ヒロインは始まる前に退場していました

サクラ マチコ

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ウミユ遺跡ダンジョン 前半

第340話 ウミユ その7

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昨日はピタパンサンドの準備を終えた時点で良い時間だったので、一足先に休ませてもらった。

「見張り番は俺たちが交代でする。
マジで、ほんとに、それくらいはさせて欲しい」

見張り番をどうするかと お父さんが聞いたら テリューさんから懇願されるように言われたので 土竜の人たちで交代しながら見張り番をしてもらうことになったんだよね。
6人もいるから2人ずつ3時間での交代で、一組はゆっくり寝るというのが毎回のルーチンらしい。

朝ごはんを食べたら 早速出発だけど、さて あの人たちはついて来れるのだろうか。

「まあ あいつらは気付かれてると思ってねえし、採集しながら進めば それなりにゆっくりになるだろ?1日1階層のペースで進めば 十分ついて来れるだろ」

「採集しながら上級ダンジョンで1日1階層は かなり難しいはずだけど、お前らならできそうだな」

テリューさん ちょっとぐったりしているようだけど見張り番で疲れちゃった?
夜に奇襲攻撃はなかったと聞いているけど 何かあったのでしょうか。
まあ 気を取り直していきましょう!


3階に下りたら ウルフやコボルト、ゴブリンも参加しているのが分かる。
さて、これだけアクティブな魔獣たちがいる中で 何度も脱落していた冒険者は無事ついて来れるのだろうか。
ん、んんん?

「お父さん、多分 兎だけど、大きさが兎じゃないのがいる。これがフライングラビットかな?」

点々と魔獣が居るんだけど 形は丸くて長い耳があるウサギっぽいのが索敵に引っ掛かるけど 大きさがオカシイのがいた。
資料には跳躍力が高く、脚力も強い、個体によっては城壁を壊すこともある。と書いてあったけど、確かにあの大きさならそうかもしれない。

「おお、そうじゃな、こんな低層階からこれが出るとは 流石上級ダンジョンじゃな。あれは一気に距離を詰めてくるから気を付けるんじゃぞ」

そっか、ピョ~~~~~ンで一気に来るなら視界に入った時には 射程範囲だって事だよね。

「ヴィオも索敵が出来るんだな。そんな遠くまで見えるって やっぱり魔力操作の訓練のお陰か?」

「そうだと思う。3歳の時からお母さんに教えてもらってたみたいなんだよね。魔法を使い始めたのは サマニア村に来てからだけど、3歳から毎日魔力操作と 魔力視の訓練は繰り返してたよ」

「そうなの……、お母さんが」

女性陣はお母さんネタになると ちょっと悲しい空気を纏うんだよね。まあ自分達の子供が孤児になったらって考えると 共感しちゃうのかもしれないよね。

ちなみに兎はまだまだ先なので 気にすることなく モッコリ丘になっている場所などを見つければ ガシガシ採集をしております。
纏まってても効率が悪いので グループ分けすることになりました。
お父さん、私、シエナさん、レスさん組
トンガお兄ちゃん、ルンガお兄ちゃん、ネリアさん、オトマンさん組
クルトさん、テリューさん、アンさん組
最後の一組だけ全員が前衛しかいないけど まあ何が来てもねじ伏せられそうだよね。


「アルクさんは格闘がメインですか? ヴィオは短剣と鞭だっけ? レスは魔法で遠距離だから 私は槍でいいかな」

「そうじゃな、儂は基本的に接近戦が多いが、ヴィオはどの距離でも行けるな。その時々 相手に合わせて対応しておるな。
お前さんらの戦い方を見せてもらったら 儂らもそれに合わせるぞ」

「ヴィオは便利だな。いや、悪い意味じゃないぞ?
まあ 確かに あんまり融通が利かない俺たちのやり方を見てもらった方が早そうだ。
おっと、丁度良い感じに敵さんが来るから あれは俺たちに任せてくれ。シエナはウルフ3いけるか?」

「いいよ」

500メートルほど先にウルフ3匹、その手前100メートルにコボルト2匹、更に手前で落ちている何かを貪り食っているゴブリン4体を発見。
ウルフはここからだとグレーなのかノーマルなのか分からないけど、あの距離でこちらに気付いて走ってきているとすればグレーなのだろう。
コボルトはゴブリンの食べ物を狙おうとしてたけど、その先にいる私たちに気付いて こちらに向かってこようとしているけど、多分ウルフの方が早く到着するだろう。

とりあえずお父さんと二人で 見学することにしたので 私とお父さんの二人を水の壁で包み込む。
ツヨツヨな人たちでも この人数だったら 魔獣が来るんだね。

「水よ 敵を貫け【ウォーターランス】水の刃で切り裂け【ウォーターカッター】」

レスさんが ゴブ&コボルトに向けて水魔法を放つ、短縮詠唱で 連続詠唱だ。座り込んでいたゴブたちは水の槍に貫かれ、ゴブに駆け寄ろうとしていたコボルト 2匹は 水の刃がスパパンと首を斬り落とした。

「はあぁぁぁ!」

魔法の素晴らしさに手を叩いていれば 飛びかかってきたウルフ3匹。
シエナさんは砲丸投げをするかのように グッと重心を落とした状態から グイ~ンと伸びあがるように 遠心力で槍を振り回し 大口を開けて飛び掛かってきていたウルフ3匹を横薙ぎに断ち切ってしまった。

「凄い凄いよ!シエナさん凄い格好いい!あんな華奢に見えるのに グワ~ンってしてブシャ~ってなって、凄かった!
レスさんも魔法 全然溜め無しで連続だし、単発のじゃなくて 相手の数分ドババってできるし、銀ランクの上級って凄いんだね!」

お兄ちゃんたちは ほら 規格外すぎるし、こないだ会った狼の人たちは強そうだったけど戦ってるところは見てないし、スチーラーズはへなちょこだし、ピンキリしか知らなかったけど、土竜の人たちはピンの方だね。

「あら、そんな風に褒めてもらえるなんて嬉しいわ。
ねえ レス聞いた?華奢に見えるんだって、格好良いって」

「ははっ、純粋に褒められるとか ちょっと照れるけど、やっとちょっと良いところ見せられたか?」

勿論ですよ。語彙力が無さ過ぎて どれだけ凄いのかを伝えきれないのが残念過ぎるくらい格好良かったです。

「シエナさんの槍があるなら 私も遠距離の方がいいかもしれないね。
ここでは魔法で攻撃しようと思います。後ろのあれが居なかったら手合わせしてみるのが一番なんだけど早く来てくれたらいいのに。

「そうじゃなぁ、おお、やっと下りてきたみたいじゃな」

一つ目のセフティーゾーンを過ぎたあたりで 3階に新しい反応が増えた。
11人が揃っているので奴らが来たのだろう。
ここではフライングラビットがいるけど、あの人たち戦えるのだろうか。聞き取りする前に死なれたら困っちゃうから 我慢できずに早めに来てくれたらいいのにな。
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