【完結】俺の身体の半分は糖分で出来ている!? スイーツ男子の異世界紀行

海野ことり

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㉛騙すのが上手い人−2

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「品行方正? 未だにハーレムを諦めていないようでは無理じゃないか?」
「う、やっぱり?」
 俺はロクにあっさりと無理だと言われて凹んだ。
 これでは神をペテンに掛けるしか無いじゃないか。
 畏れ多いなぁ。

「チヤ、神は祟るから、騙そうなどと思わない方が良い」
「だって正攻法じゃ無理でしょう?」
「仕掛けるのがハヌマーンでは、騙しおおせるとは思えない」
 チッ。俺もハヌマーンに命運を掛けるなんて恐ろしい真似はしたくないや。

「でもねぇ、俺たちが神に会いにいくよりも、向こうから来て貰う方がきっと簡単だと思うんだ」
 ハヌマーンが千年以上掛けても神を見つけられないんだから、俺たちに見つけられる筈がない。

「甘い物がこの世界で手に入るようになったら、お前は残ってくれるのか?」
 ロクの真摯な声に俺は目を見開いた。
 そう言えば、『お嫁さんになりたい』とは言ったけれど、ロクに改めてこっちに残りたいとは言ってなかった。

「例え甘い物が見つからなくても、俺はこっちに残るよ? あんたと離れたくないもん」
「だがチヤの体質は余りに危険だ。それとも一生、この屋敷に監禁されて暮らすか?」
 ギラリと光ったロクの目を見て、俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
 冗談で済ますには余りにも剣呑な目の光で、割りと本気でびびった。

「フッ。私だってそんな事はしたくない。もう少し詳しくハヌマーンから話を聞こう」
「そ、そうだね。うん、あいつの話には抜けが多いし、きっといい方法が見つかるよ」
(だから監禁は止めておこう?)
 俺がよっぽどびびった顔をしていたみたいで、苦笑したロクに腕を引かれてギュッと抱き締められた。

「お前を閉じ込めたら、全て私の手で世話を焼いてやる。髪を梳かして体を拭いて、食事の世話も甘い物も気持ちがいい事も、お前がして欲しい事は全てしてやる。それでもイヤか?」
 耳元で息を吹き込むように低く囁かれ、不本意ながら俺は背中がゾクゾクしてロクにしがみついてしまった。
 監禁なんてそんなの怖いのに、何よりあのロクの目が本気っぽくて怖かったのに、今はまるで甘いことのように感じている。そんなに悪くないかもとまで思ってしまう。

「ロク……狡い。俺が甘やかされるのに弱いって知ってる癖に、ロクに世話を焼かれるのが好きだって知ってる癖に……狡い」
「では監禁されても良いんじゃないか?」
「……ヤダ。だってあんたがいない時、もっと寂しくなりそうだもん」
 本当にずっと二人きりで生きていけるならいいけど、そうじゃないだろ?
 ロクだけ外に出ていって、俺が知らない人と出会って俺が知らない物を見る。
 そんなの耐えられっこない。

「俺はあんたに付いて行くって決めたんだから、監禁るすばんなんてさせんなよ。な?」
 そう言って縋るように見上げたら、なんか耳元でガフガフ言われた。
 なんて言ってるのか全くわからねえ。

「イチヤ、いつか本気で抱くからな」
(え? 今までのは本気じゃなかったの?)

「それまで甘いだけで満足していろ」
「ちょ、甘いだけ……じゃないからね! 今だって俺はすっごく気持ちいいから!」
「フッ……」
(なにその鼻で笑うの)

「ロクッ!」
 俺は色々と聞きたいのに、ロクはさっさと俺を離してハヌマーンの部屋へ行ってしまう。

(ねえ、俺ってばどうなっちゃうんだよっ!)
 それを聞けないまま、俺はロクを追い掛けた。

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