Real~Beginning of the unreal〜

美味いもん食いてぇ

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2章 満たす白 空っぽの黒

14話

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 ――場所は雪合戦と同じ場所。デパート前の大通り。

 そこに立つ二人には、以前見られた楽しげな雰囲気など一切ない。
 知らない者が見れば、彼等が仲間だなどとは到底思わないだろう。

 それほどまでに濃密な、殺気、基魔力の衝突。

「……思えばお前のcellを見んのは初めてだな。どうせ持ってんだろ?」

 首の骨を鳴らしながら、東条は離れた位置に立つノエルに話しかける。

「見せた奴は全員殺してきた」

「怖ぇ~」

 表情の変わらない彼女の目が、それを事実だと言ってのける。
 人間も、モンスターも、彼女にとっては有象無象に過ぎない、と。

「準備は?」

「いつでも」

 東条は全身を漆黒で武装し、戦闘形態に入る。
 一瞬で身体強化を完了し、膝を曲げ前傾姿勢になった。

「そんじゃ、スタートッ」

 今まで本気を見せ合ってこなかった二人が、遂にその牙をぶつけた。


 弾丸の如く飛び出した東条は、とりあえずノエルに真っ向から突っ込む。

 彼のcellありきの、脳死の突撃。先ずは敵の攻撃方法を炙り出す。

「ん」

「――っ」

 初動無しに大地から突き出した棘を掌で受け止め、足場にして再度跳躍。

 その一瞬で、今度は全方向から土棘が東条に迫った。

「しゃらくせぇ」

 しかし全身から放った衝撃波で棘は砕け散り、何事も無く着地。
 と同時に真下からものすごい勢いで石柱が生え、彼を空へ誘った。

「――おぉ、高ぇ」

 グングンと離れていく地面に、一種のアトラクション的楽しさを覚える。

 本来なら上空に打ち上げられるか、耐えたとしても上からの風圧で押さえつけられ身動きが取れなくなるほどの速度。

 しかし東条に物理攻撃はほぼ無効。
 石柱の直撃だろうと風圧だろうと、彼には痛くも痒くもない。

 何処まで伸びるのか、と石柱の上でヤンキー座りをしていると、

「おっと」

 下方から超速で槍が飛来。苦も無く掴んで止めた。

 遥か下では、投擲のフォームを崩すノエルがしかめっ面をしている。

 槍の飛来と同時に止まった石柱の全長は約十五m。加えて、ここまで伸びるのに一秒とかからなかった。

 その速度と距離にドンピシャで合わせ、東条を射殺さんと槍を放ったのだ。

 そんなノエルの魔力と動体視力、膂力は、正にモンスター級と言える。

「やっぱ普通じゃねぇな、あいつ……ん?」

 彼女の底知れ無さに戦慄する東条だが、ふ、と、自分が持つ槍の形状の不可解さに気付く。

「……木製か?これ」

 てっきり土魔法の類だと思っていたが、どうやら違ったらしい。

 槍は数本の枝がギチギチに捻り合わされ作られた様な、違和感極まりない形をしていた。

「……これか」

 彼女のcellの一端に触れ、新しい能力に心を躍らせた。




「出鱈目すぎ」

 目の前で見せられたあまりに反則過ぎる力、流石に溜息が漏れてしまう。

 しかし、とノエルは思う。

 テントで彼の話を聞いた時、漆黒が使えるようになった後も、何度も死にかけたと言っていた。

 あの時は、「いつか自分と模擬戦する時の為に内緒だ」とか言って能力の詳細は教えてくれなかったが、要するにあれを解除させる方法があるということだろう。

 今まで彼と過ごしてきた経験から、あれが光や音、衝撃までも吸収することは分かっている。

 見た感じ、顕現できる漆黒の量にも限界がある。

 だとしたら、エネルギーの貯蓄量にも許容限界があって然るべきだろう。

 どの程度の漆黒が、どの程度のエネルギーを溜められるのか分からない今、手探りで行くしかないのだが、少なくともそこいらのモンスター数十匹を殺せる程度の攻撃では、毛ほどの意味もない事が分かった。


 正直、安心した。

 ……自分が本気を出しても、きっと彼は死なない。

 ビックリさせてやろう。
 そんな無邪気な想いで、彼女は己が力に手を伸ばした。
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