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悪役令嬢のとある日常

小さくなっちゃった!

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 今日はよく晴れた散歩日和。風に吹かれて花が揺れ、洗濯物がよく乾く。低気圧なんてものもない。雲一つない。太陽の暖かな笑顔に、メイド達は笑顔で仕事をする。

 しかし、ベックス家のとある一室がなにやら騒がしい。ドアが揺れ、部屋が揺れ、怒鳴り声が聞こえる。

「だからぁあああああ!!」
「何よぉおおおおおお!!」

 ドロシーとテリーが今年一番の大喧嘩をしていた。激しく言い争い、殴り合い、お互い一歩も譲らない。

 明日の天気は、雨なのか、晴れなのか。

「絶対雨だよ!! ボクはね! 低気圧に弱いんだ!! 頭が!! がんがんするんだ!!」
「馬鹿!! 明日は晴れよ!! だって靴占いで晴れだったもの!!」
「占いなんて信じてるの!? 君は! ぶぁかだね!!!!」
「あんだとこらぁああああ!!」
「やんのかこらぁああああ!!」

 ついついドロシーは本気を出して、星の杖を取り出してしまった。

「運命決めるはグリムの兄弟!!」
「ふぁっ!!」

 ぱーん! と星の光に包まれる。そして、その光が消えた時――ドロシーは、ようやく我に返った。しまったと、顔を青ざめた。

「……おーのー……」

 目の前にいるテリーが、とても小さなリトルベイビーに戻ってしまった。なんて小さなお子様だ。すやすやお眠り中のお姫様。

「おーーのーー……!!」

 ドロシーが頭を抱えた。そして、ひらめいた。

「テリーがこうなった以上、ボクは面倒を見きれない! うん! だって、それはテリーの恋人の役目だろ!? そうだ! そうだ! これは、出来る人に任せるべきだ!!」

 右目でウインク。はい、せーの!

「いってらっしゃーい!」

 ドロシーは早々に星の杖を振った。




 Little Princess(キッド)
 小さな彼女と大きな彼女(リトルルビィ)
 図書館司書と小さな子(ソフィア)
 小さな貴女とおままごと(メニー)
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