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ウミユ遺跡ダンジョン 後半
第359話 ウミユ その26
しおりを挟むあの日に会った腹ペコ6人組以外に冒険者たちと会うことはないまま ダンジョンを潜っております。
1日に1階層、これが早いのか遅いのかよく分からない。
「すげえ早えよ。大体森ダンジョンは視界が悪いから 迷子になりやすい。
敵が来た時も 木々が邪魔して早々簡単には倒せないから時間もかかる。
索敵で敵とセフティーゾーンが直ぐに見つけられるってのは 相当すげえことだぞ」
テリューさんがそんな事を言うけど、オーク3体が来てもズババっと剣で倒してるし、フライングラビットもカウカウも 見つけ次第「肉だ~~~~!」って飛び掛かっていく人しかいないこの状況では どれくらいで進むのが常識なのかが分からない。
「お父さん、私の知ってる冒険者には ランク相当の通常の冒険者って人がいないね。これもまた アランさんに聞かれたら非常識って言われちゃうのかな?」
「くっくっく、まあ確かに〔土竜の盾〕もトンガ達も 銀ランク上級のレベルではないかもしれんな。
ただ、金ランクは こんなのがゴロゴロおるぞ」
「ちょっとアルクさん 金ランクでも ダンジョンでお風呂に入る人はいないわ」
お父さんの言葉を即座に否定したのはアンさん。
6人組と別れた翌日から やっと安心してダンジョン風呂を楽しむことが出来るようになったんだよね。
最初に準備した時はすっごくびっくりされたけど、お風呂上がりのお兄ちゃんたちの感想を聞いて 翌日には入りたいと頼み込んできたのは誰だったかな。
今は待ち時間が長くなるって事もあり、私たちのお風呂は女子用、お兄ちゃんたちのお風呂は男子用にして 同時に入れるようにしているくらいだ。
「じゃあ アンさん達は ハンモック風呂購入しないの? 類似品が出るにもまだまだ時間はかかりそうだけど、メリテントだったら 販売してると思うよ」
「うぐっ……」
「そうじゃな、あの風呂はダンジョンだけじゃなくて 風呂がない宿でも使えるし、儂らは自宅でも時々使っておったな」
「うぐぐぅ……」
「まあ あれだ、俺たちを含めて 今ここにいる奴らは 普通じゃねえって事だな。
ただし ヴィオ、お前はその筆頭だからな。
くれぐれも知らない奴らの前では 大人しくしとけよ。
ダンジョンで飯は作らねえ、作ってもスープと肉串を焼くぐらい。無理ならテントの中で食え。
ダンジョンで風呂には入らねえ、クリーン浴ですら毎日するような奴は少ないんだからな」
え?それは臭そうだし嫌ですね。
だから煤けてる冒険者が居るの?
「ふふっ、まあ 魔力が勿体ないっていうのが理由だと思うけど、綺麗すぎると魔獣に狙われやすいからね。ダンジョンは別としても 外の森なんかだと あえて汚して獣臭くすることで気配を誤魔化す人たちもいるわ」
あ~、ケモノのお姫様の物語でも猪の皮を被って森に待機する人とかの描写があった気がするね。
う~~~ん、なんか狩人のプロっぽくて格好良いとは思うけど 私がするのはノーセンキューだな。それなら気配隠蔽の精度を上げます。
お風呂を取るか、非常識と言われることを取るかで悩んだ二人は 快適さを選んだようですね。
まあ調理用具も揃えたし、大分お料理の腕も上達している今、この快適さを捨てて干し肉を齧るだけのダンジョン生活なんて戻れないでしょう。
は~っはっはっは。
こうやってどんどん快適ダンジョン攻略をする人が増えれば 私も常識扱いされるはず。
目指せ!野営地での調理! 広がれ! ダンジョンでのハンモック風呂!
「あ、レスから伝言が来たわ 今日の野営地に到着したって。私たちも合流しましょう」
アンさんのところに飛んできた小さな鳥は レスさんからの伝言でした。
私たちは最初に周辺の魔獣を倒してから ゆっくり採集をしているんだけど、全員がマジックバック持ちだから 採集したしりから鞄に入れるから片付けとかの必要がない。
お米と小麦は脱穀する手間があるけど それはセフティーゾーンに戻ってからやればいい。
3組はバラバラで行動しているけれど、大体横並びで動いているので 然程時間をかけることなく合流することが出来た。
今いる階は19階、明日は20階の中ボス挑戦という事もあり 20階の階段から一番近い6つ目、ではなく その手前5つ目のセフティーゾーンで野営をする。
下から戻るパーティー、上から来るパーティー、どちらが来ても気付いて対処できる場所という事で、あの6人組に会って以降は 毎日階段手前2つ目のセフティーゾーンで野営をするようになった。
集まった皆は其々の準備を手早く行っていく。
トンガお兄ちゃんと レスさん、シエナさんでお風呂の準備、シエナさんが土壁とお風呂用のポールと水がセフティーゾーンの外に流れるように傾斜をつけてくれる。
お兄ちゃんは 足が汚れない様にスノコ状の板を両方にセッティング、レスさんはお風呂用に水生成魔法で溜めてくれている。
自分たちが飲むための水なんて そんなに大量に作ることもないけど、こうしてお風呂用に結構な量を準備するようになって 魔力の消費量が減ってきていることを実感しているとの事。
私とルンガお兄ちゃん、オトマンさんは自分たちのテントの準備、その間にお父さんとクルトさんは 火台を作って調理台をセッティングしてくれている。
テリューさんは大きなテーブルの準備、これもだいぶ慣れたようで 考え込むことなく作れるようになってます。
アンさんと ネリアさんは 調理用具のセッティングと 野菜類の下拵え。
テントを張り終え、お風呂のセットも終われば 皆で調理。これも4週間のダンジョン生活で 慣れたものだ。
夕食を食べながら明日の相談というか 対策を話し合う。
「20階は 三つ目熊が出ることは分かってる。ブラックウルフに関しては まあ問題ないんだが、この人数で入ると 三つ目熊が増えるのか、それとも四つ腕辺りが増えるのかが分からん」
「そうだね、もしかしたら上位種で数合わせしてくる可能性もある事を思えば、僕たちと土竜のメンバーは別で入った方がいいかもね」
確かにそうかもね。
このメンバーなら どうにでも出来そうな気はするけど、危険は出来るだけ排除しておいた方がいいと思うもんね。
ということで、明日のボス戦は 2組に分かれて入る事になりました。
私とお父さんはお兄ちゃんたちと、〔土竜の盾〕は自分たちで。
この人数だったら ダンジョン様のお戯れがない限り 三つ目熊1体とブラックウルフだけだろうとの事。
もしかしたらビッグベアがお供として出てくるかもしれないけど、それは何とでもなると思う。
「順番はどうする? 僕たちが先で良いなら 昼食の準備してられると思うけど」
「「「それで頼む」」」
うん、被せ気味に来たね。
土竜の人たちも もう自分達だけで作れるようになっているし、レシピだって当初の一人二品なんてことはなく、結構覚えてくれているから大丈夫だと思うんだけどね。
という事で、明日は私たちが最初にボス戦を行い、その後に〔土竜の盾〕がボス戦へ。
21階に下りたら 1つ目のセフティーゾーンで昼食準備、21階以降の広さは分からないから 安全の為に1つ目ね。あとは21階以降に下りる冒険者が少ないという事だったので 他のパーティーを気にする必要もないかもしれないしね。
三つ目熊はグーダンのラスボスだったね。久しぶりに会う相手だけど気合を入れて行かないとだね。
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