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12話
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「入学式の時、身分の高い方ばかりの中、1人、心細い思いでいる私を、殿下が励ましてくださり、優しい言葉と笑顔を向けて頂いたあの時から。ずっと、ずっとずっと、お慕い申し上げております……っ!」
おいコラ。
そこまでド直球に言うんじゃない、このすっとこどっこい平民が。
こんな大衆の目線がある中で、堂々とてらいなく言うとは思わなかった。
周囲の貴族たちも思わぬ発言にザワつく有様だし……俺としたことが、気を遠くにやりたい気分になってしまう。まあ、最初からこんな感じだったか、この男は。
「嘘だっ!だったらどうして、あんな男のことを庇い立てするんだ!」
「事実、ケニー・トランスウェル様が素晴らしいお方だからです」
「それは君がアイツの猫被りに騙されているからだ!いいか、あの男はな、確かに頭脳も明晰で人当たりもいいが、それは自分の都合のいいように周りを操るのが得意なだけだ!君もそれに巻き込まれているだけだ、いい加減目を覚ませ!」
なんだこの痴話喧嘩は。頭お花畑か。
というか俺に対してそんなことを思っていたのかよ、殿下。失礼だな。
学園の成績を上位に保つ努力をしていたのは貴族としても、王配として当然の義務だと思ったからきちんと学問を修めただけだし。周囲に嫌われるよりは好かれるのは王配となってからも何かと都合がいいに決まっているからだろう。仮に王配の座から外れたとしても、人脈を多く得ることは大事だしな。……まあ、確かに。この平民を『ある意味』利用しようとはしていることは、否定しないが。
それはそれとして。
……俺の後ろにいる奴の殺気がどんどん高まってる気しかしないのは、何故だろうな?仮にも王族の人間に対してそんな物騒なモノを放つんじゃないよ、わが愛しのおバカな護衛よ。
そんな不敬な部下を持って内心冷や冷やしている俺をよそに、この場の空気を混沌とさせた張本人であるルイ・パターソンは、略奪相手である俺に対して敬意を表し続けるとともに、不敬な宣戦布告を立て、殿下を含めた周りの人々が戸惑う中、さらに言葉を続ける。
「トランスウェル様は、殿下の婚約者となられるだけの、気品と礼節、知識が豊富なお方です。それに加え、私のような平民に対して厳しくも寛大なことに、色々教わって頂いて参りました。
俺の想いが、トランスウェル様に対する裏切りということもわかっています、ですが……っ!」
さらにまた、擦り付けていた額を押し付けるように、低い姿勢でルイが、ザイアス殿下に嘆願する。
「どうか、どうか殿下……っ!俺、もっと頑張りますから!勉強も、マナーも、何もかも……っ!貴方の隣に相応しいと、言って貰える人間になれるように、頑張りますから!
だから、こんな形で、貴方の素晴らしい婚約者であるお方と、婚約破棄するようなことはなされないでください……お願いします!!」
……全く。いや。わかっていなかったのは、俺の方だったようだ。
おいコラ。
そこまでド直球に言うんじゃない、このすっとこどっこい平民が。
こんな大衆の目線がある中で、堂々とてらいなく言うとは思わなかった。
周囲の貴族たちも思わぬ発言にザワつく有様だし……俺としたことが、気を遠くにやりたい気分になってしまう。まあ、最初からこんな感じだったか、この男は。
「嘘だっ!だったらどうして、あんな男のことを庇い立てするんだ!」
「事実、ケニー・トランスウェル様が素晴らしいお方だからです」
「それは君がアイツの猫被りに騙されているからだ!いいか、あの男はな、確かに頭脳も明晰で人当たりもいいが、それは自分の都合のいいように周りを操るのが得意なだけだ!君もそれに巻き込まれているだけだ、いい加減目を覚ませ!」
なんだこの痴話喧嘩は。頭お花畑か。
というか俺に対してそんなことを思っていたのかよ、殿下。失礼だな。
学園の成績を上位に保つ努力をしていたのは貴族としても、王配として当然の義務だと思ったからきちんと学問を修めただけだし。周囲に嫌われるよりは好かれるのは王配となってからも何かと都合がいいに決まっているからだろう。仮に王配の座から外れたとしても、人脈を多く得ることは大事だしな。……まあ、確かに。この平民を『ある意味』利用しようとはしていることは、否定しないが。
それはそれとして。
……俺の後ろにいる奴の殺気がどんどん高まってる気しかしないのは、何故だろうな?仮にも王族の人間に対してそんな物騒なモノを放つんじゃないよ、わが愛しのおバカな護衛よ。
そんな不敬な部下を持って内心冷や冷やしている俺をよそに、この場の空気を混沌とさせた張本人であるルイ・パターソンは、略奪相手である俺に対して敬意を表し続けるとともに、不敬な宣戦布告を立て、殿下を含めた周りの人々が戸惑う中、さらに言葉を続ける。
「トランスウェル様は、殿下の婚約者となられるだけの、気品と礼節、知識が豊富なお方です。それに加え、私のような平民に対して厳しくも寛大なことに、色々教わって頂いて参りました。
俺の想いが、トランスウェル様に対する裏切りということもわかっています、ですが……っ!」
さらにまた、擦り付けていた額を押し付けるように、低い姿勢でルイが、ザイアス殿下に嘆願する。
「どうか、どうか殿下……っ!俺、もっと頑張りますから!勉強も、マナーも、何もかも……っ!貴方の隣に相応しいと、言って貰える人間になれるように、頑張りますから!
だから、こんな形で、貴方の素晴らしい婚約者であるお方と、婚約破棄するようなことはなされないでください……お願いします!!」
……全く。いや。わかっていなかったのは、俺の方だったようだ。
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