ヒロインは始まる前に退場していました

サクラ マチコ

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新しい出会い

第400話 勇者と聖女 前半

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 チアキさんは神国の近く、ウルダという国で生まれ、魔人族の両親は見た目もヒト族と殆ど変わらないので、ヒト族と混じって生活をしていたんだって。
 魔人族も平均寿命が150歳を超えるという事で、エルフと同じように成人を過ぎると老化が非常にゆっくりになるそうだ。

 当時5歳だったチアキさんは、両親と漁師のようなお仕事をしていたから沿岸部に住んでいたんだけど、ある日とても酷い嵐に見舞われて大きな津波が町を襲い、チアキさん達は海に飲み込まれた。気が付いた時には助け出されていたけど、知らない天井、知らない人、知らない国にいることが分かって、両親とは二度と会えない事も理解したみたい。
 どうやらその時に記憶が蘇ったそうで、そうじゃなかったら色々無理だっただろうとの事。確かに私もあのタイミングで冷静になれたのは、大人な自分がいたからだと思うからよく分かる。

「拾ってくれた人が貴族の屋敷で働く乳母でな、その人の死んだ息子の代りに可愛がってもらったんだ。その家は港町を治める伯爵家で、令嬢が俺と同年代ってことで遊び友達って感じで勉強を教えてもらったんだ」

 当時記憶が混乱していたチアキさんは自分の名前が思い出せず、その家の人からアダームと名付けられた。伯爵家は貿易関係の仕事をしていた事で忙しく、両親が不在にしがちで寂しがっていた令嬢の友人として、勉強相手として受け入れられたという。
 退屈を持て余していた令嬢に日本の知識を教えてあげたり、逆に令嬢から魔法を教えてもらったりしたみたい。まあそうなれば日本人ですよ、特にチアキさんが生きた時代は平成と令和だったらしく、RPGもラノベもガッツリ嵌っていたヲタクだったようで、そりゃチートしちゃうよねって事ですよ。
 魔人族は身体スペックも高く、騎士訓練をはじめればめきめき頭角を現して、そのうち伯爵家から婿になればいいってことで、令嬢との婚約までしたらしい。

「おぉ! まさにラノベの主人公じゃないですか」
「だろ? 俺もあっちでは賢者になりかけてたから、ルーチェと結婚とか浮かれたぞ~」

 ええっと、なるほど?
 うん、今のチアキさんと白雪さんが夫婦なのかは知らんけど、多分白雪さんはチアキさんの事を好きなんだと思うんだよね。そんなに嬉しそうに話したらちょっとやきもち焼いてしまうかもですよ?

 あれ? けど確か冒険者ギルドの金銭トラブルのあれって勇者が決めたって言ってなかったっか? どう考えても結婚詐欺にあった人が考えたんだろうと思ったけどD…コホン、賢者だったなら違うのかな。

「あぁ、あれは、うん。想像通り結婚詐欺にあわないようにって感じだな。
 ほら、結婚までは清い関係でいたいって両親から言われてるとか言われたらな? 俺って誠実だったんだよ、うん」

 そんな血の涙を流しそうに言わんでも。
 うんうん、清純ぶってる奴の方がやることやってる奴は多かったから、やばいのに当たっちゃったんだね。百五十年以上前のことでも凹めるんだね。(※個人の感想です)
 あまり意味は分かってないけどヨシヨシと背中をさすってあげる白雪さんは優しい人だと思います。

「まあそんな訳でルーチェとの結婚まであと半年って時に聖女が現れてな、俺らには関係ないって思ってたけど、魔の物を撃退するために剣に覚えのある人を供にして大陸に行くとか言い出したせいで、あの国の貴族の関係者は殆ど全員集められたんだ」

 長い旅になるからと、妻帯者と高齢者(30代以上というからどこが高齢者やねんとツッコみたい)は除外されたけど、それ以外は集められてトーナメント戦が行われたんだって。
 チアキさんは結構な腕前だったから行きたくなかったらしいんだけど、伯爵から頼まれたら行かないわけにもいかずに出場、準々決勝くらいで手を抜いて負けたから帰るつもりだったんだって。
 だけどそうは問屋が卸さねえってやつですよ。聖女からご指名で旅のお供にさせられたってんだから、何のためのトーナメントやねん! って突っ込みたくなるよね。

 チアキさんが選ばれたのは聖女と同じ黒髪が安心するからだったんだってよ。婚約者への手紙や連絡をする事も出来ずに、半監禁状態からの出発だったというから最悪過ぎるよね。

「クソビッチはあれだ、所謂トラ転ってやつだ。まんま召喚って訳じゃなかったんだよ」
「トラ転って、トラックに轢かれて死んだと思ったら転生してたってやつですか?」
「そうそう、お約束の神様からチートをもらっての召喚だったらしいぞ。まあだから来て早々自分は聖女だとか言えたんだろうな。じゃなきゃ唯の頭に花が咲いたヤベエ女って事だし」

 聖女も日本人っぽいとは思っていたけど、トラ転聖女だったとは思わんかったね。神様からのチートっていうのは聖属性魔法って事なのかな? エルフになりたいとかじゃなかったんだね。

「聖女様は神様から何をお願いされたんですかね、転生チートがあるって事は何かお願いされてますよね?」
「それがスタンピードの終息だったんだよ。本人は崇められたいからっつって聖女になりたいとか言ったらしくて、聖属性特化でこっちに来たみたいだけどな」

 崇められたいねぇ。まあ実際そうなったんだから凄いですねって感想しかないけど、スタンピードを魔王のナンチャラと伝えてるあたり、なんか仲良くなれなかったんだろう感が酷いね。
  


 ~~~~~~~~~~~~~~
 いつもヒロ退をお読みくださりありがとうございます。
 つ、ついに、本編だけで400話目となりました°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°
 第二章はまさかの別大陸でのお話、しかも元勇者との出会い! 
 これからもヴィオの成長を楽しんでいただけるように頑張ります♪
 コメントや♡も非常に励みになってます( *´艸`)
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