70 / 551
学び舎での日々
第64話 休日の過ごし方
しおりを挟む風の日の午前中は 黒猫三兄弟と、ナチ ハチ兄弟の5人が我が家にやってくる。
3回目になるからね、レン君のことはルン君が、ハチ君のことはナチ君がしっかり見ながら採集をしてくれる。
私はロン君の採集をお手伝いしながら、お父さんが全体を見てくれている。
リリウムさんたちも付き合うと言ってくれたんだけど、先週の練習を見て 学び舎での二人の事もお父さんは魔術訓練で見てるから、早々無茶な行動はしないと判断。
上の子が見てくれることは前提としてだけど、両親はいなくても大丈夫と言ってくれたんだよね。
かわりにリリウムさんとランダさんが、夏の日差し除けになる鍔のある帽子を作ってくれることになったんだ。
「ロン君 久しぶりだね。 少し間が空いたから、今日はカイフク草の見た目を確認するところから始めようね。どんなのか覚えてる?」
「うん、全部みどりのやつ。それから……丸い先っちょがとんがってる」
うん、間違ってはない。全部緑……、ウラオモテって事だよね?
「うん、合ってるね。じゃあどれがカイフク草か教えてくれる?」
「いいよ~、んとね……あっ、コレ!」
何本か別の雑草と生えている中から、ちゃんとカイフク草を選んで見せてくれるロン君。
え?1週間前の事だよね? 3歳くらいって、葉っぱなんて全部同じに見えてるとかじゃないの?凄くない?
鉛筆の持ち方の時も思ったけど、この子達のスペック高くない?
「ロン君、凄いね! 合ってるよ! よく覚えてたね!」
「やった~、兄ちゃん おれちゃんと褒められた~」
「おお、ロン凄いなぁ」
「ロン、ヴィオはちゃんと頑張ったら褒めてくれるんだぞ、よかったな」
兄弟仲良しか!
褒めたロン君は 喜び勇んで兄弟に報告しに行ってワシワシされている。微笑ましすぎるんですが。
お兄ちゃんたちに褒めてもらって 直ぐに戻ってくるのも可愛い。
では次は採集をしよう!
ハサミの使い方を復習するのに、別の雑草をまずは切ってもらう。
何度か葉っぱを掴んでしまって クシャっとなってしまったけど、注意すればすぐに直すのも素直。
何度か練習してから カイフク草の採集へ。
慎重に葉っぱの茎の部分を左手で掴んで ハサミでチョキン。
「どう?できた?」
「うん、ちゃんと葉っぱも潰れてないし、茎のいい部分で切れているね。これなら下の薬草もちゃんと育つよ。上手に出来たね!」
「兄ちゃ~ん!」
葉っぱを片手にまた兄のところへ駆けていく。
今回は褒めてもらうのも目的だけど、葉を籠に入れるのも目的だったっポイ。
お父さんはレン君とハチ君を見ながら ルン君とナチ君にはカイフク草以外の採集を教えている。
二人も この数日間 資料室で薬草の勉強をしてきたらしく、迷うことなくマリキ草を採集している。マリキ草とよく似たナミダ草も数を増やせたから しっかり混ぜて植えているのに、葉の先端を見ながら 割れていないものを選び取っている。
マリキ草とナミダ草は イチョウによく似た形をしていて、葉は扇形をしている。マリキ草は 綺麗な扇形で、ナミダ草は真ん中位に割れ目がある。
両方とも緑色だけど、黄色だったらナミダ草はイチョウにしか見えないだろう。
ロン君の採集が10本1セット分 採れたところで休憩タイムだ。レン君たちも20本ずつ採集が出来たようなので10本組になるように紐で結んであげている。
ハチ君は ナチ君と一緒に自分の採集した薬草を紐で結んでいる。
「兄ちゃん おれまだ遊びたい!」
「ん~、でもあと10本取ってたらお昼過ぎちゃうぞ」
「ロン、今日はこの後 ナチたちと一緒にギルドに報告に行くんだよ。いっぱい歩くんだから 体力は残しておきな。ギルドに行って、帰ってからお昼ご飯だからね」
ロン君は遊び足りなかったようだけど、まだまだお兄ちゃんたちと一緒にお出かけが出来ることを知って喜んでいる。
まあ普段は一人でお留守番なんだもんね。お兄ちゃんたちと過ごせるのは嬉しいんだろう。
「びお またね~」
「アルクさん、ヴィオちゃん、今日もありがとうね」
「おう、ヴィオありがとうな。アルクさんも ありがとうございます」
「ああ、ナチも ロンも、薬草の取り扱いは丁寧じゃったぞ。あと何度か練習したら村長の森で新しい薬草採取もしてみたらええ」
私は午後から採集と、お父さんとの特訓だからね、皆とはここでお別れだ。
皆が見えなくなるまで手を振って、お家に入る。
「さて、ちょっと早いがお昼にするか」
「うん、お昼ごはんの後に採集だけしてから お昼寝して、それから特訓でいい?」
「ははは、そうじゃな。そうしようか」
お腹いっぱいで直ぐにお昼寝が出来ないのは分かってるからね。
午前に草まみれになってるんだから、お昼寝前に【クリーン】するなら 採集までやっちゃいたい。
お父さんがお昼ご飯を作ってくれている間に 採集の準備をしていく。
籠、手袋、ナイフ、麻紐の4点セットだ。
カイフク草は3人が今日5セット分の納品をしているからね。マリキ草もナチ君たちで4セット納品されている。
だからお昼からの採集は別の薬草の方が良いと思うんだよね。
幸いお父さんの森にはあの2種類以外にも素材は沢山あるからね。
川に近い場所は 他に比べて水気がある分 湿地帯に生える様な素材も生えている。
村長の森にもあったウルル草、セリエグは白い花が咲いているので 花と茎を一緒に3節分で切り取る。
この二つは回復薬の素材だから5本で1セットだ。
「あれ?お父さん、こんな花 咲いてたっけ?コレも回復薬の材料だったよね?」
「ん?ああ オギョウだな。それは昼の温かい日を浴びないと花が咲かんからな。午前中に咲くことは滅多にないから気付かんかったんじゃろ。
花が咲いとるときに採集すればちょっと高い素材になるぞ」
おお、時間制限ありって事だね。
村長の辞典には書いてあったけど、時間の事は書いてたかな?
日中の開花している時に土から5cm程上から採集する。とは書いてたと思うけど、日中の括りが詳しく書いてなかった筈だ。
自分のメモを見直しても書いてなかったので、付け足しでメモをしておく。
カイフク草とマリキ草は10本で1セットだけど、他の薬草は大体5本1セットなので、5本組で纏めていく。ウルル草は密閉容器で保管だよ。
全部1セットずつ採集して、マジックバッグに入れてからお昼寝をして、起きてからはお父さんのアスレチックでの特訓だ。
「おお、それは安全対策としてはええが……」
お父さんが苦笑いをしているのは 木の上の吊り橋だ。
授業でブロックを梯子にしたように、あるもので補助できれば怖くないと思って 橋を渡している木に魔力を流して、反対側の木まで届くように蔦を伸ばしたのだ。
手すりが出来たことで安定して渡れたんだけど、お父さん的に特訓としては駄目だったっポイ。ごめんなさい。
2周目からは 安全蔦は無くしましたよ。落ちてもお父さんが必ず受け止めてくれることも分かったし、身体強化を脚だけじゃなくて全身にかけることで 防御力が上がるっぽくて、丸太から落ちても、ズッコケても怪我しないんだよね。
まあ 油断大敵とも言われているから 気をつけてはいるけど、初回程 高いところも怖くなくなったし、早く動けるのがたのしいから頑張っちゃう。
3周走ったところで訓練は終了。
ギルドに納品に行ったら まだタキさんが居て、今日の採集の事でお礼を言われたよ。
今日の採集物は全部OKだったらしく、お小遣いとしてウキワクでお金を持って帰ったんだって。ナチ君たちは午前だけで2ポイントも稼げたと とても喜んでいたらしい。
ルン君は 50ポイント貯まり 錫から青銅ランクに上がったとの事。
青銅から銅は100ポイントだからね。
私も今日の3ポイントが入って40ポイントになった。あと10ポイントで青銅にランクアップだ。
とりあえず銅ランクまでは薬草採取頑張んないとね。
660
あなたにおすすめの小説
『婚約なんて予定にないんですが!? 転生モブの私に公爵様が迫ってくる』
ヤオサカ
恋愛
この物語は完結しました。
現代で過労死した原田あかりは、愛読していた恋愛小説の世界に転生し、主人公の美しい姉を引き立てる“妹モブ”ティナ・ミルフォードとして生まれ変わる。今度こそ静かに暮らそうと決めた彼女だったが、絵の才能が公爵家嫡男ジークハルトの目に留まり、婚約を申し込まれてしまう。のんびり人生を望むティナと、穏やかに心を寄せるジーク――絵と愛が織りなす、やがて幸せな結婚へとつながる転生ラブストーリー。
【完結】領主の妻になりました
青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」
司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。
===============================================
オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。
挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。
クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。
新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。
マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。
ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。
捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。
長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。
新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。
フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。
フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。
ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。
========================================
*荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください
*約10万字で最終話を含めて全29話です
*他のサイトでも公開します
*10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします
*誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです
誰も信じてくれないので、森の獣達と暮らすことにしました。その結果、国が大変なことになっているようですが、私には関係ありません。
木山楽斗
恋愛
エルドー王国の聖女ミレイナは、予知夢で王国が龍に襲われるという事実を知った。
それを国の人々に伝えるものの、誰にも信じられず、それ所か虚言癖と避難されることになってしまう。
誰にも信じてもらえず、罵倒される。
そんな状況に疲弊した彼女は、国から出て行くことを決意した。
実はミレイナはエルドー王国で生まれ育ったという訳ではなかった。
彼女は、精霊の森という森で生まれ育ったのである。
故郷に戻った彼女は、兄弟のような関係の狼シャルピードと再会した。
彼はミレイナを快く受け入れてくれた。
こうして、彼女はシャルピードを含む森の獣達と平和に暮らすようになった。
そんな彼女の元に、ある時知らせが入ってくる。エルドー王国が、予知夢の通りに龍に襲われていると。
しかし、彼女は王国を助けようという気にはならなかった。
むしろ、散々忠告したのに、何も準備をしていなかった王国への失望が、強まるばかりだったのだ。
俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。
ミミリン
恋愛
ある世界の貴族である俺。婚約者のアリスはいつもボサボサの髪の毛とぶかぶかの制服を着ていて陰気な女だ。幼馴染のアンジェリカからは良くない話も聞いている。
俺と婚約していても話は続かないし、婚約者としての役目も担う気はないようだ。
そんな婚約者のアリスがある日、俺のメイドがふるまった紅茶を俺の目の前でわざとこぼし続けた。
こんな女とは婚約解消だ。
この日から俺とアリスの関係が少しずつ変わっていく。
【完結】妹は庶子、文句があるか? 常識なんてぶっ飛ばせ!
青空一夏
ファンタジー
(ざまぁ×癒し×溺愛)
庶子として公爵家に引き取られたアメリアは、
王立学園で冷たい視線に晒されながらも、ほんの少しの希望を胸に通っていた。
――だが、彼女はまだ知らなかった。
「庶子」の立場が、どれほど理不尽な扱いを受けるものかを。
心が折れかけたそのとき。
彼女を迎えに現れたのは、兄――オルディアーク公爵、レオニルだった。
「大丈夫。……次は、俺が一緒に通うから」
妹を守るためなら、学園にだって入る!
冷酷なはずの公爵閣下は、妹にだけとことん甘くて最強です。
※兄が妹を溺愛するお話しです。
※ざまぁはありますが、それがメインではありません。
※某サイトコンテスト用なので、いつもと少し雰囲気が違いますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
【完結】堅物な婚約者には子どもがいました……人は見かけによらないらしいです。
大森 樹
恋愛
【短編】
公爵家の一人娘、アメリアはある日誘拐された。
「アメリア様、ご無事ですか!」
真面目で堅物な騎士フィンに助けられ、アメリアは彼に恋をした。
助けたお礼として『結婚』することになった二人。フィンにとっては公爵家の爵位目当ての愛のない結婚だったはずだが……真面目で誠実な彼は、アメリアと不器用ながらも徐々に距離を縮めていく。
穏やかで幸せな結婚ができると思っていたのに、フィンの前の彼女が現れて『あの人の子どもがいます』と言ってきた。嘘だと思いきや、その子は本当に彼そっくりで……
あの堅物婚約者に、まさか子どもがいるなんて。人は見かけによらないらしい。
★アメリアとフィンは結婚するのか、しないのか……二人の恋の行方をお楽しみください。
赤毛の伯爵令嬢
もも野はち助
恋愛
【あらすじ】
幼少期、妹と同じ美しいプラチナブロンドだった伯爵令嬢のクレア。
しかし10歳頃から急に癖のある赤毛になってしまう。逆に美しいプラチナブロンドのまま自由奔放に育った妹ティアラは、その美貌で周囲を魅了していた。いつしかクレアの婚約者でもあるイアルでさえ、妹に好意を抱いている事を知ったクレアは、彼の為に婚約解消を考える様になる。そんな時、妹のもとに曰く付きの公爵から婚約を仄めかすような面会希望の話がやってくる。噂を鵜呑みにし嫌がる妹と、妹を公爵に面会させたくない両親から頼まれ、クレアが代理で公爵と面会する事になってしまったのだが……。
※1:本編17話+番外編4話。
※2:ざまぁは無し。ただし妹がイラッとさせる無自覚系KYキャラ。
※3:全体的にヒロインへのヘイト管理が皆無の作品なので、読まれる際は自己責任でお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる