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ミドウ村へ
第510話 魔道具のデザイン
しおりを挟む気を取り直して、精霊たちの依り代となるアクセサリーのデザインを考えましょうかね。
「ヴィオは魔法が殆どだし、使っても鞭だよね? だったら腕輪とかでもいいんじゃない?」
「あ、私双剣も使うんです。成長しちゃって持ち手が小さくなってしまったから、今は使ってないんですけど……」
ギレンさんが作ってくれた双短剣は、5歳の時に作ってもらったので、グリップのサイズが合わなくなってしまったのだ。
解体用のナイフはミドウ村で新たに購入したけれど、あの短剣はギレンさん特製だから、村に戻ったらまた作り直してもらうつもりなのだ。
鞭は元々短剣より太めのグリップだった事もあり、然程不自由ではないけど、これも帰ったら確認をしてもらうつもりだ。
コンコンコン
三人で頭を突き合わせて、ああでもない、こうでもないと話し合っていたらノックの音がしてミケさんが顔を覗かせた。
実験に集中しすぎている時はノックに気付かないので、そのまま入ってきてもらうようにしているからね。
「皆様そろそろご昼食になさいませんか?」
「もうそんな時間か」
「そういえばお腹が空いてきたかも」
随分静かな精霊たちを見れば、肩に突っ伏した状態でスヤスヤ眠っていた。
自分達の寝床とまではいかなくても、休憩場になるんだから希望を聞いたんだけど、自分たちの事を考えて相談してくれているのが嬉しいから出来上がるのを楽しみにしたいんだって。超可愛いよね。
中々良い案もでないので、ひとまずお昼ご飯を頂きましょう。
「ミケさん、準備のお手伝いをせずにすみません」
「もう、本来はヴィオ様にお手伝いをしていただく方がいけないのですわ。お帰りになって直ぐですし、滞在中はごゆっくりなさってくださいませね」
尻尾で優しくペシペシされるのはご褒美でしょうか。
「あっ、風竜人族の集落でお酒作りを習ってきたんです。材料も貰って来たので後で一緒に作りませんか? 和食の調理に合うお酒も完成したんです」
「まぁ、それはとても興味深いですね。ですがよろしいのですか?」
「おお、作るのであれば米酒と葡萄酒も欲しいな」
「あ、だったら僕も自分用にドブロク作りたい」
「ほう、そんなに沢山作れたのか。我も作ってみたいぞ」
麦はミドウ村でも作っているから余裕はあるけど、お米と葡萄はちょっと残量が心許ないかも。
勝手巻きパーティーでも手持ちのお米を使ったし、ワイン用に葡萄は半分使っちゃったんだよね。
「それなら大丈夫じゃ。其方らが修行に出た後暇じゃったからな、村の若いのと一緒にヒスに行っておったんじゃ。米も果物もこんもりあるぞ」
「白雪! ダンジョンはそんなに好きじゃなかった筈なのに、ありがとうな~」
「これチャーキ、皆が見ておる、ちと恥ずかしいぞ」
喜んだチアキさんが白雪さんを抱締めて頬にチュッチュしたもんだから、真っ赤な白雪さんがアワアワしております。
大丈夫、私もイブさんも見ていません。
あ、イブさん! 珍しいもの見たさでガン見しないでください。見るなら両手の指の隙間からチラ見するのがお約束ですよ!
そんなワチャワチャがありながらも、昼食後に全員でお酒を作ったよ。
お米は三割の料理酒を三樽、四割の日本酒ならぬ米酒を二樽、イブさん用のどぶろくの為に米五割の物を一樽。
麦酒はエルフの里用を一樽。これは出来上がって白雪さんが気に入れば、もう一樽作ることになっている。
葡萄酒は赤と緑を二樽ずつ、他にキーウィのお酒、オレンジのお酒、パテトのお酒なども仕込んでおいた。
酒屋かよってツッコみたくなったけど、どれもこれも素材を入れて酒の素を入れて混ぜれば完成なんだから、便利なものだよね。
果物のお酒は小さな樽で作っているけど、これはミケさんと白雪さんが楽しむだけだから少なくて良いとの事。
チアキさんは日本酒とワインがあれば良いのかもね。
「それで? 魔道具はできそうなんか?」
酒の仕込みも終えて休憩中に白雪さんから質問をされたので、どんなデザインが良いのか、二種類になるので悩んでいる事を伝えた。
「ふむ、光と風じゃからなぁ」
「そうなんです。光の子は明かりがあれば良いと思うので、灯篭みたいなデザインのネックレスでも可愛いかなって思ってるんですけど、風に悩んでるんですよ」
吊り下げるタイプのお洒落なランタンのイラストを描いて見せれば、白雪さんとミケさんから可愛らしいと褒めてもらえた。
「ですがこのガラスがあると風が通りませんから、風の精霊様はお入りになれませんよね」
「そうなんです。風が通り抜けるか、風が吹く感じが良いみたいなんですけど、どうしようかと思ってて」
「であれば、このガラスがない状態で作ってみてはどうじゃ? 別にこの明かりは熱を持つものではなかろう?」
ああ、成程ね! ランタンをイメージしたからガラスを付けているけど、別に必要ないもんね。
チアキさん達も一緒に聞いてくれていたので、直ぐに実験に取り掛かることにした。
相談できる人が多いのは有難いね。精霊ちゃん達は試作品ができるまでは見ないでおくと、白雪さん達と一緒にいることにしたみたい。
期待されているし、頑張らなきゃですよ。
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