輩……」
上擦った声がなにかを強請るみたいに刹那を呼ぶ。
掠れた低い男の声。
こうなってしまってはどうして自分が先輩と呼ばれているのかどうかなんて、最早どうでもよくなってしまう。
狙ってるわけではないが、身長が異様に高い所為で自然と上目遣いになってしまう。
「ベッド……」
そう呟くと、鈴木はぐっと眉を顰めてから、どこと短く言い放った。
力の入りきらない手で寝室を指さすと、ぐいっと膝下に手を入れられて抱きかかえられる。
ぎょっと目を見開くが、そんなのはお構いなしに鈴木は刹那が示した方向へ進んでいって、一般的な部屋を借りているおかげですぐに見つかったベッドに、どさりと音を立てて沈められる。
一瞬の出来事にぱちくりとした刹那だったが、すぐに巨体が覆い被さってきて、瞬時に唇を引き結んだ。
――…ここまできたらもう引き下がれない。
ごくりと飲んだ生唾に、鈴木は気付いているだろうか。
気付かなくていい。久しぶりの男女の関係に怯えている場合でもないし、気取られるわけにもいかない。
ぎしっとスプリングの音がして、刹那の顔の横に鈴木の手が被さる。さっきよりもダイレクトに上から見下ろされ、落ち着きそうだった心音が一気にばくんばくんと大音量で内側から皮膚を叩く。
「ずっと先輩に近付きたかった」
明確に欲を孕んだ視線で見下ろされ、なんだか涙が滲んだ。
こんな風にひとに求められたのはいつぶりだろう。
急激に目の前の男が欲しいという熱に浮かされて、手を伸ばして抱き着いた。心臓がこれ以上ないくらいに高鳴っている。
「……いいよ」
短くそう告げると、明らかに男の目付きが変わるのがわかった。
遠慮という言葉からはかけ離れたような口付けに、身震いする。
先程よりも深く口付けられ、舌を甘く食まれるとぞくぞくとなにかが駆け巡るようでもあった。
このままじゃ振り落とされる、そんな気分になって目の前の巨躯にしっかりとしがみつく。
すると大きな手が刹那の着ていた服に伸び、裾を捲る。地肌に触れる手は熱くて、それだけでもなんだか泣きそうになってしまった。
くすぐったいような、こそばゆいような、不思議な感覚と、甘く蕩けてしまいそうな快感に、自然と膝を擦り合わせる。
鈴木の手が上着をずらし、ブラの間から膨らみに指が滑る。んっと声を上げながら身体を捻るが、大きな手は容赦なく追い掛けてくる。
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