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閑話
〈閑話〉??????
しおりを挟む風の季節の最終月、奴らの情報通り 例の家族はウミユの町を訪れた。
冒険者が珍しくない町だけど、熊3人に虎1人、そこに小さな子供が1人というパーティーは かなり特徴的で、直ぐに気付くことが出来た。
到着日から私たちは宿からの監視を、数名の破落戸には 町に出て買い物などをする奴らから情報を聞き出すように指示を出した。
ギルドや武器屋に行く以外は 市場の屋台で食事を購入するくらいで 宿で過ごすことが多いのが難点だった。
「冒険者って もっと新しい町に到着したら 買い物とかしまくると思ったけど、そうでもないんっすね」
「子供がいるからじゃないか? 兄貴たちの方は別行動で外に出ているだろ?」
人が多い時間に市へ出てくれば 人混みに紛れて連れ去りやすいのに、そういう時間を避けているから それも出来ない。
ちっ、面倒な奴らだわ。
「だけど 武器の修理が終わればダンジョンに行くでしょ? ダンジョンだったら証拠も残らないし 少し予定は遅くなるけど 元々そのつもりだったし 良いんじゃない?」
そんな事を言っていたら、まさかの事態が起きた。
武器を回収しに行った翌日、どう見ても貴族が ガキの元を訪れたのだ。
「あのガキ、なんなんすかね。もしかして陛下の子供って事がバレてるんすかね?」
「王都の奴らからの情報によると あの貴族は魔導学園の教師らしい」
ゲドゥからの情報によれば 辺境の村と関わりがある貴族で、村にも来たことがあったとの事。多分その時に知り合って仲良くなったらしいと 村の子供から聞き出したようだ。
ただの顔見知りによる挨拶かと思ったのだが、どうやら共に行動することとなったようで、翌日には貴族が連れてきた護衛の冒険者と連れ立ってダンジョンに入って行った。
私たちは同行できないので 破落戸共に行かせたが 意味が分からなかった。
「は?どういうこと?」
「俺もちょっと分かんないっす。実際見た奴を連れてきますか?」
報告を受けても何を言っているのか分からず、王都の貴族だという情報を持ってきた奴らを呼び出して報告させた。
「あの貴族の人 王都でも有名な魔法の先生で、この数か月色んな所のダンジョンに行って色々調べてたんだよ。まあ あの先生以外にも 結構色んな先生たちが 護衛依頼出してくれてたし、大抵1階から2階までしか行かねえから すげえ楽で稼げるっつって 人気だったんだよな」
「そうそう、今回の先生は あの護衛達を毎回連れてってるけど、他の先生が参加するときなんかは 他の冒険者も呼ばれっから 会ったことあるな」
「それで? そんな貴族の先生が何をしにダンジョンへ行ってるのかしら」
「よく分かんねーけど、1階の遺跡を見てるらしいぜ。壁画とか、石の像とかが時々あるんだけど、それを見て興奮して メモして 何かよく分かんねーことを先生同士でガーって喋って みたいな感じだな。
時々学生がダンジョンに入ってきた時に 先生たちに気付くんだけど、大抵引いてっから やべえ変態なんじゃね?」
連れてきた奴らから報告を受けても意味が分からない。
まあ往々にして文官や 研究者という部類の人間は常人には意味不明な事をするのも常識だから、今回のここでもそういう事なんだろう。
彼ら曰く、大抵数日間通うとの事だったので 今回もそうだろうと思っていたけど、その予想は外れ 数日間宿から出てくることはなかった。
事が動いたのは 騎士隊が到着した翌日、貴族たちはどうやら王都へ戻ることとなったらしく、ガキどもはダンジョンに行くことになったようだ。
ただし、貴族の護衛だったはずの冒険者が 何故かガキどもと行動することになったらしく 護りが厚くなった。
「え~~~、この数日の間に仲良くなったとかか? あの破落戸だけでいけるか?無理じゃね?」
「あの者達は〔土竜の盾〕、メネクセス王国ヘイジョーの冒険者だな。
ゲドゥの情報からしても 彼らが陛下から依頼を受けている冒険者で間違いないだろう」
「てことは あいつらが陛下のところにガキを連れて行ったら 私たちの報酬はナシになっちゃうじゃない!」
「ま~、そうっすよね。陛下からの直接の依頼だし 横からかっさらうのはきついんじゃないっすか?
あいつら6人とも銀の上級だし、流石に俺らでも無傷は無理っす」
ちっ、なんて面倒なのかしら。
あのガキを私たちが献上することで 私の地位が上がるし 侯爵家がまた盛り返せるはずなのに、あんな冒険者にそのおいしいところを持っていかれるなんて許せない。
「つーか、一緒に行動するって事は 陛下の事も言ってんすかね」
「だが それであれば ダンジョンに行くか? 庶子であるとはいえ 唯一の姫だぞ? それに伝えているのであれば あの父親たちがまだ一緒にいることもおかしい。
あいつらも あの子供が陛下の子供かどうか、まだ疑っているのではないか?」
確かに、それであれば まだまだ付け入る隙はあるかもしれないわね。
であれば、まずはダンジョン内での様子を確認させてあの冒険者たちのレベルを確認させましょう。
あまりにも強いのであれば 敵対するのではなく 陛下とのつながりを主張して 安全に送り届けることを告げても良いわ。
侯爵家を経由するだけで ちゃんと送り届けるのは噓ではないもの。
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