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1章
異界に妖怪?あり得るかい!
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「はなっぺー、それこの荒縄で吊るしといてくんね?【興奮!空き巣魔爺と美人OLのお仕置きSM晒しプレイ開幕!】とかタイトル付けて配信したら視聴者増えそうだし。」
「ダメ。この妖怪の恥さらしを人間共に見せてなるもんですか...これは人目に着かないよう手足を捥いで生ごみと一緒に捨ててくるわ。そうすりゃ後はカラスさんたちが勝手に処分してくれるでしょ。」
「ふぉっふぉっふぉ、お主ら相変わらず冗談キツイのう...え、待って何その目?冗談なんじゃよな?」
「「...........................」」
「待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!わしが悪かった!悪かったから!許してください!!お願いします!!!良い情報も持ってきたから助けてくだされぇぇぇぇぇ!!!!!」
まるで大物のように登場したにもかかわらず2秒で目潰し制裁を食らったこの変態の名は「ぬらりひょん」。
家の者が忙しくしている夕方時などにどこからともなく家に入り、茶を飲んだり自分の家のようにふるまう質の悪い妖怪。しかも、家の者が目撃したとしても「この人はこの家の主だ」と思わされてしまうため、追い出すことはできない、またはその存在に気づかないという、数ある妖怪の中でもある意味人間にとっては最高に最悪な存在である。
また、妖怪達が手を組みあい、好き勝手動いて人間に滅ぼされたりしないよう結成された「妖怪組合」のトップ、最長老でもある。といっても妖怪の中でも最年長という訳ではなく、単に頭が回るのと見た目がそれっぽいから決まっただけであるが。
そしてこれはどうでもいいことだが、どうしようもない助平爺でもある。少なくとも秘書の雪女にセクハラして全身氷漬けにされるのが日常茶飯事な程には。
「…で?そのいい話ってのは何なのよクソ爺。言っとくけど、くだらないセクハラの口実とかだったら手足だけでなくあんたのその煩悩の源も捥ぐつもりだからね?」
「やだ恐ろしいこの幼女!いたいけなおじいちゃんの股間の杖を奪わないで!…というか、一応昨日はわしが付けておいたブザーで九尾共が助けにきてくれたんじゃから、もうちょい優しくしてくれてもよかろう?」
「ぐっ...。まあ、それは感謝してるよ...でも、どうせあれだって監視カメラとか付いてたんだろ?あたしのプライベートとか覗くために。」
「......それで、そのいい話というのはじゃな」
「おいこっち見て話せやジジイ!やってたのか?マジでやってたのか!?」
「異世界の妖怪を調査してきてほしい、というものじゃ。」
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
「待て待て待て待て待て待て待て待て!!!!!!!ホントに!?ホントにコレに引かれなきゃいけないのか!?もうちょっとマシな方法あるんだろ!?そうなんだろ!?」
「何をいうんでぇ、河童の技術力を侮るんじゃねぇべ!!!これはれっきとした人間共が異世界に渡るときに使う一番メジャーな方法だい!!!」
「おかしい!あたしらを萌えキャラだのヒーローだの友達だの言ってきたりするのといい、人間共はやっぱりおかしい!!!」
「あー、はなっぺは知らないよねー。最近のラノベとかではもうすっかりお約束なんだけどね。...まあ厳密にはこれ使うやつは基本転移じゃなくて転生だけど。」
「そしてあっさり順応してるあんたもおかしい!!!」
花子と口裂け女は今、とある山奥にある川沿いで手足を拘束され、妖怪用超大型異世界転移現象発動装置、通称「トラック」の前に立たされていた。
遡ること3時間前......
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
「...は?いせ…なに?」
「じゃーかーらー、異世界じゃよ、い・せ・か・い。この人間が何十億とはびこり、科学も発達した世とは全く違う世界、ということじゃ。」
「...ごめんなじーさん。やりすぎたよ...まさか目潰しの指が脳天まで突き刺さっちまったなんてね...。」
「狂ったのではないわい!...これはれっきとした妖怪全体で決めた事じゃ。天狗や九尾を始めとする幹部陣も全員賛成しておる。」
「へぇ...イケメンで物分かりのいいキュービ様はともかく、石頭の天狗おじいまで賛成するなんて…一体何があったのー?」
「うむ...お主らも知っての通り、わしら妖怪は人間の恐怖を糧として生きておる。そして、恐怖は基本人間を驚かして入手するものだが...近年では人間はすっかりわしらを恐怖の対象とみなさなくなり、恐怖を手に入れられる機会は大きく減少した。これは分かるな?」
「...まあ。」
「待ってよぬらじい!あたしは今普通に恐怖に困ってないんだけど?てか、みんなももっと人間の法とか利用すればいいじゃん。やり方さえ変えれば恐怖もまだまだ手に入ると思うけど?」
「確かにお主のやり方ならしばらくは恐怖に困ることもないじゃろう...しかしだ口裂け、よう考えてみい?わしらは妖怪。身分も偽物だし身体構造も人間と違う。外見こそわしらのように人間と変わらぬものもおるが...それがじゃ、いざ本当に裁判沙汰になり、身分を調べられるなり、X線だったか?あのような体の内部を調べられるようなことをされてみろ...一発で終わりじゃ。今お主がやっていることはその脅された人間共だけでなく、お主自身も危ない橋を渡っているものなのじゃよ。」
「...........................」
「で?そのいせかい?ってところで妖怪を調査することが、どうやってあたしらのメリットになりうるのよ?…まあそもそも、本当にそのいせかいって所があるのか、あったとしてもそこにも妖怪がいるのかっていう疑問はあるけども。」
花子はそういってぬらりひょんに訝しげな視線を向ける。口裂け女も言葉こそ発さないが、表情からして花子と似たような考えであるらしい。
「まあ聞け!改めて考えてみよ、わしら妖怪が恐れられなくなった原因、それはなんじゃと思う?」
「あ?まあ...アニメだとか漫画とかで色々変な事させられたり、怖くなくなるような設定だとかを付けられて、それが徐々に人間共の共通認識になっちまったから...だったか?口裂けが言ってた。」
「よく覚えてたねはなっぺ。まああとは...あたしやはなっぺみたいな見てくれのいい女妖怪は、人間の男共にエッチな目で見られたりもするしそれもあるのかもね...実際、つい昨日その被害を受けた子がここにいるわけだし。」
「...もうその話はやめて。」
「あー、ゴホン、まあその認識は間違ってはおらん。じゃが、もっと根本的な所を考えてみよ。...そもそも、アニメや漫画などでわしら妖怪が扱われるようになった真の原因は...[慣れ]じゃ。」
「「慣れ?」」
「そうじゃ。例えば花子よ、お主はすでに人間共に、[トイレに出てきてくれる、小学生のような外見をしたかわいらしい女の子]ということが知れ渡っておるじゃろう?昔はそうではなかった...お主のイメージはせいぜい[トイレに出現するといわれている、小学生のような外見をした妖怪]という程度のもので、人間共にとって恐怖の対象ではあれど、かわいい女の子なんて扱いはされるわけもなかった。」
「…か、かわいいかわいいって、一々余計なんだけど。」
「えーいーじゃん!はなっぺ実際かわいいし。」
「それがじゃ、人間共に今のような扱いをされるようになったのは...ひとえに、人間共がお主に慣れたからにほかならない。確かに最初は人間にとって恐怖の対象であった...だが...月日が流れ、人間共がお主の事を冷静に認識できるようになるにつれ、『あれ?ひょっとしてこの子って萌え要素の塊なんじゃね?』とか『男子トイレに現れる少女とかさ...実はビッチとかなんじゃない?』とか『おかっぱJSに引きずり込まれたい』とか...そんな妄想を繰り広げるようnっておいやめんか!わしが考えたのではないぞ!!!当たるなら人間に当たれ!ひげをひっぱるでないだだだだだだ!!!!!」
「んん!まあ、他の妖怪も、方向性は違えど大体こんな感じじゃ。要はなにが言いたいのかと言えば...」
そういって、ぬらりひょんは真剣な表情で
「お主ら、妖怪としてもう飽きられたのじゃ。」
そう、淡々と現実を突きつけた。
「なら...ならどうするっていうのよ!飽きられたっつったってそんなんあたしたちじゃどうしようもないことでしょ!?どうにかしようにも」
「だから言っておるじゃろ、異世界じゃよ。」
「それとこれに何の関係があるのよ!」
「【未知】じゃ。」
「「...........未知?」」
「そう。未知。慣れ....つまりは既知と対をなすものじゃ。どんな性格か知らない。どんな生体か知らない。どんな姿か知らない。それは即ち...恐怖につながる。人間というものはつまるところ、知らないということ、分からないということにこそ恐怖を覚えるもの。わしら妖怪もその心理を利用して恐怖を摂取しておった。」
「あー、ぬらじいの言いたいこと分かったかも。...要は、異世界の妖怪なんていう、少なくともこの世界の人間は誰も知らないような人たちの力を借りて、あたし達もそれを参考にして全く別のアプローチの恐怖摂取方法を開発する。そうすれば、また昔みたいな生活に戻れる...ってこと?」
「大正解!!!流石は口裂け、毎日ぐうたらして異世界転生ものとか読みふけってるだけのことはあるのぉ!乳もんでよいか?」
「いっやぁそれほどでもあるかなぁ!吊るすぞクソ爺。」
その後、ぬらりひょんは計画の細かい部分を説明した。すでに妖怪達の間で別の世界の存在が理論上は解明されていること。妖怪の中でも屈指の技術力(科学ではなく妖力による発明)を誇る河童たちが異世界に行くための、およびその世界からこの世界に戻るための装置を開発済みなこと。もう準備は済ませてあるので、決めれば今すぐにでも異世界行きが可能な事。そして...異世界は存在が分かっただけでどんなところなのかまでは分からない、つまり危険な場所かもしれないし、死ぬかもしれない...ということ。
それを聞き、花子は
「行くわ」
実にあっさりと、そう一言だけ告げた。
「...は!?え?話聞いてたはなっぺ!?死ぬかもしれないんだよ?しかもはなっぺみたいなクソザコ、もし向こうの危険生物みたいなのに遭遇したら一発で死ぬじゃん!成仏しちゃうじゃん!」
「うっさいわ!...あたしだってんなこと分かってるわよ...でも...」
「このまま...人間に好き勝手言われたまま...終わりたくないのよ!!!」
-----数秒間の静寂。
やがて、口裂け女が口を開き...
「...はぁ。分かったわよ。ぬらじい、あたしも行く。...この子一人じゃ突っ走ってすぐ死にそうだし...どの道この生活も飽きてきたところだったしね。」
「口裂け女...え?どうしたの?ジジイに指摘されて昔脅したやつにマジで裁判起こされるのが怖くなったとか?」
「違うわ!はなっぺあんたそういうところよホント!もっとかわいげ持ちなさいな!!!」
「...ふぉっふぉっふぉ、決まりじゃの。」
そういって、ぬらりひょんは二人を案内し、マンションの玄関にいつのまにやら止まっていた乗用車へと乗り込んだ。二人も乗り込んだのを確認すると、車は出発し、異世界行きの現場を見られないよう一目のつかない山奥へと走っていった。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
「くっそぉあのジジイ!!!戻ってきたら今度は本当に脳に届くまで指突っ込んでやる!!!河童!あんたらもよ!その頭の皿でグラタン作ってやるから!!!」
「うっわぁはなっぺえげつな...よりにもよって汚れの落ちにくいグラタンとか...人の心無いの?」
「こっちのセリフよ!!!てかそもそもあたしら妖怪でしょうが!!!」
「ならあっしらにも人の心なくて当然っすね!...だいじょぶっすよ!見た目こそ人間の乗り物みたいっすけど、あくまで見た目っすので!引かれても痛くもねーっすし勿論死にもしやせん!」
「心のショックは?」
「.......さあ!時間も押してますしちゃっちゃとやっちまいましょう!異世界転移現象発動装置、起動!」
「まてやゴルァ!!!」
花子の叫びも空しく、異世界転移現象発動装置(トラック)のエンジンはかかった。
「.......花子、口裂け。」
「あん?なんだよジジイ。言っとくけど脳に届くまで指突っ込んでやるってのマジだからな。覚悟しとけよマジで。」
「どったのぬらじい?まさか行く前にキスさせろとか?言っとくけどあたしファーストキスは素顔見ても綺麗っていってくれるかわいい男の子に決めて...」
「無事に、帰ってくるのじゃぞ。」
「「.......うん。」」
トラックは動き出す
3
「...でもやっぱ」
2
「この方法は」
1
「おかしいんだからねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ...........................
その日、世界から、二人の妖怪が消え去った。
「ダメ。この妖怪の恥さらしを人間共に見せてなるもんですか...これは人目に着かないよう手足を捥いで生ごみと一緒に捨ててくるわ。そうすりゃ後はカラスさんたちが勝手に処分してくれるでしょ。」
「ふぉっふぉっふぉ、お主ら相変わらず冗談キツイのう...え、待って何その目?冗談なんじゃよな?」
「「...........................」」
「待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!わしが悪かった!悪かったから!許してください!!お願いします!!!良い情報も持ってきたから助けてくだされぇぇぇぇぇ!!!!!」
まるで大物のように登場したにもかかわらず2秒で目潰し制裁を食らったこの変態の名は「ぬらりひょん」。
家の者が忙しくしている夕方時などにどこからともなく家に入り、茶を飲んだり自分の家のようにふるまう質の悪い妖怪。しかも、家の者が目撃したとしても「この人はこの家の主だ」と思わされてしまうため、追い出すことはできない、またはその存在に気づかないという、数ある妖怪の中でもある意味人間にとっては最高に最悪な存在である。
また、妖怪達が手を組みあい、好き勝手動いて人間に滅ぼされたりしないよう結成された「妖怪組合」のトップ、最長老でもある。といっても妖怪の中でも最年長という訳ではなく、単に頭が回るのと見た目がそれっぽいから決まっただけであるが。
そしてこれはどうでもいいことだが、どうしようもない助平爺でもある。少なくとも秘書の雪女にセクハラして全身氷漬けにされるのが日常茶飯事な程には。
「…で?そのいい話ってのは何なのよクソ爺。言っとくけど、くだらないセクハラの口実とかだったら手足だけでなくあんたのその煩悩の源も捥ぐつもりだからね?」
「やだ恐ろしいこの幼女!いたいけなおじいちゃんの股間の杖を奪わないで!…というか、一応昨日はわしが付けておいたブザーで九尾共が助けにきてくれたんじゃから、もうちょい優しくしてくれてもよかろう?」
「ぐっ...。まあ、それは感謝してるよ...でも、どうせあれだって監視カメラとか付いてたんだろ?あたしのプライベートとか覗くために。」
「......それで、そのいい話というのはじゃな」
「おいこっち見て話せやジジイ!やってたのか?マジでやってたのか!?」
「異世界の妖怪を調査してきてほしい、というものじゃ。」
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「待て待て待て待て待て待て待て待て!!!!!!!ホントに!?ホントにコレに引かれなきゃいけないのか!?もうちょっとマシな方法あるんだろ!?そうなんだろ!?」
「何をいうんでぇ、河童の技術力を侮るんじゃねぇべ!!!これはれっきとした人間共が異世界に渡るときに使う一番メジャーな方法だい!!!」
「おかしい!あたしらを萌えキャラだのヒーローだの友達だの言ってきたりするのといい、人間共はやっぱりおかしい!!!」
「あー、はなっぺは知らないよねー。最近のラノベとかではもうすっかりお約束なんだけどね。...まあ厳密にはこれ使うやつは基本転移じゃなくて転生だけど。」
「そしてあっさり順応してるあんたもおかしい!!!」
花子と口裂け女は今、とある山奥にある川沿いで手足を拘束され、妖怪用超大型異世界転移現象発動装置、通称「トラック」の前に立たされていた。
遡ること3時間前......
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「...は?いせ…なに?」
「じゃーかーらー、異世界じゃよ、い・せ・か・い。この人間が何十億とはびこり、科学も発達した世とは全く違う世界、ということじゃ。」
「...ごめんなじーさん。やりすぎたよ...まさか目潰しの指が脳天まで突き刺さっちまったなんてね...。」
「狂ったのではないわい!...これはれっきとした妖怪全体で決めた事じゃ。天狗や九尾を始めとする幹部陣も全員賛成しておる。」
「へぇ...イケメンで物分かりのいいキュービ様はともかく、石頭の天狗おじいまで賛成するなんて…一体何があったのー?」
「うむ...お主らも知っての通り、わしら妖怪は人間の恐怖を糧として生きておる。そして、恐怖は基本人間を驚かして入手するものだが...近年では人間はすっかりわしらを恐怖の対象とみなさなくなり、恐怖を手に入れられる機会は大きく減少した。これは分かるな?」
「...まあ。」
「待ってよぬらじい!あたしは今普通に恐怖に困ってないんだけど?てか、みんなももっと人間の法とか利用すればいいじゃん。やり方さえ変えれば恐怖もまだまだ手に入ると思うけど?」
「確かにお主のやり方ならしばらくは恐怖に困ることもないじゃろう...しかしだ口裂け、よう考えてみい?わしらは妖怪。身分も偽物だし身体構造も人間と違う。外見こそわしらのように人間と変わらぬものもおるが...それがじゃ、いざ本当に裁判沙汰になり、身分を調べられるなり、X線だったか?あのような体の内部を調べられるようなことをされてみろ...一発で終わりじゃ。今お主がやっていることはその脅された人間共だけでなく、お主自身も危ない橋を渡っているものなのじゃよ。」
「...........................」
「で?そのいせかい?ってところで妖怪を調査することが、どうやってあたしらのメリットになりうるのよ?…まあそもそも、本当にそのいせかいって所があるのか、あったとしてもそこにも妖怪がいるのかっていう疑問はあるけども。」
花子はそういってぬらりひょんに訝しげな視線を向ける。口裂け女も言葉こそ発さないが、表情からして花子と似たような考えであるらしい。
「まあ聞け!改めて考えてみよ、わしら妖怪が恐れられなくなった原因、それはなんじゃと思う?」
「あ?まあ...アニメだとか漫画とかで色々変な事させられたり、怖くなくなるような設定だとかを付けられて、それが徐々に人間共の共通認識になっちまったから...だったか?口裂けが言ってた。」
「よく覚えてたねはなっぺ。まああとは...あたしやはなっぺみたいな見てくれのいい女妖怪は、人間の男共にエッチな目で見られたりもするしそれもあるのかもね...実際、つい昨日その被害を受けた子がここにいるわけだし。」
「...もうその話はやめて。」
「あー、ゴホン、まあその認識は間違ってはおらん。じゃが、もっと根本的な所を考えてみよ。...そもそも、アニメや漫画などでわしら妖怪が扱われるようになった真の原因は...[慣れ]じゃ。」
「「慣れ?」」
「そうじゃ。例えば花子よ、お主はすでに人間共に、[トイレに出てきてくれる、小学生のような外見をしたかわいらしい女の子]ということが知れ渡っておるじゃろう?昔はそうではなかった...お主のイメージはせいぜい[トイレに出現するといわれている、小学生のような外見をした妖怪]という程度のもので、人間共にとって恐怖の対象ではあれど、かわいい女の子なんて扱いはされるわけもなかった。」
「…か、かわいいかわいいって、一々余計なんだけど。」
「えーいーじゃん!はなっぺ実際かわいいし。」
「それがじゃ、人間共に今のような扱いをされるようになったのは...ひとえに、人間共がお主に慣れたからにほかならない。確かに最初は人間にとって恐怖の対象であった...だが...月日が流れ、人間共がお主の事を冷静に認識できるようになるにつれ、『あれ?ひょっとしてこの子って萌え要素の塊なんじゃね?』とか『男子トイレに現れる少女とかさ...実はビッチとかなんじゃない?』とか『おかっぱJSに引きずり込まれたい』とか...そんな妄想を繰り広げるようnっておいやめんか!わしが考えたのではないぞ!!!当たるなら人間に当たれ!ひげをひっぱるでないだだだだだだ!!!!!」
「んん!まあ、他の妖怪も、方向性は違えど大体こんな感じじゃ。要はなにが言いたいのかと言えば...」
そういって、ぬらりひょんは真剣な表情で
「お主ら、妖怪としてもう飽きられたのじゃ。」
そう、淡々と現実を突きつけた。
「なら...ならどうするっていうのよ!飽きられたっつったってそんなんあたしたちじゃどうしようもないことでしょ!?どうにかしようにも」
「だから言っておるじゃろ、異世界じゃよ。」
「それとこれに何の関係があるのよ!」
「【未知】じゃ。」
「「...........未知?」」
「そう。未知。慣れ....つまりは既知と対をなすものじゃ。どんな性格か知らない。どんな生体か知らない。どんな姿か知らない。それは即ち...恐怖につながる。人間というものはつまるところ、知らないということ、分からないということにこそ恐怖を覚えるもの。わしら妖怪もその心理を利用して恐怖を摂取しておった。」
「あー、ぬらじいの言いたいこと分かったかも。...要は、異世界の妖怪なんていう、少なくともこの世界の人間は誰も知らないような人たちの力を借りて、あたし達もそれを参考にして全く別のアプローチの恐怖摂取方法を開発する。そうすれば、また昔みたいな生活に戻れる...ってこと?」
「大正解!!!流石は口裂け、毎日ぐうたらして異世界転生ものとか読みふけってるだけのことはあるのぉ!乳もんでよいか?」
「いっやぁそれほどでもあるかなぁ!吊るすぞクソ爺。」
その後、ぬらりひょんは計画の細かい部分を説明した。すでに妖怪達の間で別の世界の存在が理論上は解明されていること。妖怪の中でも屈指の技術力(科学ではなく妖力による発明)を誇る河童たちが異世界に行くための、およびその世界からこの世界に戻るための装置を開発済みなこと。もう準備は済ませてあるので、決めれば今すぐにでも異世界行きが可能な事。そして...異世界は存在が分かっただけでどんなところなのかまでは分からない、つまり危険な場所かもしれないし、死ぬかもしれない...ということ。
それを聞き、花子は
「行くわ」
実にあっさりと、そう一言だけ告げた。
「...は!?え?話聞いてたはなっぺ!?死ぬかもしれないんだよ?しかもはなっぺみたいなクソザコ、もし向こうの危険生物みたいなのに遭遇したら一発で死ぬじゃん!成仏しちゃうじゃん!」
「うっさいわ!...あたしだってんなこと分かってるわよ...でも...」
「このまま...人間に好き勝手言われたまま...終わりたくないのよ!!!」
-----数秒間の静寂。
やがて、口裂け女が口を開き...
「...はぁ。分かったわよ。ぬらじい、あたしも行く。...この子一人じゃ突っ走ってすぐ死にそうだし...どの道この生活も飽きてきたところだったしね。」
「口裂け女...え?どうしたの?ジジイに指摘されて昔脅したやつにマジで裁判起こされるのが怖くなったとか?」
「違うわ!はなっぺあんたそういうところよホント!もっとかわいげ持ちなさいな!!!」
「...ふぉっふぉっふぉ、決まりじゃの。」
そういって、ぬらりひょんは二人を案内し、マンションの玄関にいつのまにやら止まっていた乗用車へと乗り込んだ。二人も乗り込んだのを確認すると、車は出発し、異世界行きの現場を見られないよう一目のつかない山奥へと走っていった。
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「くっそぉあのジジイ!!!戻ってきたら今度は本当に脳に届くまで指突っ込んでやる!!!河童!あんたらもよ!その頭の皿でグラタン作ってやるから!!!」
「うっわぁはなっぺえげつな...よりにもよって汚れの落ちにくいグラタンとか...人の心無いの?」
「こっちのセリフよ!!!てかそもそもあたしら妖怪でしょうが!!!」
「ならあっしらにも人の心なくて当然っすね!...だいじょぶっすよ!見た目こそ人間の乗り物みたいっすけど、あくまで見た目っすので!引かれても痛くもねーっすし勿論死にもしやせん!」
「心のショックは?」
「.......さあ!時間も押してますしちゃっちゃとやっちまいましょう!異世界転移現象発動装置、起動!」
「まてやゴルァ!!!」
花子の叫びも空しく、異世界転移現象発動装置(トラック)のエンジンはかかった。
「.......花子、口裂け。」
「あん?なんだよジジイ。言っとくけど脳に届くまで指突っ込んでやるってのマジだからな。覚悟しとけよマジで。」
「どったのぬらじい?まさか行く前にキスさせろとか?言っとくけどあたしファーストキスは素顔見ても綺麗っていってくれるかわいい男の子に決めて...」
「無事に、帰ってくるのじゃぞ。」
「「.......うん。」」
トラックは動き出す
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「...でもやっぱ」
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「この方法は」
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「おかしいんだからねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ...........................
その日、世界から、二人の妖怪が消え去った。
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