小さな工房の主と師匠

魔理沙

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新しい生活

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道を進んでいった先。古い工房が見えてきた。あれかな?着いた工房は荒れ果てていて、かろうじて作物が作れる畑がある。レンガ造りなのが近くで見たら分かる程度。何年工房として使われていないんだろ。けど、これだとやりがいがある!
「着いた、此処よ。」
「わぁ。結構広いね。あ、フロップ!案内ありがとね!」
「そんなの良いわよ。そうだ、分かってると思うけど説明するね。」
工房まで案内してくれたフロップは星の実がなる木を見せてくれた。
「1日1回木の実取れるから。それから畑。最初は麦しか作れないけど経験上がっていったら何でも作れるようになるから。」
「うん!つまり私はこの工房からしたらまだまだな初心者なんだね。」
師匠が言ってた。工房のオーナー、経営者は工房と成長するって。頑張らなきゃ!
「それじゃ、私は帰るね。あ、最後にソラリーちゃんに伝えておくね。何か作るのにもお金が必要なの。お金が足りなくなったらみんなの頼む物用意してくれたらちゃんとお金入るから。私もおじいちゃんもソラリーちゃん応援してるね。」
「ありがと!私頑張るね!」
フロップを見えなくなるまで見送ったら早速埃まみれの工房の掃除をする。
何か作業する前に掃除しないとね。
「ふぅ。こんなものかな。よーし!次は麦の種まきしてと。よし!収穫収穫!」
すごいのはこの工房だけじゃなく、作物はすぐ取れるんだよね。作った麦でパンを作って食べる。
「はむ!モグモグ……。」
余裕できたらみんなの頼み事見てやってみよ。取り敢えず初心者の私に出来るのはウッドクラフトと料理釜で作る料理。その料理も麦だけの材料の丸パンだけ。
しばらくご飯は丸パンだな。そう思ってたら。
「おい。」
「師匠!どうしたんですか?」
今日別れてきた筈の師匠が何か持ってきてやってきた。何かすごくいい匂いする。
「どうしたも何も。作れるのは麦だけだろ。ある程度レベル上がるまでリンゴも取れないぞ。なのにそれまでパンだけで乗り切るつもりか?」
「う…………。」
図星だっただけに何も言えないでいたらやっぱりなってため息付いたら師匠は
「飯だけはちゃんと食え。んしょと。ほら。」
「あ。ありがとうございます。いただきます。」
師匠が作ったオムレツとサンドイッチとデザートのイチゴのタルトを食べたら。
「夜も来るからな。じゃ、またあとでな。」
「あ。師匠。態々忙しいのにありがとうございました。」
「気にすんな。お前が俺の工房出ても飯くらいお前と食いたいって思ってるしな。無理するなよ。」
そう言って帰っていった師匠。師匠は私より忙しいのに来てくれた。頑張ろう。
麦を作って、まだ少ない植えたばかりのもみの木を切って木材作って。いつの間にかレベル上がって。
「やった。牛飼える!」
そうと決まったら柵を作らないと。もみの木の木材と麦の紐で柵を作って庭に置いていく。
「ふう。よーし。」
早速牛をマートで買って。柵の中に入れる。
「やった~、ミルクだ!」
まだ1頭だけだけど。牛乳くれる牛さんいるのは本当に助かる。朝はミルク飲まないと始まらない!悪くなる前に冷蔵庫に入れて。イチゴ作れるようになったからイチゴを作って。作れるレシピが増えたから明日の朝ごはんはイチゴジャムをぬったトーストと牛乳に決めて、あっという間に1日が終わった。
「ふぅ。疲れた……。」
「お疲れさん。ほら。」
「あ、いただきます。…………。」
私の大好きなハンバーグがあった。それからグラタンとチーズトースト。このメニュー見てまた明日からも頑張ろうって思えてきた。食べてる間師匠は黙って見てた。
「師匠!美味しかったです!」
「そうかい。良かったわ。じゃ、明日の昼も来るな。あ、そうだった。ベッド作ったからやるよ。」
「え!?あ、ベッドまでありがとうございます。」
「ベッド作れるまで床で寝てたら何も仕事が出来ないだろ。」
そう。イチゴが作れるようになったとはいえ。ベッドの材料の白い布の原料は綿はまだ経験が足りない。イチゴの次はトマトだから。トマトの次が綿。綿が作れるようになっても10必要だからなかなかに大変。
ベッドを置いて帰っていった師匠。私が持ってきた荷物は服と自分のクラフトの道具と師匠から渡されたお金。私の事を考えてくれた。明日も仕事だから早く寝る。
「…………………………。師匠。」
ありがとうございます。経験積んで一人前になりますね。そう思いながら私は疲れもあってぐっすり寝た。

「……………………。んん~。…………。」
あれ?ここ、師匠の工房じゃない。そうだった。昨日から私師匠の工房出てこの工房で住むことになったんだ。
お腹空いたからイチゴジャムをぬったトーストと昨日取れた牛乳で簡単に朝ごはん済ませたら掃除を済ませる。今日はお金が無くなってきたからみんなのお願いを聞いてみようかな。
麦作ったら今度はイチゴ作っての繰り返し。もみの木を切って木材を倉庫に運んで、頼まれた物を確認してあったら用意して持っていく。
「ありがと~。助かったよ。」
「ううん!また頼んでよ!」
「ありがと。そうだ。お願い聞いてくれたから少し安くするけど。何か買っていかない?」
「いいの!?ありがとー!」
頼まれた物を持ってきたついでに買い物する。このお店は村唯一のお店で犬のロバルが切り盛りしてる。工房で作った服や麦とかの材料に家具まで何でも揃ってるから便利なんだよね。
「ううーん。どうしよ。……。そうだ。ねえ!」
「なに?何か探してるの?」
「うん。あのね。テーブル1つと椅子2つ無い?」
「テーブル1つと椅子2つね。在庫見てみるよ。」
あ、でもお金足りるかな。そう思ってたらロバルが
「あったよ。買う?」
「えーと。お値段は?」
「そうだね。3000ゴールドで良いよ。毎日買い物してくれたらこの値段にするよ。」
「え?いいの!?」
たったそれだけでこの値段。このテーブルと椅子は師匠がクラフトした物みたい。早速買って帰ったら工房に置いてもう少し作業したら師匠が昨日と同じように来てくれた。
1つのテーブルと2つの椅子を見た師匠は。
「やっぱ良いもんだな。食卓があるのは。」
師匠はどんなに忙しくても朝以外はご飯を持ってきてくれた。あんまり長いから師匠に何時も悪いですと言ったら
「もう1人で飯食っても味気ないから気にすんな。」
「あ。はい。」
それからも師匠は私がどれだけ経験積んでレベル上がっても昼と夜はご飯を食べに来てくれた。

晩ごはんも食べ終わって食器洗いしてたら師匠が
「ソラリー。」
「はい。どうしました?」
「いや。もうすぐ。空から星が降ってくる。もし何かしらの動物か植物の種があったら俺の所にすぐに来い。」
空から星が?師匠が言うには一年に一度祭がある月に星が降ってきたみたいだけど。ここ数年祭の時期と関係なく星が降ってくる予兆があるみたい。
「あと数日なのは分かるんだが。この森の何処に落ちるのかまでは分からねえんだ。万が一この工房の敷地内に落ちてきたらすぐ俺の所に来てくれ。」
「はい。分かりました。」
お星さまが降ってくる。師匠から結構前から聞いてる。師匠は昔から何故この森には星が降ってくるのか長い間調べてるのは知ってる。色々な場所に住んでいたけど星が降ってくる土地はこの森にしか無かったみたい。
仮説として師匠はこの土地には星を引き寄せる要因があると考えているみたいだけど。
「あの。動物ってどんな特徴なんですか?」
「そうだな。種類はネコだったり、犬だったり、鳥だったり、ウサギだったりするけどな。毛だったり羽の色が青かったり赤かったり黄色かったりするんだよ。中には桃色だってある。で目の色も普通いない色なんだよ。極めつけは。アイツらはみんな揃って餌を食べる必要が無いのと。進化する。生き物なのにな。」
「あの、師匠。飼ってたみたいに詳しいですね。」
「そうだな。実際今でもソイツを飼ってるしな。」
「へえ、その子飼ってるんですか。って!ええ!?」
「アハハ。もうソイツとは。1000年以上の付き合いだ。」
何でもこの森に初めて星が降ってきた時。植物の種と一緒にその動物がいたみたいで。空色の鳥で紫色の目をしてるみたい。空から降ってきて師匠に懐かれたみたいでそれで餌を食べる必要は無いけど興味あるなら食べさせたら良いこととか分かってきたみたい。
「ただ中には懐くヤツもいるけど危ないヤツもいる。だからいいな。襲いかかってきたらすぐ俺の所に来い。」
「はい。」
危なくないと良いけど。そう思いつつどんな子が来るのかなと思った。
その動物さん、どんな子なんだろ。
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