【完結】俺の身体の半分は糖分で出来ている!? スイーツ男子の異世界紀行

海野ことり

文字の大きさ
77 / 194

㊳修行時々ヤキモチ−2(R−15)

しおりを挟む
「では、そなたは練習を続けなさい」
 お師匠様にそう言われ、俺はせっせと習った薬を作った。
 万能薬と再生薬。この二つの効き目が上がったら、俺は天下だって取れる。
 尤も、捕まって飼い殺しにされる可能性の方が高いから、天下なんて目指さないけどね。

「チヤ、作ったものの効き目はどうやって確かめる?」
 ロクに訊かれて、そう言えばそうだなと思う。
 見た目で違いなどわからないし、俺が飲んだってわからないと思う。

「効果のわからないものを人に売ったりあげたりする訳にはいかないしな。どうしようか」
 困っていたらお師匠様が良いことを教えてくれた。

「白蛇は祟り神で呪物にも詳しいので、薬物も見れば大概の効能はわかります。一から十までおおよそのランクごとに分けて貰えば良いでしょう」
 え、何その鑑定能力。そんなに賢いのに俺の供なんてしてていいの?

「供になりたがるものは、人の役に立つのが好きなのです」
「ふぅん、いい子だね」
「…………」
「えっ、なに? なんで黙るの?」
 俺はよく考えずに喋る事があるので、気分でも害しただろうかと焦る。

「そなたの供になりたがるものは他にもいます。いずれ増やすことを考えてみて下さい」
「あ、はい。わかりました」
 どうも積極的に推されているようなので、将来的には増やすことを考えよう。

「そなたに今作れる薬のランクは一でしょうから、ランクが五まで上がったら大神に会わせましょう」
「えっ、そんなんでいいの?」
「ええ、良いのですよ」
 薄く笑ったお師匠様の顔を見て、背中がゾクゾクと寒くなった。
 うわ、何かしくじったかもしんない。
 俺はそそくさとその場を逃げ出した。

 ***

「チヤ、修行をするなら何処か拠点を作るか?」
「そうだね、ここは余り時間の感覚が無いし、寝てるのか寝てないのかわかんないけど休憩を取ってるとそれで済むみたいだからいいっちゃいいんだけど、落ち着ける場所は必要かなぁ?」
「必要だろう。私はチヤを独り占めしたい」
 人目のない所で、ロクにだけ見せる姿を堪能したいと言われて顔が熱くなる。
 どうしてこいつは平然とそういう事を言えるのだろう。

「別、に……誰にも見られてないだろ」
 人も少ないし、注目もされてないようだし。
 そう言ったらフッとロクが表情を緩めた。
 あ、これは来るな、と思ったら案の定、特大の口説き文句を落としてくれる。

「自分で意識していないのか? お前は人目が無い所では結び目が解けるように緩む。緩んで私に甘い顔を見せる」
「……見せてないよ」
「確かめてみよう」
 抱き上げられて何処に連れて行く気だと慌てる。
 ロクの奴、いつの間にか拠点の目星を付けていたらしい。柳みたいに地面まで葉の生えた枝が垂れ下がった大きな木の根元へ行った。そして防水シートを敷き、緑のカーテンに囲まれた小部屋のような場所で俺を押し倒してきた。

「ロク? 急にどうしたんだよ?」
 大体、唐突にもよおすのはいつも俺の方で、ロクはせがまれれば断らないってだけだったんだけど、今日は珍しくロクの方から来たので吃驚した。

「師がお前を構うのが面白くない」
「…………え?」
 まさか、ロクが嫉妬? しかもあのお師匠様に?

「だってアレは人じゃないよ?」
「だがお前と形が似ている」
 えっ? えっ? もしかして、ただ単に姿かたちが近いってだけで疎外感を感じたの?
 俺が誰かと仲良くするのは面白くないの?
 んんっ、ロクがそんな可愛いことを思うなんてっ!

「俺はロクにしか反応しないよ? ロクのカッコいい身体も、可愛い鼻も、えっちなアレも大好き。胸を開いて見せてあげたいくらいなんだからね!」
「……そうか」
 満足げなロクが可愛い。
 誰が見たって惚れちゃうような立派な獣人なのに、それでも不安に思ったりするんだ。
 絶対に俺の好きの方が大きいと思っているだけに、こういうのは嬉しい。

「あのね、俺も獣人じゃないから不安なんだよ。俺でもいいんだって、可愛がって教えて?」
 手を差し伸べたら深く抱き締められて口を食まれた。
 人とは違うキスに俺はすっかり慣れ、もう黒豹の獣人としかこういう事は出来ないと思う。

(俺にはこれが最高に気持ちのいい行為なんだ)
 肌の上を滑る滑らかな感触に、俺はうっとりと息を吐いた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

黒豹陛下の溺愛生活

月城雪華
BL
アレンは母であるアンナを弑した獣人を探すため、生まれ育ったスラム街から街に出ていた。 しかし唐突な大雨に見舞われ、加えて空腹で正常な判断ができない。 幸い街の近くまで来ていたため、明かりの着いた建物に入ると、安心したのか身体の力が抜けてしまう。 目覚めると不思議な目の色をした獣人がおり、すぐ後に長身でどこか威圧感のある獣人がやってきた。 その男はレオと言い、初めて街に来たアレンに優しく接してくれる。 街での滞在が長くなってきた頃、突然「俺の伴侶になってくれ」と言われ── 優しく(?)兄貴肌の黒豹×幸薄系オオカミが織り成す獣人BL、ここに開幕!

竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】

ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。

【R18】兄弟の時間【BL】

BL
色々あってニートになった僕、斑鳩 鷹は当たり前だけど両親にめっちゃ将来を心配されまさかの離島暮らしを提案されてしまう。 待ってくれよ! アマゾンが当日配送されないとこなんて無理だし、アニメイトがない世界に住めるか!  斯くて僕は両親が改心すればと家出を決意したが行く宛はなく、行きついたさきはそいつの所だった。 「じゃぁ結婚しましょうか」 眼鏡の奥の琥珀の瞳が輝いて、思わず頷きそうになったけど僕はぐっと堪えた。 そんな僕を見て、そいつは優しく笑うと机に置かれた手を取って、また同じ言葉を言った。 「結婚しましょう、兄さん」 R18描写には※が付いてます。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

黒豹拾いました

おーか
BL
森で暮らし始めたオレは、ボロボロになった子猫を拾った。逞しく育ったその子は、どうやら黒豹の獣人だったようだ。 大人になって独り立ちしていくんだなぁ、と父親のような気持ちで送り出そうとしたのだが… 「大好きだよ。だから、俺の側にずっと居てくれるよね?」 そう迫ってくる。おかしいな…? 育て方間違ったか…。でも、美形に育ったし、可愛い息子だ。拒否も出来ないままに流される。

オメガ転生。

BL
残業三昧でヘトヘトになりながらの帰宅途中。乗り合わせたバスがまさかのトンネル内の火災事故に遭ってしまう。 そして………… 気がつけば、男児の姿に… 双子の妹は、まさかの悪役令嬢?それって一家破滅フラグだよね! 破滅回避の奮闘劇の幕開けだ!!

ただの雑兵が、年上武士に溺愛された結果。

みどりのおおかみ
BL
「強情だな」 忠頼はぽつりと呟く。 「ならば、体に証を残す。どうしても嫌なら、自分の力で、逃げてみろ」  滅茶苦茶なことを言われているはずなのに、俺はぼんやりした頭で、全然別のことを思っていた。 ――俺は、この声が、嫌いじゃねえ。 *******  雑兵の弥次郎は、なぜか急に、有力武士である、忠頼の寝所に呼ばれる。嫌々寝所に行く弥次郎だったが、なぜか忠頼は弥次郎を抱こうとはしなくて――。  やんちゃ系雑兵・弥次郎17歳と、不愛想&無口だがハイスぺ武士の忠頼28歳。  身分差を越えて、二人は惹かれ合う。  けれど二人は、どうしても避けられない、戦乱の濁流の中に、追い込まれていく。 ※南北朝時代の話をベースにした、和風世界が舞台です。 ※pixivに、作品のキャライラストを置いています。宜しければそちらもご覧ください。 https://www.pixiv.net/users/4499660 【キャラクター紹介】 ●弥次郎  「戦場では武士も雑兵も、命の価値は皆平等なんじゃ、なかったのかよ? なんで命令一つで、寝所に連れてこられなきゃならねえんだ! 他人に思うようにされるくらいなら、死ぬほうがましだ!」 ・十八歳。 ・忠頼と共に、南波軍の雑兵として、既存権力に反旗を翻す。 ・吊り目。髪も目も焦げ茶に近い。目鼻立ちははっきりしている。 ・細身だが、すばしこい。槍を武器にしている。 ・はねっかえりだが、本質は割と素直。 ●忠頼  忠頼は、俺の耳元に、そっと唇を寄せる。 「お前がいなくなったら、どこまででも、捜しに行く」  地獄へでもな、と囁く声に、俺の全身が、ぞくりと震えた。 ・二十八歳。 ・父や祖父の代から、南波とは村ぐるみで深いかかわりがあったため、南波とともに戦うことを承諾。 ・弓の名手。才能より、弛まぬ鍛錬によるところが大きい。 ・感情の起伏が少なく、あまり笑わない。 ・派手な顔立ちではないが、端正な配置の塩顔。 ●南波 ・弥次郎たちの頭。帝を戴き、帝を排除しようとする武士を退けさせ、帝の地位と安全を守ることを目指す。策士で、かつ人格者。 ●源太 ・医療兵として南波軍に従軍。弥次郎が、一番信頼する友。 ●五郎兵衛 ・雑兵。弥次郎の仲間。体が大きく、力も強い。 ●孝太郎 ・雑兵。弥次郎の仲間。頭がいい。 ●庄吉 ・雑兵。弥次郎の仲間。色白で、小さい。物腰が柔らかい。

男だって愛されたい!

朝顔
BL
レオンは雑貨店を営みながら、真面目にひっそりと暮らしていた。 仕事と家のことで忙しく、恋とは無縁の日々を送ってきた。 ある日父に呼び出されて、妹に王立学園への入学の誘いが届いたことを知らされる。 自分には関係のないことだと思ったのに、なぜだか、父に関係あると言われてしまう。 それには、ある事情があった。 そしてその事から、レオンが妹の代わりとなって学園に入学して、しかも貴族の男性を落として、婚約にまで持ちこまないといけないはめに。 父の言うとおりの相手を見つけようとするが、全然対象外の人に振り回されて、困りながらもなぜだか気になってしまい…。 苦労人レオンが、愛と幸せを見つけるために奮闘するお話です。

処理中です...