63 / 194
㉛騙すのが上手い人−2
しおりを挟む
「品行方正? 未だにハーレムを諦めていないようでは無理じゃないか?」
「う、やっぱり?」
俺はロクにあっさりと無理だと言われて凹んだ。
これでは神をペテンに掛けるしか無いじゃないか。
畏れ多いなぁ。
「チヤ、神は祟るから、騙そうなどと思わない方が良い」
「だって正攻法じゃ無理でしょう?」
「仕掛けるのがハヌマーンでは、騙しおおせるとは思えない」
チッ。俺もハヌマーンに命運を掛けるなんて恐ろしい真似はしたくないや。
「でもねぇ、俺たちが神に会いにいくよりも、向こうから来て貰う方がきっと簡単だと思うんだ」
ハヌマーンが千年以上掛けても神を見つけられないんだから、俺たちに見つけられる筈がない。
「甘い物がこの世界で手に入るようになったら、お前は残ってくれるのか?」
ロクの真摯な声に俺は目を見開いた。
そう言えば、『お嫁さんになりたい』とは言ったけれど、ロクに改めてこっちに残りたいとは言ってなかった。
「例え甘い物が見つからなくても、俺はこっちに残るよ? あんたと離れたくないもん」
「だがチヤの体質は余りに危険だ。それとも一生、この屋敷に監禁されて暮らすか?」
ギラリと光ったロクの目を見て、俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
冗談で済ますには余りにも剣呑な目の光で、割りと本気でびびった。
「フッ。私だってそんな事はしたくない。もう少し詳しくハヌマーンから話を聞こう」
「そ、そうだね。うん、あいつの話には抜けが多いし、きっといい方法が見つかるよ」
(だから監禁は止めておこう?)
俺がよっぽどびびった顔をしていたみたいで、苦笑したロクに腕を引かれてギュッと抱き締められた。
「お前を閉じ込めたら、全て私の手で世話を焼いてやる。髪を梳かして体を拭いて、食事の世話も甘い物も気持ちがいい事も、お前がして欲しい事は全てしてやる。それでもイヤか?」
耳元で息を吹き込むように低く囁かれ、不本意ながら俺は背中がゾクゾクしてロクにしがみついてしまった。
監禁なんてそんなの怖いのに、何よりあのロクの目が本気っぽくて怖かったのに、今はまるで甘いことのように感じている。そんなに悪くないかもとまで思ってしまう。
「ロク……狡い。俺が甘やかされるのに弱いって知ってる癖に、ロクに世話を焼かれるのが好きだって知ってる癖に……狡い」
「では監禁されても良いんじゃないか?」
「……ヤダ。だってあんたがいない時、もっと寂しくなりそうだもん」
本当にずっと二人きりで生きていけるならいいけど、そうじゃないだろ?
ロクだけ外に出ていって、俺が知らない人と出会って俺が知らない物を見る。
そんなの耐えられっこない。
「俺はあんたに付いて行くって決めたんだから、監禁なんてさせんなよ。な?」
そう言って縋るように見上げたら、なんか耳元でガフガフ言われた。
なんて言ってるのか全くわからねえ。
「イチヤ、いつか本気で抱くからな」
(え? 今までのは本気じゃなかったの?)
「それまで甘いだけで満足していろ」
「ちょ、甘いだけ……じゃないからね! 今だって俺はすっごく気持ちいいから!」
「フッ……」
(なにその鼻で笑うの)
「ロクッ!」
俺は色々と聞きたいのに、ロクはさっさと俺を離してハヌマーンの部屋へ行ってしまう。
(ねえ、俺ってばどうなっちゃうんだよっ!)
それを聞けないまま、俺はロクを追い掛けた。
「う、やっぱり?」
俺はロクにあっさりと無理だと言われて凹んだ。
これでは神をペテンに掛けるしか無いじゃないか。
畏れ多いなぁ。
「チヤ、神は祟るから、騙そうなどと思わない方が良い」
「だって正攻法じゃ無理でしょう?」
「仕掛けるのがハヌマーンでは、騙しおおせるとは思えない」
チッ。俺もハヌマーンに命運を掛けるなんて恐ろしい真似はしたくないや。
「でもねぇ、俺たちが神に会いにいくよりも、向こうから来て貰う方がきっと簡単だと思うんだ」
ハヌマーンが千年以上掛けても神を見つけられないんだから、俺たちに見つけられる筈がない。
「甘い物がこの世界で手に入るようになったら、お前は残ってくれるのか?」
ロクの真摯な声に俺は目を見開いた。
そう言えば、『お嫁さんになりたい』とは言ったけれど、ロクに改めてこっちに残りたいとは言ってなかった。
「例え甘い物が見つからなくても、俺はこっちに残るよ? あんたと離れたくないもん」
「だがチヤの体質は余りに危険だ。それとも一生、この屋敷に監禁されて暮らすか?」
ギラリと光ったロクの目を見て、俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
冗談で済ますには余りにも剣呑な目の光で、割りと本気でびびった。
「フッ。私だってそんな事はしたくない。もう少し詳しくハヌマーンから話を聞こう」
「そ、そうだね。うん、あいつの話には抜けが多いし、きっといい方法が見つかるよ」
(だから監禁は止めておこう?)
俺がよっぽどびびった顔をしていたみたいで、苦笑したロクに腕を引かれてギュッと抱き締められた。
「お前を閉じ込めたら、全て私の手で世話を焼いてやる。髪を梳かして体を拭いて、食事の世話も甘い物も気持ちがいい事も、お前がして欲しい事は全てしてやる。それでもイヤか?」
耳元で息を吹き込むように低く囁かれ、不本意ながら俺は背中がゾクゾクしてロクにしがみついてしまった。
監禁なんてそんなの怖いのに、何よりあのロクの目が本気っぽくて怖かったのに、今はまるで甘いことのように感じている。そんなに悪くないかもとまで思ってしまう。
「ロク……狡い。俺が甘やかされるのに弱いって知ってる癖に、ロクに世話を焼かれるのが好きだって知ってる癖に……狡い」
「では監禁されても良いんじゃないか?」
「……ヤダ。だってあんたがいない時、もっと寂しくなりそうだもん」
本当にずっと二人きりで生きていけるならいいけど、そうじゃないだろ?
ロクだけ外に出ていって、俺が知らない人と出会って俺が知らない物を見る。
そんなの耐えられっこない。
「俺はあんたに付いて行くって決めたんだから、監禁なんてさせんなよ。な?」
そう言って縋るように見上げたら、なんか耳元でガフガフ言われた。
なんて言ってるのか全くわからねえ。
「イチヤ、いつか本気で抱くからな」
(え? 今までのは本気じゃなかったの?)
「それまで甘いだけで満足していろ」
「ちょ、甘いだけ……じゃないからね! 今だって俺はすっごく気持ちいいから!」
「フッ……」
(なにその鼻で笑うの)
「ロクッ!」
俺は色々と聞きたいのに、ロクはさっさと俺を離してハヌマーンの部屋へ行ってしまう。
(ねえ、俺ってばどうなっちゃうんだよっ!)
それを聞けないまま、俺はロクを追い掛けた。
3
あなたにおすすめの小説
黒豹陛下の溺愛生活
月城雪華
BL
アレンは母であるアンナを弑した獣人を探すため、生まれ育ったスラム街から街に出ていた。
しかし唐突な大雨に見舞われ、加えて空腹で正常な判断ができない。
幸い街の近くまで来ていたため、明かりの着いた建物に入ると、安心したのか身体の力が抜けてしまう。
目覚めると不思議な目の色をした獣人がおり、すぐ後に長身でどこか威圧感のある獣人がやってきた。
その男はレオと言い、初めて街に来たアレンに優しく接してくれる。
街での滞在が長くなってきた頃、突然「俺の伴侶になってくれ」と言われ──
優しく(?)兄貴肌の黒豹×幸薄系オオカミが織り成す獣人BL、ここに開幕!
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】
ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。
ただの雑兵が、年上武士に溺愛された結果。
みどりのおおかみ
BL
「強情だな」
忠頼はぽつりと呟く。
「ならば、体に証を残す。どうしても嫌なら、自分の力で、逃げてみろ」
滅茶苦茶なことを言われているはずなのに、俺はぼんやりした頭で、全然別のことを思っていた。
――俺は、この声が、嫌いじゃねえ。
*******
雑兵の弥次郎は、なぜか急に、有力武士である、忠頼の寝所に呼ばれる。嫌々寝所に行く弥次郎だったが、なぜか忠頼は弥次郎を抱こうとはしなくて――。
やんちゃ系雑兵・弥次郎17歳と、不愛想&無口だがハイスぺ武士の忠頼28歳。
身分差を越えて、二人は惹かれ合う。
けれど二人は、どうしても避けられない、戦乱の濁流の中に、追い込まれていく。
※南北朝時代の話をベースにした、和風世界が舞台です。
※pixivに、作品のキャライラストを置いています。宜しければそちらもご覧ください。
https://www.pixiv.net/users/4499660
【キャラクター紹介】
●弥次郎
「戦場では武士も雑兵も、命の価値は皆平等なんじゃ、なかったのかよ? なんで命令一つで、寝所に連れてこられなきゃならねえんだ! 他人に思うようにされるくらいなら、死ぬほうがましだ!」
・十八歳。
・忠頼と共に、南波軍の雑兵として、既存権力に反旗を翻す。
・吊り目。髪も目も焦げ茶に近い。目鼻立ちははっきりしている。
・細身だが、すばしこい。槍を武器にしている。
・はねっかえりだが、本質は割と素直。
●忠頼
忠頼は、俺の耳元に、そっと唇を寄せる。
「お前がいなくなったら、どこまででも、捜しに行く」
地獄へでもな、と囁く声に、俺の全身が、ぞくりと震えた。
・二十八歳。
・父や祖父の代から、南波とは村ぐるみで深いかかわりがあったため、南波とともに戦うことを承諾。
・弓の名手。才能より、弛まぬ鍛錬によるところが大きい。
・感情の起伏が少なく、あまり笑わない。
・派手な顔立ちではないが、端正な配置の塩顔。
●南波
・弥次郎たちの頭。帝を戴き、帝を排除しようとする武士を退けさせ、帝の地位と安全を守ることを目指す。策士で、かつ人格者。
●源太
・医療兵として南波軍に従軍。弥次郎が、一番信頼する友。
●五郎兵衛
・雑兵。弥次郎の仲間。体が大きく、力も強い。
●孝太郎
・雑兵。弥次郎の仲間。頭がいい。
●庄吉
・雑兵。弥次郎の仲間。色白で、小さい。物腰が柔らかい。
男だって愛されたい!
朝顔
BL
レオンは雑貨店を営みながら、真面目にひっそりと暮らしていた。
仕事と家のことで忙しく、恋とは無縁の日々を送ってきた。
ある日父に呼び出されて、妹に王立学園への入学の誘いが届いたことを知らされる。
自分には関係のないことだと思ったのに、なぜだか、父に関係あると言われてしまう。
それには、ある事情があった。
そしてその事から、レオンが妹の代わりとなって学園に入学して、しかも貴族の男性を落として、婚約にまで持ちこまないといけないはめに。
父の言うとおりの相手を見つけようとするが、全然対象外の人に振り回されて、困りながらもなぜだか気になってしまい…。
苦労人レオンが、愛と幸せを見つけるために奮闘するお話です。
黒豹拾いました
おーか
BL
森で暮らし始めたオレは、ボロボロになった子猫を拾った。逞しく育ったその子は、どうやら黒豹の獣人だったようだ。
大人になって独り立ちしていくんだなぁ、と父親のような気持ちで送り出そうとしたのだが…
「大好きだよ。だから、俺の側にずっと居てくれるよね?」
そう迫ってくる。おかしいな…?
育て方間違ったか…。でも、美形に育ったし、可愛い息子だ。拒否も出来ないままに流される。
転生した新人獣医師オメガは獣人国王に愛される
こたま
BL
北の大地で牧場主の次男として産まれた陽翔。生き物がいる日常が当たり前の環境で育ち動物好きだ。兄が牧場を継ぐため自分は獣医師になろう。学業が実り獣医になったばかりのある日、厩舎に突然光が差し嵐が訪れた。気付くとそこは獣人王国。普段美形人型で獣型に変身出来るライオン獣人王アルファ×異世界転移してオメガになった美人日本人獣医師のハッピーエンドオメガバースです。
最強賢者のスローライフ 〜転生先は獣人だらけの辺境村でした〜
なの
BL
社畜として働き詰め、過労死した結城智也。次に目覚めたのは、獣人だらけの辺境村だった。
藁葺き屋根、素朴な食事、狼獣人のイケメンに介抱されて、気づけば賢者としてのチート能力まで付与済み!?
「静かに暮らしたいだけなんですけど!?」
……そんな願いも虚しく、井戸掘り、畑改良、魔法インフラ整備に巻き込まれていく。
スローライフ(のはず)なのに、なぜか労働が止まらない。
それでも、優しい獣人たちとの日々に、心が少しずつほどけていく……。
チート×獣耳×ほの甘BL。
転生先、意外と住み心地いいかもしれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる