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悪役令嬢のとある日常
ざまあ展開な世界
しおりを挟む本編第九章目できゃっきゃっうふふしている語り手の彼女につきまして、皆様、お忘れではないでしょうか。
テリー・ベックス。
彼女が、とんだ悪役令嬢であるということを。
「しねーーーーーー!」
今日も呪いの儀式を行う。
「くたばれメニーーーーー!」
今日も美人な義妹を想って、心から呪う。
「呪いあれー! 呪いあれー! 貴様に幸せなんか訪れさせぬわ! 呪われろ! 不幸になれ!!」
「君さ……」
ドロシーが呆れた顔をしてテリーの背中に立つ。
「いくつになったの?」
「ふん! 年齢なんてね! 関係ないのよ! 時が過ぎればいずれこの憎しみが薄らいでいくと思ったら、むしろ時が刻むにつれてあいつは美人になってあたしの劣等感は膨れ上がっていく一方! 何よ、メニーのやつ!」
テリーがドアをそっと開けて、廊下を歩くメニーを見た。
「今日もキラキラ輝きに満ちて、ヒロインぶりやがって! ちょっと美人だからって、調子に乗るんじゃないわよ!」
「メニーは君みたいに調子に乗らないよ。いつだって謙虚さを忘れない」
「あいつが謙虚なのはね、社交性を狙ってるからよ! 男女全員たぶらかそうとしてるんだわ! あれこそ根っこからの人たらし! むかつく! なんであいついつでも姿勢よくて親切で思いやりがあるの!? かー! くたばればいいのに! ドレスだって誰よりも似合うし、髪は皆の憧れシルバーブロンド! あーのーおーんーなぁー……!」
震える声でテリーがうめき、藁人形を取り出した。もう片方の手には、ごっすん釘。
「いーあるさんいーあるさんわんつすりーわんつすりーいちにさーん!」
「あのね、人を妬む暇があるなら、もっと自分磨きに使って、有効的な時間をとることをすすめ……」
「あ!!」
「え!?」
「あいつ!」
メニーがメイドが落としたグラスを素手で拾おうとしている!
「お嬢様、わたしがやりますので!」
「大丈夫ですよ」
メニーがスカートにガラスの破片を集めた。
「ちりとりを向けてください。……はい。もうこれで大丈夫」
「メニーお嬢様……!」
メイドは思った。なんて素敵なお嬢様。わたしはメニーお嬢様のような方に仕えることができて、とっても幸せだわ。もっともっと、メニーお嬢様のために、尽くさなきゃ! 前向きになれるメイド。皆の原動力のメニー。その構図を、テリーは許せない。
「死にさらせーーーーーー!!」
テリーが机の上にノートパソコンを取り出し、タイピング能力の高さを見せつけた。
「てめえの過去にしでかした恥ずかしいことを談笑たぬきで流してやるからな!」
「なんてはちゃめちゃな投稿内容だ! テリー! 嘘や虚言はよくないよ!」
「虚言じゃないわ! ちょっと盛ってるだけで、嘘じゃないもん!」
「こんな内容が談笑たぬきに流れたら、メニーは恥ずかしくて外に出られない女になってしまう! 一生袋叩きにあって指を刺される未来。そんなことにはさせない!」
ドロシーがテリーに杖を向けた。
「テリー! 君は少し、ざまあ展開な目に遭って反省するべきだ!」
「あたしがざまあ展開? はっ! バカバカしい! 逆にあたしがざまあみろって言ってやるわよ! だいたいね、あたしを反省させるなんて、100万年はや……」
星の杖がきらんと光った。
「ひっ!」
テリーはこうして、素敵なざまあ展開の世界へと飛ばされてしまったのでした。テリー、ハッピーバースデー!
キッド、リトルルビィ、ソフィア、メニー編へGO(*'ω'*)
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