恋文らいたー

misaka

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本編 弐

玖苑と宗次郎 弐話

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「与太郎。あたしの願いを聞いてくれ。」
玖苑は恋文屋の扉を開いて言った。

「…あら。お客様がいらしてしまったわ。」
恋文屋の中には薄い紫の着物を着た優しそうな人がいた。

「…与太郎の恋人は浅葱だけだ。何をしてるんだい。」
玖苑は中にいた女を睨みつけていう。

わたくしもそう思いますわ…?はて。ご依頼でいらっしゃいますの?」
女は何を言われたかわからない様な顔でこちらを見る。

「与太郎狙いの輩では無いのか?」
玖苑はハッキリと女に聞いてみることにした。

「…うふふ、面白い冗談でございますね。違いますわ。私も依頼に来たのですわ。」

「…名は?」

「小夏でございます。貴女様は?」

「…玖苑。悪かったな。睨んだりして。与太郎を狙っているのかとおもったのだ。」

玖苑は小夏に頭を下げる。小夏は驚いたように「顔を上げてくださいまし。」なんて玖苑のしゃべり方の真似をする。すると扉が開いて浅葱が顔をのぞかせる。

「…っ!小夏さん!玖苑さん!すみません!!」
浅葱は玖苑と小夏をみて慌てた。まさか、毎日あまり客のこない恋文屋に2人も来ているとは思っていなかったのだ。

「大丈夫ですわ。私は急ぎでは無いのです。玖苑様は急ぎの様ですので玖苑様からご依頼になって。また後日来ますわ。」
小夏は笑って浅葱に言う。そして恋文屋をあとにした。

「そうお伝えします!」
浅葱は小夏の後ろ姿に言う。そしてこちらを振り返り笑った。

「…ごめんなさい玖苑さん。待たせてしまったみたいですね。」

浅葱が謝ると玖苑は首を横に振り「大したことないさ。謝る必要も無い。」と笑い返した。

「…で、宗次郎さんですね?」

浅葱は知っていたかのように問う。

「…誰に聞いたのか、まぁいい。そうだ。文を書きたい。与太郎は?」
玖苑は少し驚いた顔をした。だがすぐにまっすぐと浅葱をみて依頼した。

「ここだ。待たせたな。」
いつの間にか恋文屋ここの扉が開いていてそこには与太郎がいた。

「…与太郎。あたしの願いを聞いてくれ。」
玖苑は2度目の言葉を与太郎に向けていう。与太郎は「承る。こっちに」と玖苑を机まで案内した。

「では、始めよう。」
そして恋文をしたため始めた。




「できた。…渡してこよう。助かった。与太郎ありがとう。」

玖苑は笑顔で与太郎に言うと恋文屋みせをでた。まるで宗次郎の居場所がわかるかのように。

***

宗次郎は座り込んだ。

やっぱり____伝わらないのかと。
嘆いた。______玖苑の傷は癒せないのだと。

そこに、可愛らしい足音が聞こえた。
「…宗次郎さん、」

それは宗次郎がずっと望んでいたことで___もう叶わないと思っていたものだった。
宗次郎はゆっくり声のする方へ顔を向けた。

「…玖苑ちゃん……」

名前をつぶやくと宗次郎は目に涙を浮かべ「来てくれた。」と嬉しそうに笑った。

「…宗次郎さん、あたし伝えたい事があったんだ。ずっと____言えなかった。でも昨日一晩悩んで父さんの手紙を読んでわかったんだ…父さんはあたしが落ち込んでるのを望んでやしないんだ、って。背中を押してくれたのは父さんだ。」
玖苑はそう言って宗次郎に 紙こいぶみを渡した。
宗次郎は受け取ると「…ありがとう。これは…?」と問う。

「…あたしが書いた、恋文だ。」

玖苑は顔を真っ赤にしていう。宗次郎はそんな玖苑をみて愛しくおもった。

「…っ。」
抱きしめたい___なんて思ってしまった。でも思った時にはもう遅くて宗次郎は玖苑を抱きしめていた。

2人の上の提灯が静かに揺れた。
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