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魔導学園へ
第245話 おもてなし
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失敗鑑定魔法 改め、身体を覗く魔法ということで【ボディピーク】という魔法を散々練習した後、その魔法の行方というか どうしていくのかは ドゥーア先生にお任せした。
水生成魔法にしろ 失敗魔法をドゥーア先生に押し付けている気がして申し訳ない気もするけど、先生的には 新しい魔法を考え付くということ自体が凄い事であり、その功績を奪っているようで申し訳ないと言っていた。
先生たちが大興奮したことで 結構時間が経っており、エミリンさんと この屋敷に来た時 先頭でご挨拶をしてくれた執事さんが夕食の時間だと呼びに来た。
「スティーブン、貴方が付いていながら お夕食の時間までお客人のお部屋にいるなど何をしているのですか」
「これは アルク様、ヴィオ嬢、申し訳ありませんでした。興奮のあまり時間をすっかり忘れてしまっておりました。
これより夕食のお時間となりますが ご案内させていただいてよろしいでしょうか」
「ああ、私もうっかりしていたよ。オットマール悪かったね。
エミリン、ヴィオ嬢の準備をしてあげてくれるかい?」
「畏まりました、ではお嬢様 お夕食の為にご準備をさせていただきますね」
あれよあれよという間に 話が進んで、私はエミリンさんに手を引かれ 客室の隣にある 私用に準備したというお部屋に案内された。
何故?
頭の中にハテナが浮かんでいる間に 既に室内にいたらしいメイドさん達によって 服を脱がされる。
「スティーブンがうっかりしていたせいで 湯あみのお時間まではとって差し上げられなかったのですが、就寝前にお手伝いさせていただきますからね」
「エミリン、髪飾りはどうしましょうか」
「お嬢様の眼鏡と髪飾りは魔道具ですからね、お夕食の時に 旦那様と御父上にご確認してからにしましょう。さあもう少しですよ」
あまりの手際の良さに抵抗する気も起きず されるがままになっております。
リリウムさん達のお店でも散々お着替え人形をしてきた事が こんな場所で役に立つとは思ってませんでした。
エミリンさんの指示で メイドさんたちによって 可愛らしいワンピースというかドレスに着替えさせられています。
先生は未婚だって言ってたのに 何故 私にピッタリサイズの洋服があるのだろうか。
そして 私の自宅にあるお部屋と同じくらいの部屋が目の前にあるんだけど、同じ様なドレスが沢山あるんだけど、どういう事なんだろうか。
「あの、エミリンさん……」
何故着替えさせられているのか、このドレスの持ち主がいるなら 勝手に平民が着て怒られないか、ブン先生が怒られてたけど 私が沢山質問したからなので叱らないで欲しいことなどを伝えてみる。
「まあ、お嬢様ったら お優しいのですね。
スティーブンと旦那様が興奮してお時間を忘れていただけでございましょう?
あのお二人は優秀ですが、魔法に関しては変た……、おかし……コホン、夢中になり過ぎるきらいがありますからね、フォローなさらないで大丈夫ですのよ。
それからドレスでございますが、こちらは全てお嬢様の為にご用意させていただきましたので 持ち主云々に関しては気にされないでくださいませね。
なにより、持ち主のお嬢様が着てくださらないと 折角縫ったメイドたちが悲しみますから 是非毎日お着替えを楽しまれてくださいませね」
先生たちに関しては 屋敷の皆が変態だと分かっているのだと少し安心(?)した。
しかし、ドレスは私の為ですって?
どうやら前回ドゥーア先生がサマニア村から戻った後、私を今年招くことを屋敷の皆に宣言したらしい。できれば このまま魔導学園にも通わせたいけど多分無理。
それでも居心地が良ければ 年に2回くらいは自宅での勉強会をしに来てくれるかもしれないから おもてなしをしたいと張り切っていたらしい。
元々魔法馬鹿な先生は 研究一筋というか、社交に関しては壊滅的というかそんな感じらしい。
授業をするから 生徒や先生たちとの関係性は良好だし、先生の研究を手伝って、助手になってからこうして秘書のように屋敷での助手までするスティーブンさんのような人がいるくらいだから、面倒見も良いらしい。
ただ、今回の水生成魔法の発表のようなことがあれば 王城でのパーティーにも招かれる。
そうなれば 生徒や同僚とは違う 貴族とのやり取りが必要になる。
それは非常に苦手らしくて、貴族同士の繋がりとか マウントの取り合いとか、興味がないから関わりたくないんだって。
そういうこともあって、自宅に客が来ること自体 本当に久しぶりで、生徒じゃない客人は初めてらしい。
しかも子供なんて超初だし 今後二度とないだろうという事もあり、屋敷の皆さんが大興奮だったらしい。小物作りが大好きなメイドさんたちが中心となって、お洋服の準備をしてくれたんだって。
「旦那様は『ローブを着れば 中は見えんから楽なものが一番』だなんて仰って、碌にお洒落をしてくださらないのですわ。
可愛らしい小物など作っても お喜びいただけないのは分かっておりますから、王都孤児院のバザーでお売りするくらいしか楽しみが無かったのです」
ツインテールにしていた髪を細かく編み込んでくれているメイドさんが うっとりしながらそんな事を言ってます。
先生のローブは魔法使いっぽいと思ったけど、そういう使い方もあるんですね。まさか中はスエットだったりします?
いや、この世界にスエットはないな。
メイドさん達は可愛いものや、可愛い刺繍を施したハンカチなどを作っては 定期的に開催される孤児院のバザーに持ち込んで 作りたい衝動を抑えていたらしい。
そこに今回6歳女児が来ると聞いて、普段は作れない洋服作りが出来ると張り切った結果、こんなに沢山のお洋服が完成したらしい。
まさかのメイドさん手作りと聞いて、それは着ないという選択は出来ないと思ってしまう。
ちなみに今着ているワンピースは エミリンさんが縫ってくれた一着だそうです。
黄色い生地に蔓草模様が入っていて とても可愛いAラインのワンピースだ。
七分袖は肘の辺りまでふんわり膨らみがあって お袖はキュッと締まっているので 食事の時に汚してしまうかもしれないという気遣いはしなくて大丈夫そうだ。
生地自体が薄手なので 柔らかくて着心地も良く、訪れる季節も考えてくれていたことがよく分かる。
メイドさん達も自分が作った洋服に袖を通してもらえることを楽しみにしている。と言われたら 勿体なくて着れないと断る方が失礼だと思った。
「とっても可愛いお洋服をありがとうございます。
毎日のお着替え楽しみにしてますね」
「「きゃあ~~~」」
「可愛いわ、これはしばらく私たちの癒しね」
大興奮のメイドさん達は 余程カワイイに飢えていたのだろうか。
先生が独身主義だし 奥さんがいないって事は 子供もいないもんね。お世話になる間は 皆さんのお着替え人形に徹しますね。
お着替えが終わって食堂に入れば、先生とお父さんがにこやかに待ってくれていた。
「お待たせしました、ドゥーア先生、素敵なお洋服をありがとうございます。
お姉さんたちが沢山作ってくれたと聞いてびっくりしましたが とっても嬉しいです」
「ははっ、喜んでもらえたなら私も嬉しいよ。彼女たちが可愛い者を着飾りたいという欲求があるのは分かっていたんだけど、130を超えた私を着飾られても仕方ないし、私は貴族のゴテゴテしたのが苦手だからね。
ヴィオ嬢には迷惑かもしれんが 彼女らの希望を叶えてくれて こちらこそ感謝するよ」
どうやら先生とお父さんの間で話はしていたみたいだね。じゃないとお父さんが驚いて遠慮してるはずだもん。
「お父さん、ここにいる間は 色変え外してても良いかな」
「そうじゃな、ドゥーア先生は既に知っておるし この屋敷の人たちが外に漏らすとも思えんから ええと思うぞ。
折角可愛らしい洋服を着せてもらえるんじゃったら リボンも使いやすいじゃろうしな」
魔道具を外してもいいかと聞けば 直ぐに頷いてくれたお父さん。
折角買ってくれたレースのリボンも 地髪の色に合わせたものは使ってなかったもんね。
「そうだな、この屋敷内では 色変えの必要はないだろう。
学園に行くときは色変えをしておいた方が無難だろうが この屋敷では楽にしてくれたらいい」
ということで、王都にいる間は 久々地毛でいることになりそうです。
出来ればこの期間中に イヤーカフ型の色変え魔道具を完成させたいね。
水生成魔法にしろ 失敗魔法をドゥーア先生に押し付けている気がして申し訳ない気もするけど、先生的には 新しい魔法を考え付くということ自体が凄い事であり、その功績を奪っているようで申し訳ないと言っていた。
先生たちが大興奮したことで 結構時間が経っており、エミリンさんと この屋敷に来た時 先頭でご挨拶をしてくれた執事さんが夕食の時間だと呼びに来た。
「スティーブン、貴方が付いていながら お夕食の時間までお客人のお部屋にいるなど何をしているのですか」
「これは アルク様、ヴィオ嬢、申し訳ありませんでした。興奮のあまり時間をすっかり忘れてしまっておりました。
これより夕食のお時間となりますが ご案内させていただいてよろしいでしょうか」
「ああ、私もうっかりしていたよ。オットマール悪かったね。
エミリン、ヴィオ嬢の準備をしてあげてくれるかい?」
「畏まりました、ではお嬢様 お夕食の為にご準備をさせていただきますね」
あれよあれよという間に 話が進んで、私はエミリンさんに手を引かれ 客室の隣にある 私用に準備したというお部屋に案内された。
何故?
頭の中にハテナが浮かんでいる間に 既に室内にいたらしいメイドさん達によって 服を脱がされる。
「スティーブンがうっかりしていたせいで 湯あみのお時間まではとって差し上げられなかったのですが、就寝前にお手伝いさせていただきますからね」
「エミリン、髪飾りはどうしましょうか」
「お嬢様の眼鏡と髪飾りは魔道具ですからね、お夕食の時に 旦那様と御父上にご確認してからにしましょう。さあもう少しですよ」
あまりの手際の良さに抵抗する気も起きず されるがままになっております。
リリウムさん達のお店でも散々お着替え人形をしてきた事が こんな場所で役に立つとは思ってませんでした。
エミリンさんの指示で メイドさんたちによって 可愛らしいワンピースというかドレスに着替えさせられています。
先生は未婚だって言ってたのに 何故 私にピッタリサイズの洋服があるのだろうか。
そして 私の自宅にあるお部屋と同じくらいの部屋が目の前にあるんだけど、同じ様なドレスが沢山あるんだけど、どういう事なんだろうか。
「あの、エミリンさん……」
何故着替えさせられているのか、このドレスの持ち主がいるなら 勝手に平民が着て怒られないか、ブン先生が怒られてたけど 私が沢山質問したからなので叱らないで欲しいことなどを伝えてみる。
「まあ、お嬢様ったら お優しいのですね。
スティーブンと旦那様が興奮してお時間を忘れていただけでございましょう?
あのお二人は優秀ですが、魔法に関しては変た……、おかし……コホン、夢中になり過ぎるきらいがありますからね、フォローなさらないで大丈夫ですのよ。
それからドレスでございますが、こちらは全てお嬢様の為にご用意させていただきましたので 持ち主云々に関しては気にされないでくださいませね。
なにより、持ち主のお嬢様が着てくださらないと 折角縫ったメイドたちが悲しみますから 是非毎日お着替えを楽しまれてくださいませね」
先生たちに関しては 屋敷の皆が変態だと分かっているのだと少し安心(?)した。
しかし、ドレスは私の為ですって?
どうやら前回ドゥーア先生がサマニア村から戻った後、私を今年招くことを屋敷の皆に宣言したらしい。できれば このまま魔導学園にも通わせたいけど多分無理。
それでも居心地が良ければ 年に2回くらいは自宅での勉強会をしに来てくれるかもしれないから おもてなしをしたいと張り切っていたらしい。
元々魔法馬鹿な先生は 研究一筋というか、社交に関しては壊滅的というかそんな感じらしい。
授業をするから 生徒や先生たちとの関係性は良好だし、先生の研究を手伝って、助手になってからこうして秘書のように屋敷での助手までするスティーブンさんのような人がいるくらいだから、面倒見も良いらしい。
ただ、今回の水生成魔法の発表のようなことがあれば 王城でのパーティーにも招かれる。
そうなれば 生徒や同僚とは違う 貴族とのやり取りが必要になる。
それは非常に苦手らしくて、貴族同士の繋がりとか マウントの取り合いとか、興味がないから関わりたくないんだって。
そういうこともあって、自宅に客が来ること自体 本当に久しぶりで、生徒じゃない客人は初めてらしい。
しかも子供なんて超初だし 今後二度とないだろうという事もあり、屋敷の皆さんが大興奮だったらしい。小物作りが大好きなメイドさんたちが中心となって、お洋服の準備をしてくれたんだって。
「旦那様は『ローブを着れば 中は見えんから楽なものが一番』だなんて仰って、碌にお洒落をしてくださらないのですわ。
可愛らしい小物など作っても お喜びいただけないのは分かっておりますから、王都孤児院のバザーでお売りするくらいしか楽しみが無かったのです」
ツインテールにしていた髪を細かく編み込んでくれているメイドさんが うっとりしながらそんな事を言ってます。
先生のローブは魔法使いっぽいと思ったけど、そういう使い方もあるんですね。まさか中はスエットだったりします?
いや、この世界にスエットはないな。
メイドさん達は可愛いものや、可愛い刺繍を施したハンカチなどを作っては 定期的に開催される孤児院のバザーに持ち込んで 作りたい衝動を抑えていたらしい。
そこに今回6歳女児が来ると聞いて、普段は作れない洋服作りが出来ると張り切った結果、こんなに沢山のお洋服が完成したらしい。
まさかのメイドさん手作りと聞いて、それは着ないという選択は出来ないと思ってしまう。
ちなみに今着ているワンピースは エミリンさんが縫ってくれた一着だそうです。
黄色い生地に蔓草模様が入っていて とても可愛いAラインのワンピースだ。
七分袖は肘の辺りまでふんわり膨らみがあって お袖はキュッと締まっているので 食事の時に汚してしまうかもしれないという気遣いはしなくて大丈夫そうだ。
生地自体が薄手なので 柔らかくて着心地も良く、訪れる季節も考えてくれていたことがよく分かる。
メイドさん達も自分が作った洋服に袖を通してもらえることを楽しみにしている。と言われたら 勿体なくて着れないと断る方が失礼だと思った。
「とっても可愛いお洋服をありがとうございます。
毎日のお着替え楽しみにしてますね」
「「きゃあ~~~」」
「可愛いわ、これはしばらく私たちの癒しね」
大興奮のメイドさん達は 余程カワイイに飢えていたのだろうか。
先生が独身主義だし 奥さんがいないって事は 子供もいないもんね。お世話になる間は 皆さんのお着替え人形に徹しますね。
お着替えが終わって食堂に入れば、先生とお父さんがにこやかに待ってくれていた。
「お待たせしました、ドゥーア先生、素敵なお洋服をありがとうございます。
お姉さんたちが沢山作ってくれたと聞いてびっくりしましたが とっても嬉しいです」
「ははっ、喜んでもらえたなら私も嬉しいよ。彼女たちが可愛い者を着飾りたいという欲求があるのは分かっていたんだけど、130を超えた私を着飾られても仕方ないし、私は貴族のゴテゴテしたのが苦手だからね。
ヴィオ嬢には迷惑かもしれんが 彼女らの希望を叶えてくれて こちらこそ感謝するよ」
どうやら先生とお父さんの間で話はしていたみたいだね。じゃないとお父さんが驚いて遠慮してるはずだもん。
「お父さん、ここにいる間は 色変え外してても良いかな」
「そうじゃな、ドゥーア先生は既に知っておるし この屋敷の人たちが外に漏らすとも思えんから ええと思うぞ。
折角可愛らしい洋服を着せてもらえるんじゃったら リボンも使いやすいじゃろうしな」
魔道具を外してもいいかと聞けば 直ぐに頷いてくれたお父さん。
折角買ってくれたレースのリボンも 地髪の色に合わせたものは使ってなかったもんね。
「そうだな、この屋敷内では 色変えの必要はないだろう。
学園に行くときは色変えをしておいた方が無難だろうが この屋敷では楽にしてくれたらいい」
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「小説家になろう」で連載していたものです。
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