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二人きりの帰り道
しおりを挟む「なぁ、ケインってさ、もしかしてチヤホヤされんのとかが嫌い?」
「……苦手ではある。好きでもない相手からされるのは、だがな」
「え、好きな相手いんの⁉」
飲みの席に来たがらないのは知っていたが、人が集まる場所というより人が自分に集まるのが無理なんじゃないかと当たりを付けて問うてみた。
もしそうならこれまで誘っていたのが申し訳ないと、酒で素直になった気持ちのままに。
しかし、それに返された言葉は優吾の想像していなかったもので。
ケインも言う気はなかったのだろう、思わずという風に手で口を押さえているが、もう遅い。暗がりでも分かるほど耳を赤らめる彼に、優吾は興奮しながら身体を近付けた。
「どんな子⁈ 俺知ってる⁈」
「……知ってる、だろうな」
「マジか! え~誰だ、お前と仲良い子だよな……⁈」
観念したのか諦めたのか、ケインは更にヒントを与えてくれた。
優吾も知っている、政治経済学部に優吾の知り合いはいないから他学部なのだろう。ケインはサークルに入っていないので、出会うとしたら優吾と早野が誘った飲み会だろうか。疑問に疑問が重なり、頰が紅潮してきた。
「告白はしねぇの?」
「……したい、が、それでこの関係が壊れると思うと、あと一歩が踏み出せなくてな」
憂いを帯びた溜め息に、男前はこんな姿まで様になるのかとつい感心してしまった。
あと一歩が踏み出せないとは、羨ましい。
優吾なんて一歩どころではなく、もっと後ろから眺めるしかないのに。
だが、告白を怖いと感じる気持ちは理解できたため、ケインも同じ人間なのかと嬉しくなりながらその背を叩いた。
「そういうのあるよな。ケインがフラれるイメージはできないけど、その後のこと考えると、俺も無理だって思うもん」
「……優吾こそ、好きな人はいるのか?」
この辺りは住宅街で、たまにどこかの家の換気扇が回る音が聞こえる以外は静かなものだ。
だからか、ケインが呟くように問うたその声もしっかり耳に届き、ふわふわと酒で気分が良くなった優吾は何も考えずに口を開いていた。
「おれぇ? っはは、今はいないよ。いても告白できないし」
そこまで吐き出したところで、サァッと顔から血の気が引く。
今のはおかしかったかもしれない。好きな相手がいないのに告白できないなんて、意味が分からないにもほどがある。
もし言及されたらと焦り冷や汗を垂らすが、ケインはそんな優吾に気付いているのかいないのか。凪いだ声のまま、では、と続けてきた。
「優吾は、もし友人だと思っていた相手から告白されたら、どうする?」
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