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光の魔法使い

お師匠様、優しく撫でてください

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 ルーチェがフライパンを動かした。

(あー……イライラする……)

 昨晩、ミランダと喧嘩した。きっかけはほんの些細なことだった。

(うるせーババアだな。まじで。あの言い方どうにか出来ねーのかよ)

 あたしは朝ご飯を作ってあげてるのに、自分はご就寝中ですか。いいご身分ですねー。

(ミランダ様の……バカ……と……)

 オムレツのケチャップに子供のような嫌がらせ言葉を並べておく。

(さて、今日も学校だ)

 ミランダが起きてくる前にルーチェが早々に屋敷から出て行く。直後ミランダが起きてきて、玄関の音を聞いた。

(……もうそんな時間かい……)

 ミランダがリビングに行き、時計を見る。おや、でもまだこんな時間かい。あいつ早めに出たんだね。ふーん。……。

「ミランダおはよー!」
「ああ。おはよう」

 セーレムに挨拶をして、ミランダが並べられた朝食を見た。ミランダ様のバカ。

「まだ怒ってんのかい。あいつ(いちいち面倒くさい奴だね)」
「ミランダ、頭なでろよ。早くして」
「顔洗ったらね」

 ミランダが洗面所に向かって歩き出した。


(*'ω'*)


 体育の授業でもムシャクシャが止まらないルーチェが杖に魔力を溜める。

(まあ、百歩譲ってあたしも悪かったけど、だけどさ、あんな言い方ないと思うんだ)

 ストレスを発散するように光の玉を的にぶつけていく。

(ミランダ様の馬鹿。ミランダ様の馬鹿。ミランダ様の馬鹿。ミランダ様の馬鹿。ミランダ様の馬鹿。ミランダ様の馬鹿。ミランダ様の馬鹿)
「ストピド、10点中8点」
(チッ! 二つ外したか!)
「よし、次ー。終わった奴らは練習してろー」
(ミランダ様の……)

 あたしは的に向かって光の玉を当て続ける。

(バカーーーーー!!)
「なんかルーチェ、今日一生懸命だね」
「私らも練習しなきゃねー」
「あ、昨日のテレビ見た?」
「あー、パルフェクト様?」
(パルフェクトだと!?)

 ルーチェの腕の動きが速くなっていく。

(ミランダ様もお姉ちゃんも皆くたばりやがれーーーー!!)

 イライラして、ムカムカして、授業に集中できない。黒板に書かれたことを書き写すと消しゴムが机から地面に落ちた。

(あっ! もうやだ! みんな消えてなくなれ!)
「落ちたよー」

 トゥルエノが笑顔で拾った消しゴムをルーチェの机に戻した。

「ルーチェ、今日何かあった?」
「……まあ、色々と……」
「大変そうだね。あまり無理しちゃ駄目だよ?」
(トゥルエノは相変わらず優しいな……)

 さて、学校が終わった。そして、こんな時に限ってアルバイトがないのである。

(はあ……。このままあの屋敷に帰るのか……。ううん。堂々としてよ! あたし、別に悪くないし!)

 ついでに、甘いものでも買いに行こう。
 そう思って、ルーチェが商店街へとやってくる。

(安いシュークリームでも買って帰ろうっと)
「大変だ! みんな、逃げろ!」
「動物の狂暴化だ!」
(ん?)

 ルーチェが振り向いた先で、人が逃げている。

「あっちから狂暴化した烏が飛んでくるぞ! ほら、逃げろ!」
(また狂暴化事件。やば。あたしも巻き込まれないうちに逃げ……)

 いや――待てよ。

(ここで手柄を取ったら、ミランダ様もあたしを見る目が変わるんじゃ……)

 一瞬でミランダに感心される妄想が頭の中で行われる。彼女は馬鹿なのだ。妄想を現実にしてしまいたくなるのだ。

(よーし! 思い知らせてやる!)

 思い立ったら即行動。ルーチェの目が光り輝き、杖を持って駆け出した。その先では、暴走したカラス達が大暴れしている。

(よーし、見てろ! 落ち着いて呪文を……!)

 烏がルーチェに飛んできた。

「(うわわっ!)闇よ! 集まる影に……」

 烏が一斉にルーチェに向かってくる。

「(うわっ! 思った以上に呪文を唱えてる暇が……!)闇よ! 集まるか……」

 烏に突っ込んできて、ルーチェの額に頭突してきた。

「っ!」

 ルーチェがその場で倒れる。烏達がルーチェを囲い、クチバシで突いてくる。

(いたたた! やめて! 痛い! 痛い!!)

 しかし、目がおかしな烏達はルーチェを突くのをやめない。次第にルーチェも痛みから脳が麻痺してくる。

(ああ……あたしの人生、これで終わるのかなぁ……)

 こんなことなら安全な場所へ逃げていればよかった。まだ魔法使いにもなれてないのにこんなところでくたばってしまうなんて。まだやりたいことが沢山あったのに。小説だって完結できてない。絵だって描きたい。編集してない撮り溜めた動画も残ってる。それに、それに――、

(まだ……)

 ――ミランダ様と、仲直りしてないのに……。

(ミランダ……さま……)

 烏がルーチェを突く。ルーチェの手から力が抜けた。烏が集まる。どんどん集まっていく。そこへ杖が向けられる。

「退け」

 ――一斉に全ての烏が光の玉によってふっ飛ばされた。白目を剥いて気絶する。しかしまだまだ烏はやってくる。倒れて動かなくなったルーチェに狙いを定めてやってくれば、光によって体が絞めつけられる。泡を吹く。まだやってくる。杖が大きく振られた。光に包まれる。

「意識を飛ばせ」

 全ての烏の意識を吹き飛ばし、騒動が治まった。派遣された魔法使い達が安全確認のために走る音を聞きながら、ミランダが動かなくなったルーチェに近付いた。

「……この馬鹿」

 気絶したルーチェを風の波で抱え、箒に乗って空を飛んでいく。


(*'ω'*)


(……ん……)

 ルーチェが目を醒まし、ゆっくりと瞼を上げると、そこは天国ではなくミランダの屋敷だった。

(……あれ……幻覚……?)
「……起きたかい。この馬鹿たれ」

 顔を覗かれる。あらま、なんてこと。ミランダ様の幻覚が見えるじゃないですか。

「お前ね、自分が何したかわかってんのかい」
「……すげ……。本物の……ミランダ様みたい……」
「何が本物だよ」
「あ、駄目。ルーチェ動かないで。俺のベッドのままでいてよ」
(あ……セーレムの幻覚まで……)
「お前にはしばらく毎日課題を渡すからね。毎日寝る前までに開発して、私に見せな。バイトがあったってやらせるからね。このクソ馬鹿弟子」
(クソとか言うなって……。クソババア……)
「命知らずってのはね、お前みたいな奴のことを言うんだよ。少しは自分を守る術を覚えな!」
(……なんか体中痛い……)
「治癒魔法だってね、完璧じゃないんだよ。肌を再生させるだけなんだから。ルーチェ、わかってんのかい!」
(うるさいなぁ)
「元気になったら説教だよ!」
(はいはい、そうですねー)
「わかってんのかい。こいつ」
「ルーチェは俺よりボケてるからなぁ」
(すごい。死ぬ前にミランダ様らしい幻覚が見れるなんて嬉しい)

 弱々しい手を伸ばし、ミランダの髪の毛を掴む。引っ張る。ミランダが顔をしかめた。ルーチェの両手がミランダの頬を掴み、また引っ張り、自分に寄せ――唇を重ねた。

(……最期に……会いたかったな……)
「……ルーチェ、そろそろ起きな」
(ああ、今後この声で呼ばれることもないのか……。寂しいな……)
「ルーチェ。……こいつ」
「いてっ」

 あれ、つねられたほっぺが痛い。……あれ?

「……あたし、生きてる?」
「夢から覚めたかね。この馬鹿」
「……あ、ミランダ様。……え、本物ですか」
「モノマネ番組以外に私の偽物がいるのかい? ぜひ会いたいね」
「……。……。……ふわぁ……」

 欠伸をすると、ルーチェがミランダに頭を叩かれた。

「いてっ」
「さっさと起きて風呂入りな。馬鹿」
「あ、本当に生きてる。あ、セーレムー」
「あひゃひゃひゃ! おい! 何すんだよ! そんな撫で方あひゃひゃひゃ!」
「あの、ミランダ様、か、か、烏は……?」
「意識飛ばしておしまい」
「あー……」
「どこまで覚えてる?」
「す、す、すごく、突かれたことでしたら」

 顔に触れると、沢山包帯と絆創膏がされていた。治癒魔法にも限界がある。治りきらなかったところがあったのだろう。ルーチェが見上げると、きつくミランダに睨まれた。

「ルーチェ」
「……ごめんなさい」
「自分の実力を自覚しな。だからお前はいつまで経っても魔法学生止まりなんだよ」
「……」
「……わかったらさっさと風呂入りな」
「……はい」

 しゅんとしながら風呂に入る。無事だったのは良かったけど、結局何も変わってない自分がいることを自覚する。

(ちょっとは……成長してると……思ったんだけどな……)

 しゅんとしながらご飯を食べる。

(ミランダ様に……少しでも……認めてもらいたかったから……)

 しゅんとしながらお皿を洗う。

(少しだけ……褒めてもらいたかっただけなのに……)

 しゅんとしながら魔法の動画を眺める。

(あたし、なんで魔法学生なんだろう。このまま永遠に魔法使いになれないのかな……。いずれミランダ様から破門されるのかな……)
「……ルーチェ」
(ああ……お先真っ暗……。あたしどうなっちゃうんだろう……。生きていけるのかな。ホームレスになったりしないかな……?)
「ルーチェ」
「え? あ、はい?」
「もう寝な。夜も遅いから」
「あー……。……」
「……」
「……」
「「……」」

 セーレムのいびきがリビングに響く中、ルーチェがぼそりと言った。

「……一緒に寝ちゃ……駄目ですか?」
「……」
(……駄目か)

 ルーチェが歩き出した。

「お休みなさい」
「まだやることあるから」

 ルーチェの足が止まった。

「先に行ってな」
「……いいんですか?」
「私もそろそろ寝たいんだよ。今日は騒動もあったから疲れちまってね」
「……ん」
「先行ってな。10分くらいで行くから」
「……はい」

 ルーチェが先にミランダの部屋へ行き、広いダブルベッドに入った。このベッドは心地が良い。ミランダの匂いがして、体中の力が抜けてしまう。このままでは寝てしまうと思って、ルーチェがパズルゲームを起動させた。

(まだ寝たくない)

 パズルゲームに夢中になってると、階段を上がってくる音が聞こえた。

(あ、来た)

 ミランダが部屋のドアを開けた。ルーチェはパズルゲームをやり続ける。ミランダがドアを閉め、ベッドに近づけば、ルーチェがシーツをめくった。ミランダが横になりながら、ルーチェのスマートフォンを横目で見る。

「なんだい。それ」
「なんか、色のグラデーションを、こー、……揃えるやつです」
「……ふーん」
「綺麗なんですよ。ほら、ここ、濃い黄色じゃないですか。だから、どんどん薄くしていくんです」
「……ほーん」
「だから、こうして……あ、ほら、出来た」

 クリア。おめでとう。

「暇潰しにいいんですよね」
「暇があるなら魔法のことを考えな」
「疲れた脳で考えたら、ね、寝ちゃいそうなんですもん」
「寝るんじゃないのかい?」
「……寝ますよ?」

 向かい合ってお互いを見つめる。

「でも、ちょっとだけ……ミランダ様と……お話、したくて」
「……なんだい?」
「……すみません。昨晩、言い過ぎました」
「……ああ、……あれはね、私も言い過ぎたところがあるから」
「や、ミランダ様は、……悪くないです」
「……お互いに非があるんじゃないかい? 私もね、挑発するようなことを言ったから。あれはちょっと……余計だったね」
「……気をつけます」
「……私も悪かったよ。ルーチェ」
「……あたしも、ごめんなさい」
「……ん」

 ミランダが手を伸ばし、ルーチェの頭を優しく撫でると――ルーチェの目がぼんやりとし、ミランダだけを見つめ、その胸に頭を擦り寄せた。

(あったかい……)

 ミランダの手が優しくルーチェを抱きしめ、撫でていく。

(もっと……撫でて……)

 つい、ミランダに抱きつく。

(もっと……もっと、撫でてほしい……です……)

 ミランダの手が優しくルーチェを撫でていく。しばらくその手を堪能する。しかし、ルーチェがその手を取って、手の甲にキスをした。ミランダがそれを観察する。ルーチェがまたキスをした。そして、再度頭を擦りつけてくるものだから、空いた手でルーチェを撫でると、ルーチェが掴んでる手にキスを繰り返す。ミランダの空いた手が泳ぎ、ルーチェの首元をくすぐるように触れると、ルーチェがふふっ、と笑ってキスを止める。犬のようにお腹を撫でるともっとと言うように仰向けになって腹を見せてきた。その姿を見たミランダが吹き出した。ルーチェはきょとんと瞬きする。ミランダが笑いを堪えながら近づいた。ルーチェが目を閉じる。

 唇が重なった。

 黙る。

 見つめ合う。

 また唇が重なる。

 相手のことしか見えなくなる。


(*'ω'*)


「……ふ、ぅ……」

 ミランダからの十分すぎるキスに、ルーチェが息を吐いた。

(なんか、今日のミランダ様、すごい……触ってくる……)

 足にキスして、内腿にキスして、腕にも、手にも、顔にも、沢山のキスをしてくる。

(恥ずかしい……)

 色んなところにキスしてくるものだから。

(でも嬉しい……)

 矛盾した気持ちが入り交じる中、ミランダの手が伸びた。

(あっ)

「……ちょっ……」
「ん?」
「ま、待ってください……」
「待つのかい?」

 ミランダの指が動き、敏感な箇所を撫でた。

「ふぁっ!」
「こっちは触ってくれって言ってるみたいだけど」
「きょ、今日は……あた、あたしが……触るんです……」
「……出来ないだろ」
「今日はします。だから……」

 ミランダがルーチェをうつ伏せに押し倒した。

「ひゃっ、み、ミランダ様!」
「お前にはまだ早いから、大人しくしてなさい」
「や、やだ、触るんです……!」
「はいはい」
「嫌です! あたしも、さわりたっ……」

 ミランダの長い指がルーチェの中にグチュっと音を出して挿入された。

「あっ」

 奥まで入って、抜かれそうになる。

「あっ……」

 また奥まで入ってきた。

「あっ♡!」

 ミランダの指がグチグチと音を出し、そこを激しく犯してくる。

「あっ♡ いやっ♡ あっ♡ ミランダ♡ 様♡ こんな、あっ♡」
「嫌じゃないだろう? こんなに濡らしてるんだから」
「あっ♡ あっ♡ あたし、あ♡ あたしが、さわり、たいのに♡ あっ♡ やめっ、一回、ストップ……!」
「お前がイッたらね」
「やっ♡ あっ♡ みら、んだ、さま♡ あっ♡!」
「ああ、ここかい。お前好きだね」
「あ、いや、そこっ♡ あっ♡ そんなっ♡ あんっ♡ あっ♡ それ以上は、あっ♡ ミランダ様……♡!」

 好きな人の手が自分の汚れたところに触れていると思えば、なんとも言えぬ快感が押し寄せてきた。ルーチェは思った。自分はMなのかもしれないと。だってこんな風に虐められても、相手がミランダであれば、それは全てを愛に変わってしまうから。

(あ、やば、イク、んっ、まだ、大丈……あっ、大丈夫じゃない。やっぱ、あっ、すごい、やばっ、あっ、イク、……イク……っ……イ――)

 ――ルーチェの体がぞくぞくぞくっ、と痙攣した。そのいやらしい動きを観察し、手を奥で止め、しばらくしてからゆっくりと抜く。ルーチェの体も脱力する。

「……ミランラ……しゃま……」
「……イけたみたいだね」
「んむっ」

 唇が重なり、舌が絡み合う。魔力は注がれてこないけれど、その舌の感触を味わいたくてルーチェが舌を動かす。うつ伏せから仰向けに振り返り、覆い被さるミランダの肌に触れ、撫で、キスをする。瞼を上げれば愛しいミランダが自分を見つめている。

「……ミランダ様……」
「ん?」
「触らせて……ください……」
「……いいよ。許可しようじゃないのさ」
「……っ!」

 ルーチェがミランダに飛びついた。尻尾を振る犬のように彼女を抱きしめ、キスをし、触れたかったその白い肌に唇を押し付ける。

「ふふっ。これこれ。ルーチェ」
「ちゅう」
「がっつかない。そんなんじゃモテないよ」
「ちゅう。ちゅう。ちゅー!」
「……しょうがない奴だね。お前は」

(なんだろう)

 喧嘩をしていたせいだろうか。いらついてた声が、今では何度も聞いていたいほど愛おしくてたまらない。

(もっと呼んでください)

 そう願ってキスをして、

(もっと貴女を感じたい)

 ミランダの胸に顔を埋める。ミランダの匂いを感じる。柔らかいお胸だ。いい匂い。ルーチェが思う存分堪能する。ミランダもルーチェを抱きしめ……首を傾げた。ルーチェがミランダの胸を顔を埋めたまま眠っている。

「だから言ったんだよ」

 ミランダが鼻をつまんでルーチェの口を塞いだ。ルーチェの体が震えだした。ばっと目を開けた。ミランダが唇を離した。

「げほっ! げほっ! げほっ!」
「色気のない奴だね」
「はっ! あたしは何を!」
「お前もう黙りな。じっとして、ただ、感じてな。いいね」
「やっ! ミランダ様! あたしが上……」

 ミランダがルーチェの足首を掴み、無理矢理広げさせた。

「きゃーーーー!! ミランダ様ぁーーー!」
「急に乙女になるんじゃないよ」
「ミランダ様、あたし、あ、貴女をめちゃくちゃにしたいんです。だから上がい……」

 ミランダから性器同士を重ね、ゆらゆらと揺らし始める。

「ミランダ様、あたし、上がいいです。貴女をめちゃくちゃに……」

 擦れる。

「めちゃくちゃ……に……」

 何も考えられなくなる。

「あっ♡ んっ♡ んんっ♡ やぁっ♡ ミラ、ンダ、さま♡ ぁっ♡」
(ああ、濡れてきた)
「んっ♡ 擦れるっ♡ あっ♡ はぅ♡ やっ♡ ミランダ様っ♡ ミランダ様っ♡」
(人の名前を呼ぶのが好きな子だね)

 ミランダがぐっと体を倒せば、アソコがもっと食い込み、その状態でルーチェの腰を掴んで揺らせば、ルーチェが悲鳴を上げた。

「いやぁああああ♡!! それだめぇえええ♡!!」
(ああ、気持ちいいのかい。そうかい。良かったよ)
「あっ♡! イグっ♡! イッぢゃう♡! イッぢゃうからぁ♡! いやれす! ミランダ、さまぁ♡!!」
(はいはい。後で一緒にイこうね)
「あっ……♡!」

 ルーチェが絶頂した。彼女の魔力の色が快楽を表している。

(イっちゃった……)

 あたしにめちゃくちゃにされて、ミランダ様が泣きながらイクところが見たかったのに。

(あ……まだ……痙攣してる……)

 ひくひくと膣内が痙攣し、ルーチェが震える息を吐き、痙攣が治まってくると――再びミランダがルーチェの腰を揺らしてきた。

「ひいっ!」
「まだ終わりじゃないよ。ルーチェ」
「あっ、やっ、あたし、イッたばかりです!」
「私がイけてないからねぇ」
「あっ♡! あっ♡! あっ♡! ……あっ!! そ、それ♡ あんっ♡! やっ♡ ひゃあん♡!」
「お前私をめちゃくちゃにしたいんじゃないのかい? こんなところで喘いでるだけでいいのかい?」
「やっ♡ だって♡ あっ♡ ミランダ様、が♡ あんっ♡」
「なんだい? 私が、っ、何をしたって?」
「あっ♡ そんな♡ 動き♡ あっ♡ だめです♡ またっ♡ イっちゃう、から♡ だめっ♡ だめぇっ♡ 一緒♡ が、いい♡ ですっ♡!」
「っ」
「ひぃっ♡! あっ……~~っっつ♡」
「……また一人でイッたのかい?」
「っ♡!」
「はあ。寂しいもんだねぇ」
「っ♡ っ♡ っ♡」
「ルーチェ、感じてばかりいないで恋人を見なさい。まだイけてないよ」
「はぁ……♡ あっ……♡ あっ……♡ はぁ……♡ あっ……♡」
「ああ」

 その顔を見て、ミランダの背中がぞくりとした。冷たい笑みが自然とでてくる。

「いい顔だね。ルーチェ」
「はっ……♡ ふっ……♡ みらんだ……さま……♡」
「そのまま見てな」
「あた……しには……あなた……だけ……です……♡」
(忠実な犬は嫌いじゃないよ。ルーチェ)
「あっ♡」

 ミランダの手で腰が小刻みで揺れ始める。

「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ……♡♡」

 ルーチェがミランダだけを見つめる。

(イきそう……イク……また……また一人で……♡)
「……はあ……。ルーチェ……そろそろ、一緒にイクかね」
(あ、ミランダ様、あ♡ 好き♡ ミランダ様♡ っ♡ 気持ちいい♡ あっ♡ だめっ♡ また、あっ♡ イク……♡)
「ルーチェ」
「あっ……♡ あっ……♡ ……っ……ぁっ……ああ……~~っっっ……♡♡!!」

 ミランダの手を力いっぱい握りしめ、あとは快楽の底に堕ちていくだけ。ミランダから彼女が絶頂した震えを感じ、なんとも言えない優越感と幸福感に包まれる。

(……ミランダ様……)

 絡んだ足を解き、ミランダを抱きしめる。

(好き……)

 そのまま引き寄せるようにベッドに沈み、一緒に倒れる。

(……好き……)
「……ルーチェ」
(……好き……)
「……ったく……」

 優しく頭を撫でられる。

(あっ……)

 優しい手にとろけてしまいそうな気分になってしまう。

(ミランダ様……)
「……まだいけそうだね」
「え?」

 ミランダの腿がルーチェの股に入り込み-―動きだしたのを感じ、ルーチェがぞっとする。

「ひゃっ! み、ミランダ様!」
「ルーチェ、大人の時間はこれからだよ」
「やっ! あたし、あの、これで、あの、おしまいじゃ……!」
「まだだよ」
「やっ、あの、あのっ、あの……!」

 唇を塞がられる。

「むふっ」

 乳首を弄られる。

「んんっ♡」

 またそこに当たれば――。

「……はあ……ルーチェ……」
「あ……♡ また……♡ あっ……♡ ミランダ様っ……♡ ぁっ、あっ、ああっ……♡!!」

 二人の夜はまだ続く。


(*'ω'*)



 ミランダに休みはない。
 翌日も午後からの仕事の用意をするべく、魔法の練習を欠かさない。想像力を豊かにし、杖を振り、指を鳴らし、魔法が発動するか入念に確認していく。それを横からべったりとくっついたルーチェが眺める。

(わー。すごーい)

 ミランダが移動した。背中にくっつくルーチェが引きずられる。

(すごーい)

 ソファーに移動した。ルーチェがミランダの腕を抱き、魔法を眺める。

(やっぱりミランダ様はすごいなぁー)
「……」
(あ、そろそろランチ作らないと。……あー、すごいなー)
「ルーチェ」
「はい」

 頭をわしゃわしゃと撫でられる。

「帰ったら構ってあげるから、集中させてくれないかね」
「……」

 ルーチェがしゅんとしてミランダから離れた。それはそれは寂しそうに腕を離す。

「……セーレムと遊んでおいで」

 ルーチェがそろそろと歩いていき、遊んでたセーレムを抱っこして背中を撫でる。セーレムが悶えた。ルーチェがちら、とミランダを見た。ミランダが杖を振ろうとして……溜め息を吐き、ルーチェに手招きした。

 ルーチェがぱぁっ! と表情を明るくさせてセーレムを抱っこしたままミランダに自分を押し付けると、ミランダが両手を広げて受け止め、抱きしめ、耳に囁く。

「……仕事の用意をしてるから、……良い子にしてくれるかね?」
「はいっ」
「……ご飯は?」
「今作ります」
「そうかい。じゃあそうしてくれると助かるんだがね」
「はいっ」
「ん。頼んだよ」

 ミランダ様に、頼まれちゃったー!

(美味しいランチ作るぞー!)

 キッチンに向かって歩くルーチェを見て、セーレムがミランダと目を合わせた。

「ミランダ、俺時々思うんだ。ルーチェって実は犬なんじゃないかなって」
「私もそう思うよ。全く」

 ミランダは指を鳴らした。

「手のかかる子だよ」

 ミランダの魔力の光がきらきらと光ってルーチェを追いかける。そして、ルーチェの首回りに――その形はまるで首輪のように輝き――薄く消えていく。

(もっと褒められたい。もっと愛されたい。……うん。頑張ろう)

 ルーチェが意気込み、食材を使うため冷蔵庫を開けた。






 お師匠様、優しく撫でてください END
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