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【27】ヴァンパイアの国で一番小さな領地-②
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「大義であった」
偉そうな長の一言に、折原は肩を竦めることで応えた。
それから日影に言っていたように、堂々と追加報酬を要求する。
「ショウタは金貨など要らないだろう?」
「まあね。それから、ウタって呼んでってば」
「今さら呼び方を変えられるか。ならば何を望む?」
「領地を。このナイト・シティに、ほんの少しでいいから由紀彦の領地が欲しい」
「……何処でもいいのか?」
「出来れば城の近くがいい。ほんの一部屋の広さでいいんだ」
「面白い。全くお前は、面白いな」
日影を置いてけぼりに繰り広げられた会話の意味はよくわからないが、長が折原を気に入っている様子なのが気に食わない。
(やっぱりこの二人は仲が良過ぎる)
どうやら日影に土地が与えられるようだが、なるべくこの地に来るのは止めよう。そう決意した日影だった。
「由紀彦さん、あなたの領地へなら、安全地帯から直に跳ぶことが出来る。多分、ドア・トゥ・ドアで来れる筈だ」
「えっ、マジ!?」
日影は吃驚したが、能力の性質を考えるならあり得そうな話だ。
それを聞いて、日影は折原の真意に気が付いた。
(俺の緊急避難経路なんだな?)
もしも不測の事態が起こった時、折原を頼れない時、一人で逃げなければいけない時に逃げ込める場所。そして強者に庇護してもらえるように、話も付けた。あれはそういう意味だった。
(お前はどうして俺のことばかり)
日影は自分の方がずっと年上なのに不甲斐ないし、気の回る折原が忌々しい。そしていざという時は、絶対に自分一人では逃げないと、どうしてわからないのか。日影が折原をどれほど大事に思ってるか、全く伝わってないのか。
とても、口惜しい。
「翔太、俺はお前に全部やると決めた。だから公式の番になったんだろう?」
あの時、日影は自分を全て与えたいと思った。だからこの世界も認める番になれたのだと思っている。
潤んだ瞳でじっと見つめたら、折原が困ったように笑った。
「もしかしたら、少しだけあっちに戻らないといけないかもしれない」
「あっちって――」
「元の世界。俺たちの生まれた場所」
「ああ、うん」
日影はもう遠い世界のように感じた。
社畜だった自分の方が悪い夢みたいだ。
「別に未練も懐かしさもないけど、お前が戻るなら俺も戻るよ」
当然のようにそう言ったが、折原は首を横に振った。
「会社が今、ヤバいことになってる。あなたが戻ったら、抜け出せないかもしれない」
「……え?」
オリハラはそれなりに大きい会社で、多少のことでは揺らがない。その筈だった。
「どういうことか、説明しろよ」
「……聞いたらあなたは放って置けない」
「馬鹿、ここまで聞いたら同じだ。知らんぷりなんて出来るかよ」
「そうだね。ごめん」
折原が珍しく弱り切った顔で謝るので、日影は今こそ自分が支えようと決意した。
たとえこの甘やかな監禁生活が終わっても、もう一度あの地獄に戻るとしても――それでも構わない。
(折原の力になるんだ。それが俺の願いだ)
日影は強い眼差しで折原を見つめた。
偉そうな長の一言に、折原は肩を竦めることで応えた。
それから日影に言っていたように、堂々と追加報酬を要求する。
「ショウタは金貨など要らないだろう?」
「まあね。それから、ウタって呼んでってば」
「今さら呼び方を変えられるか。ならば何を望む?」
「領地を。このナイト・シティに、ほんの少しでいいから由紀彦の領地が欲しい」
「……何処でもいいのか?」
「出来れば城の近くがいい。ほんの一部屋の広さでいいんだ」
「面白い。全くお前は、面白いな」
日影を置いてけぼりに繰り広げられた会話の意味はよくわからないが、長が折原を気に入っている様子なのが気に食わない。
(やっぱりこの二人は仲が良過ぎる)
どうやら日影に土地が与えられるようだが、なるべくこの地に来るのは止めよう。そう決意した日影だった。
「由紀彦さん、あなたの領地へなら、安全地帯から直に跳ぶことが出来る。多分、ドア・トゥ・ドアで来れる筈だ」
「えっ、マジ!?」
日影は吃驚したが、能力の性質を考えるならあり得そうな話だ。
それを聞いて、日影は折原の真意に気が付いた。
(俺の緊急避難経路なんだな?)
もしも不測の事態が起こった時、折原を頼れない時、一人で逃げなければいけない時に逃げ込める場所。そして強者に庇護してもらえるように、話も付けた。あれはそういう意味だった。
(お前はどうして俺のことばかり)
日影は自分の方がずっと年上なのに不甲斐ないし、気の回る折原が忌々しい。そしていざという時は、絶対に自分一人では逃げないと、どうしてわからないのか。日影が折原をどれほど大事に思ってるか、全く伝わってないのか。
とても、口惜しい。
「翔太、俺はお前に全部やると決めた。だから公式の番になったんだろう?」
あの時、日影は自分を全て与えたいと思った。だからこの世界も認める番になれたのだと思っている。
潤んだ瞳でじっと見つめたら、折原が困ったように笑った。
「もしかしたら、少しだけあっちに戻らないといけないかもしれない」
「あっちって――」
「元の世界。俺たちの生まれた場所」
「ああ、うん」
日影はもう遠い世界のように感じた。
社畜だった自分の方が悪い夢みたいだ。
「別に未練も懐かしさもないけど、お前が戻るなら俺も戻るよ」
当然のようにそう言ったが、折原は首を横に振った。
「会社が今、ヤバいことになってる。あなたが戻ったら、抜け出せないかもしれない」
「……え?」
オリハラはそれなりに大きい会社で、多少のことでは揺らがない。その筈だった。
「どういうことか、説明しろよ」
「……聞いたらあなたは放って置けない」
「馬鹿、ここまで聞いたら同じだ。知らんぷりなんて出来るかよ」
「そうだね。ごめん」
折原が珍しく弱り切った顔で謝るので、日影は今こそ自分が支えようと決意した。
たとえこの甘やかな監禁生活が終わっても、もう一度あの地獄に戻るとしても――それでも構わない。
(折原の力になるんだ。それが俺の願いだ)
日影は強い眼差しで折原を見つめた。
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