名を忘れた悪役令嬢

御伽夢見

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もうひとりの目覚め

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 私が目覚めた時、色々変化が起きていた。それよりも私は私を心配していた彼女の事が気になって仕方がなかった。

 「そろそろ教えて下さい。ここで待っていても誰も話してくれない・・・・・・・。あの人はどうなったのですか?」

 「ああ、彼なら」「違います!!私を助けようとしてくれた人です!」

 「・・・残念ながら、情報は流れてこない。生きているのは確かなようだが。でも、あんなヤツ・・。」

 「あんなヤツ?!これだけ色々誤解や思い込みが重なって冤罪の状態だと判明したのに、まだ彼女に対してそんな事を仰るの?!もし彼女が壊れたら全員のせいよ!」

 「それは・・・・・。」

 「私ははじめから訴えていた。でも貴方達は話を聞いては・・いいえ、思い込みで聞こうともしなかった。例え罰をかわせても、罪は消えない。一生罪悪感から逃げ続ければいい。蓋をして見ないふり、知らないふり。どれだけ楽しい・・・のでしょうね。」

 「・・・階段から突き落とされるとは思わなかった。理由は何であれ、兄は拘束された。そして廃嫡となる可能性が高い。
 だが、他の人たちも事情聴取がはじまっている。自分もそのうち呼ばれる・・・・。」

 「・・・そう。せいぜい頑張って無実・・を訴えてね。あんなヤツ落とされて当然なのでしょう?」

 「それは・・・すまなかった。確かに悪いイメージのままでいたよ。さっきの指摘でしっかり目が覚めた。何とか彼女にも話したい。例え許されなくても。」

 「幼なじみとしてもう一つお伝えしますわ。私は第一王子同様に貴方を拒否する。貴方が彼女にどう対応していくのか見物させていただきますわ、第二王子!」



##################################


 第三王子の屋敷では医師の診察が始まっていた。

 黒髪の青年が不安と戦いながら結果を待つ。

 やがて診察を終えた医師が廊下に姿をみせ、青年を呼んだ。

 「診察の結果は?」

 「良いとは言い難いですね、殿下。お話をしたいので別室にお願いをしたいのですが。」

 「わかった。今すぐ。」

 青年は侍女に指示を出し、別室へと案内した。
 


###################################


 「え?今何て?」

 新たな情報に第三王子は思考が一瞬停止した。

 「彼女の頸椎は元通りです。すぐに対応できたからこそ治癒魔法が間に合った。大抵は時間が遅くなり元通りにならないことが頸椎には多い。その点では殿下に感謝すべきことでしょう。

 問題は、『記憶』です。これは頸椎骨折のショックとは思えない・・・・。」

 「それは一体・・・。」

 「確認しましたが、彼女は自分にまつわるもののみが記憶にない。一般常識やマナーは覚えてます。心に負荷がかかりすぎて・・・。」

 「つまり・・・自ら記憶に鍵をかけた・・と?」

 「はい、おそらく。」

 「そんな!・・・・・あと一歩ですべてが解決するという時にこんなことになるなんて。」

 「殿下。絶望するのはいささか早いかと。集めた証拠は今一つ一つ、一人一人確認作業をしていると聞いてます。事情聴取も進んてきております。諦めないように。
 彼女が安心できる環境が整えば鍵のかかったドアも開放・・されるでしょう。」
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