ウチに所属した歌い手グループのリーダーが元カノだった件について

石狩なべ

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4章

※第32話

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 このホテルには撮影で来たことがあった。
 セクシー路線で動画を作る方針のクライアントがいて、その撮影のためにカメラマンについていった。その時に、こんなことを言われた。

「ふじっちはこのホテルいつ使います?」
「そうですね。女子会をする時に友達集められた時に使いますかね。三浦さんはいつ使うんですか?」
「とりあえずこの撮影が終わった後日かなぁ。キャバで育ててる子がいるんすよ!」
「使ったら感想聞かせてくださいよ。お風呂とか超綺麗でしたよ」

 セクハラはただのジョーク。そもそも、あたしがこのホテルを使う時がくるなんて、想像できない。別に必要ない。恋人といちゃつくなら部屋でいいじゃん。その方がお金かからないじゃん。

 でも今日わかった。お金を使ってでも、場所を変えて、気分転換をする必要がある時も存在するのだと。

 ワインを一本注文したら、問答無用で西川先輩は飲み出した。それはそれは、もう止まらず、ほぼ一本飲み尽くしたと言っても過言ではない。

「ツゥ~」

 抱きしめられる。

「好き~!」
「はいはい」
「大好き~!」
「ふふっ、はいはい」
「んちゅー!」
「はいはい」

 西川先輩に尻を揉まれて、胸を揉まれて、沢山のセクハラを受ける。だが、あたしはそれでも西川先輩を抱きしめる。

「お風呂入ります?」
「お風呂いいね! お風呂でも飲む?」
「お風呂ではお水にしません? 冷たいの美味しいと思いますよ」
「サワーにする?」
「冷水にしましょうか」
「一緒に入ろ!」
「はい。入りましょう」

 浴室に入ったら、セクハラはさらに加速した。お互い何も身につけてない状態だからか、酔った西川先輩が沢山体に触れてきた。まだダメだと言って、二人で体を洗った。それでも触ってくるから、まだダメだと伝える。それでもしつこく西川先輩が触ってきたので、優しく伝えた。

「泡入ったら痛いんです」
「……ん……」
「もうベッド行きます?」

 口付けされて、抱きしめられながら、シャワーで泡を落として、またキスをされて、引っ張られる。でも体を濡らしたままでは風邪をひくから、タオルを掴むと、西川先輩があたしに深いキスをした。

「月子」
「体拭かないと」
「もういい?」
「体拭いてから……」

 口付けされた。あたしは西川先輩の体を拭く。

「ベッド濡れますよ」
「そうだね」

 口付けされた。あたしは自分の体を拭いた。

「髪乾かしませんか?」

 西川先輩にベッドに引っ張られた。「待て」をしすぎたらしい。裸のまま倒されて、首筋を鼻でなぞられる。

「月子」
「リンちゃん、眠くないの?」
「全然」
「お酒強いね」

 体に唇が当たる。

「リンちゃん」
「月子、名前呼んでて」
「わかったよ。リンちゃん」

 彼女の手が、なぞるように触れてくる。

「……あ……リンちゃん……」

 リンちゃんの呼吸が荒い。

「リンちゃん」

 指が滑る。

「あ」

 少し、触り方が荒い。

(リンちゃん、どうしたらいい?)

 リンちゃんの頬をなでると、目が合った。無言で見つめる。向こうも、何も言わない。

(いいよ。好きにして)
「……」
(あたしが動こうか?)

 リンちゃんにキスをする。リンちゃんがあたしの腰を掴んだ。舌が入って来た。

(……息、出来ない……)

 胸を鷲掴みにされた。少し痛い。でもいいや。今日は我慢する。リンちゃんが唇を離し、あたしの胸にキスをし、顔を埋め、吸ってきた。

(……リンちゃん、胸好きなのかな……?)
「……スーハー……」
「……? リンちゃ……」

 リンちゃんが起き上がり、あたしの顔に胸を押し付けてきた。見上げると、無表情のリンちゃんがいた。

「舐めて」
「……うん」

 赤ん坊のように、リンちゃんの胸を舐め始めた。形を包み込むように優しく触れて、先端を舐めて、時々吸う。リンちゃんがあたしの頭を撫でた。あたしの舌が動くのを観察する。

「月子……赤ちゃんみたい……可愛い……」
「んぢゅ……ん……」
「あっ……いい。月子、それ……」
「ん……あ……」
「……もっと、舐めて……」
「ん、……んぅ……」
「あ、そうそう……。それ……いい……」
「……上、行く?」
「いや、下にいて」

 髪を掴まれる。

「ごめんね、今日、酔ってて、変かも」
「いいよ」

 微笑み、リンちゃんの頬を撫でる。

「大丈夫だよ」

 強く頭を下ろされた。リンちゃんが両足を開き、あたしの顔をまだ濡れてない陰部に向けさせた。だけど、あたしは何も言わず、舐め始めた。

「……あ……」

 リンちゃんの腰が少し揺れた。

「月子……」
「……」
「ん……ひひ……んふふ……下手くそ……♡」
「……」
「はぁ……可愛い……月子……本当に……お前、私以外としてこなかったんだね……♡」

 リンちゃんがあたしの頭を押さえ込んだ。

「ほら……ゆっくり舐めてみて……」
「……」
「はっ……そう……ゆっくり……」
「……」
「そうだよ……月子……上手だね……」

 リンちゃんのあそこが濡れてきた気がして、もっと舌を動かすと、リンちゃんに頭を撫でられた。

「良い子だね……。月子……」
「……ん……」
「そう、そこ、舐めて、は……すご……月子の舌……そう……そこ……あっ……そこ、気持ちいい……♡」
「……」
「あ、つぅ……、……月子っ……!」

 ――リンちゃんの腰が痙攣したのと同時に、手の力も強くなり、あたしの頭が痛くなった。ゆっくりと舌を陰部から離すと、あたしの唾と、リンちゃんから溢れたものが混ざり合い、線を引いた。それを上から見てたリンちゃんが、恍惚とした顔で深呼吸した。

「……舐めてくれてありがとう」
「……気持ちよかった?」
「うん。気持ちよかった。……月子の舌、ちょっとたどたどしくて、わかんないなりに動かそうとするから、すっごいエッチだった」
「……」
「大丈夫。これからいっぱい教えるから」

 リンちゃんに引き寄せられる。

「月子は離れないもんね」

 リンちゃんが、強くあたしを抱きしめる。

「月子は、裏切らないもんね」

 未来はわからない。少なくとも、6年間連絡を無視してしまったあたしは、今後リンちゃんを裏切る気はない。むしろ、どうしたらリンちゃんの助けになれるのか、現在進行系で考えているところだ。でも結局、何も思いつかなくて、リンちゃんを抱きしめて、頭をなでることしかできない。だからリンちゃんも、あたしに甘え出した。

「月子……」

 いいよ。今日は何しても許してあげる。沢山甘えて。

「月子……」
「ん」

 唇が当たりそうになって、拒んだ。そしたら、リンちゃんが怖い顔をして、あたしの顎を掴んで、無理やりキスしてきた。違う、リンちゃん、そうじゃない。

「……ちが、リンちゃん、違うの」
「黙れ」
「ん、ちが、今キスしたら」
「ん」
「んぅ、……ん、……っ、だから、キス、したら、リンちゃんの、舐めた、ばっかりだから……!」
「……ああ、そういうこと?」

 リンちゃんがあたしを押し倒した。

「いいよ、別に」

 距離が近づく。

「むしろ、いいよ。その方が。私の味がする月子なんて、最高じゃん」
「……」
「てか、いつも私、舐めた後キスしてるじゃん。月子も、嫌がらずにキスしてくれてるでしょ? 一緒だよ」
(それは嫌がってもキスしてくるから……)
「あぁ、いい」

 あたしの肌に、リンちゃんの鼻がくっついた。

「月子から、私の匂いがする」
「……っ」
「ほら、月子、もっと舐めて? 私も、月子の匂いにならないと、ほら、月子……」

 言われるがままにリンちゃんを舐めた。その度にリンちゃんは気持ちよさそうに絶頂した。

「月子」

 その度にリンちゃんはあたしに触れた。

「いっぱい舐めてくれたから、月子も気持ち良くなろうね」
「リンちゃん、あたしはだいじょ……」

 指で、陰部を撫でられる。

「ほら……月子……おちょんちょん、可愛いことになってるよ……」
「……」
「柔らかくて……ぷにぷにしてて……触って~って言ってるみたい」
「……っ……」
「震えてるの? いいんだよ。月子。我慢しなくても」

 指が、ねっとりと撫でてくる。

「~~……あぁっ……♡!!」
「イク? いいよ。イク顔見せて? ほら、月子、こっち見てイってね?」
「ん……ん……♡ んん……ふぅー……♡」
「ちょっと中入れようか? 手前のところだけでも」
「やだ、まって、まだ、だめ、今、入れたら」

 少し指が入った瞬間――達した。

「……~~……っっ……♡♡」
「はぁ……やばぁ……♡」

 リンちゃんが真っ赤な顔であたしを見ている。

「ツゥ可愛いーーー」
「ぁ……う……♡」
「腰震えちゃってんじゃん……♡ 可愛いねぇ……♡」

 耳元で囁かれる。

「もっと……可愛い姿、見せてくれるよね?」
(……今夜……寝れるかな……?)

 中で指が動く。

「ここ気持ちぃーの?」
「あ……あ……♡」
「じゃあ……ここはぁー?」
「ひゃいっ♡!?」
「あ、またイッた。あはは! 可愛いー!」

 からかわれる。

「さっきからイッてばっかじゃん。月子ぉ」
「んふ……♡ ふぅ……♡」
「あ、またイッた」

 少し乱暴。

「月子が、お尻叩かれるの好きだったなんて知らなかったなぁ」
「ふひぃ……ひぃ……♡」
「もっと強く叩いてほしい? いくよ?」
「や、り、リンちゃ……ひゃあっ!!♡」

 全部、リンちゃんの好きなようにさせた。あたしが動いた方がいいのであれば動いたし、キスして欲しいのであればキスしたし、されるがままでいいのであれば、リンちゃんのされるがままになった。

「ほら、暴れちゃ駄目」
「あぅ♡! んぅ♡!」

 いつもより荒くて、激しくて、乱暴な行為に、声が出る。

「やっ! んっ! はっ! あっ!」
「……」
「……は……んぅ……!♡」

 耳元では、リンちゃんの荒い呼吸しか聞こえない。無言のまま、乱暴にあたしの体を抱く。でも、それで少しでも、気が紛らわせられるなら——あたしは——。

「っ!」

 力んでいた体から、時間をかけて力が抜けていく。必死に呼吸を繰り返すと、リンちゃんに腕を掴まれた。

「月子」
「はぁ……待って……ちょっと……だけ……休憩……」
「……」
「ねぇ、リンちゃん……ちょっとだけ……休憩しよ……?」
「……」
「も……いけな……リンちゃ……あっ……あぁ……」

 動きだした体に、もう、あたしは何も言えない。


(*'ω'*)


 情報漏洩による契約違反、および運営スタッフへの脅迫行為を経て、水城スイのRe:connect強制脱退が決定しました。このような形となって大変心苦しくはありますが、グループとスタッフを守るためにも、このような決断とさせていただきました。

 今後このようなことがないよう、メンバー一同気を引き締めて活動してまいりますので、どうぞご声援をよろしくお願いいたします。

 白龍月子



「ああ、もしもし。お疲れ様です。……はい。しばらくは切り抜きで。……いえ、多分、そうなるだろうなって思っていたので。……はい。被害届も……出しまして、はい。……あ、はい。わかりました。じゃあ、今日はとりあえず、リモートで。……いえいえ、大丈夫です。あたし強いんで」

 通話を切ると、ドアがノックされた。あたしはもう一度通話が切れてることを確認してから、部屋のドアを開けると、大量のたいやきを乗せた皿を持つ西川先輩が立っていた。

「作りすぎちゃった。食べる?」
「今ちょうど何かないかなって冷蔵庫探そうと思ってました」
「ちょっと食べながら相談したいんだけど」
「はいはい」

 リビングに行き、チョコ味とクリーム味のたい焼きを、西川先輩と一緒に口に含んでいく。

「なんかさ、しばらく四人でやるのもいいと思ったんだけど、やっぱり穴が空いてる感じがするじゃん」
「そうですね。四人とも個性的なので、ちゃんとした清純派の枠は欲しいですね」
「うん。それでさ、良い子がいるんだけどさ」
「良い子?」
「そう。TikTokで見つけたんだけど、一枚絵で歌ってるんだけど、すごい歌上手い子でさ。声とかも可愛い系で」
「はい」
「一回話してみたいんだけど」

 西川先輩がたい焼きを飲み込んだ。

「そういうのって、事務所に相談した方がいいよね?」
「……その方、名前教えてもらえます?」
「サクラ梅って名前でやってる」
「はぁ。サクラですか。いいですね。ピンク。あ、でも紫のゆかりさんがいるか」
「でもさ、ピンクっていなかったじゃん?」
「まぁ確かに」
「うん。一回相談してもらえない?」
「そうですね」

 白龍月子に聞かれた企画は連絡するように言われているので、

「一回、高橋先輩に相談してみます」
「……たい焼き、おいちい?」
「懐かしいです」
「んふふ! だよね!」

 あたしと西川先輩が、まだまだ残ってるたい焼きを頬張った。







「いや……そうね、うん……正直さ……五年間活動してきたわけですよ。私たちも。でもね……私、これね、結構前に、三年前くらいかな。月子に言ってたんですよ。あの……スイがね、もう、ちょっと手に負えないんじゃないかって。今回のこと、本当に誰が悪いって、もうスイが全部悪いとしか言いようがないのね。庇いようがないの。ファンのみんなには悪いけど……社会人でね、脱退したくないから謝罪します。で、謝罪した後にトラブル起こして許される事例は、あまりないの。てか、ほぼないの。それを月子がさ、今まで目を瞑ってきて、このメンバーでやろうってやってきたわけだから……もう、ね。……私からしたら、もう、前に進むしかないかなって……感じですね。それが私の……紫ゆかりとしての、筋の通し方かなって」

 >ゆかりんはいなくならないでね
 >俺たちは何があってもついていくから
 >ゆかりんがまともで良かった

「まとも……まともってわかんないよね。私も会社で働いてる時、なんか価値観違ったし。働くことが正義って思ってたけど……」

 紫ゆかりが苦笑した。

「自分の人生ですからね、仕事も生活も……やっぱり、楽しくないと」


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