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山籠もり
第492話 山籠もり仲間が増えたぞ
しおりを挟む快適な山籠もりをはじめて三週間、まさかの修行に仲間が増えました。
「ミドウ村に連絡したら面白そうなことしてるって聞いたんだよね。何で誘ってくれなかったわけ?」
『ダンジョンじゃないなら私達も一緒に来れたのに!』
『そうよ! 私達と会いたくなかった?』
空が見える開けた場所でお昼ご飯を楽しんでいた最中に、突然現れた巨大なドラゴン。
黄色い鱗が美しいそのドラゴンは三人……ではないか、一人のエルフと二体の精霊を連れてきた。
「いや、新しい事業が始まって大変だっただろう? もう離れて大丈夫なのか?」
「盾の魔法を教えるのは若手がいるし、ダンジョンに何度かついて行ったくらいで僕がする事はそう多くないよ。ダンジョンはアリオール達が張り切ってるしね」
黄色いドラゴンはイブさんを下ろした時点で人に戻っており、現在は一緒に昼食を召し上がっていらっしゃいます。えっと、どちら様でしょうか?
『もう、びおったら聞いてる?』
「えっ? 聞いてる聞いてる。ごめんね。会えて嬉しいよ。
それにしても名前呼ばれたのはじめてだよね? びっくりしちゃった」
二体の精霊はエルフの里にいたオカン精霊だった。光の精霊と風の精霊でフリフリした短いドレスを着た可愛い女の子の見た目をしている。
彼らは色々な形をしており、ヒトの姿をしている精霊は結構お喋りだ。猫の姿の子はニャーンと鳴くし、カプラの形をした子はメーと鳴く。形が無い子達は言葉を発することは無いけれど、結構ボディーランゲージで感情は伝わってくる。
この二体の精霊は里にいる間何かと世話を焼いてくれた子達で、他にも何体かいたけど、彼らはベル君と私、他の子供達など小さい子供の傍にいてくれることが多かった。
それでも名前を呼ばれたことはなく「小さい子」「ドラゴンの子」「ヒトの子」と呼ばれていたと思う。
「ああ、その子達は特にヴィオの事を気にしてたんだよね。今回僕がヴィオのところに行くって知って、絶対一緒に行くってついてきたんだ。
まあ精霊は迷子になる事なんて無いし、邪魔だったら気にしなくていいから」
『まぁ、失礼しちゃうわ! 私達びおの邪魔なんてしないんだから』
『そうよ、私達の可愛い子を心配してるだけなんだもの』
「精霊にそこまで気に入られるエルフ以外というのも珍しい」
喋った……。
ここまで静かに食事をしていたドラゴンさんが喋ったことに驚いたけど、なんてことは無い。食事が終わったからのようだ。
「うむ、素晴らしい食事をありがとう。ダルス達が齎せてくれた素晴らしいレシピは我が集落でも非常に人気となっていたのだ。その本場の味を頂くことが出来て嬉しい」
「あ、えっと、それはどうも」
「ヴィオ、彼はジョアッキーノ。木竜人族で僕の友達。ルイスの姉の番《つがい》だよ」
イブさんからの超簡単な説明、ありがとうございます。
そういえばルイスさんには兄と姉がいるって言ってたね。
本当はお姉さんも来たかったらしいんだけど、私の修行中だからと断ったらしい。挨拶だけしたらジョアッキーノさんも食事のお礼をして帰って行ったしね。本当にご飯を食べたかっただけらしい。
精霊は気ままに生きるものが多く、自分たちの興味関心が強いものに執着する。火の精霊だったら火の近くに、水の精霊なら水のある場所に、木の精霊は樹々にというように。
光の精霊と風の精霊は比較的自由で、色んな場所をウロウロする。だからこそヒトなどの姿を取る者も多いそうだ。
子供が好き、大人が好き、静かな人が好き、騒がしい人が好き、そういう好き好みはあるけれど、特定の個人にというのは珍しいんだって。
「流石にこの広い森の中を探すのは大変だったからね。この子達が手伝ってくれたから助かったよ。ジャッキーに飛んでもらうだけだと場所が広すぎて大変だったもん。
ってことで、今日からは僕も一緒に参加するね? いいよね?」
「まあ、いいんだが、この修業はヴィオが弱音を吐く練習というか、無理だと言えるようになるのが目的なんだが……」
精霊たちは私達を探すのに協力していたらしく、今は疲れて私の両肩でスヤスヤ眠っています。
何をそんなに気に入ってもらえたのかは分からないけど、可愛いふたりが一緒にいてくれるのは素直に嬉しいです。
イブさんが参加するのは問題ないんだけど、チアキさんからイブさんに修行の理由を説明中です。そういえばそんな理由がありましたね。
こんな快適な山籠もり生活で、弱音をいつ吐けばいいのか分からんのだが……。
「ふ~ん、じゃあヴィオの行動を遠くから見守って、手出しは基本不要って事ね。なんだ、二人の事だから無茶苦茶な事をしてると思ったのに意外だった。とりあえず僕もチャーキと一緒に見守ればいいって事ね」
イブさん、その見守っている方の人がやらかしてますよ。とは言えない何か。
まあとりあえず今日の夕方に野営する場所をチアキさんが見つけてくれるはずなので、私はそれまでいつも通りに魔獣討伐と素材採集を頑張りますかね。
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