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公爵家編
74.見送り
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今日は、メル様が学園に向かう日だ。俺達は、見送る為に玄関にいた。
メル様は、学園の制服を着ている。制服は赤銅色の暗い赤色で統一されていて、ロングコートに、中は左右対称にボタンがついているワンピース?のようなものを着ていた。腰にベルトもついていて、ゲームで見るよりもずっと、かっちりしている。
「メル様、かっこいいデス!」
「ありがとう」
学園の制服は、家ごとに特注出来て、ゲームでは課金するとデザインを変えられるアイテムだった。攻略対象の好みの色を入れると、好感度がプラスされる。
ゲーム通りだとメル様の制服は軍服っぽく、主人公の基本の制服は可愛らしいピンク色のふわふわしているやつだった。
「俺も早く頑張って学校に行きマス!」
「えぇ!頑張ってね!」
むぎゅっと抱きしめて離す。それから、メル様はルダン様を見た。
「お父様、ウェインを大切になさってくださいね?」
「当たり前だ」
ルダン様に肩を抱かれて、引き寄せられる。肩から伝わる思いに俺は頬を赤らめた。
「お父様は、やっぱりズルいわ!私だって、ウェインの傍にいたのに!」
それを見たメル様はむすくれて地団駄を踏む。ルダン様は、呆れたようにシッシッと追い払うように手を振る。
「馬車が待っている。早く行け」
「もう!まるで私をお邪魔虫みたいに追い出さそうとするなんてヒドイわ!」
「早く行け」
「そんなに急かさなくても行きますわよ!」
ぷくっと膨らませた頬をすぼめ、俺と向き合うとニコリと笑う。
「ウェイン、必ず年始年末には帰るわ。楽しみに待っててね」
「ハイ」
両手で握手をしながら上下に振り、手を離して、メル様は馬車に向かった。振り返らない彼女を見送りながら、不安を抱く。
これから始まるメル様の学園生活。俺はゲームのシナリオが始まるまでに、学園に通えるようにならなきゃいけない。でも、シナリオはもっと早くに始まってしまうかもしれない。そうしたら、俺はどうすれば?メル様が処刑されてしまうなんて、受け入れられない!
いつの間にか、喜びが恐怖に変わる。黒く世界が塗りつぶされてしまう。
「ウェイン」
しかし、ルダン様に名前を呼ばれて、はっと我に返る。掬われるように抱き上げられた。俺の視界に入るのは、ルダン様だけになる。
「大丈夫だ。メルは強い。ウェインは出来ることをすれば良い。それに私が君達を必ず守る。これ以上、怖がる必要はない」
優しく背中を撫でられて、俺は彼にしがみつく。ルダン様がいるなら、大丈夫。そう思わせてくれる温かな体温が俺を安心させた。
メル様は、学園の制服を着ている。制服は赤銅色の暗い赤色で統一されていて、ロングコートに、中は左右対称にボタンがついているワンピース?のようなものを着ていた。腰にベルトもついていて、ゲームで見るよりもずっと、かっちりしている。
「メル様、かっこいいデス!」
「ありがとう」
学園の制服は、家ごとに特注出来て、ゲームでは課金するとデザインを変えられるアイテムだった。攻略対象の好みの色を入れると、好感度がプラスされる。
ゲーム通りだとメル様の制服は軍服っぽく、主人公の基本の制服は可愛らしいピンク色のふわふわしているやつだった。
「俺も早く頑張って学校に行きマス!」
「えぇ!頑張ってね!」
むぎゅっと抱きしめて離す。それから、メル様はルダン様を見た。
「お父様、ウェインを大切になさってくださいね?」
「当たり前だ」
ルダン様に肩を抱かれて、引き寄せられる。肩から伝わる思いに俺は頬を赤らめた。
「お父様は、やっぱりズルいわ!私だって、ウェインの傍にいたのに!」
それを見たメル様はむすくれて地団駄を踏む。ルダン様は、呆れたようにシッシッと追い払うように手を振る。
「馬車が待っている。早く行け」
「もう!まるで私をお邪魔虫みたいに追い出さそうとするなんてヒドイわ!」
「早く行け」
「そんなに急かさなくても行きますわよ!」
ぷくっと膨らませた頬をすぼめ、俺と向き合うとニコリと笑う。
「ウェイン、必ず年始年末には帰るわ。楽しみに待っててね」
「ハイ」
両手で握手をしながら上下に振り、手を離して、メル様は馬車に向かった。振り返らない彼女を見送りながら、不安を抱く。
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「ウェイン」
しかし、ルダン様に名前を呼ばれて、はっと我に返る。掬われるように抱き上げられた。俺の視界に入るのは、ルダン様だけになる。
「大丈夫だ。メルは強い。ウェインは出来ることをすれば良い。それに私が君達を必ず守る。これ以上、怖がる必要はない」
優しく背中を撫でられて、俺は彼にしがみつく。ルダン様がいるなら、大丈夫。そう思わせてくれる温かな体温が俺を安心させた。
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