2 / 24
第二話 希望
しおりを挟む
おにいさまは、公爵家にやってきたその日から、殆ど僕につきっきりで、面倒を見てくださるようになりました。
どんなお医者様もお手上げだった僕の発作を、唯一鎮めることのできるおにいさま。
発作が起これば起こるほど、僕の体は死に近づいていくことだけ明らかだった現状を憂いていらっしゃったお父様もお母様も、いたく感動なさっておいででした。
おにいさまは、昼夜を問わず、僕が発作を起こせば、必ずその気配を察知して、僕のもとに飛んできてくださいました。
僕の代わりにイェントの次期当主となるべく、日夜勉学や鍛錬に励んでいらっしゃるというのに、本当にいかなるタイミングでも、僕を優先してくださいました。
物静かで、感情をあらわにすることはなく、必要なこと以外は口を開かない、どこまでもクールなおにいさまですが――僕に寄り添ってくださる時の一挙手一投足に、僕への配慮を欠かさない、優しい御方です。
僕のおにいさまへの敬愛は日に日に募るばかりでした。おにいさまが触れてくださるだけで、心が躍り、たまらなく嬉しい気持ちになりました。でも、どうしてでしょうか。
おにいさまに優しくされればされるほど、ズキズキと胸が切なく痛んで仕方がなかったのです。
自分の浅ましさが浮き彫りになるようで、いたたまれませんでした。
僕は、ただ息をしているだけで、ずっとおにいさまを振り回し続けています。
おにいさまは、僕の直感に違わず、類稀なる才覚をお持ちでいらっしゃいました。おにいさまの優秀さは瞬く間に評判になりました。
剣術を始めて半年で、指南役との手合わせに完勝してしまったり、二年後に受験を控える、我が国の最高学府、王立学院の難関入試問題を、初見ノーミスで解いてしまわれたりと、逸話には事欠きません。
全ては、他に類を見ない才覚と、それに裏打ちされた、おにいさまご自身のたゆまぬ努力によるものです。
きっと、おにいさまは、僕の発作にさえ邪魔されなければ、もっと、自己研鑽のために時間と労力を充てることができる。
そうすればもっと、それはお父様にも及ぶか、あるいは容易く超えてしまうような、凄まじい方へと成長なさるはずなのです。
元をただせば、おにいさまがイェントの名と重圧を背負うことになったのも、僕がこんな情けない体たらくだったからです。
それなのに、おにいさまは、悲壮なまでの覚悟をして、ご自身が公爵家を受け継ぐからには、完璧でなくてはならないと、自らに厳しく課していらっしゃいました。
おにいさまと二人、長い夜を朦朧と過ごして、揺れるろうそくの明かりに、読書をするおにいさまの横顔が照らされているのを見つめるひと時。
僕は、あろうことか、ずっとこの時間が続けばいいのにと思ってしまいました。
自然と涙が溢れました。早く、僕から、おにいさまを解放して差し上げなければと、そんな強迫観念に苛まれました。
その日はひときわ体調が悪く、少しでも気を抜けば発作が起こり、全身を切り刻むような魔力反応に苛まれる夜だったのです。
おにいさまは、片時も僕の傍を離れず、臥せる僕の手を取って、ずっと魔力を注いでくださっていました。
それでも、寝ずの看病をするには、おにいさまはまだ幼く、うっすら船をこいでいらして……僕は自暴自棄になって、そっと、おにいさまの手を離しました。
おにいさまの魔力を絶たれた瞬間に、魔力が暴走して、心臓すら止めかねない状態にも関わらず、僕はそうしました。
今夜、一思いに死んでしまえば、僕がこれ以上おにいさまを縛ることはなくなると思ったのです。
たちまち、激しい痛みが胴体に重くのしかかりました。内臓が悲鳴を上げ、声も出ない苦悶に瞠目し、ベッドが音を立てるほど、全身が痙攣して止まりませんでした。
おにいさまはすぐにお気づきになって、立ち上がったご様子でした。何かを仰っていましたが、僕の耳ではそれを聞きとることは出来なくなっていました。
やがて、嘘みたいに全身の痛みがなくなり、温かく柔らかいものに全身を包まれるような心地がやってきました。
これで、楽になれるし、おにいさまも楽になるのだと、安心して意識を手放しました。
しかし、そんなのはただの自惚れで。僕は、数日の昏睡の末、ふたたび目を覚ましました。
傍らには、やはり、いたくやつれたご様子のおにいさまがいらっしゃいました。
僕の覚醒を悟り、部屋の外に出て何かを叫んだあと、また僕のもとへ歩み寄ってくる姿を、僕は何も考えられない頭でただ見つめました。
「そう……失敗、してしまいましたか」
「リエル……どうして」
「終わりにしたいって、思ったんです……ケホっ、これ以上、おにいさまの、大事な時間を、奪いたくない……こんなことが続くなら、いっそ、と……」
「二度と、そんなこと、考えないでください……っ」
おにいさまはベッドの傍らに膝をつき、僕の手を取って額に当て、俯いてそう言いました。
呆れと、怒りと、安堵。沢山の気持ちが重なって、複雑に揺らぐ声が、僕の心をザラリと撫でました。
滅多に感情を表に出さないおにいさまが、こんな風に取り乱すなんて、思いもよらないことでした。
「ごめん、なさい……結局、迷惑をかけるだけですね、僕は……」
「誰かが、一度でも、迷惑だと言いましたか」
「……いいえ、でも、僕には、未来があるかもわからないのに、もったいない、です」
おにいさまの時間、労力、それが、全部を無駄にするかもしれない僕に注がれ続けている。何て虚しいことだろうと思うのです。
「無駄になど、するつもりはありません」
「え……」
「無駄になど、なりません」
「おにいさま……」
「俺が、守ります。あなたの未来も」
いつになく、きっぱりと、おにいさまは言いました。見開いた目から、勝手にボロボロと涙が零れました。僕は、なんてことをしてしまったのだろうと、ようやく気付きました。
おにいさまはハンカチで僕の涙を甲斐甲斐しく拭ってくださいます。少しでもこすれて僕の肌を傷つけないように、ガラス細工に触れるような手つきでした。
「どうして、そこまで……?」
「あなたは、俺がここにいる意味だから」
「おにいさまが望んだことではないでしょう……お父様の言いつけだって、僕がいなくなりさえすれば、それまでのことではありませんか」
「俺の望みは、あなたがこれからも生きてくださることです」
おにいさまの背負う重荷を、少しでも軽くしたいと思っていました。でも、僕のその独りよがりが、僕に注いでくださったおにいさまのお心を、台無しにするところだったのです。
応えなければ、あんまりだと思いました。ここまでしていただいたからには、僕がするべきは、おにいさまのお心に報いることだと、ようやく思い至りました。
「ごめんなさい、おにいさま……僕、おにいさまに手を握っていただいている間、とても幸せです。ずっとこうしていたいって思うくらい……でも、そんなこと思っちゃいけないって、僕は、おにいさまの足枷だから、おにいさまをずっと縛っておきたいと思うのと同じことだと思って、そんな自分が嫌になってしまったんです……」
おにいさまは、何もおっしゃいませんでした。でも、僕の手を、ぎゅっと、優しくも、しっかりと握ってくださいました。
そして、ほんの少しだけ、微笑みかけてくださいました。言葉にするよりも、よほど雄弁なさまで、自然と、強張っていた全身の力が抜けていくのが分かりました。
この時、僕は決意しました。おにいさまが望んでくださるように、生きることを諦めず、なおかつ、おにいさまの足枷にならない生き方に手を伸ばそうと。
初めて、自分の人生に希望を抱いた瞬間でした。
どんなお医者様もお手上げだった僕の発作を、唯一鎮めることのできるおにいさま。
発作が起これば起こるほど、僕の体は死に近づいていくことだけ明らかだった現状を憂いていらっしゃったお父様もお母様も、いたく感動なさっておいででした。
おにいさまは、昼夜を問わず、僕が発作を起こせば、必ずその気配を察知して、僕のもとに飛んできてくださいました。
僕の代わりにイェントの次期当主となるべく、日夜勉学や鍛錬に励んでいらっしゃるというのに、本当にいかなるタイミングでも、僕を優先してくださいました。
物静かで、感情をあらわにすることはなく、必要なこと以外は口を開かない、どこまでもクールなおにいさまですが――僕に寄り添ってくださる時の一挙手一投足に、僕への配慮を欠かさない、優しい御方です。
僕のおにいさまへの敬愛は日に日に募るばかりでした。おにいさまが触れてくださるだけで、心が躍り、たまらなく嬉しい気持ちになりました。でも、どうしてでしょうか。
おにいさまに優しくされればされるほど、ズキズキと胸が切なく痛んで仕方がなかったのです。
自分の浅ましさが浮き彫りになるようで、いたたまれませんでした。
僕は、ただ息をしているだけで、ずっとおにいさまを振り回し続けています。
おにいさまは、僕の直感に違わず、類稀なる才覚をお持ちでいらっしゃいました。おにいさまの優秀さは瞬く間に評判になりました。
剣術を始めて半年で、指南役との手合わせに完勝してしまったり、二年後に受験を控える、我が国の最高学府、王立学院の難関入試問題を、初見ノーミスで解いてしまわれたりと、逸話には事欠きません。
全ては、他に類を見ない才覚と、それに裏打ちされた、おにいさまご自身のたゆまぬ努力によるものです。
きっと、おにいさまは、僕の発作にさえ邪魔されなければ、もっと、自己研鑽のために時間と労力を充てることができる。
そうすればもっと、それはお父様にも及ぶか、あるいは容易く超えてしまうような、凄まじい方へと成長なさるはずなのです。
元をただせば、おにいさまがイェントの名と重圧を背負うことになったのも、僕がこんな情けない体たらくだったからです。
それなのに、おにいさまは、悲壮なまでの覚悟をして、ご自身が公爵家を受け継ぐからには、完璧でなくてはならないと、自らに厳しく課していらっしゃいました。
おにいさまと二人、長い夜を朦朧と過ごして、揺れるろうそくの明かりに、読書をするおにいさまの横顔が照らされているのを見つめるひと時。
僕は、あろうことか、ずっとこの時間が続けばいいのにと思ってしまいました。
自然と涙が溢れました。早く、僕から、おにいさまを解放して差し上げなければと、そんな強迫観念に苛まれました。
その日はひときわ体調が悪く、少しでも気を抜けば発作が起こり、全身を切り刻むような魔力反応に苛まれる夜だったのです。
おにいさまは、片時も僕の傍を離れず、臥せる僕の手を取って、ずっと魔力を注いでくださっていました。
それでも、寝ずの看病をするには、おにいさまはまだ幼く、うっすら船をこいでいらして……僕は自暴自棄になって、そっと、おにいさまの手を離しました。
おにいさまの魔力を絶たれた瞬間に、魔力が暴走して、心臓すら止めかねない状態にも関わらず、僕はそうしました。
今夜、一思いに死んでしまえば、僕がこれ以上おにいさまを縛ることはなくなると思ったのです。
たちまち、激しい痛みが胴体に重くのしかかりました。内臓が悲鳴を上げ、声も出ない苦悶に瞠目し、ベッドが音を立てるほど、全身が痙攣して止まりませんでした。
おにいさまはすぐにお気づきになって、立ち上がったご様子でした。何かを仰っていましたが、僕の耳ではそれを聞きとることは出来なくなっていました。
やがて、嘘みたいに全身の痛みがなくなり、温かく柔らかいものに全身を包まれるような心地がやってきました。
これで、楽になれるし、おにいさまも楽になるのだと、安心して意識を手放しました。
しかし、そんなのはただの自惚れで。僕は、数日の昏睡の末、ふたたび目を覚ましました。
傍らには、やはり、いたくやつれたご様子のおにいさまがいらっしゃいました。
僕の覚醒を悟り、部屋の外に出て何かを叫んだあと、また僕のもとへ歩み寄ってくる姿を、僕は何も考えられない頭でただ見つめました。
「そう……失敗、してしまいましたか」
「リエル……どうして」
「終わりにしたいって、思ったんです……ケホっ、これ以上、おにいさまの、大事な時間を、奪いたくない……こんなことが続くなら、いっそ、と……」
「二度と、そんなこと、考えないでください……っ」
おにいさまはベッドの傍らに膝をつき、僕の手を取って額に当て、俯いてそう言いました。
呆れと、怒りと、安堵。沢山の気持ちが重なって、複雑に揺らぐ声が、僕の心をザラリと撫でました。
滅多に感情を表に出さないおにいさまが、こんな風に取り乱すなんて、思いもよらないことでした。
「ごめん、なさい……結局、迷惑をかけるだけですね、僕は……」
「誰かが、一度でも、迷惑だと言いましたか」
「……いいえ、でも、僕には、未来があるかもわからないのに、もったいない、です」
おにいさまの時間、労力、それが、全部を無駄にするかもしれない僕に注がれ続けている。何て虚しいことだろうと思うのです。
「無駄になど、するつもりはありません」
「え……」
「無駄になど、なりません」
「おにいさま……」
「俺が、守ります。あなたの未来も」
いつになく、きっぱりと、おにいさまは言いました。見開いた目から、勝手にボロボロと涙が零れました。僕は、なんてことをしてしまったのだろうと、ようやく気付きました。
おにいさまはハンカチで僕の涙を甲斐甲斐しく拭ってくださいます。少しでもこすれて僕の肌を傷つけないように、ガラス細工に触れるような手つきでした。
「どうして、そこまで……?」
「あなたは、俺がここにいる意味だから」
「おにいさまが望んだことではないでしょう……お父様の言いつけだって、僕がいなくなりさえすれば、それまでのことではありませんか」
「俺の望みは、あなたがこれからも生きてくださることです」
おにいさまの背負う重荷を、少しでも軽くしたいと思っていました。でも、僕のその独りよがりが、僕に注いでくださったおにいさまのお心を、台無しにするところだったのです。
応えなければ、あんまりだと思いました。ここまでしていただいたからには、僕がするべきは、おにいさまのお心に報いることだと、ようやく思い至りました。
「ごめんなさい、おにいさま……僕、おにいさまに手を握っていただいている間、とても幸せです。ずっとこうしていたいって思うくらい……でも、そんなこと思っちゃいけないって、僕は、おにいさまの足枷だから、おにいさまをずっと縛っておきたいと思うのと同じことだと思って、そんな自分が嫌になってしまったんです……」
おにいさまは、何もおっしゃいませんでした。でも、僕の手を、ぎゅっと、優しくも、しっかりと握ってくださいました。
そして、ほんの少しだけ、微笑みかけてくださいました。言葉にするよりも、よほど雄弁なさまで、自然と、強張っていた全身の力が抜けていくのが分かりました。
この時、僕は決意しました。おにいさまが望んでくださるように、生きることを諦めず、なおかつ、おにいさまの足枷にならない生き方に手を伸ばそうと。
初めて、自分の人生に希望を抱いた瞬間でした。
481
あなたにおすすめの小説
平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます
クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。
『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。
何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。
BLでヤンデレものです。
第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします!
週一 更新予定
ときどきプラスで更新します!
病み墜ちした騎士を救う方法
無月陸兎
BL
目が覚めたら、友人が作ったゲームの“ハズレ神子”になっていた。
死亡フラグを回避しようと動くも、思うようにいかず、最終的には原作ルートから離脱。
死んだことにして田舎でのんびりスローライフを送っていた俺のもとに、ある噂が届く。
どうやら、かつてのバディだった騎士の様子が、どうもおかしいとか……?
※欠損表現有。本編が始まるのは実質中盤頃です
お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
僕を嫌っていた幼馴染みが記憶喪失になったら溺愛してきた
無月陸兎
BL
魔力も顔も平凡な僕には、多才で美形な幼馴染みのユーリがいる。昔は仲が良かったものの、今は嫌われていた。そんな彼が授業中の事故でここ十年分の記憶を失い、僕を好きだと言ってきて──。
僕に双子の義兄が出来まして
サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。
そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。
ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。
…仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。
え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる